2016年05月01日
No.3378 ちょっと一休み その540 『熊本地震にみる現行の耐震基準の危うさ』

4月19日(火)放送のニュース(NHK総合テレビ)で、熊本地震関連について取り上げていましたが、その中でとても気になることを伝えていたのでご紹介します。

 

建物の耐震構造に詳しい専門家、東京工業大学の和田 章名誉教授は、“現在の耐震基準は大震災が連続して建物を襲うことを想定していない”として、被災後の建物に立ち入る時は十分注意をするよう次のように呼びかけています。

「(現在の耐震基準は)今回のようにひびが入ったり、梁が柱から抜け出たり、何が起きているか分からないところに、もう一度さっきより大きな地震が来ることはほとんど考えていませんので、(対策としては)みんなで2階で寝泊まりすることにしましょうとか、明らかに傾いているところにみんなで住むのは絶対やめて欲しいと思いますね。」

 

私たちは自分の住んでいる住宅が最新の耐震基準を満たしていれば、とりあえず安心してしまいます。

ところが、今回の熊本地震のように連続して大地震が起きてしまうと保証の限りではないというわけです。

ちなみに、4月20日朝のニュース番組(NHK総合テレビ)では、ビルやマンションなどでも度重なる強い余震で柱が劣化して建物の重さを支えきれなくなるなど、累積の被害を受けて崩壊に至っているものも今回の地震で出て来ているといいます。

また、4月20日付け読売新聞の夕刊の「よみうり寸評」では、以下のように伝えています。

国土交通省が益城町と熊本市で1064件の建物を調べたところ、崩壊の危険が指摘された建物が約51%に上ったといいます。

そして、現行の耐震基準は“一度の”震度7級の揺れを前提に、鉄筋などの強度が計算されているといいます。

 

要するに、熊本地震は専門家の想定をも超えていたわけです。

そこで、今回の熊本地震で、耐震基準を満たした住宅が継続して発生している大きな余震で実際にどの程度被害を受けたのかを調査して、従来の耐震基準とは別な累積被害の観点から今後の耐震住宅のあり方に活かして欲しいと思います。


 
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