2018年04月26日
アイデアよもやま話 No.4000 ベトナム戦争から半世紀、”枯葉剤被害”は今も!

1月26日(金)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)でベトナム戦争から半世紀経っても続く”枯葉剤被害”について取り上げていたのでご紹介します。

 

半世紀前のベトナム戦争、猛毒のダイオキシンを含む「枯れ葉剤」がアメリカ軍によって大量に蒔かれました。

汚染された土地で健康被害を受けたのはおよそ300万人に上ると言われています。

ベトナムでは枯れ葉剤の影響と見られる障害がある子どもたちが今もなお次々と生まれています。

 

そうした中、枯れ葉剤の被害を40年以上にわたって記録し続けてきた写真家の中村 梧郎さん(77歳)が1981年に撮った、下半身がつながって生まれた双子のベトちゃん、ドクちゃんの写真は兄弟の存在を日本中に広めるきっかけになりました。

 

今なお続くこうした被害をマラソンを通じて多くの人に知ってもらい、支援につなげたいと考え、中村さんチャリティマラソン大会を企画し、ベトナムのホーチミンで1月14日に第1回大会が開催されました。

なお、この収益の一部は被害者支援に充てられるといいます。

中村さんは次のようにおっしゃっています。

「マラソンに参加することで知らない間に支援になるかたちをつくるのが一番いいと思いまして始めたんですけど、上手くいきそうな感じはありますね。」

「延々と続く悲劇もあるんだと、それを手を差し伸べることも出来るんだというかたちをキャンペーンして(働きかけて)いくことが大事だなと思いましたね。」

 

また、この大会を支援して参加した、オリンピック金メダリストの高橋 尚子さんは次のようにおっしゃっています。

「戦争後も被害の大きさがこれだけ長く続くんだなというのを現場に来て深く感じました。」

「オレンジ=枯れ葉剤といった深い意味も込められていることをみんなで知って、一歩一歩かみしめながらマラソンを楽しめる大会になって欲しいなと思います。」

 

経済発展が続くベトナムでは、その一方で枯れ葉剤の影響は今も影を落としています。

およそ半世紀前のベトナム戦争最大の激戦地の一つ、クチで、アメリカは集中的に枯れ葉剤作戦を展開、森や田畑は徹底的に破壊されました。

その枯れ葉剤の影響と見られる健康被害は、“第3世代”と呼ばれる今の子どもたちにも続いているのです。

グエン・ホアイ・トゥオンさんという9歳の女の子は、生まれつき両手足の先がありません。

母親のジャンさんは結婚前にこの地域に移り住みました。

娘を出産後、家の周囲が枯れ葉剤で汚染されていたことを聞かされたといいます。

ジャンさんは次のようにおっしゃっています。

「運悪くここで生活し、飲食をしていたので、知らないうちに被害を受けて障害がある子が生まれたのです。」

「もし子どもの体を取り替えることが出来るなら、すぐに替えてあげたいです。」

 

娘の面倒を看ようと、仕事を辞めたジャンさん、家計は苦しく、親戚から借金をして何とか暮らす日々です。

 

最近の調査で、障害の確認された子どもは15万人にのぼるとも言われています。

中村さんは次のようにおっしゃっています。

「こういうふうに汚染が残って被害も続いて新たな被害が生じると考えると、戦争は終わっていない。」

「手の届かないところで苦しんでいる子どもたちを抱えている家族に対して、支援が成り立てばいいなと感じますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

この番組を観てあらためて思うのは、長期にわたる戦争の悲惨さです。

番組の中の両手足の先のない9歳の女の子の純真でいたいけな表情を見ていて、この子の将来を想像して、思わず目頭が熱くなりました。

同時にこの子の母親の無念さを痛感しました。

この親子は共に生涯を通して、“枯れ葉剤被害”に向き合っていかなければならないのです。

戦争の悲惨さは、こうした直接戦争に係わりのない多くの人たちにも犠牲を強いることだと思います。

そして、兵器の進化とともに、その破壊力はどんどん強化されていくのです。

 

毎日のように報道される世界各地での紛争記事では、兵士のみならず一般人である死亡者や負傷者の人数が伝えられますが、こうした犠牲に遭うのは報道されている人数に数えられる人たちだけではありません。

その家族や友人、あるいは勤務先の企業など、いろいろと関係のある人たちが何らかの影響を受けます。

更には、化学兵器や核兵器のように被害の程度が酷ければ、多くの犠牲者の生涯を通して、更にはその子どもの代にまで影響を及ぼすことになります。

 

さて、北朝鮮は核兵器のみならず化学兵器も大量に保持していると報じられています。

しかも、北朝鮮は経済的に苦しい状況もあり、武器輸出も国家の収入源の大きな柱の一つとしているといいます。

 

一方、世界的には核兵器廃絶の方向に向かっていますが、トランプ大統領は小型核兵器の実戦配備に取り組んでいると報じられています。

4月15日早朝に、シリアのアサド政権による反政府軍への化学兵器を使用した攻撃の報復措置として、米英仏による化学兵器関連施設へのミサイル攻撃がなされました。

万一、米軍が北朝鮮などに小型核兵器を使用した場合、トランプ大統領は世界に向けてどのような説明をするつもりなのでしょうか。

 

いずれにしても、核兵器や化学兵器に限らず、国際的に放置していれば際限なく、より破壊力の大きい兵器の開発競争は続いてしまいます。

ですから、破壊力をあるレベルに抑える方向での軍縮に向けた国際的な取り組みが求められるのです。

こうした状況下において、世界で唯一の核被爆国であり、福島第一原発事故でも今も多大な犠牲を払っている日本こそがその先頭に立ってリーダーシップを発揮するべきだと思うのです。


 
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