2017年12月02日
プロジェクト管理と日常生活 No.517 『世界的に急務の地球温暖化対策!』

11月14日(火)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で世界的に求められる高潮対策について取り上げていたのでご紹介します。

 

ドイツで開かれている地球温暖化対策の国連会議、COP23で高潮や洪水の被害を受けている島しょ国などの発展途上国が対策を進めるには先進国からの資金支援が更に必要だと主張しています。

背景には、アメリカが「パリ協定」からの脱退を表明したことへの懸念があると見られています。

COP23では、2020年以降の地球温暖化防止の枠組み、「パリ協定」の具体的なルールづくりの交渉が進められています。

この中で、島しょ国などの途上国は、防潮堤やダムの整備といった高潮や洪水など、温暖化に伴う自然災害の被害を軽減する対策を進めるには、先進国からの支援が更に必要だと主張しています。

一方、先進国は、「緑の機構基金」という資金支援の仕組みが既にあり、これまでに合わせて1兆円以上を拠出すると表明していて、更なる仕組みは必要ないと主張しています。

しかし、この基金に最も多く資金を拠出することになっていたアメリカが「パリ協定」からの脱退を表明し、拠出を止める方針を示しています。

途上国の主張の背景には、アメリカが抜けることで先進国からの資金支援が十分に行われなくなるのではないかという懸念があると見られます。

 

途上国が懸念する高潮などの対策への資金支援ですが、高潮の被害は途上国だけの問題ではありません。

温暖化によって世界各地で深刻化する恐れがあるのです。

アメリカ・ニューヨークでは、2012年にハリケーン「サンディ」で高潮の被害を受けました。

広域で停電が発生し、地下鉄も浸水するなど、数日間都市機能がマヒしました。

コロンビア大学のカイル・マンドリ助教は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ニューヨークでは、今後世界的にも類を見ない海面上昇が観測されるかも知れない。」

「(対策が取られないと、)将来的には毎月のように洪水が起き、建物やインフラに被害が出る恐れもある。」

 

日本でも10月に台風21号による高潮と高波で神奈川県の沿岸などに被害が出ました。

江の島ではおよそ7mの防潮堤を波が乗り越えました。

一方、横須賀市の佐島では、波が防潮堤を超え、しぶきが近くのマンションの4階の高さにまで達していました。

 

こうした被害は、このまま地球温暖化が進んだ場合、深刻化する恐れが指摘されています。

 

国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書では、世界の平均海面は21世紀末には2005年までの19年間の平均と比べて最大で82cm上昇する可能性が高いとしています。

海水が膨張したり、氷河が溶けたりするためです。

更に、研究機関の最新の解析では日本の南の太平洋で猛烈な台風の発生や通過が増えると予想され、沿岸部では高潮の危険性が高まるとしています。

その対策に欠かせないのが防潮堤です。

国土交通省によりますと、都道府県などが全国に整備した防潮堤の延長は2016年3月末現在でおよそ9000kmといいます。

しかし、温暖化で予想される最大クラスの高潮は想定していません。

また、高潮などの際に広範囲が浸水する恐れがある海抜ゼロメートル地帯は、人口が集中する東京、大阪、名古屋の3大都市圏に面していますが、多くの住民をどこにどう避難させるかなどの課題があります。

調査を行った早稲田大学の柴山 知也教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(行政・住民は、)より強大な高潮に対して、対応していく方法を考える必要があります。」

「もう少し個人のレベルで自分はどう対処するのかを考えていただきたいと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

そもそも地球温暖化の進行は、IPCCによると人類による化石燃料の消費が大きな原因とされています。

ですから、私たち一人一人の化石燃料の消費の積み重ね次第で地球温暖化の進行を止めることが出来るし、早めることにもなるのです。

そうした中で、アメリカのトランプ大統領による「パリ協定」からの脱退の決断は、時代に逆行しているとしか思えません。

 

最近の世界的な記録的な超大型台風、高波、集中豪雨、あるいは洪水などは地球温暖化の進行とともに今後ともその規模、および頻度の増大が予想されます。

それに伴い、被害の規模も増大していきます。

国内だけでも全国に整備した防潮堤は温暖化で予想される最大クラスの高潮が発生すれば、大変な被害をもたらすと予想されます。

また、海抜ゼロメートル地帯は、これまでにない集中豪雨や洪水が発生すれば、多くの人たちが避難しなければなりません。

 

そこで、こうした状況に対して、リスク管理の観点から以下に整理してみました。

まず、地球温暖化に伴る自然災害が出来るだけ起こらないようにするためにリスク対応策としては、世界規模でCO2などの温室効果ガスの排出量を削減することが挙げられます。

具体的には、まず中国に次いで世界第2位のCO2排出国であるアメリカを「パリ協定」に引き戻すことが求められます。

他の国々が一生懸命にCO2排出量の削減に取り組んでも、一方でアメリカがCO2の垂れ流しでは片手落ちになってしまいます。

並行して求められるのは、化石燃料による火力発電から太陽や風力などの再生可能エネルギーによる発電へのシフト、および様々な省エネです。

また、そうは言っても、地球温暖化は今も進行しているので、リスク対応策と並行してコンティンジェンシープランの実施が必要です。

それは、例えば、想定される最大規模の高潮などに耐えられるような防潮堤の建設や洪水に耐えられるような都市インフラの整備などです。

また、個人レベルでは、様々な自然災害を想定した時の避難経路の確認や定期的な避難訓練などが挙げられます。


 
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