さて、西松屋は店舗運営コストについても以下のように徹底的に削減しています。
・幹線道路沿いは避け、脇道を１本入った場所に出店している
これで、土地の賃料は幹線道路沿いと比べおよそ半分に抑えられるという
・ 人件費削減のため、通常店舗は２人のパートで運営している
・それを可能にしているのが次の３つの棒です
�‐ι兵茲衙澄 聞發い箸海蹐砲△訃ι覆癲△海遼世任�客が自分で取れるようにした）
�⊆�動品出しバー （商品を取ると後ろの商品が前に出てくるように商品を吊しているバーが前に傾いている）
��商品簡単引き出し棒 （L字型の棒で棚の奥の商品を引き出すことが出来る）
こうして、売り場を簡単に整えることが出来るわけです。
２人のパートで店を賄えるように効率的な仕組みになっているのです。
しかも、西松屋では１日の来店客数の目安を３３０人に設定しており、お店が繁盛してお客で混雑してくると買い物しづらいお店になるので、繁盛するともう１店舗近隣につくって、混雑しないガラガラのお店をつくっています。
では、なぜそこまでしてガラガラ店舗にこだわるのか、大村社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「お客が増えると店舗の作業が増えて、かえって作業効率が落ち、人件費を上げてしまう。」
たった２人のパートでお店を運営する西松屋、それを可能にする秘密は、本社にあるシミュレーション店舗です。
全国のどの店舗もシミュレーション店舗とほぼ同じ造りになっています。
ここで全店舗のレイアウトを決め、全国の店舗のレイアウトを統一しているのです。
例えば、店内に入ってすぐの売り場は季節商品、お客の目に付きやすい突き当たりにはイチ押し商品が並んでします。
その隣にはオムツやベビーフードなどの日用品、角を曲がると雑貨コーナーにほ乳瓶などのベビー用品です。
こうしてお店を一周すればふだん使う商品は一通り揃うようになっているのです。
中の通路には、ベビーカーやおもちゃなどしょっちゅう買うわけではない商品が置かれています。
こうして、レイアウトを統一することで店舗の設計や建築にかかる費用を削減しています。
８００近くの全店舗のレイアウトが同じであることから、姫路本社から統一した指示が出せるので、たった４人のレイアウトマンは各店舗に行くことなく効率的に一元管理出来るのです。
４人のレイアウトマンは各店舗に足を運ぶことなく、各店舗から送られてくる店舗内の写真でチェックしています。
チェックポイントは２５ヵ所、店舗の造りが同じなのでチェックポイントも同じなのです。
どの場所からどの方向で撮影するかまで細かく決められています。
こうしたローコスト運営と一元管理が西松屋の強さの秘密なのです。
この点について、大村社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「繁盛しないお店はお客にとっても便利ですが、お店の従業員にとっても仕事がしやすいんです。」
「荷出しや商品陳列もお客が少ないので通路が広いですから、台車を押して商品を移動させるとか、作業がしやすくて、結局お店の生産性が上がっていくわけです。」
「繁盛しすぎるとかえって利益が落ちる状態になるのです。」
また、本部による一元管理と現場主義との関連については、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「現場は売り方を検証していくうえでは大事なことだと思います。」
「ただ、店舗の場合にはいろいろなことが起こるわけです。」
「だから、本部で決められることは本部で決めてしまう、そして、店舗の負担を出来るだけ少なくしてそれでも起きた問題に対して現場に対応してもらう。」
「現場に「これもやれあれもやれ」と全てを押しつけると無理が出てくるんじゃないかと。」
少子化傾向により市場が縮小する中で、西松屋は５年後に１０００店舗を目標に掲げています。
特に２００７年以降の５年間で２３８店舗、今年も既に２０店舗以上出店していますので、目標達成は可能と思われます。
人口減少に対応して、客層、年齢層を広げていく戦略です。
既に、今秋から小学生向けの新商品を販売しています。
０歳〜６歳までの商品を１２歳まで拡大するすることにより市場が倍になる、という計算です。
更に、目標達成のために特別な部署、大型商品開発室を３年前に立ち上げました。
そこで働いているのは皆他の製造業から再雇用した８人の技術部長クラスの一流技術者の方々です。
平均年齢は５７歳です。
少子化時代を勝ち残るキーワードはいい商品をより安く提供する、そう考えた大村社長が迎い入れた虎の子ともいえる人材です。
一流の商品を作れるノウハウを持っている技術者は商品が変わっても一流の商品を作れる、そして一流の商品がお客を呼ぶ、と考えたのです。
実際に迎い入れられた技術者が開発し、既に販売されているベビーカーは従来品の５倍も売れる大ヒットです。
そこには、前職の経験を踏まえた利便性や安全性の向上した機能が盛り込まれており、しかも２，９９９円と圧倒的に低価格なのです。
番組の最後に、大村社長は次のようにおっしゃっています。
「自分の失敗を明らかにして、その理由を突き詰めて考えなければならないのはかなりつらい仕事になってくるが、無駄な機能とか過剰な品質を見直し、新しいことに取り組み、現状を変えていこうと。」
こうしてみると、大村社長に学ぶべきは現実を直視し、原理原則に基づいて従来の常識に囚われないでどうすべきかを考える、ということです。
ガラガラ経営や繁盛しすぎるとかえって利益が落ちるという考え方はまさこのような思考パターンからでないと出てこないと思います。
ですから、恐らく大村社長、どのような業種の経営をされてもそれないの素晴らしい成果を上げるのではないか、と思われます。
業種が変われば、客層も変わるので、販売方法も西松屋とは異なると思います。
でも、原理原則を外すことはないはずです。
例えば、大村社長がルイヴィトンやティファニーなどのような世界的なブランド店の経営を任されたらどのようなかたちになるか、想像してみるだけでワクワクしてきます。
