今、ご存知のように安倍政権による「働き方改革」が進められております。
そうした中、2月19日(月)放送の「未来世紀ジパング」(テレビ東京)で「働き方改革」を進めるうえで参考にすべき北欧の豊かな暮らしについて取り上げていたので7回にわたってご紹介します。
課題の多い日本の「働き方改革」ですが、6回目で取り上げるのは先進国の中で最も労働時間の短い国、ドイツの働き方です。
メリハリが利いているというドイツの働き方ですが、2015年7月13日放送のこの番組でドイツ人のサラリーマンを取り上げていました。
フィリップ・シュティーフさんが出社前の午前6時にやってきたのはスポーツジムです。
朝からサラリーマンやOLが沢山おり、そこではハード過ぎるほどのトレーニングが行われていました。
そんなフィリップさんの勤め先はドイツ生まれの世界的なスポーツブランド、アディダス(adidas)で、出勤はだいたい8時半といいます。
デンマークと同じく、早くから働いて早めに帰るのがドイツ流といいます。
ドイツでも週休二日制が一般的で、労働時間法により1日の労働時間は8時間、原則10時間を超えてはならないので(管理職は除く)、2時間までは残業出来ますがそれ以上は原則禁止といいます。
破れば会社に罰則が課せられます。
でも限られた時間内でドイツ人はよく働きます。
さて、ある日フィリップさんは上司と会議をしていましたが、その議題はフィリップさんの休暇中にどうフォローするかを決めるためのもので、自分が担当している業務とその進行状況について上司に報告しました。
上司は報告を受けて、フィリップさんの休暇中にどう業務を回すかを検討するのです。
このように誰が休暇を取る時も同様の引き継ぎが行われるのです。
ちなみにその休暇は何と3ヵ月の長期休暇で、フィリップさんはガールフレンドとバイクに乗ってポルトガルまで行くというのです。
どうしてこのように長く休めるかというと、連邦休暇法により有給休暇を年間で最低24日取得する権利を保証しているからです。
ですから、雇用契約にある権利なので長期休暇を取ることに後ろめたさは全くないといいます。
さて、GDP世界4位のドイツですが、年間労働時間は1363時間で日本の1713時間に比べて300時間以上短いのです。
立教大学の山口
義行名誉教授は次のようにおっしゃっています。
「ドイツのこの働き方の特徴は、規制がそうとうしっかりしてて、例えば小売業の人たちがちゃんと労働時間を減らすために、営業時間についても厳しい規制があって、消費者にとってどれだけ便利かということだけでじゃなくて、働く人が幸せかどうかってことがそうとう重要な優先事項になっているということなんですね。」
ちなみにドイツの閉店法では、小売店は日曜・祝日の営業禁止で、月曜から土曜は夜8時までとしています。
ですから、日本では当たり前の年中無休で24時間営業のコンビニなどはドイツに進出しようとしてもルールで出来ないのです。
以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。
番組を通して、ドイツ人の働き方を以下にまとめてみました。
・労働時間法により1日の労働時間が規制されていること
・この規制を破れば会社に罰則が課せられること
・限られた時間内でドイツ人はよく働くこと
・連邦休暇法により長期休暇を取ることが一般的であること
・労働者全般の権利として、消費者だけでなく小売業に従事する人たちの働き方にも考慮して、閉店法により営業日や営業時間を規制していること
こうしてドイツ人の働き方をみてくると、国による労働時間など労働環境の規制、および労働者による限られた時間内での生産性の高い仕事ぶりの両輪がうまく機能してこそ、2回目でご紹介したデンマークのライフスタイルである”ヒュッゲ“な暮らしが実現出来ると思われます。
ちなみに、2回目でご紹介した国連で発表する幸福度ランキング(2017年 こちらを参照)ですが、ドイツは16位でした。