私が子どもの頃、空前の忍者ブームで漫画やテレビ番組、あるいは映画でもよく取り上げられていました。
ですから、私も並外れた能力の忍者にあこがれていた時期がありました。
そうした中、7月7日(木)放送の「いま忍者 初見良昭八十四歳」(NHKBSプレミアム)で驚くべき実際の忍術について取り上げていました。
そこで3回にわたってご紹介します。
3回目は、世界平和につながる現代の忍術の本質についてです。
初見良昭さんは、900年の歴史を持つといわれている戸隠流忍法第43代宗家です。
初見さんは修行の果てに忍術を核とした武道を作り上げました。
84歳になった今もご自身の武神館道場で多くの弟子たちを育てています。
1回目で武術を超えた技について、2回目では海外にも広がる忍術についてご紹介してきました。
3回目では、こうした初見忍術の本質を世界平和につなげる可能性について私の思うところをお伝えします。
まず、初見忍術の本質、および世界平和につなげる可能性に関連する、1回目、2回目でご紹介した内容の一部を以下にまとめました。
1回目で、忍術の本質は人を殺すことではなく護身術であるとお伝えしました。
また、2回目では、元FBI捜査官であり、逮捕術の指導教官も務めていた、22年来の初見忍術の弟子であるチャド・バシールさんの現在の活動についてご紹介しました。
チャドさんは、現在アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス郊外のムアパーク大学で犯罪に巻き込まれた時の対処法と護身術を教えています。
そのチャドさんは、その基本的な考え方について番組の中で次のようにおっしゃっています。
「第一に自分が傷つかないことが大切です。」
「第二に誰でもコントロールされないこと。」
「第三に攻撃してくる相手をコントロールすること。」
「そして相手を傷つけることは最後の手段です。」
「この考え方は警察官だけでなく世の中を守ります。」
「相手までも守るのです。」
「相手が攻撃する気を無くせば、何も起きないからです。」
この論理を国の防衛に当てはめると、日本の掲げる“専守防衛”は極めて理に適っていると思います。
国の本来の使命の一つは他国からの攻撃や侵略に対する防衛であり、他の国に攻め込むことではないはずです。
むやみに他国に攻め込めば、それだけ国力を無駄にしてしまうばかりでなく、自国の兵隊の犠牲も強いられるからです。
また、同じ人類として、例え自国に全く犠牲がなく、他国の多くの人たちの命を奪うという行為は本来あるべきではないと思います。
こうした観点からすると、全ての国が“専守防衛”を掲げ、これまで“専守防衛”を超えた戦力に必要だったコストを他の分野に振り向ければ、国民生活の向上、あるいは世界平和の維持の観点から大いにメリットがあることを世界中の指導者は理解すべきであると思うのです。
なお、チャドさんのおっしゃるとおり、“専守防衛”には単に武力に依存するだけでなく、他国から、日本は自国にとってなくてはならない存在であり、日本とは共存共栄した方が得策であると他国に思わせるように振る舞うこともとても重要だと思います。
そして、最後の砦はやはり“専守防衛”に必要な最低限の戦力の保持だと思います。