2018年02月09日
アイデアよもやま話 No.3945 AIは敵か味方か? その5 AI時代の生きがい!

AI(人工知能)がどんどん進化しており、私たちの暮らしの中にAIは徐々に普及しつつあります。

そうした中、私たちは人類の敵か味方かというような観点でAIについて考えがちです。

そこで、昨年11月23日(木)放送の「深層ニュース」(BS日テレ)で「AIは敵か味方か」をテーマに取り上げていたので5回にわたってご紹介します。 

5回目はAI時代の生きがいについてです。

なお、番組ゲストは40年以上AIの研究をされてきた東京大学大学院の中島 秀之特任教授と経営戦略コンサルタントの鈴木 貴博さんのお二人でした。

 

AIの技術がこれから更に加速度的に進展して、5年後には世の中が変わり始めると言われる中で、極論すれば、それが突き進んでいけばAIだけが働く世界も来るかもしれません。

そうして労働が減っていった時に、私たち人間は消費するだけの存在になるのでしょうか。

今回はAI時代の生きがいについて、お二人に番組キャスターで読売新聞の編集委員の丸山 淳一さんも交えて次のようにおっしゃっています。

(中島さん)

「やはり生産したいと思いますよ、人間って。」

「AIが作ってくれた世界に従って生きていくのは多分つまんないと思うし、自分たちで新しい仕組みを考え、新しいサービスを考えてっていうことは常に人間の側に残っていると思うんですけどね。」

「(私たちの思いを逆にAIが凌駕する時が来る可能性があるのかという問いに対して、)生活は人間の側なので人間が何をしたいかっていうのはこっちにしかない。」

「で、AIはそれを実現するための道具だと思うんですよね。」

「さっき自動運転てありましたけど、どこに行きたいかは人間の側にあるわけですよ。」

「AIが勝手にどこかに行っちゃうわけじゃなくて。」

「だから、どこへ行けって言ったら後はクルマが行ってくれる、そういう関係はずっとあると思うし、そうでなきゃ何か人生つまんないですよね。」

(鈴木さん)

「(そういう人生の面白みをAIとの共存の中でどう見つけていくかという問いに対して、)皆さんが不安なのは分かります。」

「急激に変化が来ますから、今までそれで良かったっていうのが人生の前提が変わるので不安な方がいっぱい出るのはすごくよく分かります。」

「だから自分の趣味とか、今までの仕事以外のことについてやりたかったことを思い出すっていうのを今のうちからやられた方がいいと思いますね。」

「怖いのはすごく分かるんですけど、ポジティブに考えましょうよ。」

「(こうした変化は)起きちゃうんだから、否応なく。」

(中島さん)

「(その時に世の中の仕組みがより生活を豊かにしたり、私たちのクリエイティビティをもっと発揮出来るような仕組み作りをもう始めるべきかという問いに対して、)受け身になるともう負けだと思うんです。」

「世の中が勝手に進んで怖いなと思っている時点で負けてて、自分でこうしようというのをどんどん言っていかなければいけないんだと思うんですよね。」

(丸山さん)

「働くことの喜びみたいなちょっと哲学的な言い方になっちゃいますけど、そういうのって元々人間にはあるっていうことですか。」

(鈴木さん)

「ただセイフティネットとしてのベーシックインカムを作ることを先にやらないとダメだと。」

「これは事実だと。」

(中島さん)

「(AIの将来について話を進めていくと、どうしても結局人間の将来とか人間の存在は何なのか、私たちの内面をどうするのかみたいな話に行き着くのではという問いに対して、)ちょっと進化論的な話をしますと、人間とか動物でも集団で生活している動物っていっぱいいるじゃないですか。」

「ああいうのは仲間に求められるのが生きがいなんですよね。」

「だから人間も「あなたはいらないよ」って言われるのが一番辛いはずなんですよ。」

「そうすると、仕事がなくなって自分の存在価値を絶対に見出そうとするってのは変わらないと思いますね。」

「何かは分からないけど、とにかく他の人に役に立つってのは基本的だと思います。」

(鈴木さん)

「中島さんおっしゃるような生き方をしているのはイタリア人だと思っていましてね。」

「そんなに経済的に豊かな国ではないけれど、みんな夜になるとカフェに行ってコーヒーや酒を飲んで人生を語って、そういうふうに社会的な部分は残るのでそこまで心配しなくてもいいと思います。」

(中島さん)

「(仕事だけが全てではないのではという指摘に対して、)仕事をしないで済むならそれがベストだと僕はずっと思っていますけど。」

(鈴木さん)

「仕事をしたい人の仕事もずっと残ると思うので、そういうのが好きな人はずっとそこで自己実現していただく余地は残る。」

「ですから半分くらい嫌な仕事はAIがやってくれるんじゃないかというふうに楽しく考えた方がいいと思います。」

(丸山さん)

「(日本人は真面目過ぎるのではという問いに対して、)その時にAIをうまく使って働くように社会の仕組みとかそういうのを変えていけるようにしておかないと・・・」

(中島さん)

「仕事っていうから何か変だと思うんだけれども、他の人に何か役に立つことをするっていうのがいいと思いますけど。」

(鈴木さん)

「社会の仕組みは中々変わらないです。」

「だからここにすごく力を入れてAIの進化に社会の仕組みの変化を追い付かせていかなければいけない。」

「ここが我々の課題だと思います。」

(中島さん)

「(どうしたいのかということが問われる、)そこを能動的に先に考えないとダメだと思います。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

そもそも人間の欲求については、マズローの提唱した人間の基本的欲求を5段階の階層で表現した以下の説(高位の欲求順)が有名です。

・自己実現の欲求 (Self-actualization)

・承認(尊重)の欲求 (Esteem)

・社会的欲求 / 所属と愛の欲求 (Social needs / Love and belonging)

・安全の欲求 (Safety needs)

・生理的欲求 (Physiological needs)

 

こうした欲求の中で「自己実現」については以前から取りざたされています。

 

さて、生理的欲求を別にすれば、平たく言えば私たちは以下のような欲求を持って日々暮らしていると思います。

・健康で安心・安全な環境で暮らしたい

・自分のやりたいことをやりたい

・周りの人たちや社会の役に立ちたい

・他の人たちから認められたい

 

中でも“自分のやりたいことをやりたい”欲求を満たすうえで、これまで人のやっていた作業がAIに置き換わることで人の作業時間は近い将来半分ほどに減ってしまうと言われています。

一方、ベーシックインカムがうまく機能するようになれば、ほどほどの生活レベルが保障されます。

ですから、AIの進化とともに、私たちは否応なく自分のやりたいことが出来る時間を増やせるようになるのです。

 

ここでとても重要なことがあります。

それは、これまでは企業の論理でビジネスにつながりそうな研究開発などが優先されてきたのですが、自分の自由な時間が増えることによって、私たちは研究開発に限らず、少なくとも時間的には自分のやりたいことに費やせる時間をこれまでになく持つことが出来るようになるのです。

こうした個々人のやりたいことからは思わぬ成果が生まれる可能性が秘めてられています。

ですから、AIの進化とともに私たちはこれまでとは異次元の自由にやりたいことが出来る暮らしが実現する可能性が出てきたのです。

そして、前回もお伝えしたように、大事なことは私たち人間がどういう社会を実現したいのかであって、AIはその実現のための道具に過ぎないのです。

しかし、AIには私たちにはないとても優れた能力が沢山あります。

ですから、私たち個々人が仕事と趣味の境界を越えて自分のやりたいことをAIの活用により思う存分にやり続けることによって、その成果が“あるべき社会の実現”につながるような枠組みの構築がとても重要になってきます。

こうした枠組みが曖昧だと、SF映画のテーマにもあるように“AIの暴走”により最悪の場合は“人類の滅亡”につながりかねないのです。


 
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