2019年02月05日
アイデアよもやま話 No.4244 金属3Dプリンターで“ものづくり革命”!?

これまで3Dプリンターについては、何度かお伝えしてきました。

そうした中、昨年10月29日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で金属3Dプリンターについて取り上げていたのでご紹介します。

 

網目状の金属のボールの中に同じ小さなボールが3つ入ったものがありますが、実はこのボールは金属3Dプリンターで作られているのです。

金属3Dプリンターを使えば、これまでの製造方法では出来なかった複雑なかたちのものも作ることが出来るのです。

既にヨーロッパやアメリカでは金属3Dプリンターの活用が進んでいますが、日本は欧米に比べると、まだまだ遅れています。

 

そうした中、総合商社の双日は金属3Dプリンターを使った金属部品の製造拠点を初公開しました。

なぜ双日は新たな領域への参入を決めたのでしょうか。

番組はその裏側を取材しました。

 

宮城県多賀城市にある日本積層造形株式会社、JPAMPTは、資本金の56%を双日が出資して設立しました。

金属3Dプリンターは、パソコン上で部品の設計をします。

これまで3Dプリンターと言えば、樹脂を使ったものが一般的でした。

これに対して、金属3Dプリンターは材料に金属を使用します。

まず、パウダー状の金属をプリンターの中に敷き詰めます。

金属パウダーにレーザーを照射すると、レーザーの当たった部分の金属パウダーだけが一瞬で溶けて固まっていきます。

これを何層も積み重ね、30時間ほど繰り返します。

出来たものを見てみると、金属の塊が出来ていますが、この状態では設計したような部品は見えません。

そこで、今度は別の機械に入れて強風を吹き付けると、少しずつ金属部品の姿が見えてきます。

固まった部分以外の金属パウダーを風で吹き飛ばしているのです。

こうして金属製の部品が出来上がったのです。

他にも、複雑なかたちをしたものも全て金属3Dプリンターで作ることが出来るのです。

 

この金属3Dプリンターに注目しているのが、金属部品の製造を手掛ける東洋刃物株式会社(宮城県富谷市)です。

金属の板にレーザーを当てて、部品を切り出しています。

しかし、従来の製造過程では製品として使う部分以外は廃材となります。

そこで、金属3Dプリンターを使うようにしました。

東洋刃物 技術課の志村 英幸課長は次のようにおっしゃっています。

「これが金属3Dプリンターで造形した製品になります。」

「ほぼ完成形に近い形状で出来上がってきますので、従来の工程から大幅に工程をカット出来るメリットがあります。」

 

金属3Dプリンターでは、金属部品の周りに付着していた金属パウダーを回収することで、再び原料として利用することが出来るのです。

 

既に海外では、アメリカのGEやドイツのBMWなどが金属3Dプリンターを活用して新たな部品の開発を進めています。

経済産業省も2020年までに3Dプリンター全体の市場が20兆円を超えると見ています。

ただ、日本では本格参入する企業が少ないのが現状です。

こうした状況について、双日の藤本 昌義社長は次のようにおっしゃっています。

「(これまで)プラスチックの3Dプリンターは結構あったんですけど、金属で3Dの部品を作るのが本当に(主流に)なるとしたら、やはりこれは「ものづくりの革命」だろうと。」

「いろいろと新しい技術を発展させていくのも一つの商社のあり方なんじゃないかと。」

 

双日は、日本企業としていち早く金属3Dプリンター事業に本格参入することで、新たな市場を開拓しようとしているのです。

また、商社ならではの強みも生かそうとしています。

藤本社長は次のようにおっしゃっています。

「どういったものをどういったところで、どういう部品にこういうもの(金属3Dプリンターの技術)を広めていくかというところのマーケティングとか、そういったところは商社が得意とするところ・・・」

 

双日のネットワークを生かして、金属3Dプリンターで使用する金属パウダーの配合を調節し、従来にはなかった強度で最適なかたちの金属部品を日本で初めて作れるようになりました。

既に航空業界や自動車業界から問い合わせが殺到しているといいますが、新たな産業として発展していくことは出来るのでしょうか。

 

この金属3Dプリンターの活用方法は無限にあると言われており、人工関節や人工骨に金属アレルギーの起こらない金属パウダーを使ってオーダーメードで作ることも期待されているといいます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して、金属3Dプリンターのメリット、ディメリットについて以下にまとめてみました。

(メリット)

・複雑な形状の金属部品でも製造出来ること

・金属部品の周りに付着していた金属パウダーはリサイクル出来ること 

(ディメリット)

・製造に時間がかかること

 

なお、既にヨーロッパやアメリカでは金属3Dプリンターの活用が進んでいるといいますから、金属3Dプリンターの普及が今後とも急速に進むことは間違いないと思います。

特にこれまでの製造技術と比べて優れているのは、どんなに複雑な形状のモノでも作れる点です。

このことは、デザイナーにとってもこれまでの製造技術の壁が取り払われ、全く自由な発想をかたちに出来るということで、とても画期的だと思います。

こうしたメリットは、製造時間がかかるというディメリットを打ち消すほどのインパクトがあると思います。

 

ということで、3Dプリンターは“ものづくり革命”をもたらすことは間違いないと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています