2016年05月05日
アイデアよもやま話 No.3382 ウーバーによるタクシー革命!

2月11日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でウーバーによるタクシー革命を取り上げていたのでご紹介します。

 

今、世界のタクシー産業が大きな転換点を迎えています。

アメリカのウーバー・テクノロジーズが提供している、スマホを使った新たな配車サービス、ウーバー(Uber)が急速に台頭したことで、世界のタクシーがお客を奪われつつあるというのです。

300年以上の歴史のある、世界最高のタクシーとも言われているイギリスのロンドンタクシーもこのウーバーと激突しています。

 

2月10日、ロンドンは異様な空気に包まれていました。

道路を完全に封鎖していたのは、黒い車体が特徴のロンドンタクシーです。

タクシーの運転手たちは、ウーバーによって自分たちの仕事がなくなってしまうと抗議していたのです。

 

ウーバーは、スマホのアプリで自分の位置を知らせると、登録ドライバーが自家用車などで迎えに来て目的地まで送り届けてくれるサービスです。

現在、世界の約60ヵ国・地域の300都市以上に普及し、利用者は800万人以上、そして1日の利用者数は100万人に上っています。

ロンドンでも運賃はタクシーより4割ほど安く、利用者が急増しているのです。

ある若い女性の利用者は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ウーバーの方が安いから、ロンドンタクシーはもう使わない。」

 

また、スマホがあれば、簡単な手続きで一般の人もウーバーの運転手になれるのです。

ある運転手は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「1週間で約10万円(600ポンド)は稼ぐよ。」

 

ウーバーでお金を稼ぐ人がいる一方で、ロンドンタクシーの運転手の収入は、3割から4割も減ったといいます。

ロンドンタクシーの運転手になって22年になるコートニー・コンネルさん(56歳)は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ロンドンを知り尽くした俺たちがウーバーに負けるのは納得いかない。」

「カーナビに頼るウーバーには抜け道は分からない。」

「そこが我々プロとは違う。」

 

ロンドンタクシーの運転手たちはロンドンの道を全部暗記しているのです。

ロンドンタクシーの運転手になるためのタクシー運転手養成学校では、2万5000以上の通りや数千の建物の名前を全て記憶し、特別な試験に合格しなければならないのです。

試験では、地図を一切見ずに目的地までの最短ルートを答えられるかが問われます。

更に、ロンドンタクシーの運転手は渋滞の時間帯や抜け道にも精通していないといけません。

しかし、ウーバーが登場して以降、運転手になるための学校も生徒数も減っています。

 

利用する側のロンドン市民の一人は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ロンドンタクシーの運転手の知識はすごい。」

「しかし、安さに比べれば価値があるとは思わない。」

 

長年、運転手の圧倒的な知識を武器に世界一と言われてきたロンドンタクシーも、スマホと新しいテクノロジーには勝てないようです。

 

まさにタクシー革命を起こしつつあるウーバーですが、未だ上場している会社ではありません、

しかし、その企業価値は7兆円とも言われています。

 

ウーバーは、今後とも順調に普及していくのかについて、番組コメンテーターのクレディ・スイス証券のチーフ・マーケット・ストラテジスト、市川 眞一さんは次のようにおっしゃっています。

「ベースの部分は安全と安心だと思うんですね。」

「それはやはり国によっても規制があると思いますので、これを曲げることは出来ないと思うんですけども、ただそれを前提としたうえでの競争ということであれば、それはユーザーがどちらを選ぶかということだと思いますね。」

「(具体的にどういう競争になるかについて、)価格と利便性、そこにユーザーがどういう付加価値を見出すかですよね。」

「(都市による規制のあり方について、)ロンドンは特殊な街ですよね。」

「もともとが国王のいる街で、それを守るために道も非常に複雑に作ってありますし、自分が今どこにいるか分からない。」

「でもタクシーに乗ると、非常にスムーズに、渋滞も多いですけども先まで運んでくれるっていう、そういうところでの競争ということになってくるでしょうね。」

「(競争条件がそろっていないのではという問いに対して、)それは安心と安全というところですね。」

「ここが最低限、公共交通機関ですから、日本でもそうだと思うんですけども、それについては何らかの規制が必要ですし、条件をそろえる必要があると思うんですね。」

「日本の場合は、まさにそこのところが非常に重要なポイントだと思いますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきましたが、あらためてウーバーの配車サービスとタクシーの違いについて考えてみたいと思います。

既に、タクシー業界でもスマホを使った配車サービスが実施されていますが、両者には主に以下のような違いがあると思います。

・運転手の立場

タクシー運転手はタクシー会社の従業員ですが、ウーバーの運転手はウーバーに登録された一般のドライバーであること

・安心・安全への取り組み

利用者が最も気になる安心・安全に関する研修では、タクシー会社であれば、対面による研修制度がありますが、ウーバーでは対面での研修がないので不安を感じること

・運賃

ロンドンの例では、ウーバーの運賃はタクシーより4割ほど安いということ

・便利さ

  タクシーはタクシー乗り場や移動中のタクシーを呼び途止めて乗車しますが、ウーバーはスマホで自分の指定した時間、場所から乗車出来ること

  タクシーの運賃は現金、あるいはクレジットカードで支払いますが、ウーバーでは常にあらかじめ登録したクレジットカードから支払われるので現金やクレジットカードの持ち歩きが不要であること

 

今回ご紹介したウーバーによるタクシー・サービスですが、ネット検索したら日本でも既に解禁されていることが分かりました。

ただし、今のところ利用地域は都内の一部の地域のみでの試験運用ですが、今後徐々に全国展開していくようです。

 

いずれにしても、ウーバーのようなサービスが今後とも世界的に普及するカギは、以下の3つだと思います。

・低運賃

・安全・安心

・利用のし易さ

 

一方、テクノロジーを駆使することによって、これまで不可能と思われていたサービスがどんどん実現されつつあるというのが現状です。

ですから、ウーバーのようなサービスがいずれタクシー業界の主流になっていく可能性は大いにありそうです。


 
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