2010年03月19日
アイデアよもやま話 No.1463 ごみだらけの街を救った生ごみリサイクル!
3月3日(水)放送のザ・ベストハウス123(フジテレビ)で「ごみだらけの街を救った日本人!」をテーマの1つに取り上げていました。
また、3月9日(火)放送のフジテレビの朝のニュース番組でも同様の内容が取り上げられていましたのでご紹介します。

インドネシアではある町のあちこちに生ごみが捨てられ、街は汚れ伝染病などの心配もありました。
生ごみリサイクルの第一人者、高倉弘二さんが工夫した方法により生ごみをリサイクルして出来た肥料でインドネシアの市民が植物を育て始めたのです。
ちなみに、高倉さんは株式会社ジェイペックの若松環境研究所(福岡県北九州市)に所属されております。
なお、ジェイペックのホームページの資料によると、コンポスト技術の海外指導は、ジェイペック独自の活動ではなく、北九州市、(財)北九州国際技術協力協会(KITA)、(財)地球環境戦略研究機関(IGES)から協力の依頼を受けて協働で展開してきた、とのことです。

生ごみを発酵させてリサイクルするために使う微生物は現地調達するのですが、そのためにインドネシアで1000種類以上の微生物を探さなければなりません。
各地で微生物を集め続け、取り組みからおよそ2年、遂に現地バージョンの高倉式コンポストを完成させたのです。
更に、それを普及させるため街角でデモンストレーションを繰り返しました。
そして、5年後には4万個が普及し、ごみが10%も削減されました。
更に、街には生ごみを分解して出来たコンポストで市民が植物を育てて緑が増えました。
また、人々の環境に対する意識も180度変わり、ごみのポイ捨てが減ったのです。
ちなみに、Wikipediaで調べたところ、コンポストとは一言でいえば堆肥のことですが、生ごみ堆肥化容器の生成物である堆肥(コンポスト)が転じて、生ごみ堆肥化容器をコンポストと呼んでいます。
なお、コンポストの厳密な定義は国によって異なっているようです。

高倉さんは、番組の中で次のようにおっしゃっていました。
「やった結果が非常に喜んでいただける、その笑顔が見れるんですね。」
「それを見るとですね、やっぱり続けてやろうな、と。」

高倉さんの伝えた技術と情熱は、インドネシアの人々に街を愛する心からの笑顔をもたらしたのです。

現在、高倉さんは北九州でもこの装置を広めようと奮闘しています。
家庭で生ごみコンポストに取り組もうということで、50世帯を対象にして北九州市ではモデル事業が始まっています。

また、高倉さんは、番組の中で次のようにもおっしゃっていました。
「北九州のいろいろな方々が生ごみコンポストに取り組んで自分たちの生ごみは自分たちで処理をする、そういうことが出来ればな、と思っています。」

そんなに素晴らしい生ごみリサイクル技術なら、すぐに北九州のみならず日本全国にすればいいのでは、とだれしも思います。
ところが、そう簡単ではないようです。
ジェイペックのホームページの資料によると、東南アジアなどの地域は、年間を通して気温が高く、コンポストに適しています。
これに対して、日本では気候が違い、特に冬場は発酵菌の活動が緩慢になり、生ごみの分解が極端に遅くなる傾向があるのです。
また、発酵のために特別な菌を使用しているわけではないので、それぞれの地域ごとに生息する優れた発酵菌を採取して培養して使用する、という方法なのです。
なので、だれかが最も適した発酵菌を探して採取しなければなりません。
望むらくは、北九州市のモデル事業で使っている発酵菌が国内の他の地域でもそのまま使えることです。

それにしても、発酵菌で生ごみをコンポストに変化させる、というリサイクルのアイデアはとても素晴らしいと思います。
もしも、世界中の家庭でこの方法を取り入れて、インドネシアの人たちのように出来たコンポストで植物を育てたら、きっと世界中の人たちの間で争う気持が和らぐのではないかと想像されます。
そのために、世界中のどこでも通用する発酵菌が発見されれば、ノーベル賞級の世界的な貢献ではないでしょうか。

 
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