2013年05月13日
アイデアよもやま話 No.2449 念じるだけで機械の操作が可能に!
4月11日(木)朝放送のテレビニュース(NHK総合テレビ)でBMI(Brain Machine Interface)の技術を応用して医療に活かすという臨床研究を取り上げていたのでご紹介します。

そもそもBMIとは脳波が電極を使って電気信号を読み取り、それにより機械を操作するというものです。
海外では電極を直接脳に差し込む方法でロボットなどの操作に成功した例はあったのですが、安全面が大きな課題になっていました。

このような中、大阪大学を中心とした研究グループがこの課題を克服すべく世界に先駆けた臨床研究を行いました。
脳の表面に脳を傷つけずに済む新たに開発した薄いシリコン製の電極を置くという方法です。
この技術を使えば、病気などで身体を動かせない人でも機械を操作出来るようになると期待されています。

今年3月、日本で初めてとなる臨床研究が行われました。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんの脳の表面にこの装置を取り付けます。
すると、患者さんが何かをイメージすると脳からはそれに応じた電気信号が出されます。
この信号を電極で読み取り、今どんな動きをしたいのか独自のシステムで解析します。
その結果をロボットアームなどに送り、同じ動きをさせるのです。

3月6日、手術が行われ、開始から5時間、手術は無事成功しました。
患者さんの意識はすぐに回復、後遺症も見られませんでした。
手術から19日後の3月25日、いよいよ脳の信号を使って機械を操作出来るか試す日です。
始めに患者さんが手を握る動きを頭の中でイメージすると、ロボットが手を握りました。
続いて、掴んで放す2つの動きですが、これも成功しました。
テストを繰り返した結果、8割ほどの確率で操作を成功させられるようになりました。
更に挑んだのは「こんにちは」を入力するパソコンの操作ですが、これはうまくいきません。
それでも微妙な調整を繰り返した結果、遂にこれも成功しました。

研究グループの大阪大学医学部特任准教授の平田 雅之さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。
「ALSの患者さんでも(念じるだけで機械の操作が)出来るということが分かったことは非常に大きなことで、(将来的には)車椅子を思い通りに動かしたり、ロボットアームを思い通りに動かしたり、コンピューターで自分の思ったようにしゃべってくれるということで、普通にかなり近いかたちで生活が出来るというところを目指していきたいと思っています。」

まだ臨床研究という段階で、実用化に向けてはこれから長い期間にわたって安全性や様々な観点からの検証を行うことが残っていますが、大阪大学では出来るだけ早い実用化を目指したいといいます。

念じるだけで機械の操作が可能になれば、ALSの患者さんのみならず、手足の不自由な人にとっても楽に日常生活を送れるようになります。
更には、BMIの技術が進化していけば、健常者も含めてリモコン操作などから解放されるようになる可能性があります。
ですから、今回の臨床研究の成功はまさに新たな人類の生活の”夢の扉”と言えるのではないでしょうか。

 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています