2018年11月14日
アイデアよもやま話 No.4173 生命維持の要 エクソソーム その3 未病や女性の肌の老化への活用の可能性!

7月22日(日)放送の「サイエンスZERO」(NHK Eテレ東京)で生命維持の要であるエクソソームについて取り上げていたので4回にわたってご紹介します。

3回目は未病や女性の肌の老化への活用の可能性についてです。 

 

エクソソーム研究は私たちが身に覚えのある未病という分野でも大きな広がりを見せています。

そもそも未病とは何か、例えば肩こりで病院に行っても病気と診断されることはありません。

ところが肩こりは時に狭心症や心筋梗塞など心臓病のサインであるかも知れないのです。

こういう状態が危険な未病なのです。

この異変をエクソソームを利用して発見しようという研究が進んでいるのです。

研究ではあらゆる世代の健康な男女のエクソソームを解析し、体内のマイクロRNAの数値をデータ化しようとしています。

健康な状態のマイクロRNAのデータが分かれば、これが基準になります。

例えば肩こりの人に健康なデータとは異なる結果が出ていたら、それはなんらかの病気の前触れと考えられるのです。

この検査がわずか1滴の血液から出来るようになるといいます。

もしこの血液中に心臓病のサインを示すエクソソームが流れていれば、それは大きな発見です。

 

続いて、女性の肌の老化にもエクソソームが関わっているといいます。

東京・銀座にある化粧品メーカー、加齢とともに衰える肌の張りや弾力はコラーゲンが大きく影響しています。

コラーゲンは肌の表皮の下、真皮部分にある繊維芽細胞で作られます。

コラーゲンは真皮全体に網目状の構造を作ることで、肌に弾力を与え、表皮を支える役割を担っているのです。

ところが肌の老化のメカニズムについては未だに謎があるといいます。

大手化粧品メーカーのビューティサイエンス研究センター長、松熊 祥子さんは次のようにおっしゃっています。

「紫外線によってシミとかシワができるということは分かっております。」

「ですけど、個人差が生まれますよね。」

「同じ50代になった時に、一人ひとりシワの深さも違いますし、シミの量も違いますし、まだまだ個人の老化については分かっていないことが多いのです。」

 

例えば同じ50歳でも、実年齢よりも肌が若い人もいれば、そうでない人もいます。

この個人差はいったいなぜ起きるのか、このメーカーではその謎を解くカギがエクソソームにあるのではないかと考えました。

そして研究を続ける中で貴重な撮影に成功しました。

しかし、中にどんなメッセージが書いてあったのかまでは分かっていません。

更なる研究が待たれます。

松熊さんは次のようにおっしゃっています。

「私たちの皮膚の細胞がエクソソームを取り込んで何かしら起こっているんじゃないかと。」

「それが実は老化を起こしているかもしれません。」

 

このエクソソームやマイクロRNAの数の種類を調べれば、肌の老化の個人差やそのメカニズムを解明出来るかもしれません。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

あらゆる世代の健康な男女のエクソソームを解析し、体内のマイクロRNAの数値をデータ化し、健康な状態のマイクロRNAのデータを基準に、肩こりの人などに基準値と異なる結果が出ているかどうかの検査がわずか1滴の血液から出来るようになるといいます。

そして、この血液中に心臓病などのサインを示すエクソソームが流れていれば、未病の状態、すなわち病気になる前段階で何らかの治療を施すことが可能になるのです。

 

また女性の肌の老化についても、エクソソームやマイクロRNAの数の種類を調べることにより、肌の老化の個人差やそのメカニズムを解明につながる可能性があるといいます。

 

こうした一連の研究はエクソソームやマイクロRNAの数の種類やその働きを“見える化”するプロセスと言えます。

“見える化”により、今どんな状態であるかが把握出来、そこからどんな対応をすべきかという次のステップにつなげることが出来るのです。

 

エクソソームやマイクロRNAに関する研究はまだまだ歴史が浅いので、これからどんどん研究が進むにつれて、これまでにない未病段階からのあらゆる病気の治療法や女性の肌の老化防止などにつながると大いに期待出来そうです。


 
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