3月17日(木)放送の「クローズアップ現代」(NHK総合テレビ)で、新たな価値観で時代を切り拓く若者たちを取り上げていました。
そこで、5回にわたってご紹介します。
4回目は、地域の再生に大きな力を発揮する若者たちについてです。
2月に発表された最新の国勢調査、日本の人口は前回調査から94万7,305人減少して1億2,711万47人(2015年10月1日現在)で、調査の開始以来初めて減少しました。
人口が減少したのは全国の市町村の82.4%、地域経済の疲弊も進んでいます。
そうした中、地域の再生にも若者が大きな力を発揮しています。
新たな金融の仕組みで乗り越えようとしているのです。
28歳でNPOバンクを立ち上げた、代表理事の木村 真樹さんの活動の拠点は名古屋を中心とする東海地方です。
NPOバンクの運営を担うのは20〜30代の若者たちです。
市民から一口1万円の出資金を募り、子育て支援など地域の課題に取り組む団体や個人に融資しています。
木村さんたちに次々と若者たちが賛同し、ボランティアとしてこの事業を支えています。
これまで1億3000万円の融資を行い、貸し倒れは1件もありません。
木村さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「自分たちが望む未来にどうそのお金を生かしていくのかって、自分たちのお金の使い方次第だってことに気付いてしまった若者たちが集まった取り組みかなと思いますね。」
2年前にNPOバンクの融資によって始まった障害のある子どもたちのデイサービスを展開する一般社団法人、OneLifeでは先月初めて地元の信用金庫からも融資を受けることが出来ました。
なぜ、信用金庫は融資を行ったのか、そこにはNPOバンクが地元の人と協力して作った新しい評価基準がありました。
新しい基準では、収益性だけでなく、デイサービスが地域に与える様々な効果を試算します。
子どもの体力が付いただけでなく、親に精神的な余裕が出来、地域の活動に参加出来るなど、お金に換算すると3000万円もの価値がある事業だと評価されました。
新しい評価基準は、金融機関の従来のあり方を見直すきっかけになったといいます。
融資を決めた東濃信用金庫の職員、酒井 隆信さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「新しい気付きですね。」
「もっと早くこういう考え方をしておくと良かったのかなと思いますよね。」
木村さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「(地域の再生に)挑戦してくれる人たちがいらっしゃるので、もっともっと自分たちの力量も高めていかないといけないなと思っているので、希望も感じつつまだまだ足りない、そんな感じですかね。」
以上、番組の内容をご紹介してきましたが、収益性だけでなく、デイサービスが地域に与える様々な効果を試算するという新しい基準によるNPOバンクの取り組みはこれまでにない斬新な融資のあり方を展開していると思います。
単に利益を得る手段として融資をするのではなく、自分たちが望む未来を思い描き、その実現の手段として融資するという視点はあるべき社会の実現方法の一つとしてとても有効だと思います。
しかもその元手となる資金は市民からの一口1万円の出資というのですから、融資元、出資者、融資先のそれぞれの想いが同じベクトルを共有している優れた取り組みだと思います。
以前ご紹介したクラウドファンディング(ネットを使った資金集め)と同様に、こうした優れた取り組みの積み重ねが新しい時代を切り拓いていく一つのインフラへと成長していくことを期待したいと思います。