今、ご存知のように安倍政権による「働き方改革」が進められております。
そうした中、2月19日(月)放送の「未来世紀ジパング」(テレビ東京)で「働き方改革」を進めるうえで参考にすべき北欧の豊かな暮らしについて取り上げていたので7回にわたってご紹介します。
3回目は長すぎる日本の労働時間、でもその分豊かでない暮らしについてです。
立教大学の山口
義行名誉教授は次のようにおっしゃっています。
「元々2013年に国連から日本は労働時間が長過ぎるということで是正勧告があったんですね。」
「“過労死”という言葉を我々よく聞きますけど、あれが実は英語の辞書でそのまま“karoshi”って出てくるっていう。」
「だから長時間労働で有名な国みたいになっちゃっているんですね。」
「これはまずいなっていうことで、今政府が「働き方改革」と称してこの状況を変えていこうと。」
「「労働時間の短縮」というのは「働き方改革」の中の一つの大きな柱になっているんですよね。」
「「働き方改革」がちょっと独り歩きして、早く帰んなきゃいけないとか、もしかすると企業のための改革になって、コストダウンのために「早く帰れ」では意味がない。」
「働く人のための改革で、人が主役じゃなきゃ意味がないと思うんですね。」
「働き方を変えるということは、実は暮らし方も変わっていかなければいけませんね。」
「そういう意味でもデンマークは一つの参考になる良い事例じゃないかって気がしますね。」
「(日本人の労働時間は他の国と比べてそんなに長いのかという問いに対して、)日本とデンマークを比べてみると、(1年間の労働時間が)デンマークは1410時間、日本は1713時間ということで年間約300時間も違うんですよ。」
「1日8時間労働で考えますと、1か月分ぐらい日本人は余分に働いている。」
「日本ではその分豊かだと考えたいところなんですが、実はそうでもないと。」
「一人当たりのGDP(国内総生産)がデンマークは543万円、日本は453万円で、1ヵ月分ほど余分に働いている日本の方が(少ない)、納得いかないですよね。」
「(こうして(デンマークの働き方を)VTRを観ていると、デンマークの会社は楽しそうだなと思ってしまいますが、)そのためにもオンとオフの切り替えが大事ですよね。」
「働く時間はグッと集中すると、そうじゃない時はしっかり休む。」
「で、別な楽しみも見つけていくと。」
「どうも日本人の働き方でメリハリが利いていないところが今少し反省点として挙がっているっていう感じはしますね。」
以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。
まず、日本とデンマークの労働時間の比較で日本は年間約300時間以上も多いという調査結果ですが、サービス残業という数字には表れない残業を加味すれば更に少なくとも100時間程度は多くなるのではないかと思われます。
そのうえ、一人当たりのGDPの比較では90万円ほども日本の方が少ないのですから、日本は“働き方途上国”といえます。
そういう意味では、遅ればせながら安倍政権の進める「働き方改革」は的を得ていると思います。
そこで、山口さんのおっしゃるように、そもそも「働き方改革」は働く人のための改革で、人が主役でなければ意味がないと思います。
1回目でもお伝えしたように、働き方を変えるということは、暮らし方も変わっていかなければいけません。
ですから、「働き方改革」を単に労働時間の短縮に重点を置くのではなく、企業が従業員が仕事に集中出来る環境を整備したり、AIやロボットなど生産性向上ツールを導入することによって時間短縮を実現するする方向で進める必要があります。
これまで通りの仕事のやり方で労働時間の短縮だけを進めるのでは、自宅に持ち帰ってのサービス残業という目に見えないかたちでの残業が続いてしまいます。
ということで、前向きに現状を捉えれば、日本の企業は沢山の改善点があるのです。
一方、日本にはAIやロボットなどの先進技術力があります。
ですから、坂本龍馬の言葉「今一度日本を洗濯致したく候」ではありませんが、根本的に日本の働き方、および暮らしのあり方を見直すことによって“新たな日本の飛躍の時代”を迎えることが可能なのです。
安倍政権には是非こうした観点で「働き方改革」を進めていただきたいと願います。