3月15日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で改ざんデータを復元するデジタルフォレンジックについて取り上げていたのでご紹介します。
財務省内で森友学園問題などで、公文書の改ざんが注目されています。
こうした中、改ざんされたデータを改ざん前の状態まで復元する時に使われるのがデジタルフォレンジックという技術です。
森友学園の決裁文書の改ざん問題でも大阪地検特捜部が元のデータを復元するためにこの技術を使ったということがテレビ東京の取材で判明しています。
データの復元・調査を手掛けているAOSリーガルテック株式会社(東京都港区)では、電子鑑識が出来るデジタルフォレンジックソフトを開発しています。
AOSリーガルテックの執行役員、林 靖二さんは次のようにおっしゃっています。
「データそのものを完全に消去するのは非常に困難でもありますので、通常の消し方であれば、復旧出来る可能性は十分あるかなと思っています。」
ある文書を改ざんして、元の文書を消去しても、電子鑑識ソフトを開いてからわずか数十秒後には削除と表示された文書が復元されます。
このソフトを使うことで簡単に改ざん前の文書を復元することが出来ました。
AOSリーガルテックでは、約10年前から電子鑑識が出来るデジタルフォレンジックソフトを開発し、現在では警視庁や東京地検、大阪地検など全国の捜査機関など、約300ヵ所に納品しています。
価格は約70万円です。
そのソフトが捜査の最前線で果たしている役割について、林さんは次のようにおっしゃっています。
「捜査における期間が非常に短縮出来た。」
「捜査のプロの方でいらっしゃれば、約1日のトレーニングでご使用いただけるようになっています。」
最近ではスマホのメモリーを解析して、削除されたラインのやり取りなども復元可能です。
また、この技術は企業からの需要もあるといいます。
林さんは次のようにおっしゃっています。
「企業様ですと、やっぱり内部の不正、例えば情報漏えいであるとか、不正会計であるとか、最近言われていますような検査データの改ざんであるとか、そういったところの調査依頼も最近は増えております。」
裏に隠れている事実をいかに明らかにしていくか、デジタルフォレンジックの需要は今後も高まりそうです。
番組コメンテーターでA.T.カーニー日本法人会長の梅澤 高明さんは次のようにおっしゃっています。
「(デジタルフォレンジックという技術は改ざんの後に元のデータを復元するというものですが、そもそも改ざんされる前に改ざんを出来なくする技術も必要ではないかという問いに対して、)ブロックチェーンがまさにそれですね。」
「なので、公文書管理にブロックチェーンを使おうという議論も、今回の森友学園事件をきっかけにかなり高まっています。」
「で、電子政府の先進国であるエストニアは実は2011年から既にブロックチェーン技術を行政事務に活用していて、企業の登記とか税務とかというところで使っています。」
「それから、これから先ですけども医療分野への導入も決定しているということなので、政府の文書管理のあり方が問われて、社会的な要請も強くなっているので、逆にこれをきっかけにしてブロックチェーンの社会実装をどんどん進めると。」
「で、ブロックチェーン先進国に日本も一気に進化するということが出来たらいいと思います。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
財務省内での森友学園問題などで公文書の改ざんが国会内で長らく尾を引いていますが、今回ご紹介した番組でこうした公文書の改ざんの有効なリスク管理の対応策、およびコンティンジェンシープランが明らかになりました。
まず、改ざん防止のリスク対応策ですが、それは今話題のブロックチェーンです。
そして、万一改ざんされた場合のコンティンジェンシープランはデジタルフォレンジックです。
どの分野においてもテクノロジーの進歩は目まぐるしいのが今の時代の特徴です。
その成果を活用しない手はありません。
もし、政府が本気で公文書の改ざんや破棄問題に取り組んでおり、こうしたリスク対応策やコンティンジェンシープランを導入していれば、長い期間を要しても決着しない問題も防止出来るのです。
また、こうした問題は政治の世界だけでなく、企業においても同様です。
ということで、今回ご紹介したブロックチェーン、およびデジタルフォレンジックのようなツールを再発防止策として、速やかに政府や各自治体、および少なくとも上場企業において導入するように法制化すべきと考えます。
そうでなければ、公文書の改ざんや破棄などの問題はこれからも繰り返し起こり得るのです。
そして、そのために私たちの税金は無駄に使われることになるのです。
健全な民主主義、および健全な企業活動を維持するために是非法制化を進めていただきたいと思います。