昨年11月1日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で自宅で受けられる”人間ドック”について取り上げていたのでご紹介します。
医療費の抑制が叫ばれる中、予防医療が重要となっていますが、病気を早期に発見するための検診はあまり受けられていないというのが実情です。
例えば、日本ではがんが死因のトップとなっていますが、がん検診の受診率は約4割と低いのです。
受診しないのはなぜかということですが、時間がない、更に費用負担が大きいということなどが理由として挙げられています。
こうした中、時間が無くても受診出来る、安くて手軽な検診サービスが続々と登場しています。
昨年11月1日、ハルメク・ベンチャーズ株式会社により都内で発表されたのは、自宅で人間ドックと同等の検診が受けられるという製品です。
松尾 尚英執行役員は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「今の血液と尿を調べることによって現状の体の変化を調べて病気のリスクを調べる。」
「人間ドックで調べるような検査が出来ると。」
2万1348円で購入可能で、自分の血液と尿、生活チェックリストを送るだけでがんと糖尿病などの生活習慣病18種類の病気のチェックが出来るといいます。
細い針が出る器具で指を刺し、採取した血液をろ過すると、血液中に含まれる成分、透明な血漿が取り出せます。
すぐに処理をすることで、その後の検査の精度が安定するといいます。
一方、採取した尿は雑菌を増やさないように真空状態で保存します。
結果は送ってから2,3週間ほどで送られてきます。
病気のリスクは血液中の腫瘍マーカーなどから判定していて、精度は実際の人間ドックとほぼ変わらないといいます。
この製品は昨年11月1日からネットで販売されていますが、既に従業員向けに導入している企業もあるといいます。
さて、簡易的な検診に今大企業も注目しています。
日本生命保険相互会社(東京都千代田区)では昨年10月、企業や個人の健康管理をサポートする専門部署を立ち上げました。
サービスの一つががんの早期発見を目的とした簡易検診です。
わずかな唾液を検体として提出するだけでがん検診が出来るサービス「サリバチェッカー」です。
現役の医師が運営する株式会社サリバテックが開発したもので、日本生命が普及の後押しを担っています。
日本生命保険・ヘルスケア事業開発部の神谷 佳典部長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「病気(がん)になられた方を早期発見をしまして、早めに治療に入っていただくと。」
「こういった予防・早期発見の領域でもサービスを提供していくと。」
検診は現在、都内の4つの医療施設で実施されています。
その一つ、大泉中央クリニック(東京都練馬区)では、唾液の分泌を促す梅干しも用意されています。
ストローを使って口に溜まった唾液を採取します。
採取した唾液はすぐに冷凍保存します。
この検体を研究施設(山形県鶴岡市)で分析、体の中にがんがあると唾液内の代謝物質の濃度が上昇します。
この施設では複数の代謝物質の濃度を組み合わせた独自の「がんリスク値」を算出します。
検診では、がん患者と非がん患者、そして自分のリスク値を比較し、自分の数値ががん患者と同じくらい高い場合はがんの可能性が高いとして医師から精密検査を進められます。
調べられるのは、大腸がん、肺がん、乳がんなど5種類のがんです。
がんを患うと400万円ほどの治療費がかかる(完治まで5年間の場合)と言われていますが、この検査を受けたある50代の女性はがん検診と治療を含め数万円で済んだといいます。
広がる簡易検診ですが、今後の動向に注目です。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
今回ご紹介したがん検診が出来るサービス「サリバチェッカー」は実際に医療機関に行く必要があります。
一方、”自宅で受けられる人間ドック”は2万1348円と低価格で精度は実際の人間ドックとほぼ変わらないといいます。
しかも、自分の血液と尿、生活チェックリストを送るだけでがんと糖尿病などの生活習慣病18種類の病気のチェックが出来るといいます。
ですから、医療費の抑制が求められる中、国はこうしたサービスを積極的に活用すべきだと思います。
その結果、こうした検査を受ける側はわざわざ医療機関に出向かなくてもいつでも自分の好きな時間に自宅で検査のための必要物を用意して医療機関に送付すれば、結果は2,3週間ほどで送られてくるといいます。
ですから、こうした検査を受ける人たちが増えることが期待出来、その結果、早期発見、早期受診が可能になり、国全体として医療費の抑制につながるのです。
ということで、”自宅で受けられる人間ドック”は予防医療の大きな柱の一つになると期待出来そうです。
ちなみに、私も毎年がん検診の案内が送られてきますが、わざわざ病院に行くのがおっくうでついつい検査を受けそびれています。
でも自宅で簡単に検査出来るのであれば、必ず検査を受けると思います。
ということで、国民にとって予防医療が受けやすいように、あるいは病気になっても受診しやすいようにという観点から、国は今回ご紹介した検査方法に限らず、AIやロボットなどの先進技術を医療分野に積極的に活用する方策を検討すべきだと思います。