3月26日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で中国のスマホ大手OPPO(オッポ)急成長の秘密について取り上げていたのでご紹介します。
まず、スマホの世界シェアは以下の通りです。(2017年アメリカIDC調べ)
1位 サムスン(韓国)
2位 アップル(アメリカ)
3位 ファーウェイ(中国)
4位 OPPO(中国)
4位のOPPOは7年前にスマホ事業に参入して、社員の平均年齢は20代といいます。
今、躍進中の企業ですが、この急成長の理由はどこにあるのでしょうか。
1月31日、OPPOの日本参入発表会が行われました。
そして、日本上陸の第一弾が「R11s」(2月9日販売)ですが、その最大の特徴は自撮り用のカメラで、2000万画素と高画質なうえ、肌をきれいに見せる補正が自動でかかるなど、“盛れる自撮り”が手軽に出来ます。
急成長するOPPO、その裏側を探るため、番組では中国広東省東莞市の本社工場に取材に行きました。
日本上陸後、初めて海外メディアが入った本社工場、緑豊かな敷地面積は東京ドーム約5個分、約7000人の社員が住み込みで働いています。
社員の平均年齢は29.5歳といいます。
敷地の中には、中国の若者に人気のピンポン場や子育て世代に配慮した小さな子ども向けの公園まで、どれも若い人材を大量に採用するための工夫といいます。
OPPOはなぜ社員の若さにこだわるのでしょうか。
実は“盛れる自撮り”カメラのアイデアは20代の社員から生まれたからだといいます。
OPPOの海外市場担当責任者、黄 利国さんは次のようにおっしゃっています。
「OPPOは若者向けのカメラフォンという位置付けで、もっと若者のニーズを知りたい。」
「そのために若い人材は不可欠。」
そして工場の中に入ると、そこには急成長を支えるもう一つの理由があります。
それはスマホの自社生産に特化する戦略です。
パソコンやタブレットに手を広げず、設備投資をスマホの生産だけに絞り込みました。
そのため、性能の良い日本製の設備などを数多く導入出来たといいます。
この戦略の裏には、ある日本人の存在があります。
工場内のガラスの壁に貼られた緑色のテープにはOPPOの経営理念が表示されていますが、その中の一つに“本分”があります。
この“本分”は京セラの創業者、稲森 和夫さんの経営理念から影響を受けて決めたといいます。
実は中国では、稲森さんに学ぶ経営者が多く、OPPOの陳 明永CEOもその一人です。
“他人を利することに専念する”という経営哲学に共感したといいます。
さきほどの黄さんは次のようにおっしゃっています。
「OPPOの“本分”という理念は、(京セラの)稲森先生が提唱したように、「仕事に打ち込む、やるべきことに専念する」という意味を込めています。」
「販売量や利益ばかりを追うことはしません。」
「日本の消費者を理解し、喜ばれる製品を作ることを目指していきます。」
日本式の経営理念と若い人材のアイデアで急成長したOPPO、日本支社では今年200人の若い人材を採用し、日本市場の開拓を目指します。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
番組で紹介されたOPPOという企業の経営理念や活動状況を見て、まず感じたのは日本の優れた企業とOPPOのイメージとがダブったことです。
その本質は以下の通りです。
・顧客第一主義
・選択と集中
・成果よりもプロセス重視
・風通しの良い組織風土
・従業員を大切に
・三方良し
今や日本企業においては、ブラック企業であるとか、検査データの改ざんであるとか、上記の経営理念とは真逆な企業の行動が目につきます。
その本質は、以下の通りです。
・“顧客第一主義”や“三方良し”ではなく“自社第一主義”
・“成果よりもプロセス重視”ではなく“プロセスよりも成果重視”
・“従業員を大切に”ではなく“従業員の軽視”
残念ながら、日本企業の中には上記のような優れた経営理念をいつの間にかおろそかにしてしまう企業風土が出来上がってしまった企業が日本を代表するような企業の中にも散見されるようになっています。
日本企業は“三方良し”など本来優れたDNAを持ち合わせているのです。
ですから、日本企業においては、今回ご紹介した中国企業のOPPOは、日本企業の優れた点を取り込んで短期間のうちに急成長を遂げたという事実に目を向けて、今一度原点回帰により、現在における企業の役割を見つめ直し、本来あるべき企業活動に取り組んでいただきたいと思います。