2012年10月18日
アイデアよもやま話 No.2272 超小型衛星早くもビジネスに!
一連の報道ニュースによると、10月4日から5日にかけての深夜、2回にわたって地球の周囲を回っている国際宇宙ステーションで史上初めてのミッションが行われました。
日本が開発した宇宙実験棟「きぼう」から、星出彰彦宇宙飛行士がロボットアームを使って10cm角の5つの超小型衛星を宇宙空間に放出することに成功しました。
超小型衛星は少しずつ遠ざかり、人工衛星になるのです。
ちなみに、これらの超小型衛星は今年7月に日本の宇宙輸送船で国際宇宙ステーションまで運ばれました。
 
5つの超小型衛星のうち3つは日本の大学や企業が開発しました。
これらの超小型衛星は小さいながらも先端技術が詰め込まれており、人工衛星としての機能を備えているのです。
しかも、従来の人工衛星は100億円とか200億円とかいう値段でしたが、2,000万円でも製作出来るといいます。

3つの中で福岡工業大学が製作した衛星は、発光ダイオードを点滅させてモールス信号を地上に送る計画です。
今回は実験目的ですが、こうした超小型衛星は少ない予算で開発出来るため、民間からは早くもビジネスに利用しようという動きが出てきています。

氷の減少が続く北極海、超小型衛星を使ったサービスがある気象予報会社、ウェザーニュースで始まろうとしています。
夏の間北極海を航路として利用している船会社に氷の状況を伝えるサービスを提供しています。
現在はアメリカ航空宇宙局(NASA)の衛星データを利用していますが、氷の減少に伴って航路の利用が増える中、超小型衛星を打ち上げる計画です。
ウェザーニュースでは、独自の観測を北極海ですることで、より情報量が増えてより正確な情報をユーザーに提供出来ると考えています。
また、ウェザーニュースのサービスの質・量とも大きく変わっていくと期待しています。

ウェザーニュースの依頼により、都内のベンチャー企業、株式会社アクセルスペースが開発したのは”高性能カメラ”搭載の専用の超小型衛星です。
従来の人工衛星の約100分の1の2億6,000万円で製作出来たといいます。
アクセルスペース代表取締役の中村 友哉さんは、超小型衛星は宇宙産業の中で一番ビジネスに近い分野ではないかと考えています。

一方、大手広告代理店、博報堂DYメディアパートナーズが検討しているのは”宇宙葬”です。
超小型衛星に亡くなった人の骨を入れたカプセルを積み込む計画です。
価格は50万円程度を目指しています。
1000人単位の需要が見込めればビジネスとして成り立つと考えています。

こうして、今回宇宙空間に放出することに成功した低コストの超小型衛星は宇宙ビジネスという新しいビジネスの扉を開くことになったのです。
今までは宇宙は限られた人だけが使える状況でしたが、今回の成功を機に、今後いろいろな目的を持った民間の超小型衛星が続々と登場してくることが期待出来ます。
それによって、私たちにとってどんなメリットを与えてくれるのかとても楽しみです。

 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています