2018年04月06日
アイデアよもやま話 No.3983 驚異的な医療技術の進歩!

1月7日(日)放送の「サンデーモーニング」(TBSテレビ)で驚異的な遺伝子組み換え技術について取り上げていたのでご紹介します。 

 

映画「ブレードランナー2049」では未来都市を疾走する空飛ぶクルマ、街に溢れる巨大なバーチャルリアリティの広告、そして未来の世界では遺伝子工学の力で人類を脅かすほどの人造人間が登場します。

また映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」では人間は脳以外の全身をサイボーグ化、壊れてもあっという間に修復可能です。

実は今、こうした映画が描く世界のように現実の遺伝子操作が驚くべきスピードで進歩しています。

 

昨年11月、世界で初めて捉えられた衝撃的な瞬間の映像があります。

生命の設計図とも言われるDNAに取り付く黄色い塊はもぞもぞと動き続け、DNAを切断しました。

これが今まで撮影は不可能だとされてきたDNA切断の瞬間です。

そしてDNAを切断した黄色い塊こそが今世界中で研究が進む最先端の遺伝子組み換え技術、“クリスパー・キャス9”なのです。

この映像を提供した東京大学大学院理学系研究科の濡木 理教授は次のようにおっしゃっています。

「今までの遺伝子組み換えというのは、狙うことが出来ないんですね。」

「(遺伝子が)どこに入るか分かんない非常に危険な技術だったんですね。」

「(クリスパー)は正しい位置に正しい遺伝子を入れるということが出来る技術ですね。」

 

現在行われている放射線を利用した遺伝子組み換えでは、切断したい場所に放射線が偶然当たるのを待つしかありません。

しかし、“クリスパー・キャス9”は特定の遺伝子を狙うことが出来る技術なので、偶然に頼ることなく始めから正確な遺伝子組み換えが可能なのです。

今後、更に研究が進み、あらゆる遺伝子を操作出来るようになれば、病気を生み出す遺伝子を切り離し、健康であり続ける体をつくることも可能になるかもしれません。

 

それでも万が一病気になってしまったら、その時は体内に作られる“病院”にお世話になりましょう。

映画「ミクロの決死圏」では、医療チームをミクロ化し、体内に注入、血管を通って患部を目指すと言う驚きの治療法が出てきます。

今、この映画さながらにある研究が進められています。

その名もナノマシン、“体内病院”です。

中心に薬が詰め込まれたカプセルなのですが、驚くべきは1ミリの2万分の1というその小ささです。

勿論、肉眼で見ることは出来ません。

更にすごいのは、意図的にそのサイズを変えられることです。

例えばがん治療ですが、血管には元々小さな穴があり、抗がん剤だけではこの穴を通り抜けてしまうため、正常な細胞にもダメージを与え、体を傷付けてしまいます。

いわゆる薬の副作用です。

一方、ナノマシンの場合はこの穴を通らないようにサイズを調整、がん細胞が開ける比較的大きな穴だけを通り、細胞の核にたどり着いてから薬を放出します。

必要とされる場所に的確に薬を運ぶことが出来るのです。

将来的には医学の常識を変えるかもしれません。

川崎市産業振興財団ナノ医療イノベーションセンターのセンター長、片岡 一則さんは次のようにおっしゃっています。

「健康な人の体の中にいつも一緒にいて、知らないうちに診断・治療してくれるという。」

「そうなると、本当の“体内病院”ですね。」

 

一方、人体の更なる可能性を求め、研究が進められている分野があります。

株式会社メルティンMMIの代表取締役、粕谷 昌宏さんは次のようにおっしゃっています。

「脳みそさえあったら、何でも出来る世界を作りたい。」

「サイボーグ(改造人間)ですね、完全に。」

 

人間の完全なサイボーグ化、その第一歩として彼らが開発を進めるのがロボットハンドです。

体を動かす際に、脳から筋肉に送られる微弱な電気である生態信号を捉えて動かします。

細かい指の動きまでリアルタイムで忠実に再現します。

事故で右手を失った人が義肢として使用した際の映像では、右腕の肘から先がロボットハンドです。

微弱な生態信号に応え、つかみ難い形状でも持ち上げることに成功しています。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

この番組を通して、まさにFSの世界が現実のものとなるつつあることが実感出来ました。

遺伝子組み換え技術により、近い将来技術的にはあらゆる遺伝子の組み換えが出来るようになります。

そうなると、遺伝子的には健康面のみならず知能や性格などどのようなタイプのヒトも自由自在に誕生させることが出来るようになります。

そうなると、非常に健康な人や知能や芸能などで秀でた人の遺伝子の売買ビジネスが行われるようになると見込まれます。

しかし、健康面はともかく、スポーツや知能、あるいは性格などに関連した遺伝子組み換えについては何らかの規制が必要です。

 

また、ナノサイズの“体内病院”については、本人の自覚症状がなくても、あるいはわざわざ病院に行かなくても、自分の体内にある病院で治療を受けられるようになるのですから、技術的な不備がなければ特に反論はないと思います。

 

同様に身体の一部のサイボーグ化についても、身体の不自由な人にとっては自由に動かせる機能を取り戻せるのですから、実用化がとても待ち遠しいのではないかと思います。

 

なお、サイボーグ化の技術をトータルでみれば、ほとんどアンドロイド(人造人間)の製作につながります。

ですから、サイボーグとアンドロイドに関する技術はとても関連の深く、相互に関連して発展していくと思われます。

 

こうした技術の進歩とともに、いずれ私たち人類の寿命、および健康寿命は半永久的なまでに伸びていくと思われます。

その結果、自分の死は自分で決められる時代が来るのではないかという気がします。

ただし、そのことによって人類が至高の幸福感を得られるとは限りません。


 
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