2017年04月30日
No.3690 ちょっと一休み その592 『ある携帯電話会社の委任状に見るユーザー視点の欠如』

先日、千葉県の実家の父からこれまで使っていた携帯電話に不具合が出たので、解約したいという連絡がありました。

そこで、父が契約している携帯電話会社にその旨問い合わせたところ、今解約すると1万2000円ほどかかると言われました。

そうなのです、今問題になっているように携帯電話を無料で解約出来る月は決まっており、それ以外の月に解約すると解約手数料が発生するのです。

しかし、一方で今特定の機種に限っては実質ゼロ円で変更出来ると提案されました。

そこで、機種変更することにしたのですが、実家の近くのはその携帯電話会社のショップはありません。

そこで、私が代理人となって、横浜市内の自宅の最寄りのショップで機種変更の手続きをすることにしました。

ところが、代理人として手続きをするに際しては、当然のことながら委任状が必要です。

そこで、最寄りのショップから委任状を取り寄せましたが、その書き方がよく分かりませんでした。

そこで、本社のお客様相談窓口に書き方について相談し、言われた通りに書いて最寄りのショップに行きました。

そうしたところが、そのショップの窓口の方から書き方に不備があり、このままでは機種変更は出来ないので契約者に書き直してもらって欲しいと言われました。

代理人である私がその場で書き直すことは許されないというのです。

要するに、携帯電話を巡っては今様々な犯罪が発生しているので、委任状の扱いについても厳しい対応が求められているということなのです。

そこで、仕方なく一旦自宅に戻り、あらためてお客様相談窓口に書き方について相談したところ、最終的にショップの窓口の対応が正しいことが分かりました。

そこで、修正して再度ショップに行き、ようやく契約変更に至りました。

この間、私はお客様相談窓口との電話でのやり取り、そして最寄りのショップへの往復、およびショップの窓口、あるいはその責任者とのやり取りで4時間あまりを費やしてしまいました。

当然、同じようにお客様相談窓口やショップの窓口の方も時間を費やしたのです。

 

そこで、なぜこのようなことが起きてしまったのかをあらためて考えてみました。

分かったことは、こうしたことの根本原因は委任状の記述そのものだったということです。

実質ゼロ円という歌い文句の裏には、携帯電話本体の料金の一括支払いではなく、毎月の分割払いを選択することが必要なのです。

ところが、この携帯電話会社の委任状の記述にはどこにもこうした判断が出来るような記述はないのです。

このことによって、本部のお客様相談窓口の理解不足により、誤ったことが私に伝えられ、それによって私は二度もショップに行くはめになってしまったのです。

ですから、委任状の内容が誰にでも理解出来るような分かり易い記述になっていれば、こうした三者の時間の浪費は防げたのです。

 

ということで、言うまでもありませんが、私は機種変更を済ませて帰宅してすぐに、お客様相談窓口の責任者に今回の経緯を説明し、委任状の記述を分かり易くするように強く求めました。

 

考えてみれば、今回の一件に限らず、私たちが日々の生活の中で接する様々な契約においては、非常に分かり難く、しかも小さな字で事細かに書かれた契約書をよく目にします。

これはひとえに“ユーザー視点の欠如”と言えます。

ユーザーにとっての分かり易さよりも、何か問題が起きた時にサービス提供企業が損害を出来るだけ回避することを優先しているとしか思えないのです。

もし、本当にユーザーの立場を考えているならば、分かり易い記述、そしてもう少し読み易くするように文字を大きくするといった配慮がなされるはずです。

 

こうした点について、出来るだけ多くの企業には改善して欲しいと願います。

また、こうした改善が目に見えないかたちで、ユーザーにとってだけでなく、本社のお客様相談窓口や現場の店員の対応時間の削減につながることは間違いないのです。


 
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