2018年02月19日
アイデアよもやま話 No.3943 ペッパーの新サービス − 10の業種で使いやすく!

これまで何度となくソフトバンクが展開するロボット、ペッパー(Pepper)についてお伝えしてきました。

そうした中、昨年11月17日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でペッパーの新サービスについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

街中でよく見かけるようになったペッパーですが、今新たな展開を見せようとしています。

小売店や飲食店、サービス、自動車など10の業種で、今回新しくペッパーの仕事内容を簡単にプログラム出来るサービスを展開していくことが分かりました。

ソフトバンクロボティクス株式会社(東京都港区)が昨年11月にリリースしたのはクラウドサービス、「お仕事かんたん生成2.0」です。

ペッパーにしてもらいたい仕事を誰でも簡単に入力出来るといいます。

例えば小売店を選ぶと、会員の獲得や商品の案内など5種類の場面が出てきます。

商品名や特徴、価格など項目に沿って入力を進めます。

更に、イントネーションも簡単に修正出来ます。

入力は5分ほどで出来、そのデータをペッパーに送ると、10業種、100の仕事パターンのシーンを用意し、ペッパーの仕事内容のプログラムを簡単に作成出来るようにしたのです。

これまでは導入企業ごとに個別で設定する必要があり、手間がかかっていたといいます。

ソフトバンクロボティクスの藤原 翔平さんは次のようにおっしゃっています。

「お客様が設定する負荷を下げることと、設定を柔軟に行えることを目的にしまして、キーワードを入れるだけで設定が完了する商品を企画することになりました。」

 

新たなペッパーの試験導入が既に始まっていました。

10に分かれた業種の一つ、飲食では、プロント イン バール 東京国際フォーラム店の店頭にペッパーが設置されています。

こちらでは2016年の3月からペッパーが導入されましたが、システムが複雑なため、利用を日本人客に向けた簡単なメニュー紹介などに止めていたといいます。

しかし、プログラムを簡単に組めるようになったことで、英語で呼びかけ、メニューも英語表示され、選択するとオーダー票がプリントアウトされ、そのままレジに提出して注文出来るため、外国人客への対応がスムーズになると見込んでいます。

プロントコーポレーションの升永 えりかさんは次のようにおっしゃっています。

「人材不足とかが非常に深刻な問題になっていますので、スタッフの一員として接客が出来るようになればと思っております。」

 

一方、東京歯科大学 水道橋病院の眼科ではこれまでペッパーを使って白内障の手術を希望する患者へ手術内容などの説明をしていました。

プログラミングのレクチャーが始まると、早速驚きの声が上がりました。

レクチャーを受けた眼科のスタッフは次のようにおっしゃっています。

「全然違いますね、ビックリ。」

「使ってみて初めて変えたいところが出るのは誰しも思うところなので、それをリアルタイムで変えられるのは本当にいいと思います。」

 

更に病院側が特に重宝するというのが動画の再生をペッパーのトークと同時に行うことが可能になった機能です。

動画を組み込むことで患者の理解度が高まるといいます。

こちらの病院のビッセン宮島 弘子教授は次のようにおっしゃっています。

「ペッパー君が説明してくれることで、私たちが診療中に説明する時間が短くなった。」

「最終的には患者さんの待ち時間の短縮にもつながると思います。」

 

ソフトバンクはペッパーのシステムを使い易くすることで、導入企業の拡大を狙います。

ソフトバンクロボティクスの藤原 翔平さんは次のようにおっしゃっています。

「これからペッパーを購入される方は、ペッパーを置くと役立つからROI(投資利益率)が成り立つからペッパーを導入するというような方になってくると。」

「この(既に導入された)方々にいろんな店舗に、2店舗、3店舗と拡大していきたいと考えています。」

 

今回の取材を担当したフィールドキャスターの相内 優香さんは次のようにおっしゃっています。

「(今回(の新たなサービスでペッパーが)使い易くなったということですが、大規模なバージョンアップという割には、正直ちょっと地味かなと思ってしまったんですね。」

「それを率直にぶつけてみたところ、もうペッパーがあるから珍しいとか目新しいという時代は終わったんだと。」

「これからビジネスにおいては、複雑なコミュニケーションよりもシンプルに機能を絞り込んで使い易くユーザーが本当に自分で設定出来るようにする、それがペッパーをこれから更に普及させていくための遠回りなようで一番の近道なんだとおっしゃっていましたね。」

 

番組コメンテーターで早稲田大学ビジネススクールの入山 章栄准教授は次のようにおっしゃっています。

「(使い勝手がよくなることでペッパーが活躍する場面が増えていきそうでは、という問いに対して、)私はそれが非常に重要なポイントだと思っていまして。」

「ペッパーというのは、ポイントはIoT(モノのインターネット)で人工知能(AI)を使うものだということなんですね。」

「ですから企業の現場でいろんなところでペッパーが使われていて、そこでいろいろなデータが溜まるわけです。」

「そしてそのデータをいわゆる離れたクラウドということころにデータが吸い上げられて、そこで人工知能で様々な解析が行われるわけですね。」

「そして、それを学習して、それぞれの日本中で使われているペッパー君に更にフィードバックして、例えばこういうお客さんが来た時にはこういう対応をしましょうとか、こう言われたらこういう声をかけましょうとか、そういうことをどんどん学んでいくわけですね。」

「ペッパー君が賢くなっていく必要があるんです。」

「ただそのためには、まさに人工知能に必要なのはビッグデータですよね。」

「つまり、日本中、あるいは世界中のペッパー君が使われて、そこからデータを吸い上げないと、結局ペッパー君は賢くならないんですよ。」

「だからペッパー君を賢くするにはまずはペッパー君が使われる必要があって、そのために今こういった施策が入っているということだと思いますね。」

「で、使われていけばどんどん賢くなって、よりお客さんにいいサービスが出来る、好循環になるということですね。」

「これがソフトバンクの戦略だということですね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

どんなロボットやAIでも企業や一般ユーザーにとって使い易く、メリットがあることが普及の必須条件です。

そうした中、今回のペッパーの新サービスの開始はまさに普及拡大のためのステージアップと言えます。

ペッパーを導入する企業にとっては、自由自在にペッパーにやらせたいことをプログラム化出来ることが生産性の向上やこれまでにない広告・宣伝に結び付くからです。

ちなみに、私はIT関連企業で勤務していた若い頃、SE職としてプログラマーの経験がありますが、個々のプログラマーがそれぞれのやり方でプログラミングする場合と、汎用的なフレーム(枠組み)を標準化し、それをベースにプログラムする場合とでは格段の生産性の違いがあったことが思い出されます。

ですから、今回のペッパーの新サービスのもたらすメリットはとても理解出来ます。


 
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