2019年07月08日
アイデアよもやま話 No.4375 拡大する越境EC市場!

2月28日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で拡大する越境EC市場について取り上げていたのでご紹介します。 

 

一見どこでも売られている普通のノートのように見えるノートが実は海外で大人気となっています。

国を超えたインターネット通販、いわゆる越境EC(Electronic Commerce)市場を通じて買われているのですが、例えばアメリカの消費者が越境ECで購入する日本からの製品は2017年の7128億円から2021年には約1兆2000億円まで増える見通しです。(出所:経済産業省)

 

新たな販路を求め、海外へ挑戦する日本の中小企業を後押しする動きが今活発になっています。

東京・板橋区にある小さな工場、ここで作っているある商品が今アメリカで人気となっています。

欧文印刷株式会社の汲田 丈二さんは次のようにおっしゃっています。

「こちらノートに見えるんですけどもホワイトボードになっています。」

「持ち運びがし易いということですね。」

「それからカフェなんかですぐ広げて打ち合わせ出来るツールがあったら便利だ。」

「ただそのままだとつまらないので、もう一ひねり何かアイデアがないかということで考えたのが透明シートなんです。」

「これがあることによって消去を防いだりとか、あるいは上書きを出来るような機能がプラスされる。」

 

欧文印刷が2011年に発売したノート型のホワイトボード「nu board」(A4版)です。

2年前にアメリカ最大のネット通販サイト、アマゾンで発売してみたところ、予想外の売れ行きでした。

お客の評価を見ると、以下のような感想がありました。

「なんてすごい商品なの」

 

「どうして今まで思い付かなかったんだろう」

 

汲田さんは次のようにおっしゃっています。

「アメリカの場合、紙の無駄遣いが減るとか、どちらかというと環境面で「この製品がいいな」と言ってくれるお客様が多い。」

「国内の印刷需要が確実に減っていくだろうと。」

「(アメリカの市場で)認知が進めば、当然ヨーロッパとかオーストラリアとかそちらの方に進出していく・・・」

 

アメリカで累計1万5000冊を販売、主力の印刷事業の売り上げが減少する中で海外でノート型ホワイトボードの売り上げを伸ばしたい考えです。

 

欧文印刷のアメリカへの販路拡大を後押しした会社、株式会社グローバルブランド(名古屋市)の山田 貴弘社長は次のようにおっしゃっています。

「本当に国内に送るように海外に送るというのが我々の1つのミッションであり、コンセプトなので・・・」

 

オフィスにはメーカーや問屋など、全国の中小企業からアメリカに向けて発送する荷物が届いていました。

日本の瀬戸物、お茶の葉、ニンテンドーDSの本体と日本語のDSソフトなど様々です。

山田社長は次のようにおっしゃっています。

「日本の中古品は丁寧に扱われているものが多いので、海外の中古品と比べて綺麗なものが多い。」

 

グローバルブランドは様々な中小企業から送られてくる荷物をまとめてアメリカのマゾンの倉庫に発送します。

アメリカの消費者が注文すると、倉庫から商品が発送される仕組みです。

山田社長は次のようにおっしゃっています。

「一番コストがかかる日本、アメリカ間を全国のお客様の商品をとりまとめて送ることによって大幅なコスト削減をしている。」

 

これまではアメリカに商品を送る際、その中身によって通関の書類が異なるためハードルが高いという問題がありました。

そこでグローバルブランドは独自のシステムを企業に提供、日本語で商品内容を打ち込むことで適した英語の書類を作成出来るといいます。

またSNSを使った販促業務の代行も英語の紹介文を作成するだけでなく、消費動向をチェックし、検索され易い単語を入力します。

山田社長は次のようにおっしゃっています。

「(国内とアメリカとでの売値の違いについて、)おおよそですけども、約1.2〜1.5倍の価格が基本的な価格になりますね。」

 

これまで900社近くのアメリカ、アマゾンの出品をサポートしてきました。

2月28日、広島県福山市で開催されたセミナーに山田社長の姿がありました。

参加していたのは、地元広島銀行の取引先企業です。

グローバルブランドは新たに広島銀行、東京海上日動火災保険と連携することを決めました。

海外へ荷物を送る際、商品の破損や消費者からの訴訟リスクに備える保険が既にあります。

今後、広島銀行の取引先である複数の中小企業の商品をまとめて扱うことで物流コストを下げ、保険料を安くします。

東京海上日動火災保険の磯田 賢さんは次のようにおっしゃっています。

「皆様で集まって保険に入るスキームを作ることで、(年間)最低50万円がほんの数万円になる。」

 

山田社長は次のようにおっしゃっています。

「まずはご縁があった広島銀行さんのクライアント様を海外進出して成功させて、各地方銀行さんのクライアント様とともに全県でやっていきたいなと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今やインターネットを通じて、いつでもどこでも世界中とコミュニケーションが出来るようになっているのですから、国を超えたインターネット通販、越境EC市場が拡大していくのは当然と言えます。

 

そうした中、海外でも需要が見込めるような商品を扱う企業には新たな成長のチャンスが遅ればせながら訪れているのです。

しかし、中小企業の中には単独でそのチャンスを生かそうとしても資金や人材の面で無理が生じるところが出てきます。

 

こうした状況において、アマゾンのような海外のネット通販サイトとの仲介サービスを展開するグローバルブランドはまさに”救いの神”的な存在と言えます。

海外に商品を送る際の通関の書類の代筆や商品の説明の英訳など、独自のシステムを企業に提供してくれるというのです。

更にSNSを使った販促業務の代行のみならず、消費動向をチェックし、検索され易い単語の入力までしてくれるのです。

そして、グローバルブランドは新たに広島銀行、東京海上日動火災保険と連携することを決めたことにより、広島銀行の取引先である複数の中小企業の商品をまとめて扱うことで物流コストを下げ、保険料を安く出来るといいます。

また、これらの企業が東京海上日動火災保険の保険に入るスキームを作ることで、保険料を格段に安く出来るというのです。

 

今後こうしたシステムを全国展開すれば、全国的な規模で多くの中小企業が新たな成長のチャンスを手に出来るのです。

今政府が進めている「働き方改革」も重要ですが、一方で企業の活性化も同様に重要なのです。

 

越境EC市場はその起爆剤の一つと言えます。

この効果は該当企業の活性化のみならず、地方の活性化、あるいは保険業など関連産業の活性化にもつながります。

この起爆剤からより効率的な成果を得る手段として、グローバルブランドの展開するようなサービスは無くてはならないものと言えます。

ですから、今後既存の商社なども同様のサービスを展開していくものと見込まれます。


 
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