2018年10月02日
アイデアよもやま話 No.4136 フリーランスの厳しい実態!

6月7日(木)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)でフリーランスの厳しい実態について取り上げていたのでご紹介します。 

 

個人で仕事を請け負うフリーランス、国内では副業も含めて推定で約1100万人を超えるという調査結果もあります。

このフリーランスとして働く女性たちが子どもを出産する際、会社員ほどの社会保障が整っていないことから、厳しい状況に追い込まれる実態が明らかになってきました。

フリーランスのデザイナーとして働くSさん、2歳と4ヵ月の女の子の母親で、会社員の夫との4人家族です。

Sさんは次のようにおっしゃっています。

「(子どもの)機嫌が悪いと大変です。」

「この時は二人とも一緒に泣いちゃう。」

 

フリーランスであることのハンディを一番感じたのは産後間もなくのことでした。

会社員の場合、健康保険から産前産後のおよそ3ヵ月間、収入の3分の2を受け取れますが、フリーランスの場合は手当の支給はほぼありません。

更に、会社員は産前産後と育休中、年金や保険料の支払いが免除されます。

一方、フリーランスは払い続けなければなりません。

産前産後の会社員との金銭面での差は月収30万円で試算した場合、(年収ベースで)300万円にもなると言われています。

Sさんは次のようにおっしゃっています。

「会社というシステムから外れると、セーフティネットが一切受けられない。」

「ゾッとするというか、ドキッとしますね。」

 

そのため、Sさんは産後1ヵ月から仕事を始めざるを得ませんでした。

そんなある日、外出先で倒れ、救急車で病院に搬送されました。

慣れない育児と仕事から来る過労だったといいます。

会社員の場合は、産後8週間は就業させることは出来ないと、労働基準法で定められています。

しかし、フリーランスなどでは手当が少ないため、産後1ヵ月以内で復帰する人は45%に上ることが分かりました。(「雇用関係によらない働き方と子育て研究会」調べ)

Sさんは次のようにおっしゃっています。

「覚悟を持ってフリーランスをやっているし、あらかじめ分かって子どももできているので、全部を手厚くサポートするべきだとは言わないんですけども、最低限、健康が確保出来る何かしらの助けを得られれば随分違うと思います。」

 

更に、フリーランスであるがゆえに、子どもの保育園を探す時に苦労する人も少なくありません。

渋谷区に住む、雑誌のライターをしている女性は、フリーランスの夫とともに娘を育てています。

出産後、仕事を再開するために娘を預けられる保育園を探していました。

しかし、10ヵ所の認可保育園に申し込んだものの入園は出来ませんでした。

東京23区のうち半数近くの自治体には、職場への復帰が前提となる会社員の方がフリーランスより優先される制度があります。

この女性は次のようにおっしゃっています。

「私の労力は社会で求められていないのかな、みたいな絶望感がありました。」

 

出産後は仕事をセーブせざるを得ず、収入は以前より7割も減りました。

第二子をつくることは諦めざるを得なかったといいます。

この女性は次のようにおっしゃっています。

「“沢山みんな働いて下さい”って、国として呼びかけているはず。」

「で、どんどん働けない人が出てくるって、“あれ、おかしくない?”、“矛盾していない?”っていう気持ちになります。」

 

フリーランスの女性たちの産前産後のセーフティネットを整えて欲しい、今年6月、フリーランス協会を中心とした団体が国に対し、およそ1万4000人の署名を提出しました。

雇用関係によらない働き方と子育て研究会の発起人、小酒部 さやかさんは次のようにおっしゃっています。

「仕事に関するリスクは取るつもりでフリーランスの働き方を選んでいますが、生命・身体のリスクまでは取ることが出来ませんので、フリーランス人口が増えている、そして今後増々増えるであろうということが見えているのであれば、やはり今の時点できちっと(制度を)整備して欲しいなって思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して感じることは、以前から“同一労働同一賃金”と言われながら、フリーランス、すなわち非正社員は正社員に比べて賃金が低いだけでなく、福利厚生などの制度面でも差を付けられているという実態です。

しかも、非正社員の割合は増え続ける傾向にあります。

ちなみに、厚生労働省が2015年12月に発表した2014年の「就業形態調査」によると、民間事業者に勤める労働者のうち非正規社員の占める割合が40.5%に達し、初めて4割の大台を超えたといいます。

 

そもそも非正社員が増えるきっかけとなったのは、労働法の改正により非正社員でも働ける職業が一気に広がったことなのです。

それまではほとんどの職業は正社員というのが一般的だったのです。

ということは、国の定める労働法次第で従業員の働く環境はよくも悪くも出来るということです。

こうした状況の改善は利益を追求することが優先される企業側からは出にくいので、こうしたところにこそ国が制度面でしっかりとフリーランスを保護することが求められるのです。

また、現在、景気の上向き、および少子高齢化の進行による人手不足から賃金の上昇、および非正社員の正社員化の傾向があるといいますが、こうしたことは景気次第で変動するので根本的な解決にはなりません。

 

ということで、安倍政権は“働き方改革”を進めていますが、例え政権が変わろうとも、番組で指摘されたような問題を是非解決していただきたいと思います。

この問題解決は少子化の歯止めのみならず、国民全体の幸福度の向上にもつながる国家的にとても重要なことなのです。


 
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