2017年06月28日
アイデアよもやま話 No.3741 中国で受注を伸ばすVOCを無害化する装置!

最近、中国での環境汚染問題がよく報道されています。

そうした中、4月8日(土)放送のニュース(NHK総合テレビ)で中国で受注を伸ばすVOCを無害化する装置について取り上げていたのでご紹介します。

 

中国政府は今、環境規制を強めています。

そうした中、株式会社西部技研(福岡県古賀市)の技術が環境改善に一役買っています。

産業用の除湿機などを製造している、福岡県に本社がある株式会社西部技研の中国工場です。

この会社では、除湿機に使われている湿気を吸着させて取り除く独自の技術を応用してVOCと呼ばれる大気汚染物質を取り除く装置を開発しました。

VOCが含まれたガスは、燃やして無害化し、排出するのが一般的です。

しかし、燃やすにはコストがかかります。

一方、この会社の装置はVOCのほとんどをフィルターに吸着させて無害化し、排出します。

燃焼にかかるコストを抑えることが出来るため、中国での受注を伸ばしています。

 

この装置、よく見ると蜂の巣のようなかたちをしています。

表面積を増やし、より多くのVOCを吸着させるためです。

更に、ゼオライトと呼ばれる特殊な触媒を使うことで、より効果的に吸着出来るようにしました。

 

この装置を導入した上海市郊外にある包装紙を印刷する工場では、国の環境規制の強化に伴い、基準を満たすため導入を決めました。

この印刷会社の責任者は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「企業として発展し、生き残るためには、新たな排出ガスの処理装置を採用し、国の環境基準を満たしていかなければならない。」

「現在、順調に効果が得られている。」

 

規制を守れなければ操業停止などの厳しい措置が取られる中で、この装置の中国の売り上げは過去3年で約7倍に急増しています。

西部技研の現地法人の責任者、藤川 貴史さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「我々の製品を入れてもらうことで、排ガス規制を守って少しでも空がきれいになればと思っています。」

 

一方、規制を守っていない工場もまだ多い中国で、政府は企業に対してどう徹底させていくか、対応を迫られています。

こうした中、頼りにされているのが北九州市です。

中国各地から環境対策の担当者たちが訪れ、公害を克服した北九州市の経験とノウハウを学ぼうとしています。

この日、北九州市は工場がある地域の大気の状況をリアルタイムで公表することで工場を監視していることを説明しました。

中国の環境対策の責任者は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「日本では環境保護の考えが民間にも広がり、社会全体で良くしようとしている。」

「北九州市の経験を学び、空気の質や大気汚染の改善につなげたい。」

 

一方、国から九州北部への越境汚染も指摘されるPM2.5の濃度を抑えたいと考えている北九州市では上海市とも連携を進めています。

今年2月、上海市で行われた会合でどうすれば企業が前向きに環境対策に取り組むか、北九州市は以下のようにアドバイスをしました。

「規制による監視だけでは企業さんは中々やりたがらない。」

「しかし、そこに例えば生産性とかのメリットが付加出来れば、導入に意欲的になってくれるんですね。」

 

北九州市環境局の参事、内藤 英夫さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「改善し、解決にもっていかないといけない。」

「我々の地域の環境も良くなるし、日本から中国に来ている企業で働いている人々の健康を改善することにもなりますので、WinWinの関係になるんだと思います。」

 

北九州市はこの他にも上海市と共同で大気中に含まれる成分を分析し、大気汚染の原因特定につなげる研究をしています。

また、上海市以外の都市とも環境改善に向けた協力を進めていて、こうした国際協力をきっかけに北九州市の企業の環境ビジネスも後押ししたいとしています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

中国のみならず、インドなどの新興国、更には途上国も含めて、これまで先進国が歩んできた経済成長のプロセスをそのままなぞったのでは、かつての日本における光化学スモッグによる被害や水俣病などの公害病をもたらしてしまいます。

そうした中で、先進国、日本には以下のような新興国や途上国に対する国際的な役割があると思います。

・環境汚染につながらない技術移転や資金提供

・環境汚染を解決する技術の移転

 

また、こうした役割を果たすことによって、隣国、中国から九州北部への越境汚染も指摘されるPM2.5問題も解決出来るのです。

 

こうした観点から、北九州市や西部技研のような取り組みはとても素晴らしいと思います。

このような環境ビジネスのみならず、エネルギー関連ビジネスも系統立てて、国を挙げての取り組みを進めることによって、地球規模での環境問題やエネルギー問題の解決に貢献出来るだけでなく、安倍政権の成長戦略の一役を担うことにもつながると思うのです。


 
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