2008年9月15日、アメリカの投資銀行であるリーマン・ ブラザーズが破綻しました。
このリーマンショックに端を発した世界的な金融危機が発生してから6年あまりが過ぎ、この大変大きな金融危機は忘れ去られようとしています。
そうした中、11月29日(土)放送の「田勢康弘の週刊ニュース新書」(テレビ東京)を観ていてあらためてリーマンショックの罪深さを思いました。
番組ゲストは小泉政権時代に経済財政担当大臣を務められた、現慶應義塾大学教授の竹中 平蔵さんでした。
既に1000兆円を超えている国の借金ですが、その財政再建について竹中さんは次のように解説されています。
「財政再建の道は厳しいです。」
「でもまさにこのグラフ(国の借金を示すトレンド)なんです。」
「2006年〜2008年は増えてないでしょ。」
「この間、GDPに対する借金の比率は一瞬でも下がってるんです。」
「だからこれを後1年半ぐらい続けていれば日本は基礎的財政収支が黒字になっているんですよ。」
「その後リーマンショックと政権交代でガーッと増えてしまったんですね。」
「で、その時に消費税増税なんてしてないですね。」
「だから財政再建は難しいんですけど歳出をきちんと管理して、一方でデフレ克服が成功してマクロ経済が正常化していけば出来る話なんです。」
「増税を先にやった国はことごとく世界の例を見ても失敗して、歳出をカットして経済を正常化する、どうしても駄目な分だけ後から必要な分を増税する、それが世界の標準的な財政再建のやり方なんですね。」
「そういうことを安倍総理ははっきり分かっているので、とにかく前の政権から引き継いだ増税は短期的に日本経済に悪い影響を与えたし、ここはもう増税を延期するしかないと決断したわけですよね。」
増税の延期の可否についてはともかく、私がとても気になったのはリーマンショックがいかに日本のみならず世界各国の経済や財政に大変大きな悪影響を与えたかということです。
もしリーマンショックがなければ、日本経済は竹中さんのおっしゃるように今頃基礎的財政収支が黒字になっていた可能性が高いのです。
それほどリーマンショックの世界的な影響は大きかったのです。
要するに、金融・経済のグローバル化により、アメリカや中国のような経済大国にリーマンショックのような大変大きな不祥事が一旦起きてしまうと各国が適切な経済・財政政策に取り組んでいてもそうした成果が吹き飛んでしまうという教訓をリーマンショックは残しているのです。
このような一国の経済・財政への悪影響の阻止をリスク管理の観点からみると次のようなことが言えると思います。
すなわち、世界的な金融不祥事の再発防止策の実施、および国内での対応策です。
国内での具体的な対応策としては、以下のようなことが考えられます。
・こうした事態に備えて、常に政府は大規模な公共事業用の長期的な観点に立った事業項目、および予備予算を計上しておく
・企業は国内、および海外での売り上げの比重をバランスよく取っておくこと