2015年10月30日
アイデアよもやま話 No.3221 来年には水陸両用のEVが市販化される!?

前回、EV(電気自動車)のメリットについてお伝えしましたが、今回はそのメリットを生かした来年市販化が予定されている水陸両用のEVについてご紹介します。

 

1977年に公開された『007 私を愛したスパイ』で既に潜水艇に変形するボンドカーが登場していました。

また、以前ご紹介した、スイスで開発された水陸両用車”SQuba”は既に実用化され販売間近かといいます。

ネット検索すると、他にも世界各国でこのような水陸両用車がいくつか開発されているようです。

 

一方、日本でも水陸両用EVの開発が進められています。

6月7日(日)放送の「夢の扉」(TBSテレビ)で水陸両用の超小型EVが取り上げられていました。

4人乗りで最高時速85km、フル充電で約100km(市街地走行モード)走行可能といいます。

このEVならば、洪水などの災害時にも水面を移動して避難することが出来ます。

このEVを開発したのは、大同工業(石川県加賀市)、日本特殊陶業(愛知県名古屋市)と協業したベンチャー企業「FOMM」(2013年2月設立)です。

 

なお、「FOMM」代表の鶴巻 日出夫さんは、1982年にスズキに入社し、エンジンなどの設計に従事、その後、トヨタ車体で1人乗りEV新型「コムス」の開発や、SIM-DRIVEで超小型EVの東南アジア展開を企画してきましたが、やがて自分の思い通りの車を作りたいと独立し、「FOMM」を設立したのです。

ちなみに、SIM-DRIVEはこれまで何度かお伝えしてきたように慶応大学発のベンチャー企業で、産学連携によりタイヤホイールの中にモーターを内蔵させる「インホイールモーター」の技術を用いたEV開発に取り組んでいます。

 

関連情報をネット検索してみたら、ビックリです。

来年、2016年からタイで生産販売を開始するというのです。

このEVはベンチャーファンドを活用して製作したもので、製作期間は9カ月といいます。

部品は全て一から開発したオリジナルで、しかも日本製です。

バッテリーは着脱可能なカセット式リチウムイオン電池を使用しています。

また、「インホイールモーター」を採用して、小さな車体でも乗車スペースを広く確保しています。

そして、アクセルペダルがなくて、手だけで操作する点も従来の自動車にない特徴です。

なお、全長2495mm、全幅1295mm、全高1550mm、車両重量460kgで、ガソリン換算燃費は1L当たり96.7kmです。

また、万が一の水害に備えるため水浮上機能を装備しています。

 

本来の水陸両用車ではなく、いざという洪水などの災害時に一定時間水に浮いてなんとか移動も出来る、それで壊れずにその後また自動車として機能する、というものです。

タイヤホイールに内蔵されたジェット水流発生機能により水面移動が出来るのです。

ただし、水害被害後の保守整備は必要となります。

なお、現在、国際特許を3件出願しています。

 

なぜ、そのような一時的に水に浮く機能を持たせたのかというと、この車両は東南アジアでの販売を目指しており、例えばタイの洪水被害時などにその時だけ浮いてくれて、まだまだ庶民がムリしてでも買ったクルマが壊れることのないようにしてあげようと言うものです。

電気モーターはエンジンと違って水中でも機能するという特徴も活かされているのです。

そのため、ホイールデザインも水中で推進力を発生させるフィン形状になっています。

そのモーターはフロントタイヤのホイール内にあるインホイールモーター式で、変速機も持たせず、シンプルで小型軽量となるのもメリットです。

 

また、ホイールにモーターを収めたこと、バイクのような手でアクセル、そしてブレーキの操作系のおかげでペダルを必要としなくすることで、運転席を最前方に配置することが出来て、室内効率を上げ、ゆったりと4人乗車を可能にしています。

 

バッテリーはリチウムイオンでカセット式で最大6個搭載出来ます。

それぞれがなくなるとバトンタッチしていく方式で、2個充電がなくなったら4個で走って2個は家で充電する、という使い方も可能です。

 

価格は日本円にして約100万円の予定で、水害の多いタイでセカンドカー、サードカーとして販売していく方針です。

初年度の目標は5000台といいます。

タイの次は周辺の東南アジア諸国、そして欧州へと販路を広げていきたい考えのようです。

 

来年、水陸両用の4人乗りEVが約100万円で市販化されるという情報には本当にビックリです。

ところが、残念なことに日本では販売されないそうです。

その理由は、日本の法令にあります。

日本では、4人乗りの超小型モビリティは公道を走れないのです。

ですから、今のままでは日本の公道を走ることはないと同社関係者は言います。

超小型でもフル充電で約100km走行可能で4人乗りのEVが100万円ほどで購入出来るのであれば、日本でもかなりの反響が期待出来ます。

燃費の向上によるガソリン消費量の減少を背景に、特に地方ではどんどんガソリンスタンドの廃業が進んでいます。

ですから、自宅で充電出来、そのバッテリーを家庭用電源としても使用出来るEVは特に地方のユーザーからの引き合いが多いと思われます。

しかも、地球温暖化により豪雨や洪水の発生が今後増える状況下では、災害対策の一つとしてもとても重要です。

 

安倍政権によるアベノミクスの大きな柱の一つは成長戦略です。

ところが、この肝か心な成長戦略が未だに目に見えるような効果が表れていません。

その理由の一つには、以前から指摘されている国内の様々な規制です。

 

是非、現政政権にはこうした規制の緩和、あるいは撤廃を積極的に推進していただき、国内でもこうした素晴らしいEVが市販化出来るようにして欲しいと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています