2018年03月21日
アイデアよもやま話 No.3969 北欧の豊かな暮らしを参考にすべき「働き方改革」 その7 営業時間短縮でも売り上げアップ!

今、ご存知のように安倍政権による「働き方改革」が進められております。

そうした中、2月19日(月)放送の「未来世紀ジパング」(テレビ東京)で「働き方改革」を進めるうえで参考にすべき北欧の豊かな暮らしについて取り上げていたので7回にわたってご紹介します。

7回目は営業時間短縮でも売り上げアップの事例についてです。

 

前回、先進国の中で最も労働時間の短い国、ドイツの働き方についてご紹介しましたが、日本の場合はコンビニの24時間営業は当たり前になっていたんですが、それも徐々に変化してきていると立教大学の山口 義行名誉教授は指摘しています。

日本のファミリーレストランやスーパーでも営業時間の短縮や24時間営業を止める企業が増えてきています。

例えばロイヤルホストでは24時間の完全禁止、そして159店舗で営業時間を4時間短縮しました。

ところが2017年の売り上げは前年比102%と増えています。

 

ではなぜ営業時間短縮でも売り上げはアップしたのでしょうか。

それは24時間営業を止めたことです。

早朝、深夜に働いていた従業員を一番忙しいランチやディナーの時間帯に集中させることが可能に、お客にもう一品勧める余裕や料理の提供スピードがアップ、サービスが向上したことでデザートの注文などが増え、お客一人当たりの単価がアップしたのです。

ですから営業時間が短くなっても売り上げが伸びたのです。

こうした状況について、山口さんは次のようにおっしゃっています。

「ただ、ここがちょっとポイントだと思うんですけど、ロイヤルホストが(営業時間の短縮を)やり始めたのは2010年からやってるんですよ。」

「その地域の特性でサラリーマンが夜歩いている人がいっぱいいる所と夜になると静かになる所があるじゃないですか。」

「そういうお客様のニーズを見ながら、従業員のニーズとうまく合致させながら変えてきましたと。」

「だから政府の「働き方改革」を受けて一朝一夕にやった話ではないですよと。」

「やはりしっかりと自分のテンポでよく見ながら進めていくことをしないと、言われたから慌ててっていうのは先ほどの不満の原因になっていくわけですね。」

 

「(これからの日本での「働き方改革」はどうなっていくのかという問いに対して、)経営者の方々に働いている人たちに「うちの会社でなぜ働いているのか?」を聞く運動を僕起こしたんですね。」

「その中で、あるパートの女性に「何でうちの会社で働いているのか?」と聞いたんですね。」

「「お金が欲しい」とか「ちょっと子どもの手が離れて時間が出来たから」とかいろんな人がいるじゃないですか。」

「でもその人は「ここだけですから、名字で呼ばれるのは」と。」

「つまり、学校だと「だれだれのお母さん」、それから会社関係だと「誰々の奥さん」と呼ばれてて自分がないと。」

「ところがここ(パート先)は「一人の社会人として自分が認められる場所です」と言われて、経営者がいかにステレオタイプ(先入観や思い込み)で人を従業員の働くっていうことを捉えていたかと大反省したんですね。」

「やっぱり一人一人の働くことの意味が違うということを大前提にして改革を進めていくことが僕は必要だと思いますね。」

 

番組の最後に、日本と“ヒュッゲ”の新たな関係が取り上げられていました。

デンマークのオーデンセ市のとある場所で企業が集まるパーティが開かれていました。

その中に日本人の姿がありました。

家具ベンチャー、株式会社I&Cの佐田 幸夫社長です。

デンマークは家具でも有名な国ですが、佐田さんの会社はその家具でデンマーク政府に認められたというのです。

I&Cの作る家具はデザインと機能を併せ持っています。

使う人の生活に合わせて家具がかたちを変えます。

人に寄り添う家具が“ヒュッゲ”だと評価されたといいます。

 

さてデンマークは福祉でも先進国です。

ですから福祉施設のトイレも様々な機能が付いていますが、デザインは味気なく、使い勝手も悪そうです。

そこである福祉施設を訪問して、佐田さんが自分たちの家具の映像を見せると、「デザインがとても素敵」、「デンマークは何でも白いから、木が使われているのは良い」など反応は上々でした。

“ヒュッゲ”の国、デンマークで日本の家具が認められたのです。

佐田さんは次のようにおっしゃっています。

「機能的で実用性があって、その商品があるからすごくリラックス出来たりとか、居心地がいい空間が作れると、そういったものを通して世界的な市場に商品をどんどん出していきたいと思います。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

前回、ドイツでは閉店法により営業日や営業時間を規制しているとお伝えしましたが、日本では24時間営業のコンビニやファミリーレストランが目立ちます。

一方では、こうした中で今回ご紹介したように24時間営業を止める動きが出て来ています。

ここで注目すべきは、ロイヤルホストの事例です。

24時間の完全禁止、そして一部の店舗での営業時間を4時間短縮しても、2017年の売り上げは前年比102%と増えているという成果です。

こうした成果を得るまでには、お客様のニーズと従業員のニーズとをうまく合致させながら変えてきたという数年に及ぶ取り組みがあったといいます。

ですから、アイデア次第で営業日や営業時間を少なくしても売り上げを伸ばす方法は見つかるはずなのです。

 

一方、働く方の中には生活費目当てだけでなく、一人の社会人として自分が認められる場所として仕事に従事する方もいらっしゃるように、いろいろなケースがあります。

ですから、企業には単に優れた商品を消費者に提供するだけでなく、人それぞれの立場において、働く場を提供するというとても大切な役割があるのです。

そして、こうした課題は世界共通だと思います。

そこで、働き方途上国と言わざるを得ない日本において、安倍政権による「働き方」改革を進めていく上で、以下のような取り組みをしていただきたいと思います。

・一人一人の働くことの意味が違うということを大前提にして改革を進めること

・AIやロボットなどのテクノロジーを駆使して、あらゆる産業の生産性を高める国家的なプロジェクトに継続的に取り組むこと

・その成果を世界的に展開し、世界中の人々の“ヒュッゲ”な暮らしの実現に貢献し続けること


 
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