これまでAI(人工知能)関連の動向について何度かお伝えしてきましたが、その第3弾として今回も4回にわたってご紹介します。
3回目は、AIタクシーについてです。
人手不足が深刻な業界は多くありますが、タクシー業界もその例外ではありません。
そうした中、2月17日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でAIタクシーについて取り上げていたのでご紹介します。
タクシー業界は経験とノウハウで稼ぎの差が大きく出てくる業界で、ベテランと新人の差を埋める手段としてAIの活躍が期待され始めています。
2月6日、NTTドコモはAIを搭載したAIタクシーを公開しました。
乗車すると目にするのがタブレットの地図、そこに数字が表示されています。
数字は500m四方のエリアに区切られていて、30分後にお客の数がどれくらいいるかをAIが予測、大きい数ほど確率が高くなります。
ドコモの携帯ネットワークで得られる人の動きや気象情報、そしてタクシーの運行データなどを分析し、AIが人の流れを予測します。
このAIタクシーにより、業界の人手不足の解消につなげたい考えです。
NTTドコモIoTビジネス部の谷 直樹部長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「幅広いタクシーのお客様、タクシー会社様にご利用いただければありがたいと。」
「2017年度の下期になんとかしてお客様にご提供出来るようなかたちを目指していきたいと。」
では実際にAIタクシーの実力はどれほどなのでしょうか。
AIタクシーを試験的に導入している東京無線タクシーの加盟会社(東京都目黒区)でAIを搭載しないドライバー歴8年のベテランドライバー(62歳)とAIを搭載した入社6ヵ月の新人ドライバー(26歳)とで午前9時から午後5時までの8時間での売上や乗車数の比較検証を行い、以下のような結果になりました。
売り上げ 乗車数
ベテランドライバー 約3万円 20回
新人ドライバー 約3万2千円 16回
甲乙付けがたい結果ですが、AIの力で新人の売り上げがベテランに近づくことが出来ました。
NTTドコモによると、1ヵ月の実証実験の結果、通常のタクシーよりもAIタクシーの方が前月からの売り上げの伸びが49%高かったといいます。
新人とベテランの差について、東京無線協同組合の橋本 栄二郎常任理事は番組の中で次のようにおっしゃっています。
「だんだんその差が縮まっていくところですね。」
「今410円タクシーも動き出しましたし、いろいろな面でタクシーがこれから大きく変わっていくと思います。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
今回ご紹介したNTTドコモによるAIタクシーの実証実験での結果で見る限り、明らかにAIタクシーは、これまでの経験とノウハウで稼ぎの差が大きく出てくる時代からベテランと新人の差がほとんどなくなる新時代の幕開けを迎える起爆剤となり得ると大いに期待出来ます。
また、こうした動きはタクシーの利用客にとってもタクシーを捕まえやすくなるというメリットがあります。
今後、IoT(モノのインターネット)により、より多くの様々な個人情報データが集約され、それらがAIで活用されるようになると、更にAIタクシーの効率化、および売り上げの伸びが期待出来ます。
また更に、クルマの完全自動運転時代を迎えるようになると、文字通りタクシー業界はロボットタクシー一色になる可能性を秘めています。
こうした観点からすると、今回ご紹介したAIタクシーはこうしたタクシー業界の流れの一つの通過点と言えます。