2016年01月17日
No.3288 ちょっと一休み その525 『観測衛星「いぶき」の観測データから見えてくる地球温暖化対策の甘さ』

昨年11月17日(火)放送のニュース(NHK総合テレビ)で地球の大気全体の濃度が初めて観測されたことについて取り上げていたのでご紹介します。

 

地球全体の70km上空までのCO2の濃度が日本の人工衛星によって初めて観測され、濃度は毎年およそ2ppmずつ上昇していることが分かりました。

データを観測したのは、2009年に環境省や国立環境研究所などが打ち上げた観測衛星「いぶき」です。

これまでCO2などの温室効果ガスは地上のおよそ260地点で観測されてきました。

それに対し、「いぶき」はおよそ1万3000地点で地表から高度70kmまでの地球の大気全体の濃度を初めて観測しました。

 

その結果、地球全体のCO2平均濃度は昨年7月に約398ppmで、毎年2ppmずつ上昇していることが分かりました。

このままでは今年6月にも400ppmに達する見通しです。

こうした観測データによって、国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が気温上昇を産業革命以前に比べて2℃未満に抑えるために必要としている温室効果ガスの濃度が450ppmに近づきつつあることが裏付けられました。

環境省では、各国にもデータの活用を促していきたいとしています。

 

地球の大気全体の濃度が初めて観測されたことは今後の地球全体のCO2平均濃度の正確な把握、および地球温暖化対策を進めていくうえで画期的なことだと思います。

 

さて、途上国の今後の経済成長を考慮すると、今後の地球全体のCO2平均濃度の上昇は予断を許さない状況です。

地球全体のCO2平均濃度は昨年7月に約398ppmで、毎年2ppmずつ上昇するという前提で単純計算すると、2041年には気温上昇を2℃未満に抑えるために必要としている温室効果ガスの濃度を450ppmに達してしまいます。

しかも、当面続くとみられる途上国の経済成長を加味すると、2030年代にも温室効果ガスの濃度は450ppmを突破してしまう可能性が大きいと見るのが現実的ではないでしょうか。

 

このようにリアルな数値に接すると、昨年末に取り決められたCOP21(パリで開催された国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議)の対策ではまだまだ甘いと言わざるを得ません。

私たち人類は、国際的に、国として、自治体として、企業として、あるいは個人としてももっともっと真剣に地球温暖化問題に真剣に取り組むことが求められているのです。


 
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