4月27日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でダイソンの斬新な家電について取り上げていたのでご紹介します。
世界初のサイクロン掃除機など革新的な家電をヒットさせてきたイギリスのダイソンが開発した新型ドライヤーを4月27日に発表しました。
ちなみに、商品名は「ダイソン スーパーソニック ヘアードライヤー」で価格は4万8600円で4月28日より直営店で発売されるといいます。
この新型ドライヤーの革新のポイントは「風」です。
本体から風を吐き出す際、周りの空気を巻き込んで風量を3倍に増幅し、その分低めの温度で髪を乾かせるので、髪を傷めにくいといいます。
もう一つのポイントは「音」です。
パワーの割に騒音を抑えられた理由は独自に開発した羽根車です。
回転して風を取り込みます。
13枚の羽根、その角度とかたち、これによって風が生まれた時の音が人間に聞こえにくい超音波の音域となり、うるさく感じにくくなったといいます。
なお、この商品の開発には4年、そして開発費用はおよそ100億円をかけたといいます。
ダイソンの創業者、ジェームズ・ダイソンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「我々がやっているのは商品の開発、新しいものを開発し、商品化するのが仕事です。」
「技術者に求めているのは、好奇心やチャレンジ精神です。」
「「世界を変えたい」という気持ちだ。」
ダイソンといえば、世界初の紙パックを使わないサイクロン掃除機や羽根のない扇風機と、これまで斬新な商品を次々と生み出し、大ヒットさせてきました。
なぜ革新的な生み続けられるのでしょうか。
ロンドンから車で2時間半の田舎町、マルムズベリーにダイソンの本社があります。
建物の前にはなぜか戦闘機が展示されています。
滑走路無しで垂直に離着陸出来る世界初の戦闘機「ハリアー」です。
これが象徴するのはダイソンが目指す、“不可能”を“可能”にするモノづくりです。
なんとダイソンの技術者の平均年齢は26歳といいます。
ダイソンの技術者の一人、アレックスさん(24歳)は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「会社はデザインや技術開発などの面で私たちに大きなチャンスをくれる。」
「早い段階から責任を持たせてもらえる。」
ただチャンスを与えるだけではありません、
若手の自由な発想を引き出す仕掛けも用意しています。
それが年に1回開く社内レース「チャレンジダイソン」です。
段ボールや掃除機をばらした部品などでクルマを作り、その速さを競うレースです。
その由来は、創業者、ジェームズ・ダイソンさんが試作した世界初の「サイクロン掃除機」です。
最初は段ボールで、自由な発想から生み出されていました。
そんなモノづくりの姿勢を若手技術者に伝え、世の中に無いモノを生み出す原動力にしているのです。
更に、シニア・エンジニアのステファン・コートニーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「我々は事前の市場調査にはあまり頼らない。」
「他社は消費者からどんな商品が欲しいか聞いてから商品を開発するが、実は消費者は自分が何が欲しいか分かっていない。」
例えば、アップルが消費者が思いつかないほど革新的な「iPhone」を自分たちで発明し、発信することで全く新しい市場を作り出しました。
ダイソンもこれに近い考えといいます。
つまり、消費者の声に頼らず、ゼロから商品を生み出すのです。
オリジナリティ溢れる商品を開発するためには何が必要かという問いに対して、ダイソンさんは次のようにおっしゃっています。
「お客の欲求を聞き、理解するのは勿論大切だが、それよりも大事にしているのは新しい技術の開発だ。」
「ダイソンにとって最も大切なのはあくまで製品だ。」
なお、事前の市場調査にはあまり頼らないということですが、何が不満かについては、エンジニアが1軒1軒聴いて回ることはしているといいます。
番組のコメンテーターで、エコノミストのロバート・フェルドマンさんは番組の最後に次のようにコメントされております。
「「必要は発明の母」とよく言われますけど、最近私が読んでいる本では違うと。」
「「発明の母はいらだち」です。」
「すなわち、これ嫌だ、これが不満、こういうモノあったらいいな、そういうような不満がポイントですね。」
「これ、実はダイソンさんだけじゃなくて、日本でも例えば松下幸之助が言っていたことですね。」
「もう一つ大事なのは、ダイソンさんの熱意を感じますね。」
「これ“オタク”ですね。」
「とにかくこれやるぞ、っていうようなことですね。」
「やっぱり売り上げに比べてものすごいお金を(研究開発に)使っていますね。」
「売り上げの15%くらい使っているということらしいんですけども、アメリカの平均5%、日本の平均4%という数字ですから、すごい研究開発に熱意を出しているということがもう一つの秘訣ですね。」
「(これは他の会社では出来ないことかという問いに対して、)出来ないわけではないですけども相当の覚悟でやらないといけないんですね。」
「もう一つ大事なのは、社会の変化ですね。」
「若い研究者が多いです。」
「今の若い人たちはとにかくライフスタイルを重視すると。」
「お金とライフスタイルのバランスということですけども、犬を連れて会社に来たい人が多いと、とにかくそういうライフスタイルが欲しい人たちを集めて“やろうよ”ということに熱意をあげる、これがもう一つの秘訣ではないでしょうか。」
以上、番組の内容をご紹介してきましたが、ダイソンにヒントを得たこれからのモノづくりの秘訣には以下の5つがあると思います。
1.若者の“自由な発想”
2.“オタク”精神(とにかくやるぞ)
3.消費者の声に頼らずに開発
4.研究開発にお金をかける
5.技術者のライフスタイルを考慮した開発環境を用意すること
一通りのモノが揃っている消費社会においては、とりわけ“自由な発想”による革新的で魅力的なモノづくりが求められていると思います。
また、こうしたモノづくりこそが技術者魂を揺さぶり、技術者の生きがいをもたらし、期待以上の成果を生み出すと思うのです。