1月9日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で“手ぶら決済”について取り上げていたのでご紹介します。
最近、SuicaやnanacoなどのICカードやスマホを使って買い物をする人が増えています。
このカードもスマホも使わずに手ぶらで買い物を出来るようにするという取り組みが日本各地で始まっています。
三井住友カード(東京都港区)の社員食堂では顔認証だけで支払いを済ませています。
食べたいメニューをカウンターにあるタブレットで注文し、料理を受け取るのですが、このタブレットに接続されたカメラが顔を撮影し、その画像を事前に登録した顔データと照合し、本人確認を行うことによって清算するという仕組みなのです。
料金は給与から天引きされます。
これは昨年11月に始まった“手ぶら決済”の実証実験です。
三井住友カードが最終的に狙うのは、本業のクレジット利用の拡大です。
ゆくゆくはカード情報と顔認証を紐付けた“手ぶら決済”サービスの提供を目指します。
三井住友カードの商品企画開発部の部長、川名 芳生さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「“手ぶら決済”が必然的に発生する、例えばスポーツジムやプール、海の家などで展開出来ないかと。」
この顔認証技術を提供しているのはNECです。
NECは顔認証技術を1989年から研究・開発を続けてきました。
160万人の顔データの場合、0.3秒で照合出来ます。
アメリカのコンテストで速度、精度ともに世界一の評価を受けています。
その仕組みは、目じりのカーブの曲がり具合や鼻の輪郭などの特徴的な点を数値化して保存、顔写真そのものではなくその数値をもとに照合する仕組みです。
既にスポーツやイベントの入場ゲートなどで本人確認に使われているこの顔認証技術ですが、NECは今後この技術を金融や小売りの決済サービスの現場に売り込みたい考えです。
一方、1700年の歴史を持つという神奈川県湯河原温泉で街をあげて取り組んでいるのは“指”を使った決済サービスです。
この“指”決済の実証実験に旅館など51施設が取り組んでいます。
旅館などでチェックインする時に、親指と人差し指の指紋を登録、すると宿泊サービスのクーポン2000円分を指紋データと紐付けられます。
その他現金によるチャージやクレジットカードとの紐付けも可能です。
この指紋認証の技術はベンチャー企業「liquid」が開発しました。
指紋の線が消えたところや分岐点の位置などを数値化、指紋の画像そのものは保存しないため悪用は防げるといいます。
こうして、旅館内売店でお土産などを購入する際には、親指と人差し指での認証により支払いが出来ます。
昨年10月に始まった湯河原温泉での実証実験、ガソリンスタンドや飲食店も参加し、少しずつ利用者は増えているといいます。
手ぶらで買い物が出来るなら、もっと気軽に町で消費してもらえるのでは、そんな期待が高まっています。
この実証実験は、経済産業省の委託を受けた旅行代理店のJTBなど7つの企業や団体が実施しています。
もう一つの大きな狙いは、外国人の方がストレスなく回遊して楽しんでもらえる環境を作っていくことです。
ちなみに、訪日客が困ったことのアンケート調査(2016年1月 観光庁調べ 複数回答可)によると、特に困ったのは、無料公衆無線LAN回線(46.6%)、英語が通じない(35.7%)でした。
この“手ぶら決済”への同じような取り組みは、福岡県や三重県、群馬県など日本各地に広がっています。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
今やクレジットカードやICカードはかなり普及しています。
従って、一人の人が持ち歩くクレジットカードやICカードの枚数は数枚以上に上るのではないかと思われます。
ですから、私の財布もクレジットカードだけの厚みでふくらんでおり、スーツの内ポケットに入れにくいのが悩みとなっています。
こうした状況から、“手ぶら決済”の実用化には大歓迎です。
ただ、お店によってクレジットカードの使い分けをしている人は多いと思うので、“手ぶら決済”にはこうしたカードの使い分け機能を付けていただきたいと思います。
いずれにしても、名前の通り、全てが“手ぶら決済”で済ませるような社会が実現したら財布を持ち歩く必要がなくなり、しかも暗証番号も覚える必要が無くなるのですから早く実現させて欲しいと思います。