2021年05月06日
アイデアよもやま話 No.4948 SNSの規制に見る欧米の基本的な考え方の違い!

1月に発生した連邦議会議事堂の占拠事件を機にアメリカ社会で危機感が高まり、SNS(交流サイト)の運営企業に投稿の管理強化を義務付ける案が浮上しています。

そうした中、1月14日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でSNSの規制に見る欧米の基本的な考え方の違いについて取り上げていたのでご紹介します。

 

アメリカではSNSのアカウントの停止や接続の禁止、こうした措置を受けて、ドイツのメルケル首相は、停止は法に基づくべきで経営人が決めるべきではないという意見表明しています。

このルールを誰が決めるのかという議論が起きていますが、こうした状況について、番組コメンテーターで大阪大学の安田洋祐准教授は次のようにおっしゃっています。

「表現の自由という問題を超えて、市場のルールを誰が決めるかについて、アメリカとドイツをはじめとした大陸、ヨーロッパの考えの違いが出ていると思いますね。」

「ヨーロッパは国家がルールを決める。」

「対して、アメリカはプレイヤーである企業が決めることが出来ると。」

「例えば、イノベーションを起こすという発想になった時には、企業が自由にルールを決めてチャレンジし易いアメリカ型が有利なわけです。」

「で、実際に成功したデジタルプラットフォーマーを見ると、GAFAにしてもネットフリックスにしてもマイクロソフトにしても全てアメリカの企業だと、こういった背景が関係していると思います。」

「で、一方で、プレイヤーが自分でルールを決められることの弊害も当然あるわけですよね。」

「利用者の扱いを不当にしてしまうとか、将来的なライバルを買収して競争を抑制してしまうようなことが可能になってくるかもしれないと。」

「で、それを防ぐのが市場の競争が働いているかどうかだと思うんですね。」

「で、今、足元でデジタルプラットフォームを見ると、独占化、寡占化が進んでしまって、そのライバルのサービスに乗り換えるのが難しい。」

「こういった現状を踏まえると、ヨーロッパ型の国家がある程度ルールを決めていくことが重要なんじゃないかと個人的には思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

まず番組の内容を以下にまとめてみました。

ヨーロッパは国家がルールを決めており、アメリカはプレイヤーである企業が決めている

・イノベーションにおいては、企業が自由にルールを決めてチャレンジし易いアメリカ型が有利である

・一方で、プレイヤーが自分でルールを決められることの弊害もある

 

では、こうした状況において、どのような当局の方針が望ましいかですが、イノベーションの激しい現状においては基本的にベンチャー企業が自由に活動し易い環境を整備する一方で、独占化、寡占化の抑止の観点から企業活動を制限するといった法制度も必要だと番組では伝えていますが、その通りだと思います。

 

更に、番組では触れておりませんでしたが、IT化、あるいはデジタル化による生産性の向上で従業員の削減が今後ともどんどん進んでいきます。

その結果、格差社会化がアメリカをはじめとして進みつつあります。

こうした状況に応じてGAFAのようなプラットフォーマーなどに対するデジタル課税や富裕層に対する増税とともにベーシックインカム(参照:アイデアよもやま話 No.3401 ”仕事がない世界”がやってくる その3 新たな生活保障制度の必要性!)といったような制度の導入が必要になります。

そして、実際にバイデン新政権ではこうした動きが既に始まっています。

ですから、日本においても同様の動きが望まれます。


 
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2021年05月05日
アイデアよもやま話 No.4947 “人工流れ星”開発のその後!

人工流れ星については、これまで以下のようにお伝えしてきました。

アイデアよもやま話 No.3844 ベンチャー企業の宇宙ロケット開発 人工流れ星!

アイデアよもやま話 No.4091 人工流れ星を用いたエンターテインメントビジネス!

アイデアよもやま話 No.4907 いよいよ人工衛星ビジネスが始動!

 

そうした中、1月11日(月)放送の「大下容子ワイド!スクランブル」(テレビ朝日)で人工流れ星のその後について取り上げていたのでその一部をご紹介します。

 

宇宙ベンチャー企業、株式会社ALE(エール)(本社・東京都港区)の岡島礼奈社長(41歳)は直径1cmほどの小さな粒に夢を託しています。

岡島さんは次のようにおっしゃっています。

「(この小さな粒は)人工的に流れ星を作り出して、エンターテインメントとして皆さんに楽しんでもらう。」

 

未来のエンターテインメントとは世界初の人工流れ星なのです。

独自に開発した流れ星放出装置を人工衛星に積み込み、宇宙空間で粒を放出、大気圏で粒が燃え尽きることで流れ星となるのです。

そんな人工流れ星の特徴について、岡島さんは次のようにおっしゃっています。

「人工流れ星はちょっとゆっくりめに、光っている時間も長い。」

「願い事が3回言えるかもしれない。」

 

また粒の材質を変えれば、流れ星の色を変えることも出来ます。

更に見て楽しむだけでなく、人工流れ星は環境問題の解決にもつながるかもしれません。

岡島さんは次のようにおっしゃっています。

「我々の人工流れ星の燃え方だったり、そこから得られる、燃える場所の大気データだったりを応用することによって、(大気圏で)宇宙ゴミを安全に燃やす、安全に焼却するっていうことにも役に立てられると考えています。」

 

今、地球の周りには壊れた人工衛星やその部品など、2万個以上の宇宙ゴミが溢れています。

人工流れ星の燃え方を研究すれば、宇宙ゴミを大気圏で安全に燃やせると、岡島さんの取り組みに期待が寄せられています。

 

東京大学で天文学を学んだ岡島さんが人工流れ星を思いついたきっかけは2001年にしし座流星群を見たことでした。

岡島さんは次のようにおっしゃっています。

「流星群ってシャワーみたいに一面星が降り注いているみたいな、それを想像して行ったら、ちょっと違ったかなという感じではありましたね。」

 

人工的にだったらシャワーのような流れ星を作れるのでは、そう考えた岡島さんは2011年にALEを設立、いくつもの大学やJAXAなどの協力を得て人工流れ星の実現を目指してきました。

そして、2019年12月、流れ星放出装置を積んだ人工衛星が遂に宇宙へ、翌年春に予定している世界初の人工流れ星の実現に向け、放出装置のテストを繰り返していました。

ところが、放出装置に不具合が発生し、人工流れ星はあと一歩のところで失敗しました。

この時の状況について、岡島さんは次のようにおっしゃっています。

「結構心臓がバクバクしましたね。」

「資金調達も出来ずに、会社をたたむことを考えましたね。」

 

2年後の実現を目指し、目下放出装置の改良に取り組んでいます。

岡島さんは次のようにおっしゃっています。

「強力にアップデートされたものが搭載される予定です。」

「星降る町として流れ星を毎週流すとか、船の上からみんなで外で流れ星を見るとか、そういうことが出来るといいなと思っています。」

 

岡島さんが2年後の実用化を目指す世界初の人工流れ星、流れ星の明るさや流す数にもよりますが、広範囲の方が同時に楽しめるということなのです。

仮に人工流れ星を都心中心に流す場合、この人工流れ星は半径100kmの範囲で見ることが出来るため、千葉県の水戸市や埼玉県前橋市、静岡県熱海の方も同時に楽しめるということです。

また、流星群のように同時に沢山の流れ星を放出することが出来る一方で、一粒ずつ流すことも可能になりそうです。

例えば、記念日やプロポーズなど、個人的な依頼にも応えることが出来るそうです、

 

そんな岡島さんが思い描く未来図は、「科学を社会につなぎ、宇宙を文化圏にする」ことだといいます。

また、岡島さんは、宇宙を身近なものとして感じて欲しい、関心を持ってもらいたいということもおっしゃっています。

こうした岡島さんの取り組みについて、番組コメンテーターで仏教学者、東北福祉大学学長の千葉公慈さんは次のようにおっしゃっています。

「思えばコレラが流行した江戸時代に徳川吉宗は花火を上げて供養とともに世の中を鼓舞しました。」

「私はそういう意味でもこのコロナ禍にあって、こういう取り組みが、現代人が夜空の星を見上げて新しい価値観を構築していく、壮大な意味として重要な役割があるんだと思っています。」

「現代人はもっと夜空を見なければなりません。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

東京大学で天文学を学んだ岡島さんが人工流れ星を思いついたきっかけは2001年にしし座流星群を見たことだったといいますが、実は私もこの時、家族で見に出かけていました。

家族で並んで寝そべって夜空を眺めていたのを今でもよく覚えています。

そして、岡島さんのおっしゃるように自然発生の流れ星はあっという間に消えてしまいました。

また、大量の流れ星が一度に見られるということはなく、「次の流れ星はいつ見えるかな」という期待感を持って待っていました。

 

さて、これまでまさか人工的に流れ星を発生させることが現実になるなど、思いもよりませんでした。

ですから、岡島さんのアイデアはとても斬新でとても魅力に満ちていると思います。

夜空いっぱいに人工流れ星が見える光景を想像しただけでもワクワクしてきます。

ですから、岡島さんのこの発明に触発されて、他にも奇想天外なアイデアがこれから生まれてくるのではないかと期待が膨らみます。

 

なお、岡島さんたちの開発した人工流れ星は以下の特徴を持っています。

・ちょっとゆっくりめで、光っている時間も長い

・粒の材質を変えれば、流れ星の色を変えることが出来る

・流星群のように同時に沢山の流れ星を放出することが出来る一方で、一粒ずつ流すことも可能になると見込まれる

・広範囲で多くの人たちが同時に楽しめる

・公私を問わず、いろいろなイベントでの余興として、世界的なビジネス展開が期待出来る

・人工流れ星の燃え方や燃える場所の大気データを他の用途に応用出来る

・その一つが大気圏で大量の宇宙ゴミを安全に燃やして焼却することである

 

勿論、人口流れ星で広範囲で多くの人たちを楽しませることが出来るだけでも素晴らしいですが、更に大気圏で大量の宇宙ゴミを安全に燃やして焼却するという役割も期待出来るということはこれから拡大する宇宙ビジネスによって発生する大量の宇宙ゴミ対策としてもとても貢献出来ると見込まれます。

ということで、岡島さんの発明した人工流れ星はビジネス的な観点から大いに期待出来ます。

 

一方、この人工流れ星には課題もあります。

それは、雨や曇りなど天候に左右されるということです。

ですから、人工流れ星を実演する前に、人工的に雨を降らして晴天状態にするなどの工夫もいずれ検討されるようになると思います。

 

さて、岡島さんは、「科学を社会につなぎ、宇宙を文化圏にする」という未来図を思い描いているということですが、まさに人工流れ星は宇宙を文化圏にする先駆者的な存在と言えます。

そして世界中の多くの人たちを“宇宙は身近な存在である”ことを実感させてくれるはずです.

 

なお、こうした岡島さんの取り組みについて、番組コメンテーターの千葉さんは「コレラが流行した江戸時代に徳川吉宗は花火を上げて供養とともに世の中を鼓舞した」とおっしゃっています。

いまだにコロナ禍で世界中の国々が大変な状況にありますが、コロナ禍が終息した時には世界中で人工流れ星により犠牲者の方々の供養をするとともにコロナ禍から解放されたことを祝うことが出来ればと思います。


 
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2021年05月04日
アイデアよもやま話 No.4946 30秒照射で新型コロナウイルスを不活性化!

1月9日(土)付けネット記事(こちらを参照)で30秒照射で新型コロナウイルスを不活性化するLEDについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。 

 

日亜化学工業株式会社(徳島県阿南市)は、新型コロナウイルスの不活化効果を持った深紫外LEDを開発した。

・一定条件の下、ウイルスに30秒間照射すると、99・99%不活化させることも実証した。

・既に量産体制を整え、空気清浄機やエアコンなどへの応用が期待できるとしている。

・同社によると、開発したのは、波長280ナノメートル、光出力70ミリワットの深紫外LEDである。

・同社は、波長を280ナノメートルとした分、光出力を70ミリワットまで高めた深紫外LEDを12個使った「ハンディUV照射機」を試作。波長を280ナノメートルとしても光出力を上げることで、260ナノメートルの波長と同程度の不活化効果があることを確認した。

・260ナノメートルより波長を長くすることで長寿命化につながり、実用的な深紫外LEDが完成したという。

・照射機を徳島県に20台、徳島大に30台寄贈し、深紫外LEDを使った商品開発・販売について、国内メーカーと協議を進めている。

 

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

LEDによる30秒の照射だけで新型コロナウイルスを不活性化出来るというのは朗報だと思います。

人の密集するイベント会場や店舗などにこの照射機を設置すれば、新型コロナウイルスの感染拡大阻止に貢献出来るからです。

新型コロナウイルスの感染治療薬やワクチン、あるいは「3蜜」対策以外にもこうした対策があるのです。

 

ということで、徳島県内に設置された照射機の効果が確認出来次第、早期に市販化をしていただきたいと思います。


 
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2021年05月03日
アイデアよもやま話 No.4945 コロナ禍で増える個室型ワークスペース!

1月8日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で個室型ワークスペースについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

新丸の内ビル(東京・千代田区)の地下に電話ボックスのような箱があちこちに並んでいます。

人が入ったり、出たり、こちらは個室型のワークスペースです。

防音仕様で周囲を気にせず、仕事やテレビ会議が出来ます。

利用していたのは、コンサルティング業を営む40代の男性会社員で、次のようにおっしゃっています。

「仕事上、機密性の高い情報を話すこともありますし、こういう所があると助かるなと思っています。」

 

料金は個人会員で15分250円、法人会員なら固定料金プランがあります。

新型コロナウイルスの感染拡大前の昨年2月から半年間で利用者数は約3倍増えています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

コロナ禍の長期化により“新しい生活様式”が既に普及しつつあります。

その一つがテレワーク、あるいは在宅勤務です。

ですから従来のように企業が従業員が働くための事業所の必要性は非常に低くなっています。

そして、企業の中にはこれまでよりも小さなスペースの事業所への移転をしているところもあるといます。

一方で、部屋数が少なく、小さい子どものいる家庭での在宅勤務は仕事に集中しにくいといった問題が出ています。

 

こうした中、今回ご紹介したような個室型ワークスペースがあれば、集中して仕事に取り組むことが出来ます。

また、営業員などが外出中にちょっとパソコンを使用した仕事がしたいと思った場合も同様です。

一方、企業としてもテレワークや在宅勤務でも業務上それほど差し障りはないと判断すれば、高い家賃を払って都心に広い事業所を構える必要性はなくなります。

ですから、仮に個室型ワークスペースのような拠点がかなり普及し、それを従業員が日常的に利用することで仕事に差し障りがなければ、事業所の縮小に伴うコスト減と個室型ワークスペースの利用料金によるコスト増とを秤にかけて判断すればいいのです。

 

なお、こうした新しい働き方様式は、これまで特に小さいお子さんのいる女性や両親の介護などで長時間家を空けることの出来ない人たちの雇用機会を増やすことになり、一方では人手不足に悩む企業は従業員を雇い易くなるので人手不足問題の解決にも少なからず貢献出来るはずです。


 
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2021年05月02日
No.4944 ちょっと一休み その772 『渋沢栄一はSDGsを先取りしていた!?』

今や、SDGs、すなわち“持続可能な開発目標”という言葉を聞かない日はないくらい、この言葉は国内外を問わず浸透しているようです。(参照:No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!』

そうした中、4月3日(土)放送の「BS1スペシャル」(NHKBS1)で「渋沢栄一に学ぶSDGs “持続可能な経済”をめざして」をテーマに取り上げていました。

そこで、番組を通して渋沢栄一の考え方がSDGsにつながっていることを中心にご紹介します。

 

1873年、渋沢栄一は日本初の民間銀行、第一国立銀行(現在はみずほ銀行が承継)を創設しました。

その偉大な功績から“日本資本主義の父”と呼ばれています。

以下は当時の第一国立銀行設立の株主募集文に記された言葉です。

 

銀行は大きな河のようなものだ。

役に立つことは限りない。

しかし、まだ銀行に集まってこない金は溝に溜まっている水やポタポタ垂れている滴と変わりない。

 

この言葉には資本主義の本質と“持続可能な経済”を目指すヒントが隠されているといいます。

渋沢栄一の玄孫にあたる澁澤健さんは自らも投資会社、コモンズ投信株式会社を運営する金融マンです。

健さんは次のようにおっしゃっています。

「渋沢栄一は資本主義という言葉は使っていなくて、合本主義だったんですね。」

「つまり、価値を作るもとがあって、それを合わせて新たな価値を作ることが合本主義なので、そういうふうに考えると一滴一滴の滴というのがもとであり、ステークホルダー(企業活動を行う上で関わる全ての人)であり、一人では何も出来ない。」

「けれどもそれぞれがそれぞれの役割を果たすことによって、新たな価値を作るっていうことを考えると、実は今の時代の流れになっているステークホルダー資本主義と同じような考えが、日本に今から150年近く前に、日本で資本主義を導入した時から同じような思想を持っていたのが渋沢栄一だと私は思っています。」

 

「「論語と算盤」を今の言葉で表現すると、それはサステイナビリティ、持続可能性だと思います。」

「算盤勘定が出来なければ、当然ながらそこにはサステイナビリティがない。」

「けれども、算盤だけを見つめているとどこかでつまずいてしまうかもしれないということだと思うんですね。」

 

道徳経済合一説と言われる栄一の思想は今、世界から注目されています。

特にリーマンショック後、自分さえ儲かれば良いという強欲な金融資本主義に批判が高まり、栄一の言葉の重さが際立ったのです。

渋沢栄一の著書「論語と算盤」(1916年出版)には次の一節が書かれています。

 

富をなす根源は何かといえば神器道徳

正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することができない

 

国連開発計画(UNDP)のSDGインパクトという委員会のメンバーを務める健さんはこの言葉こそ現在のSDGsに通じるものだといいます。

貧困撲滅、気候変動対策、不平等の是正などを掲げ、2015年に採択されたSDGs(持続可能な開発目標)、国際社会が2030年までの達成を約束した共通のゴール、誰一人取り残さない社会の実現がその理念です。

健さんは次のようにおっしゃっています。

「「論語と算盤」の中では、経営者一人がいかに大富豪になったとしても、そのために社会の多数が貧困に陥るようなことでは、その幸福は継続されないということを言っていますよね。」

「つまり、1%だけが大富豪になっても99%が取り残されてしまうのであれば、幸福は継続されないということなんです。」

「取り残されないということは、SDGsが言っている“誰一人取り残さない”と同じことじゃないのかなと。」

 

「青淵百話」には次の一節が書かれています。

 

私の個人的な見解としては、一人の個人に利益がある仕事よりも多く社会に利益のあるものでなければならないと思う

元来、人がこの世に生まれてきた以上は自分のためのみならず、必ず何か世のためになるべきことをなすの義務があるものと余は信ずる

 

さて、持続可能な経済を目指した渋沢栄一は企業の設立だけでなく、教育や社会福祉事業にも熱心に取り組みました。

生涯に600もの団体に関わったといいます。

中でも力を入れたのが女子教育でした。

「青淵百話」には次の一節が書かれています。

 

女子もやはり社会を構成するうえでその半分の責任を負っているのだから、男子と同様に重んじるべきではないだろうか

 

栄一は日本女子大学(1901年創立)などの設立にも貢献しました。

当時としては画期的な女子の高等教育、良妻賢母を育てる目的でしたが、女性が教養を持つことで子どもの教育レベルが上がり、日本全体の国力が向上すると考えたのです。

 

なお、母、慈恵の慈愛を心を受け継いだ栄一は社会福祉事業にも力を注ぎました。

生活困窮者が数多くいた当時の東京、1874年、栄一は貧しい人、病気の人、老人や障害のある人、孤児などの保護施設、東京養育院(現在の東京都健康長寿医療センター)の運営を始めました。

「論語と算盤」には次の一節が書かれています。

 

人道や経済の面から弱者を救うのは必然のことであるが、(中略)なるべく直接保護を避けて防貧の方法を講じたい

 

そんな栄一が逆境の時こそ力を尽くすという信念のもと、奔走したのが1923年の関東大震災でした。

当時83歳、兜町の事務所が全焼し、息子たちは埼玉の生家に帰ることを勧めたが、栄一は断固として断りました。

渋沢英雄著「渋沢栄一」には次の一節が書かれています。

 

こういう時にいささかなりとも働いてこそ生きている申し訳が立つようなものだ

 

そして世界中から資金を集め、被災者の支援の先頭に立ちました。

「みんなで豊かになる、誰一人取り残さない」、そんな生き方を貫いた栄一を象徴する出来事でした。

 

さて、東急も渋沢栄一が1918年に設立した田園都市株式会社がその前身となります。

当時の栄一は喜寿を超え、経済界の主な役職から引退していました。

だが、海外から刺激を受けた理想のまちづくりに情熱を傾けました。

「青淵回顧録」には次の一節が書かれています。

 

都会が膨張すればするほど自然の要素が人間生活の間から欠けていく

わが国に田園都市のようなものを造って都市生活の欠陥を幾分でも補うようにしたいものだ

 

渋沢栄一の構想で造られた田園調布(東京都大田区)、緑豊かな田園都市です。

住民たちは厳しい自主規制によって街並みを守り続けてきました。

 

なお、健さんは次のようにおっしゃっています。

「SDGsが出来るか出来ないか、あるいはカーボンゼロが出来るか出来ないかっていう判断は、勿論出来ることが大事なんですけども、そもそもその2030年の誰一人も取り残さないという未来を見たいんですかというベクトルが立っているか、あるいは2050年までにカーボンゼロの世の中を見たいんですかというそこのベクトルを立てていること、これが大事ということを渋沢氏は言っているんじゃないかなと思いますね。」

 

さて、番組の最後に渋沢栄一の貴重な肉声を番組は伝えています。

それは1923年6月13日の東京・赤坂での講演の一節です。

 

国家は国民が富むことさえ出来れば道徳が欠けても神器が行われなくともよいという人は誰もいないと思う

こう考えてみると、今日論語を基本にした私の主義である「道徳経済合一説」がいつの日か広く世の中に普及し、社会に受け入れられるようになるであろうと大いに期待するのであります

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

そもそも資本主義のみならず共産主義などどんな国においても何か事業に取り組むうえで、”ヒト(人材)、モノ(施設など)、カネ(資金)”の3要素は必須です。

そして渋沢栄一は、”カネ”における銀行、および株式制度の役割の重要性を説いているのです。

そして、銀行による企業への貸付金の源は私たち一人一人、あるいは企業による預金なのです。

なお、現在では株式上場による資金調達なども同様の役割を担っています。

ですから、資本主義のこうした本質を理解したうえで、渋沢栄一は日本初の民間銀行、第一国立銀行を創設したというわけです。

 

また、渋沢栄一は合本主義を唱えておりますが、この考え方は、これまで何度となく繰り返しお伝えしてきた「アイデアは既存の要素の組み合わせである」という考え方につながります。

すなわち、様々な”ヒト、モノ、カネ”の組み合わせにより事業に取り組むことが出来るので、この組み合わせをタイムリーに遂行するうえで、タンス預金のような眠っている”カネ”を集めて貸付、あるいは投資に回す銀行の役割を重視しているのです。

 

さて、渋沢栄一には「論語と算盤」という著書がありますが、この「論語」は「道徳」を、そして「算盤」は「科学的思考に基づいた合理的な経営」に対応しています。

そして、合理的な経営の中には、”カネ”だけでなく、”ヒト、モノ”の合理的な活用も含まれるのです。

ちなみに、ウィキペディアには、道徳について以下の記述があります。

 

道徳は、中国の古典を由来とする観念であり、「道」と「徳」という2つの考えからなる。道とは、人が従うべきルールのことであり、徳とは、そのルールを守ることができる状態をいう。道徳的規範や道徳性ともいう。倫理はいくつかの意味をもち、道徳を表すことが多い。モラルとも称される。

 

なお、「論語と算盤」という著書の命名ですが、なぜ「論語」を先にしたのか、ここにも渋沢栄一のこだわりを感じます。

始めに企業ありき、あるいは利益ありきではなく、道徳に則った”みんなで豊かになる、誰一人取り残さない社会の実現”のための手段として合理的な企業活動は存在意義があるという渋沢栄一の熱い想いです。

 

一方で、渋沢栄一は企業の設立だけでなく、教育や社会福祉事業にも熱心に取り組みました。

更に、女子教育や社会福祉事業にも力を注ぎました。

また、理想のまちづくりに情熱を傾け、緑豊かな田園都市、田園調布を造りました。

なお、田園調布は今も住民たちが厳しい自主規制によって街並みを守り続けているといいます。

そして、関東大震災の時には世界中から資金を集め、被災者の支援の先頭に立ちました。

ですから、渋沢栄一はどんな時も「みんなで豊かになる、誰一人取り残さない」という生き方を貫いていたのです。

ちなみに、この「誰一人取り残さない」については、ベーシックインカム(参照:アイデアよもやま話 No.3401 ”仕事がない世界”がやってくる その3 新たな生活保障制度の必要性!)がこの考え方に通じる一つの具体策だと言えます。

 

ようやく世界各国はSDGsを旗印に、1923年6月13日の東京・赤坂での渋沢栄一の講演の一節にある渋沢栄一の思い描いた社会を目指して本格的に動き出したといえます。

 

こうして見てくると、渋沢栄一は文字通り”日本資本主義の父”であるばかりでなく、既に150年ほど前にSDGsと同等のゴールを目指して真摯に取り組んでいた先駆者と言える、日本が世界に誇れる優れた人物の一人と言えます。


 
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2021年05月01日
プロジェクト管理と日常生活 No.691 『ファイブアイズに見る中国による香港の人権侵害への対応策の真意とあるべき対応策!』

昨年11月27日(金)放送の「深層ニュース」(BS日テレ)でファイブアイズによる中国の香港に対する人権侵害への対応策の真意について取り上げていたのでご紹介します。

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

深刻さを増す香港の人権問題、世界で懸念が広がっています。

イギリスの国営放送、BBCによると、国際的な機密情報ネットワーク、ファイブ・アイズを構成するアメリカやイギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5ヵ国の外相は11月18日、香港に対する中国の行為を非難する共同声明を発表しました。

これに対して、中国外務省の報道官は11月19日、「気を付けないと(5ヵ国は)目玉を引き抜かれるだろう」、「例え目が5個あろうが、10個あろうが関係ない」と、中国の内政問題に口出ししないよう警告しています。

中国情勢に詳しい神田外語大学教授の興梠一郎さんは次のようにおっしゃっています。

「(こうした強気な姿勢を崩さない中国に対して、国際社会はどのように対応していったらいいのかという問いに対して、)その強気な発言というのは今始まったことじゃなくて、例えば国家安全維持法が施法化されるかどうかという時期にアメリカがどう出るかとか、欧米がどう出るかとか、足元を見ているんですね。」

「例えば、よく引用される「人民日報」系の「関係情報」という新聞がありますけど、香港自治法案っていう、これ制裁出来るわけです、金融制裁とか。」

「それに対する7月2日の社説を見ると、「EUはそもそも制裁しない」と。」

「EUはそう言っています。」

「アメリカも香港における金融ビジネスのいわゆる利益を損ねるから決定的な制裁はしないと。」

「実際、アメリカが今までやってきたのは何人かの政府関係者を、林鄭月娥さんも入るけど、アメリカにおけるいわゆる口座を凍結したり、アメリカに行くときにビザが出なかったり、はっきり言ってあまりダメージないじゃないですか。」

「で、一番痛いのは金融制裁なんですよ、例えば、香港ドルとドルのとか。」

「だから、本気でそういうことをアメリカがやっていないということを中国側は書いている。」

「つまり、トランプ政権もそんなに香港の民主主義、民主化に対する関心がなかったって、ボルトン元顧問にバラされちゃったでしょ、本で。」

「で、それは今回もそうなんですね。」

「要するに、結局「中国でビジネスをしたいだろ」っていう、結構そういう強気のところがあって、ですね。」

「だからどうやるかっていうのは、声明文を出すだけじゃなくて、それは西側の国が本当に意思表示するなら金融制裁しなきゃいけないわけですよ。」

「または、香港にするだけじゃなくて、中国に対して天安門事件の後のように制裁しなきゃいけないです。」

「ところが、みんな出来ないわけです。」

「やるなら、とっくに国家安全維持法が出来るか出来ないかという時にやっとかないと。」

「もう、出来ちゃったわけですから、これ向こう(中国)の国内法になっちゃっているんで、捕まっても何にも出来ないですよ。」

「せめて移民で逃がすぐらいしか出来ない。」

「それだってアメリカの総領事館は受け入れなかったですからね、駆け込んできたのを。」

「そういうのを(中国は)見ているわけですよ。」

「だから、何をすればいいかって言っても、決定的な措置がいわゆる西側に、声明を出したけど出来ないっていうのを実は向こう(中国)はしっかり見ている。」

「経済カード(を中国は有効に使っている)。」

 

また、元海上自衛官で駐中国防衛駐在官などを務めた笹川平和財団上席研究員の小原凡司さんは次のようにおっしゃっています。

「(日本は何かものを言わなくて良かったのかという問いに対して、)日本も人権ですとか、自由といった価値についてはものを言うべきだと思います。」

「ただ、それが民主主義対権威主義といったような、更に進んだイデオロギーの対立まで行くことは日本にとって利益になるのかどうかということは考えなければいけないと思うんですが、ただ今お話にもあったように、中国というのは実力を行使されない限りは止まらない。」

「これ絶対止めないですし、強硬な姿勢で、私たちが理解しなくちゃいけないのは、指導者たちが言っているんですけど、国内ではそれを支持する人が多いんですね、それを歓迎する人も多いと。」

「ですから、外交部の報道官の趙立堅というような戦う外交官と言われる人ですとか、戦浪外交、戦う狼の外交と言われるような、そういった姿勢が実はスター扱いされたり、歓迎されたりする。」

「ですから、こういった言葉は“中国が強くなったんだ”という、“共産党はそこまで中国を強くしたんだ”と主張する一つでもあるんだと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきましたが、煎じ詰めると以下のようなことが言えます。

 

・中国は西側諸国からの決定的に強烈な制裁がない限り、香港や台湾に対して自らの望む一国二制度を推し進めている

・対するアメリカは中国に対峙するにあたって、自国の経済への影響をかなり考慮しているので金融制裁のような強力な制裁には踏み込めない

・従って、リスク管理の観点から中国による国家安全維持法の制定前に中国に対して強力な制裁をちらつかせるべきであったが、そうすることはしなかった

・こうした中国共産党の指導方針に基づいた中国の世界制覇に向けた取り組みに対して、アメリカを中心とする西側諸国が中途半端な対応を今後とも続ければ、中国の経済や軍事の強化でアメリカを追い抜いた暁には中国による世界支配が現実化するリスクが高まる

・そうなれば、日本国民も自由と人権を奪われ、暗黒の日々を送ることになる

 

では、肝心な自由主義陣営国の取るべき、中国の覇権主義による世界制覇を阻止するリスク対応策ですが、前回、プロジェクト管理と日常生活 No.688 『中国式“法治”の脅威!』で、法は中国共産党による国民への指導を徹底させるための手段であるとお伝えしました。

ですから、この中国共産党による法の支配の考え方を逆手に取るのです。

具体的には以下のように私は考えます。

・米中の覇権争いを中心とした対立の構図ではなく、「世界人権宣言」のような国連での取り決めをベースに、この取り決めを順守する国々が一致団結して、取り決めを無視する中国に対峙していく

・その際、最悪の場合は中国を国連から締め出して孤立化させるくらいの覚悟を持つ

・また、中国による、こうした取り組みをする各国への個別の経済制裁のリスク対応策として、経済制裁を受けた国に対して、他の国々が影響を最小限に食い止めるような経済支援や優先的な輸入をするといった取り決めをしておく

・同時に中国による軍事的圧力を受けた国に対しては、アメリカ単独ではなく、連合軍として中国に対峙する

 

そもそも現在のような自由や人権を無視している、しかも世界制覇を目論んでいる中国が国連の常任理事国であり続けているという状況がおかしいのです。

 

なお、こうした内容については、これまでも以下のブログなどでお伝えしています。

プロジェクト管理と日常生活 No.680 『激しさを増す米中の経済覇権争いと軍事衝突リスクの回避策!』

プロジェクト管理と日常生活 No.664 『覇権国家の横暴を許さない仕組み作りの必要性!』


 
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2021年04月30日
アイデアよもやま話 No.4943 充電池比10倍のエネルギー密度の驚異的な水素燃料電池!

これまで3回にわたって、EV用バッテリー(蓄電池)関連についてお伝えしてきました。

そうした中、一方で2月4日(木)付けネットニュース(こちらを参照)で充電池比10倍のエネルギー密度の水素燃料電池について取り上げていたのでその一部をご紹介します。

 

・独Fraunhofer研究所が、リチウムイオン充電池の10倍のエネルギー密度で水素を蓄えられ、圧力容器も不要という歯磨き粉状の素材「Powerpaste」を開発したと発表しました。

・水素燃料電池車が使う水素は、圧力容器に35MPa(345気圧)という高圧で圧縮して貯蔵され、使用されます。しかしこのタンクは大柄で重く、電動バイクやスクーターの水素燃料電池に利用するには不都合となります。

Fraunhoferの研究者らは、この問題を解決するため水素化マグネシウムを使って水素を化学的に保存し、必要なときにすぐに放出可能とする安全な方法を作り上げました。

・マグネシウムの粉末は約350°C、大気圧の56倍のプロセスで水素と結合し、水素化マグネシウムになります。そこにエステルと金属塩を加えれば、カートリッジ型の容器に入れられる、歯磨き粉のようなペーストになります。

Powerpasteは、温度環境が250℃までの状態で安定して使え、同じ重さのリチウムイオン電池の10倍のエネルギーを蓄えられるとしています。

・ペーストからエネルギーを取り出すには、必要な量のペーストをチャンバーに押し出し、制御した状態で水と反応させ水素を放出させます。そこから先は通常の燃料電池車と同じ。

・なぜここまでのエネルギー密度を取り出せるのかと言えば、最終的にエネルギーに変換される水素のおよそ半分がペーストと反応させるための水からも供給されるから。

 

以上、記事の一部をご紹介してきました。

 

現在、日本ではアイデアよもやま話 No.4719 ノーベル化学賞受賞者、吉野彰博士からのメッセージ その2 本来のゴールとは・・・でもお伝えしたように、近い将来EV用次世代バッテリーは全個体電池が主流になると見込まれています。

そして、アイデアよもやま話 No.4738 1000km走るEVが10年後には実用化!?で10年後には全個体電池のエネルギー密度をリチウムイオン電池の7倍に高めるメドをつけたとお伝えしました。

ところが、来年には航続距離1000kmの個体電池が登場するという情報もあります。(参照:アイデアよもやま話 No.4942 早くも来年には航続距離1000kmの個体電池が登場!?

 

一方、今回ご紹介した水素燃料電池は、リチウムイオン充電池の10倍のエネルギー密度で水素を蓄えられ、圧力容器も不要というのです。

固体電池と水素燃料電池、そのどちらも共通点は高いエネルギー密度と安全性です。

今回ご紹介した記事を受けて、今後のクルマの動力源は全個体電池と新型水素燃料電池という2つの大きな方向性を持つことが言えます。

 

ということで、まだまだ全個体電池と水素燃料電池とのし烈な開発競争は続きます。

そして、究極のクルマの動力源はこの2つのどちらになるか今のところ分かりません。

もしかしたら用途に応じて併存する状態が続くかもしれません。


 
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2021年04月29日
アイデアよもやま話 No.4942 早くも来年には航続距離1000kmの個体電池が登場!?

4月27日(火)付けネットニュース(こちらを参照)で2022年には登場する航続距離1000kmの個体電池について取り上げていたのでその一部をご紹介します。

 

(航続距離1000kmの個体電池)

・4月19日に開幕した上海モーターショーに先立つこと3ヵ月、中国の新興EVメーカーが夢の次世代バッテリー「全固体電池」を世界で初めて実用化したというニュースが一部で話題になった。

・次世代バッテリー開発で注目を集めた中国メーカーとは、2014年創業の「NIO(上海蔚来汽車)」で、1月に開いたイベントで突如「22年中に航続距離が1000キロを超える『固体電池』を投入する」と明らかにしたのだ。日本を代表する電気自動車・日産リーフの航続距離が500キロ前後なので、驚きの高性能だ。

・EVの普及のカギはなんと言ってもバッテリーの性能アップだ。現在主流の、リチウムイオン電池(電池内部に電解液という液体が使われている)の性能も日に日に向上しているが、やはり航続距離や充電時間という点で、ガソリン車の便利さにかなわない。

・これに対し「全固体電池」と呼ばれる電解液を使わない電池は、容量の大幅アップや、充電時間の短縮が期待できるとされ、EVに対するユーザーの不満を劇的に減らす「夢の電池」になり得るとも目されている。

・NIOは「固体電池」という表現を使い、詳細は明らかにしていないのだが、もしこれが「全固体電池」であれば、衝撃的なニュースだ。ただ中国メディアのなかには、全固体の一歩手前の技術「半固体電池」なのではないかとの指摘もあり、真相ははっきりしない。

・しかし、記者による取材によれば、半固体より進んだ、最新の量産固体電池だが、全固体電池とは言えないという。

 

以上、記事の一部をご紹介してきました。

 

まず、個体電池といえば、これまで全個体電池が話題になっており、全て全個体電池だとばかり思っていました。

しかし、「半固体電池」という電池の存在をこの記事で知りました。

そして、NIOは半固体より進んだ、最新の量産固体電池を開発したといいます。

 

それはともかく、2022年には航続距離が1000kmを超える固体電池を投入すると明らかにしたのは衝撃的です。

昨年9月、航続距離1000kmのEVが10年後には実用化するとお伝えしましたが、早くも来年には登場するというのですから。(参照:アイデアよもやま話 No.4738 1000km走るEVが10年後には実用化!?

この個体電池の登場で、一気にEVの普及に弾みがつくと思われます。

なお、日本ではトヨタ自動車が全個体電池の開発に非常に力を入れており、2020年代前半での実用化を目指しているといいます。((詳細はこちらを参照)

ですから、トヨタが全個体電池を搭載したEVをどの程度の航続距離、あるいは価格で市販化するのかとても楽しみです。

ということで、2022年はEVの本格的、かつ世界的な普及のスタートポイントになりそうです。

 

なお、NIOはEVメーカーでもあり、全てバッテリー交換式というユニークな戦略を取っています。

この件については、いずれ別の機会にご紹介します。


 
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2021年04月28日
アイデアよもやま話 No.4941 東北大が大容量化が可能なカルシウムイオン電池電解質を開発!

4月7日(水)付けネット記事(こちらを参照)で東北大学による大容量化が可能なカルシウムイオン電池電解質の開発について取り上げていたのでその一部をご紹介します。

 

・現在の二次電池はリチウムイオンが主流だが、電池容量がすでに理論的な限界に近づいており、リチウムやコバルトなどの希少金属を用いているため、資源確保やコストなどの観点から課題が指摘されている。

・一方で、カルシウムは地殻中に5番目に多く存在する豊富な元素で、その金属電極は低い酸化還元電位を併せ持つため、資源性と電池容量の観点から、次世代蓄電デバイスに用いる元素として有望視され、カルシウムイオン電池が期待されている。

・カルシウムイオン電池の実用化におけるボトルネックは電解質だが、 今回の研究では、水素クラスターを用いたカルシウム電解質を新たに合成。固体電解質と液体電解液のそれぞれの可能性を検討したところ、優れた電気化学特性を示した。

 

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

前回、10分の急速充電を可能としたEV用バッテリーについてご紹介しましたが、EV用バッテリーは現在リチウムイオンバッテリーが主流でその原材料には希少金属が含まれ、その多くは中国原産といいます。

ですから、中国との関係如何で輸入が制限されるリスクがあります。

そうした中、今回ご紹介したバッテリーは、希少金属の代替として豊富な元素、カルシウムを使用しているのでこうしたリスクを回避出来るし、原料コストも大幅に安くなると期待出来ます。

 

ということで、多少バッテリーとしての性能は低くなっても、原料を国内で自給出来るという要件はいざという時のリスク回避策としてとても重要だと思います。

しかも、この研究では固体電解質としても優れた電気化学特性を示したといいますから、全個体電池としての可能性も秘められています。

ですから、EVの普及を加速させるために是非実用化に向けてスピーディに研究を進めていただきたいと思います。


 
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2021年04月27日
アイデアよもやま話 No.4940 10分の急速充電を可能としたEV用バッテリー!

EV(電気自動車)と言えば、その普及に向けて以下のように様々な問題が指摘されています。

・バッテリーの充電時間の長さ

・フル充電での航続距離の短さ

・バッテリーの価格の高さ

・バッテリーの寿命の短さ

・バッテリーの安全性

・充電インフラの整備遅れ

 

そうした中、1月19日(火)付けネット記事(こちらを参照)で10分の急速充電を可能としたバッテリーについて取り上げていたのでその要旨をご紹介します。 

 

ペンシルベニア州立大学の研究チームは、EVに係る様々な問題を解消するEV用バッテリーを開発したと報告しています。

 

研究者によると、このバッテリーは10分以内の急速充電が可能で、走行距離は400km以上、長寿命で320万km以上を交換無しで走行でき、値段も大衆向けに安価に抑えられ、小型で安全性も高いのだといいます。

 

研究者はその鍵が、急速な加熱にあるのだといいます。

今回の研究で開発されたバッテリーは、長寿命、急速充電を実現するために60℃近くまで急速に加熱し、バッテリーが機能していない時に冷却する機能を持っているのだといいます。

バッテリーに使用されるリチウムイオン電池は、周囲の温度が10℃未満の状態で急速に充電されると劣化する性質があります。

低温では、リチウムイオンがスムーズに陽極へ挿入されず、陽極表面にいびつに堆積しリチウムスパイクを発生させます。

これによりバッテリーは容量を減らし、さらに短時間に大きな電圧がかかる危険な状態を引き起こしてしまいます。

 

今回の研究チームは、バッテリーが60℃まで加熱されると、このリチウムスパイクが形成されず、バッテリーの熱劣化も発生しないことを発見しました。

そこでチームは、充電時のバッテリーにニッケル箔を使った3番目の端子を作成し、最初は電子がニッケル箔に流れ込み、抵抗加熱によって急速にバッテリー内部が温められる仕組みを作成しました。

バッテリー内部が60℃まで温まると、温度センサーがスイッチを切り替えて通常の充電が開始されます。

ただ、バッテリーを60℃まで加熱することは、バッテリー研究の分野では危険なことだと考えられています。

研究チームはこの問題を、車に組み込まれたラジエーターを使って急速に冷却するシステムを組み込むことで解決させました。

 

今回のバッテリーは急速に加熱することで、急速充電と安全性、さらに低コスト化と軽量化を実現させたのです。

研究チームのワン氏によると、この小さなバッテリーは加熱すると大量の電力を生成でき、時速0kmから時速100km近くまで3秒で加速する、ポルシェのような走行感が実現出来ると語っています。

 

以上、ネット記事の一部をご紹介してきました。

 

今回ご紹介したリチウムイオンバッテリーについて、その特徴を以下にまとめてみました。

・60℃近くまで急速に加熱し、バッテリーが機能していない時に冷却する機能を持っている

・10分以内の急速充電が可能である

・フル充電での走行距離は400km以上である

・320万km以上を交換無しで走行出来る

・価格は大衆向けに安価に抑えられる

・小型で安全性も高い

・時速0kmから時速100km近くまで3秒の加速性能がある

 

こうしてまとめてみると、今回ご紹介したリチウムイオンバッテリーは既存のバッテリーの改良版ということになりますが、それでも現行のリチウムイオンバッテリーの弱点をほとんどカバー出来ると見込まれます。

ただし、記事では市販化の時期については触れられていないので、タイミングによっては全固体電池(参照:アイデアよもやま話 No.4738 1000km走るEVが10年後には実用化!?)の登場によって立ち位置がなくなってしまう可能性があります。

しかし、今回ご紹介した研究成果の一部のアイデアは全個体電池に応用出来るのではないかと思われます。

いずれにしても、今後短期間のうちに製品化出来れば、全個体電池の実用化までのつなぎとしてとても有効だと思います。

 

なお、4月7日(水)付けネット記事(こちらを参照)でもリチウムイオン電池の10倍の速さで充電可能なバッテリーについて取り上げています。

ですから、今回ご紹介したようなバッテリーの開発は世界各国の研究機関や関連企業でし烈な競争が繰り広げられているようです。


 
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2021年04月26日
アイデアよもやま話 No.4939 世界的なEVシフトの背景!

昨年12月9日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で世界的なEV(電気自動車)シフトの背景について取り上げていたのでご紹介します。

 

立教大学ビジネススクール教授の田中道昭さんは次のようにおっしゃっています。

「(菅政権が進めるエコカー減税は“脱ガソリン車”を後押しすることになるが、海外では一足先に進んでおり、こうした背景について、)国内でも菅政権になってから一気に矢継ぎ早に政策が出されていますけれども、やはり海外の動きを理解するためのキーワードとして、「環境正義」と「国の威信」ということかと・・・」

「気候変動の対策においては、バイデン新政権においても使われているキーワードで“Environmental justice”ということで、単なる国際的ルールではなくて、正義感、使命感として推し進めていくんだということで、非常に強い意志が伺えるということですね。」

「それから国の威信というのは主要国の一番の国策的産業が自動車産業ですよね。」

「ですから自動車産業を巡る国の威信を賭けた戦いということで、この辺が背景が背後にあるということですね。」

「(海外では既にEVシフトがかなり鮮明になってきているが、)この4年間で中国と欧州が手を携えてEVシフトしてきましたし、バイデン新政権では実は新たな計画としてなんと50万ヵ所のEV充電ステーションを作ろうという計画を打ち出しているので、やはり海外では完全にEVシフトの動きが鮮明になっているというところだと思います。」

「(一方、)日本は今まで全方位戦略だったんですね。」

「ですから、全方位戦略ではなくて、これだけ海外でEVシフトの動きが鮮明になっているので、やはり国内でもEVシフトによりギアを入れるというところが求められていると思いますね。」

 

さて、CO2の排出を減らす取り組みが日本でも加速してきていますが、これから重要なキーワードになりそうなのが、「非化石証書」です。

解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「(非化石証書」は)まさに「CO2を出してませんよ」という電源の証明なんですけれども、やはり自動車メーカーですね。」

「例えばEVを作る生産過程でエネルギーをいっぱい使うということで、そのエネルギーについてはCO2を使っていませんよ(CO2を排出していない)という証明が必要になってくるわけです。」

「(それはなぜ必要になっているのかについて、)例えば輸出する時にお墨付きにする必要があるわけですよね。」

「ただその際にはどんな発電所で発電していたのかなどを丁寧にトレーサビリティ(追跡)していく必要があるんですね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

世界的なEVシフトの背景として、田中教授は「環境正義」と「国の威信」の2つを挙げられております。

更にその背景にはSDGs(持続可能な開発目標)(参照:No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!)があります。

もう一つは、欧米、および中国の自動車メーカーが日本の自動車メーカーのハイブリッド技術に追いつくためには時間がかかるので、一足飛びにEVの開発を進め、EVで日本製のEVと対抗しようという狙いがあります。(参照:アイデアよもやま話 No.4168 2050年に100%電動車化へ!

要するに、欧米、および中国の自動車メーカーの生き残り戦略としてEV化を決断し、それがSDGsの要件にもピタリとはまっているのです。

 

いずれにしても自動車メーカーの目論見とは別に、今や“持続可能な社会”、あるいはSDGsをキーワードに世界各国のメーカー、あるいは人々の暮らしはこうした方向に動き出しているのです。

そして、こうしたキーワードに反した企業は淘汰されていく運命なのです。

 

その具体的なかたちの一つが番組の最後で紹介された非化石証書」です。

そして、純粋なEV以外の日本の自動車メーカーが先行しているハイブリッド車などはこの非化石証書」を取得出来ず、いずれ各国の規制次第で輸出が出来なくなるのです。

しかもEVの生産量では日本の自動車メーカーは立ち遅れており、しかも主要国の一番の国策的産業は自動車産業といいますから、こうした状況はいずれ日本経済に少なからず影響を与えると見込まれます。

ですから、一刻も早く、日本の自動車メーカーもEVシフトに向けて全力で取り組んでいただきたいと思います。

なお、非化石証書」についての詳しい内容はこちらを参照して下さい。

 

さて、私にはEVに限らずエネルギー全体に及ぶ、すぐにでも取り組める秘策があります。

この秘策はこれまでの約10年間にわたる私の様々な入手情報や個人的なアイデアの集積に裏打ちされています。

そして、そこには巨額にわたる新たな需要が横たわっているのです。

ただし、そのためにはいくつかの企業の協力が必要となります。

ご興味のある企業がございましたら、別途お問い合わせ下さい。


 
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2021年04月25日
No.4938 ちょっと一休み その771 『状況証拠から言える新型コロナウイルスの発生源国!』

2月16日(火)付けネットニュース(こちらを参照)で状況証拠から言える新型コロナウイルスの発生源国について取り上げていたのでその主な内容を以下にまとめました。

 

・中国は約1年間、WHOの本格的調査を拒否していたが、1年あれば、痕跡を消滅させることも容易である。

・ようやく武漢入りした調査団だが、華南市場の調査は1時間強で打ち切られた。

・WHOは武漢ウイルス研究所からのコロナウイルス流出の可能性を否定し、発生源についても武漢市以外である可能性を示した。

・ここ数年、WHOは中国寄りの言動が目立つ。特に新型コロナに関しては露骨だ。

・中国以外の地域から感染が始まったとする証拠は極めて限られている。

・武漢で昨年1月に感染が拡大した際、中国の対応は遅れた。

・当局は異変を告発した医師を処分し、情報を隠蔽した。

・WHOが昨年2月と7月に専門家を派遣した時も、中国は『終息が先だ』などとして、積極的に協力しなかった。

 

こうした状況証拠をまとめてみると、やはり中国が新型コロナウイルスの発生源国である可能性は非常に高いと思われます。

またこの件からも中国政府の隠ぺい体質が露骨に表れています。

 

いずれにしても新型コロナウイルスの発生源、そして感染拡大の経緯を明らかにすることは今後も間違いなく発生するウイルス感染の再発防止策の検討にとってとても有益です。

それに対して、中国が隠ぺいを図って非協力的であるということはとても罪が重いと言えます。

 

なお、読売社説は「調査対象国の主権が優先され、自発的な協力を待つしかない仕組みには問題が多い。今回の事態を機に、改革を急ぐ必要がある」とWHO調査の問題点を挙げていますが、まさにその通りだと思います。

そして、報じられているように、もしテドロスWHO事務局長が習近平国家主席と特別に親しい関係にあり、中国寄りの対応をしてきたということが事実であれば、この罪も非常に重いと思います。

 

こうしたことから、今回の新型コロナウイルスの感染拡大のような件への国際的な対応として、以下のような仕組みが必要だと思います。

・ウイルスの感染源国は速やかに国連にその状況を通知する

・WHOは客観的な判断に基づき、速やかにウイルス感染拡大阻止に向けて取り組む

・第三者調査団の調査をタイムリーに進める

・感染源国と見なされた国は、その調査に全面的に協力する

・その代わり、感染源国の責任は一切問わない

 

仮にこのような仕組みが事前に確立されていれば、今回の新型コロナウイルスの感染拡大は昨年のうちに収束に向かっており、世界的な感染拡大も回避され、東京オリンピック・パラリンピックも無事に昨年予定通り開催されていた可能性がとても高かったのです。

 

ということで、人類の知恵の結集次第で、新型コロナウイルスの感染拡大に限らず、世界的に取り組むべき大きい課題や問題の解決が図られるのです。

是非、世界各国の指導者には、自国ファーストではなく、人類の共存、あるいは平和という視点に立って物事の判断をしていただきたいと思います。

中でも特に米中2大大国の指導者がその気になれば、世界はあるべき良い方向へと変わり得るのです。

そういう意味で、米中の指導者の責任は重大です。

ですから、バイデン大統領、および習近平国家主席には是非こうした自覚を持っていただきたいと切に願います。


 
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2021年04月24日
プロジェクト管理と日常生活 No.690 『中国式“法治”の脅威!』

昨年11月27日(金)放送の「深層ニュース」(BS日テレ)で中国式“法治”の脅威について取り上げていたのでご紹介します。

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

中国国営の新華社通信によると、習近平国家主席は、11月16日〜17日に開かれた「法治」に関する党の重要な会議で「立法、法執行、司法などの手段を総合的に使って闘争を繰り広げなければならない」と述べたといいます。

この習近平国家主席の発言の狙いについて、元香港総領事館専門委員、外務省専門分析員などを歴任し、中国情勢に詳しい神田外語大学教授の興梠一郎さんは次のようにおっしゃっています。

「これは原文を見ると、「法に従って国を治める」と書いてあるので、日本流にいう法治ではないですね。」

「要するに、法律というものを使って統治する。」

「それから、これの最も大事なポイントとして、習近平氏が言っているは“党の指導”、党がいわゆる日本流に言えば“法治”ですね。」

「“法”を使って国を治めるということに対する、党の指導というのがトップにきている。」

「だから、党が法治の対象ではない。」

「つまり法の支配じゃないですね。」

Rule of Lawじゃなくて、Rule by Lawなんです。」

「(つまり、本来は法律によって統治者をコントロールするべきものが、党の指導を徹底するために法律を道具として使うということなのかという問いに対して、)国家管理というわけですね、“治国”。」

「彼(習近平国家主席)になってから頻繁に使っていますけどね。」

「中国の伝統的な法家、その思想ですよね。」

「ですから、西洋流のRule of Lawじゃないんですね。」

「統治手段としての法律。」

「で、共産党はそれを指導する対象であって、法の下に置かれてはいない。」

 

また、同じく中国情勢に詳しく、元海上自衛官で駐中国防衛駐在官などを務めた笹川平和財団上席研究員の小原凡司さんは次のようにおっしゃっています。

「中国でいう法律は、今興梠さんがおっしゃっている、日本でいう法律とは意味が違いうと思います。」

「というのも中国では中国共産党が全てに超越する存在で、憲法よりも上にあるんですよね。」

「ですから中国では共産党の目的遂行のためのあらゆる行為が正当化されると。」

「その目的とは何なのだというと、中国共産党が、彼らは永遠にと思っているでしょうけれども、長期にわたって統治を続けることだと。」

「今、そのための根拠を与えるものとして、法を使うという考え方なんだと思います。」

 

その中国式の法治で象徴的なものが、習指導部が香港の統制を強化するために今年施行した香港国家安全維持法です。

香港の一国二制度が揺らぐ中、中国が更なる動きを見せています。

中国の国会に当たる全人代が11月11日、香港の議員資格に中国や香港政府に忠誠を誓うなどの新条件を定めました。

香港政府は即日、これを根拠に民主派議員4人の資格はく奪を発表しています。

また、新条件では香港独立を主張し、外国に香港への介入を求めても議員資格を失うと定められています。

習指導部がアメリカの政権移行期に空白を狙って民主派への更なる締め付けに踏み切ったとう見方もある中で、笹川さんは次のようにおっしゃっています。

「おっしゃる側面はあると思うんですが、ただアメリカの政権移行期の空白がなければやらなかったのかというとそんなことはないんですね。」

「やるかやらないかの問題ではなくて、いつやるかという問題なんだと思います。」

「中国にとって共産党が指導的な地位を継続することは絶対的な正義なので、その正義のために行われることは全て正当化される。」

「で、香港の一国二制度、これは元々台湾に対して言おうとしていたことですけど、一国二制度というのは過渡期であって、その間も中国共産党の指導は行き渡っていなければならないというのが中国共産党の考え方ですから、それを徹底するためにどのような手段を取ろうと、それは中国では正当化されるということなんだろうと思います。」

 

また、興梠さんは次のようにおっしゃっています。

「この議員の資格をはく奪したっていう、これ4人ですよね。」

「それが11月11日でしたね、全人代の常務委員会がそういう措置を発表したということで。」

「実はその2日前の9日にアメリカが中国の香港を管轄する香港マカオ(事務)弁公室の副主任という4人を制裁対象にすると発表しているんですよ。」

「4対4なんです。」

「それはあまり報道されてないんですが、実はこれ仕返しなんですね。」

「それでプラス4人がなんで問題なのかっていう理由の一つとして、要するにアメリカに制裁を働きかけたっていう、香港の人権侵害を行っていると言われる香港関係の官僚に対して。」

「それが一つ理由に入っていると。」

「で、もう一つ大事なのは今回この4人を本当は議員の資格をはく奪するっていうのは立法会という香港の議会で、議会の3分の2で決定するわけですよ。」

「犯罪を犯したとか、1ヵ月以上収監されたとか、決まりがあるんですよね、基本法というのが。」

「だから今回だけそういう議会を飛び越えて中国の全人代の常務委員会で決めて、それで香港政府がこの人は資格がないって決めたら、資格はく奪をやっちゃったわけですよ。」

「それでその理由が、これからこれが法的規範になるんだと書いてあって、法的規範というのが政治的しきたりなんだって書いてある。」

「基本が愛国精神、彼らには愛国精神がないっていう超法規的な理由なんですね。」

「(つまり中国に対して愛国精神がないと見られると、香港の議会での賛同がなくても中国からダイレクトに処罰が下る、そういう前例が出来てしまったということなのかという問いに対して、)そうですね、それを執行するのは香港政府ということだけど、北京が「この人は駄目ですよ」と言うと、香港がやると。」

「そこに、その規範が香港の愛国者がやるべきで、それが政治的しきたりで、それが法律規範になるんだと堂々と言っているわけだから。」

「(愛国というゆるい理由で、それを法律的規範に結びつけてしまうというのはめちゃくちゃではないかという指摘に対して、)めちゃくちゃですね。」

「だから基本法も全く無視しているしね。」

「基本法には議員がちゃんと議論することになっている。」

「もう一つは愛国の定義ですよね。」

「あの人たち(議員の資格をはく奪された4人)は愛国者ですよね。」

「香港を民主化して基本法に則ってやろうという人達なわけだから。」

「でも共産党にとっては脅威だっていうことだから。」

「中国では(共産)党イコール国なんですから。」

 

その香港では今週月曜日(11月23日)、無許可の集会を扇動したなどとして、公安条例違反罪に問われた“民主の女神”、周庭さんたち、香港の民主活動家3名が有罪と認定され、ただちに収監されました。

こうした状況について、小原さんは次のようにおっしゃっています。

「元々一国二制度というのは過渡期だけの話であって、しかもその間も中国の統治をやるということは変わらないんですよね。」

「ですから、先ほどいかなる行為、それも中国の正義を守るためであれば、中国にとっては正義というのは共産党の統治ですから、それを守るためのいかなる行為も正当化される。」

「ただ正当化と言っても、それを法律に則って行うと言いたいがための法の整備ということになりますし、法律は国家安全維持法を見てもそうですけれど、何をやったらこれに抵触するのか分からないんですね。」

「非常に恣意的にその罪状が決められるような内容で法律を全部作っていくと、中国がやりたいことをやろうとした時にどの条文でも当てはめられると。」

「これに該当したということが言えるんだろうと。」

「後は愛国主義教育と言っていますけども、結局は香港に根付いている自由や民主主義という考え方を根こそぎ無くすということですから、そういった意味では今アメリカやイギリス、その他の西欧先進諸国が批判している、新疆ウイグル自治区における少数民族に対する弾圧と根は同じだということが言えると思います。」

 

「(内モンゴル自治区でも中国語教育が押し付けられていたり、学校教育の中にも入り込んできているが、その理由について、)やはり異質な分子がいるというのが非常に怖いんですね。」

「中国共産党は実は非常に怖がりで、自分たちが革命で政権を取った政党ですよね。」

「で、革命というのは暴力ですから、そして今も権威主義国家であり、選挙では政権交代しない。」

「ということは、革命でしか交代しないだろうと考えると、いつ自分たちがそういう目に遭わされるか分からないという恐怖心は常に持っていますから、そうすると異質な人たちがいるというのはとても怖い。」

「自分たちと違うのも怖いし、反対されるのも怖い。」

「だったら同一化してしまうことが一番早いんだと。」

「ですから、モンゴルにしろ新彊にしろ、言語ですとか文化そのものを無くしてしまって漢民族化してしまう。」

「そのために漢民族も大量に入り込んでいますし、そういった入り込んだ人たちが元々そこに住んでいた少数民族たちにどんどん入り込んでいって、そこでも漢民族の文化、あるいは中国語を広めていって、元々のものを無くしてしまう。」

「そういったことが実は香港でも自由や民主主義といった価値観を無くしてしまうという方向に動こうとしている。」

「そこにつながっているのではないかと思います。」

 

興梠さんは次のようにおっしゃっています。

「つまり、多様性を一切排除して、単一にすることによって簡単にひっくり返せない政府を作ろうということで、天安門事件の時、中国政府は武力で鎮圧しようとしたが、今、それが法律に取って代わっているということなのかという問いに対して、)その後、やっぱり愛国教育をやらなきゃいけないという方針になったわけですよね。」

「西側の影響を1980年代にものすごく受けたので、若い人たちが。」

「だからその後は国家意識を持ってきたと。」

「今、香港ではそれが行われているわけですよ。」

「中国は1950年代以降、共産党が政権を取って49年、思想改造をずっとやってきましたから。」

「要するに、西側の影響を大学とか宗教の世界とかから全部排除して、そこを共産党がコントロールしていくと。」

「だから一番大事にするのは教育なんですね。」

「今、香港で行われているのは、例えば教科書を変えるとか、特に歴史ですよね。」

「歴史観を変えるって非常に大事で、共産党にとっては。」

「ですから教科書を中国の教科書に変えようという動きが今あるしね。」

「(すると)歴史観が変わるわけですよ。」

「で、もう一つはやはり香港というのはイギリス式のリベラルスタディスという教育をやっているわけですね。」

「中国で「通式」って書きますけど、それは何かというとディスカッションなんですよ。」

「例えば天安門事件について今日議論すると(いうように)平気でやっているわけですよ、先生が。」

「環境問題とか天安門事件とか。」

「(中国共産党は)それがもう嫌なんですよね。」

「で、今回、??報告でもそこがおかしいって言ってますよ、(香港の行政長官、)林鄭月娥さんは。」

「それは中央政府の意向なんです。」

「だから司法機関と教育がなっちゃいないって繰り返し言い続けているんです、中国の人民日報なんかでは。」

「そこに、そこの社会の価値観とかが出ますよね」

「だから西側の三権分立とかも教科書から外せって言っているし、もう完全に改造が始まっているんですよ。」

「要するに、中国化っていうよりも中国共産党が大陸でやってきた手法をそのまま今移植してやろうとしているから、10年後、20年後に香港の若い人はどうなっているかって。」

「デモもすることもないような人間が出来上がってくる。」

「(今は授業で賛成と反対に分かれて天安門事件を議論したりとか出来ますが、)出来ないです。」

「教員が今度は問われるようになります。」

「(そうすると香港の象徴だった言論の自由は損なわれるのではという指摘に対して、)それは既に始まっていますよね。)」

「だって、この国家安全維持法で何でも引っかかっちゃうわけですから。」

「最高刑で終身刑ですから、もう既にみんな民主派の人たちも組織を解体したり、なりを潜めて発信も出来なくなってきているし。」

「これは大変な威嚇効果があるわけです。」

 

小原さんは次のようにおっしゃっています。

「(確かにイギリスのガーディアン紙によると、林鄭月娥行政長官は施政方針演説で、去年の反政府デモなどで逮捕された若者らのうち、2300人余りが起訴されたということを明らかにしているが、その上で罪を反省するなど、条件をクリアすれば恩赦をする可能性を示唆しているが、これだけの人数の若者が起訴されると、若者は委縮してものが言えなくなってしまうのではないかという指摘に対して、)もともと中国って自主規制の社会なので、自分から安全な方へ動くように仕向けるというのがだいたいやり方なんです。」

「ですから、上が具体的なことは言わない。」

「でも、下はその意をくんで自分が一番安全な行動を取ろうとする。」

「で、その人も下に対して具体的な指示はしない。」

「なので、どんどんみんな上を見ながら安全な方へ、安全な方へと行くので極端な行動になって出たりする、多いんですけど、香港でも自分たちが進んで中国共産党に従うという意思を示しなさい、そしてそのように行動しなさいと、」

「そうすることによって、香港という社会がより今、中国共産党が統一する社会らしくなっていく。」

「自分たちで考えて、自分たちで有無を言うのではないと。」

「ですから、先ほどお話がありましたけど、中国大陸の大学では数年前に???といって7つの言ってはいけないことまで示されて、講義の中で使ってはいけない言葉は7つ示されたりしたんですね。」

「ですから、民主主義だとか、先ほどからお話に出ているような西洋民主主義に関する言葉というのは講義の中でさえ使ってはいけないということになっている。」

「ですから、そういったものを含めて、香港の中でも中国共産党が統一する社会というものを実現しようという現れなんだと思いますね。」

「(私(メインキャスターの鈴木あづささん)が北京に駐在していた時に、電話をしている時に絶対言ってはいけない言葉、これ言うと電話線が切れるとスタッフに言われていた言葉がいくつかあったが、香港警察が今月5日に反政府行為を取り締まる香港国家安全維持法に違反した行為を市民が通報出来る“告発ホットライン”を開設しており、市民同士で監視させることによって、民主派の活動を抑え込むと、つまり市民同士が監視の目を光らせる中国式の統治が香港にも導入しつつあるということなのかという問いに対して、)おっしゃる通りだと思います。」

「中国では、しかも他人を告発する行為を美談として映画化なども過去にはしたりしていますから、その中では自分の親を告発した青年が英雄として扱われるわけですけど、そういったことを香港でも広めていく。」

「そして告発した人には褒章も与えられる、いろんな特典が与えられたりもするわけですし、しなかったらしなかったで、見過ごしたといって罪に問われる可能性すらあるということになると、一般的な人はそういった方向に従う方が楽だと考えるかもしれないです。」

「(賞金まで政府が出すのかという問いに対して、)賞金になるのか、例えば公共サービスを優先的に受けられるといったような特典だったりですとか、そこは具体的には分かりませんけど、実際に現在でも中国大陸の方では??という単位があって、そこでいろいろ特典制になっていますから、良いことをすると公共サービスがより多く受けられるですとか、悪いと公共サービスが受けられないといったような差別化が図られるので、そういったことが香港でも行われる可能性はあると思います。」

「(つまり国の価値尺度による優良市民の選別が行われているということなのかという問いに対して、)はい。」

「しかも公的機関だけで一人ひとりを全て見張るということはほぼ不可能なので、ということは社会全体でお互いに目を光らせた方が効果的ですし、更に社会全体が反中国、反共産党になりにくいといった効果もあると思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して、中国式“法治”の基本的な考え方、および具体策について以下にまとめてみました。

(中国式“法治”の基本的な考え方)

・中国共産党が全てに超越する存在であり、中国共産党イコール中国である

・従って、中国共産党は憲法よりも上にあり、法治の対象外である

・また、中国共産党が指導的な地位を継続することは絶対的な正義である

・法は、中国共産党による国民への指導を徹底させるための手段である

・また、中国共産党の目的遂行のためのあらゆる行為は正当化される

・こうしたことの目的は、中国共産党が長期にわたって統治を続けることにある

 

(中国式“法治”の具体策)

・台湾および香港を統一するまでの過渡期は一国二制度を運用する

・しかし、その間も香港国家安全維持法の施行など台湾政府や香港政府の法律制度を無視して、中国共産党の指導を行き渡らせる

・香港国家安全維持法(最高刑で終身刑)は内容があいまいで、中国共産党がやりたいことをやろうとした時にどの条文でも当てはめられるようにしている

・香港国家安全維持法に違反した行為を市民が通報出来る“告発ホットライン”を開設しており、市民同士で監視させることによって、市民同士が監視の目を光らせる中国式の統治を香港にも導入している

・愛国主義教育の徹底により、自由や民主主義という考え方を根こそぎ無くし、思想改造により中国共産党への崇拝を徹底させる

・少数民族の弾圧により漢民族への同化を図る

 

こうしてまとめてみると、中国においては2つのことが言えると思います。

・“まず中国共産党ありき”で、まず党幹部とその親族が、そして次に党員が優遇されるという具合に階級社会であること

・自由主義や民主主義は“反社会的”と見なされ、処罰の対象となること

 

そして、こうした習近平国家主席が率いる中国は今や覇権主義を振りかざし、世界制覇を目指していると見られています。

ですから、自由主義や民主主義を信条とする日本は、中国による侵略リスクを軽減するために、他の自由・民主主義陣営国との共同戦線で中国の覇権主義に対抗していくことが求められるのです。

そしてリスク管理のキーポイントは出来るだけリスクが小さいうちに対応策を実施することにあるのです。


 
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2021年04月23日
アイデアよもやま話 No.4937 ”補償無し”で苦しむ非正規社員とその対応策!

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、個人向けの支援策として休業支援金や給付金が取りざたされています。

そうした中、1月8日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で”補償無し”で苦しむ非正規社員とその対応策について取り上げていたのでご紹介します。 

 

政府の新型コロナ感染症の対策分科会メンバーで、東京財団政策研究所 研究主幹の小林敬一郎さんは次のようにおっしゃっています。

「(分科会の中で、これまで緊急事態宣言が出た時に補償をどうするかという議論についてなされていたのかという問いに対して、)そういう具体的な補償についての議論はもう少し後でやろうというような考え方になっていたので、まだそこに至ってない段階で急激に突貫工事で議論が進んでいったという感じなんです。」

「ですから十分に少なくとも分科会の我々の中では補償の問題は議論する時間がなかったという感覚を持っていますね。」

「(そうすると政府から出た案だということなのかという指摘に対して、)はい、そうです。」

「(今回出された支援制度(*)の評価について、)いろいろ出てきていますけども、特に飲食店の営業時間の短縮に関連して、サプライチェーンでつながっている仕入れ業者とか農家のみなさんとか、関連業界に対する支援が不十分かもしれないとか、非正規のアルバイトの方たちに対する支援が十分ではないので、不公平な感じがあるということ、それをどうするのかということですね。」

「(給付金などが企業から支払われないし、国からも救済措置がないという状況について、)本来は企業が払うべき義務があって、補償金の休業補償を受け取る権利があるはずなんですけれど、ちょっとうまくそういう制度が運用されてないんじゃないかという気がしますね。」

 

「(非正規の社員の方が弱い立場になっている、そういった方にもどうにか支援が出来ないか、何か考えて方策はあるのかという問いに対して、)私は個人の立場の弱い人に対しての支援として、所得連動型の現金給付制度を提案しておりまして、これは要するに生活困窮した人が税務署などに申請すれば、最低限の生活を補償するために月々10万円とか15万円を生活保護と同じようなレベルの給付金を毎月受け取れるというようにして、事前審査なしで迅速に支払うと。」

「事前審査は時間がかかりますから、それをやらずに支払う。」

「その代わり、年末の確定申告、納税の時に合わせて、もし所得が高かったということが分かったら、給付金は上乗せ課税として返していただくと。」

「所得が本当に低かった人からは返してもらわないというふうにして、そこで公平性を保とうと、そういう考え方なんです。」

「(実際にこの案は今皆さんに提案しているのかという問いに対して、)いろんなところで提案しているんですけど、ちょっと政府や公的な議案の中には載っていない。」

「ただ、オーストラリアの大学の学生ローンでこういう仕組みが既にあるので、前例としては世界の中では似たような制度が行われているということは強調したいと思いますけどね。」

 

   主な支援制度

企業向け:

 持続化給付金(300万円)

 家賃(100万円6ヵ月)

 雇用調整助成金(大企業も助成率10割)

 飲食店に協力金(1

店舗6万円)

個人向け:

 休業支援金・給付金(賃金の8割)

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

そもそも非正規社員の割合ですが、男性22.3%、女性56.4%といいます。(2020年公開版)

ですから、特に女性の場合は従業員の半分以上は非正規社員であるにも係わらず、小林さんの指摘されているように、支援が十分でなく、不公平感があるというのはうなずけます。

そして、男女の自殺者数のトレンドでも女性の増加率が男性を上回っているところもこうした状況が影響を与えていると見られています。

 

さて、小林さんが提案されている所得連動型の現金給付制度はこうした方々への対応策としてとても良いアイデアだと思います。

しかもオーストラリアの大学の学生ローンでこういう仕組みが既にあるといいますから、こうした取り組みを参考にして日本の政府も早急に検討していただきたいと思います。

 

なお、こうした迅速な支援策をいざ実施しようとすると、IT による支援、すなわちデジタル化が必須となります。

なぜならば、デジタル化無しにタイムリーな現金給付は出来ないからです。

しかも人手による作業では人件費がかかるだけでなく、他の日常業務への影響も当然出てきます。

 

こうしてみると、以前にもお伝えしましたが、マイナンバー制度をスタートした2015年の段階で、災害時などの給付金のタイムリーな送金など、いろいろなメリットを国民に分かり易く説明し、全国民の個人情報をデジタル化しておけば、政府によるコロナ禍対策のいくつかはスムーズに進められたと思うのでとても残念に思います。

やはり時の政権には、先見性や決断力、そして強烈な実行力の必要性をとても感じます。

そういう意味で、日本のこれまでの政治は日本をデジタル化後進国に追いやったと言わざるを得ません。

その責任はとても重いと思います。

 

ということで、遅ればせながらですが、菅政権にはスピード感を持って単なるデジタル化ではないDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいただきたいと思います。


 
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2021年04月22日
アイデアよもやま話 No.4936 日経平均が30年ぶりの高値、なぜ?

1月8日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で日経平均が30年ぶりの高値について取り上げていたのでご紹介します。 

 

新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な中にも係わらず、世界的に株価は大幅上昇、いったいなぜなのでしょうか。

その主な要因はアメリカでバイデン新政権の誕生が確実になったことです。

新政権の発足後に追加の経済対策が実施されるとの期待から景気の回復に楽観的な見方が広がりました。

ただ、新型コロナウイルスの流行が長期化し、仕事を失う人も出ています。

景気が良いという実感がない中での株価の大幅上昇です。

ニッセイ基礎研究所の井出真吾さんは次のようにおっしゃっています。

「コロナで打撃を受ける(飲食や観光などの)業種は業績面でいうと株価(全体)への影響は1割ぐらいしかない。」

「ただ一方で、その業種で働いている人の人数は全体の4割ぐらい占めているんでね。」

「非常に多くの人、4割もの人が被害を被る。」

「だから世の中は非常に重苦しい雰囲気なんですけども、株価指数への影響度は1割程度で済んでしまうと。」

「株価指数、日経平均であれTOPIXであれ、経済の体温計としての機能を失ったんだと思います。」

 

新型コロナで大きな打撃を受ける飲食や観光などの業種は経済全体に占める雇用者数が多い一方、その利益水準は低いため、業績が悪化しても日経平均株価に与える影響が比較的小さいといいます。

そのため景気の実感と日経平均株価の水準が乖離しているのです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して、空前の株高到来であるにもかかわらず、多くの人たちの景気の実感が伴わない理由がよく分かります。

要するに、井出さんの指摘されているように株価と人々の経済的な豊かさは連動していないということなのです。

その背景には以下のような状況があります。

・株価は企業の業績を反映していること

・飲食や観光の業種は利益水準が低いため、日経平均株価への影響は1割程度であること

・一方で、こうした業種における従業員は全体の約4割を占めていること

・コロナ禍での金融緩和によるカネ余りが株式や貴金属、あるいは仮想通貨などへの投資を加速させていること

 

ということで、日経平均が30年ぶりの高値の主な理由は金融緩和によるカネ余りということになります。

そして、実感なき景気回復はコロナ禍が収束するまで続くと見込まれます。

 

しかも、GAFAに象徴されるようなネット業界のプラットフォーマーといわれる企業はコロナ禍でむしろ業績を伸ばしていますが、これらのIT業界は売り上げの割にはあまり従業員を必要としません、

ですから、IT関連企業に富が集中し、同時にこうした企業の従業員と飲食業や観光業など人手に依存する企業との間で収入格差が生じてしまうのです。


 
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2021年04月21日
アイデアよもやま話 No.4935 可能性の広がるワイヤレス給電!

ワイヤレス給電についてはこれまで以下のように何度かお伝えしてきました。

アイデアよもやま話 No.2882 進化するワイヤレス給電!

アイデアよもやま話 No.3134 広範囲のワイヤレス給電!

プロジェクト管理と日常生活 No.258 『急速に標準化が進むEVのワイヤレス給電!』

 

そうした中、1月4日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で未来のワイヤレス給電について取り上げていたのでご紹介します。 

 

スティックを壁に近づけると、電気がつきました。

これは空間を通じて電気を送ることが出来るワイヤレス給電という最新技術です。

スマホの充電でお馴染みですが、今回ご紹介するのはガラス越しでの給電です。

この装置を開発した株式会社ピー・アンド・プラスの亀田篤志社長は次のようにおっしゃっています。

「ガラス越しにワイヤレス給電をすると、コンセントの電気を受けて、こちらのディスプレーが付きます。」

 

ガラスは電気を通さない絶縁体ですが、ワイヤレス給電の技術を使うと電気を送れます。

どんな厚さのガラスでも電気が通せて、例えば冬の寒い屋外で明かりが瞬時に窓を開けずに光を灯すことが出来るといいます。

 

この会社は取引先などの要望を受けて、4年ほど前からワイヤレス給電に関連する製品を試作、その数は300以上に上ります。

水中を動く模型の魚、水中でのワイヤレス給電を実用化するための実験です。

水槽の底から送られる電気を動力にして泳いでいます。

 

ワイヤレス給電の未来について、亀田社長は次のようにおっしゃっています。

「身近な家具とか家電などはワイヤレス給電がどんどん搭載されてくると思うんですけども、今まで電気が送りにくかった体の中や海の中とか、宇宙とか、いろんなところで電気を自由に送ることが出来る未来が広がっていくと思っています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今、デジタル化、あるいはDX(デジタルトランスフォーメーション)に脚光が当たっていますが、ワイヤレス給電もその一環としてとても有効です。

何よりもコードレスなので、その分自宅やオフィスがすっきりします。

そういう意味で、今回ご紹介したピー・アンド・プラスの取り組みは、ワイヤレス給電関連製品の試作が300以上に上るといいますから、この中からヒット商品が生まれてくるかもしれません。

ですから、何年後かには今まで電気が送りにくかったエリアにおける、ピー・アンド・プラスのビジネスが大きく開花する可能性を秘めていると思います。


 
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2021年04月20日
アイデアよもやま話 No.4934 コロナ禍で増加する看護師の離職!

昨年12月25日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でコロナ禍で増加する看護師の離職について取り上げていたのでその一部をご紹介します。 

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、増えているのが看護師の離職です。

昨年12月22日、日本看護協会の福井トシ子会長は次のようにおっしゃっています。

「看護師職員は心身の疲労もピークを迎えています。」

「使命感だけでは既に限界に近づいている(状況です)。」

 

日本看護協会によりますと、コロナが原因で実際に看護師が辞めたという病院は全体の15.4%で、コロナ患者を受け入れる感染症指定医療期間では21.3%に上るということです。

こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「医療従事者に対して、言われなき差別とか中傷があるという話も聞くんですが、これは言語道断だと思うんですよね。」

「一方で、病院の経営が大変難しくなっていまして、冬のボーナスを減らすとか、支給無しといった話も聞くんです。」

「日本もようやく予備費をそういうところに使えるようになったんですけれども、アメリカの場合、今回90兆円以上の追加経済対策を打ちますが、雇用とか医療に重点的に当てているんですね。」

「それは大いに見習うべきだと思いますね。」

 

今なお、感染者が増え続ける中、医療現場では何が起きているのでしょうか。

一日200人前後の感染者数が続いていた7月中旬、多くの重傷者を受け入れていたのが東京医科歯科大学病院です。

現在、重傷者向け病床の全てが1ヵ月以上埋まっているといいます。

若林健二病院長補佐は次のようにおっしゃっています。

「いわゆる「第3波」で一般的に呼ばれる状況はまだ終わりが見えていないですね。」

「で、今日にも1000という数字が出てくるかもしれないし。」

 

最前線で勤務するスタッフ、感染制御部の貫井陽子部長は次のようにおっしゃっています。

「1人の患者のケアも複数の医療スタッフが対応せざるを得ない。」

 

また浅香えみ子看護部長は次のようにおっしゃっています。

「コロナ病棟のみならず、院内全体の看護師不足が十分予測されました。」

 

医療体制をどう維持していけばいいのか、予断を許さない状況の中、病院は看護師の中途採用を決断、来月までに約30人を確保する予定です。

迎える年末年始、スタッフを管理する医師、若林健二病院長補佐は次のようにおっしゃっています。

「我々、医療者も人間ですから、その中にちょっと気持ちがほっとしたりだとか、心が和むようなことも必要なので、そういったクリスマスツリーを飾ってみて、「そういう時期だね」って話したりっていうのはしている。」

「山あり谷ありを多く経験してきたところで、非常に辛いこと、いろんな人が様々な思いを抱えながらやってきたというところで、本当に苦労の多い1年であったと。」

 

なお、iPS細胞の生みの親、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長は、12月21日、番組のインタビューに応じ、次のようにおっしゃっています。

「沢山の感染症やウイルスの専門家の方々と協力していろんな研究もしていますし、普通のことが出来ない今、普通じゃないことに挑戦するものすごいいいチャンスでもある。」

「年が明けて、まだしばらくこの状態は続くと思いますが、ワクチンなどの開発もあって、まだほのかではありますが、トンネルの出口、先に明かりが少し見えてきたと思います。」

「とはいえ、まだまだ私たちはトンネルの真ん中におりますので、何としてもみんなで頑張って、特に冬を乗り切る。」

「一生懸命我慢すれば、必ずトンネルの出口が見えてきます。」

 

また、沖縄県立中部病院(沖縄県うるま市)勤務の中山由紀子さんは、3月9日の番組放送時に次のようにおっしゃっていました。

「私は沖縄の救急医です。」

「そして、妊娠9ヵ月の妊婦でもあります。」

「3月半ばに関東に住んでいた私の祖父が亡くなりました。」

「でも葬式には行かず、沖縄に残りました。」

「私の移動によって、沖縄に職場である救急医療の現場に妊婦検診を受けている産科に、夫の職場に、そして息子の保育園にウイルスを持ち込むリスクがあるからです。」

「このウイルスの怖いところの1つは、無症状でも感染していて人にうつす可能性があることです。」

「あなたが、私が気づかずに今まさにウイルスを運んでいる可能性があることです。」

「「まだここではそんなに流行っていないから」と住民が油断していたら、医療者が感染してしまったら、地域の医療を崩壊させるのは簡単です。」

「不安をあおるようなことばかり言って、申し訳なく思います。」

「でも、みんなが今自分にできることを考えて実行出来れば、この流行を抑え込むことが出来ると信じています。」

「完全に無くすことは出来ませんが、医療スタッフが出来るだけ危険にさらされず、医療が必要な人が適切な医療を受けられるレベルで制御することは出来ると思います。」

日本の医療体制や救急現場のスタッフを守って欲しい。」

「あなたが移動しなければ、貴重な感染防護具を温存出来ます。」

「医療者の感染リスクを下げることが出来る。」

「自分は無症状だけど、感染しているという意識で行動して下さい。」

「どうかお願いします。」

 

中山さんは5月、女の子を出産、2歳のお兄ちゃんに可愛がられているといます。

育児休暇中の中山さんから番組に次のようなメッセージが届きました。

 

今年は自分と違う立場の人の状況や思いを想像するのは難しいということを痛感した1年でした。

私が救急医としての立場しかなかったら、例えばあと10歳若ければ、公園の遊具にかけられたテープに気づくことはなかっただろうし、休校で子どもを看ながら在宅ワークをする親の大変さも理解出来なかったし、出産予定の病院にコロナにより突然受け入れてもらえなくなってしまった妊婦さんの、とてつもない不安も想像出来なかったかもしれません。

例えばあと20歳若く、救急医ですらなかったら、コロナのせいで検査や手術が延期となり、がんが進行してしまう人や重症の病気なのにコロナの患者さんでベッドがいっぱいで入院先が見つからない人の存在にも気づけなかったと思います。

何より手洗いなどの正しい感染予防の知識にすらたどり着けなかったでしょう。

 

世界は広く、自分と同じ立場の人の方が圧倒的に少ない。

それを自覚して考えたり、行動したりしたいと思います。

 

以上、中山さんから番組へのメールの内容をご紹介してきました。

 

番組のメインキャスター、大江麻理子さんは次のようにおっしゃっています。

 

「人によって新型コロナウイルスに対する考え方はとても違っていまして、友情がそれによって壊れてしまったという話も聞いた1年でした。」

「でも、これからの未来を作れるのは、お互いがお互いを思いやる想像力なのだと思います。」

「コロナで日本全体に閉塞感が漂っていますが、トンネルの出口を探して、来年は少しでも希望の光を見出せるようなニュースをお届け出来ればと思っています。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

沖縄県立中部病院勤務の中山さんは、一人の救急医として、一人の人間としてとても想像力が豊かで、とても温かみのある人柄の方のようにお見受けします。

確かにコロナ禍による閉塞感、そしてストレスの蓄積はどこかにそのはけ口を求めて発散しないではいられないと思います。

私もその一人です。

ですから、新型コロナウイルスの感染拡大の防止策として、“3密”を回避する中でのはけ口を見つけるのもとても重要だと思います。

 

一方で、中山さんもおっしゃっているように、新型コロナウイルスは無症状でも感染していて人にうつす可能性があること、一人ひとりが油断していると感染拡大につながり、地域の医療崩壊をもたらすのです。

そして、新型コロナウイルス感染症以外の患者さんが十分な医療を受けられずに、助かるはずの命を落とすことにもつながりかねないのです。

ですから、自分の安易な行動が自身の感染に、そしてそれが見知らぬ誰かの命さえ左右してしまうことにつながってしまうということをしっかりと認識しておくことも一人の人間としてとても重要だと思います。

こうした一人一ひとりの慎重な行動とワクチン接種の全国的な展開こそがコロナ禍を終息に向かわせるのです。

 

さて、山中教授は、「普通のことが出来ない今、普通じゃないことに挑戦するものすごいいいチャンスでもある」とおっしゃっています。

コロナ禍は企業のみならず個人もコロナ禍以前には多忙でやりたいことが出来なかったことに挑戦出来る絶好のチャンスを与えてくれているという前向きな気持ちで取り組み、その結果素晴らしい成果が得られれば、それは間違いなくコロナ禍後の新しい社会の実現をもたらすことにつながるはずです。

しかも、こうした取り組みはコロナ禍におけるストレス解消にもなります。

 

コロナ禍はまだ当分続きそうです、

ですから、より多くの方々にはこの絶好のチャンスを捉えて有意義な時間を過ごすことに取り組んでいただきたいと思います。

 

ちなみに、私はと言えば、“持続可能な社会”の実現に向けた、いろいろな道筋を考えることに時間を費やしています。

もう一つは趣味の太極拳とテレビ録画した映画やドラマなどの鑑賞です。

お陰様で、こうした時間を過ごすことでコロナ禍によるストレスを感じることはほとんどありません。


 
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2021年04月19日
アイデアよもやま話 No.4933 WBSが昨年注目した企業!

昨年12月25日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で番組が昨年注目した企業について取り上げていたのでご紹介します。

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

日経500種平均株価の今年の上昇率トップ10ランキングでは、コロナ禍で経済状況が厳しい中でも成長が期待される伸び盛りの企業が数多く含まれています。

以下はその一部です。

 

   (銘柄名)     (株価上昇率)

1位 エムスリー      2.8倍 医療従事者向け情報サイトなどを運営

2位 SGHD(佐川急便) 2.5倍 物流

3位 ネクソン       2.4倍 ゲーム

4位 カプコン       2.3倍 ゲーム

5位 日本ペイントHD   2.1倍 塗料

6位 ワコム        2.0倍 アニメ動画制作ツール

7位 イビデン       1.9倍 半導体

8位 ダイフク       1.9倍 物流

9位 MonotaRO   1.8倍 通販

10位 新光電気工業     1.8倍 半導体

 

中でも番組が注目しているのが6位のワコムですが、ある製品の世界シェアがトップなのです。

その製品が使われているのが、2019年に大ヒットした映画「天気の子」など人気作品を世に送り出す新海誠監督が所属するアニメ制作会社、コミックス・ウェーブ・フィルムです。

そんなアニメ界をリードする企業の現場で欠かせない道具があるといいます。

それがペンタブレットです。

よく見ると「WACOM」の文字がありました。

株式会社コミックス・ウェーブ・フィルムの松岡理恵子さんは次のようにおっしゃっています。

「3年くらい前から使い始めました。」

「描き上げるまでの労力がすごい少なくて済むようになりました。」

 

「天気の子」の制作にも参加した松岡さんはもともと紙と鉛筆で作業していましたが、3年ほど前からペンタブレットを利用、描き直しの作業が楽になり、仕事の効率が上がったといいます。

松岡さんは次のようにおっしゃっています。

「何度描き直しても汚れることがないので、納得いくまで直すことが出来る。」

「私にとってはデジタルがすごい相性が良かったなと思いまして。」

 

プロのクリエーターから支持を集めるワコムのペンタブレットは世界シェア1位だといいます。

その描き心地ですが、強みの一つが最大8000段階の筆圧検知センサーで、色の濃淡を自然に再現出来るといいます。

更に画面をタップするだけで、デジタルの強みを生かし、やり直しも簡単です。

また、コロナ禍で意外な分野での需要も生まれているといいます。

ワコムの井出信孝社長は次のようにおっしゃっています。

「実はこれを使って、絵を描くだけではなくて教育ですね。」

「リモート教育だとか、先生と生徒が中々同じ教室に集えない時にちょっと白板代わりに使うとか、そういった使われ方もありますね。」

 

新たな需要も追い風に今年度(2021年3月期)は売上も利益も過去最高になる見込みです。

井出社長は次のようにおっしゃっています。

「「こんな便利なことが出来る」というおしゃべりなサービスになりたくないと思っていて、僕らの出自はやはり道具屋なんですよね。」

「人間の行為をサポートする道具であり続ける。」

 

井出社長は、今回コロナによって掘り起こされた需要を、この後持続的な需要につなげることが重要だともおっしゃっています。

 

さて、このランキングですが、1年後はどのような顔ぶれになりそうか、岡三証券の投資戦略部長、小川佳紀さんは次のようにおっしゃっています。

「(株価)指数が上がっても買われる銘柄が一部に限られているということですから、1年後も(トップ10の)顔ぶれはそんなに大きく変わっていなくて、勝ち組がより強くなる、負け組は中々株価が戻らないという傾向は来年も続くのかなと。」

 

勝ち組、負け組がはっきり分かれるというシビアな状況が続きそうですが、個別銘柄をここまで見てきましたが。全体のマーケットを見た時について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「今年から来年にかけて、やはり“3、2、1”がマジックナンバーになると思います。」

「まず“3”はニューヨークダウ 3万ドル台ですね。」

「そして“2”はビットコイン 2万ドル台でこれがどのくらい続くのか。」

「そのカギを握るのは“1”だと思っています。」

「アメリカの長期金利なんですよね。」

「要するに今は0%台の低金利で、そのお金が株や暗号資産に入っているんですけども、果たして低金利が続くかどうか、要するに裏側にあるのはカネ余りでインフレ懸念が出てくるかどうかだと思うんですね。」

「一つ気になるのは、インフレになると儲けが得られる、インフレ連動債がこのところ人気を集めているというのはちょっと気になるところです。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

ペンタブレットは文字通りアニメ制作のデジタル化で生産性向上に大きく寄与します。

これまでの紙と鉛筆での作業をデジタル化するので、書き直しがとても容易になり、色の濃淡なども自在にコントロール出来るからです。

更に、井出社長もおっしゃっているように、教育や会議などで白板代わりに使われる、人間の描くという行為をサポートする道具としてコロナ禍においてのみならず、コロナ終息後も引き続き国内外からの需要が見込まれます。

特にアニメ制作においては不可欠のツールになります。

そして、その分速いテンポで視聴者に作品を提供出来るのです。

 

さて、番組で取り上げたランキングですが、見事にコロナ禍の状況を反映しています。

具体的には、新型コロナウイルス関連の検査薬、治療薬、そしてワクチンなど、あるいは“巣ごもり需要“の増加に伴う通販、ゲームや物流、そしてデジタル業界における米とも言われる半導体の業界の活況です。

 

一方で、外食や観光など、外出を伴う業界はこれまで経験したことのないほど、売り上げが年単位で長期的に落ち込んでいます。

ですから、こうした厳しい業界においては、暗中模索で“3密”(密閉・密集・密接)の回避を図りながら、新たな需要を掘り起こすという“生き残り戦略”が求められるのです。

その中で、“新たな生活様式”を取り込んだ商品やサービスはコロナ禍後も新たな成長路線につながるのです。

ですから、こうした厳しい業界にとっては、コロナ禍は新たな成長につなげる大きなチャンスでもあるのです。

 

そして、そのキーワードは大きく3つあると考えます。

1つ目は、コロナ禍をきっかけとした“新たな生活様式”に沿った、自社の強みを生かせる需要の掘り起こしです。

2つ目はDX(デジタルトランスフォーメーション)です。

デジタル化の観点から、業務内容を徹底的に見直し、ビジネスプロセスを大変革するのです。

3つ目はSDGs(持続可能な開発目標)です。

中でも事業全体でCO2排出量を実質ゼロにする取り組み(ゼロエミッション)です。

コロナ禍以前は、本業で忙しく、DXやSDGsの観点から本格的に取り組む時間的な余裕がほとんどなかったと思いますが、不幸中の幸いでコロナ禍においては大幅な需要減でこうした取り組みをするには十分と言えないまでもかなりの時間が与えられていると思います。

ですから、こうした観点から真剣に“生き残り戦略”を見出せるかどうかがコロナ禍を生き残り、コロナ禍後も成長し続けることにつながるのです。


 
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2021年04月18日
No.4932 ちょっと一休み その770 『菅首相の発言はなぜ国民の心に響かないのか!』

昨年12月25日(金)付けネット記事(こちらを参照)で菅首相の発言はなぜ心に響かないかについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。 

 

臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんは、心理士の視点から菅義偉首相のコロナ対策について言及していますが、以下はその一部です。

・会見でも他の場面でも菅首相の口調や表情はほとんど変わらない。だが、この変わらないところが菅首相の特徴でもある。

・安倍政権の官房長官時代はそれがプラスになっていた。あの訥々とした口調や感情を露骨に出すことなく淡々とした表情、冷静で時に事務的でありながらも素朴さを感じさせる飾り気のない態度が、世間に安定感を強く印象付けていた。だが今、この安定感が裏目に出てしまっている気がする。

・淡々とした口調はメリハリがなく、単調で感情に訴えてこない。落ち着きや冷静さは力強さやスピード感、積極性を感じさせない。泰然とした構えや身振り手振りの少なさは、アピール性が低く人の目を引きつけない。平時で高く評価されることが有事でも評価されるとは限らないのだ。

・コロナ渦の現在、一国のリーダーに求められているのは強いリーダーシップだ。どの国でも、トップが国民の心を動かす印象的な会見を行えば話題になるように、人々に訴えかける強いメッセージ力が求められている。メッセージ力は政権の支持率に大きな影響を与える。

・メッセージ力には、発言内容という「言語情報」はもちろんだが、声のトーンや話す速度、口調という「聴覚情報」と、表情や身ぶり手ぶり、視線や身体の向きという「視覚情報」である非言語表現が含まれる。コミュニケーションで影響を与えるのは、言語情報が1割、視覚や聴覚情報が9割という「メラビアンの法則」にあるように、感情や気持ちを伝える非言語表現なのだ。

・ドイツのメルケル首相は129日の連邦会議で、これまでにないほど強い口調で感情を込め、頭を大きく振り何度も拳を振り上げながら、国民に向けクリスマス前の自粛を熱く訴えた。

・イギリスのジョンソン首相も1219日会見を開き、コロナの変異種の拡大でロンドンを再びロックダウンすると宣言。陽気な印象のあるジョンソン首相だが、語気は強いが淡々とした低い声で、身振りも手振りもなく厳しい表情を見せた。視覚や聴覚情報がいつもと違うことでメッセージ力は高まっていた。

・一方の菅首相といえば、「Go Toトラベル」の全国停止を訴えた時もいつもとほとんど変わらない。立ったままで手振りもない。少し目を大きく開け、語気を強めていたかなというぐらいで、差し迫る緊迫感も緊張感も伝わってこない。いつもと同じ冴えない表情で背中を少し丸めた首相が登壇しても、「何か」を感じさせる見た目のインパクトもない。

・メラビアンの法則とともに作用しているのが、見た目のインパクトの判断に影響を与える「適応的無意識」だ。適応的無意識は一瞬の判断や直観的な判断であり、意識より先に思考や行為を決定すると言われる。人が一瞬見ただけで相手の感情やどういう人かを判断してしまうのも適応的無意識によるものだという。

・ジョンソン首相のように険しい表情で髪を少し振り乱し、背筋を立てて会見場に表れる。登壇する時は早足で、正面を向いたら大きく息を吸い数秒間しっかり前を見てから話し始める。メルケル首相のように抑揚やテンポをつけ、拳を何度も振り上げながら感情を込めて訴える。そんな菅首相を見ることができたら、菅政権のコロナ感染対策への印象も変わるのではないだろうか。

 

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

菅総理は安倍前総理に比べてどちらかというとか細い声で話しており、何となく自信がないように見受けられます。

しかし、声が小さいとか何を言っているのかよく分からないといった話し方の人が必ずしも自信がないとか、頭脳明晰でないといったことと対応しているとは限りません。

しかし、菅政権の支持率の低下の一因は話し方に確固とした自信が感じられないことにあるように思います。

また、菅総理は以前、国会での質疑応答の場において、こうしたご自身の話し方について自覚していると話されております。

 

さて、科学的研究の成果として、コミュニケーションで影響を与えるのは、言語情報が1割、視覚や聴覚情報が9割という「メラビアンの法則」にあるといいます。

ですから、声に抑揚をつけるとか、あるいは身振り手振りといった表現で感情や気持ちを伝える、すなわち非言語表現の方法をトレーニングによりある程度は向上させることが出来るのです。

 

また、「メラビアンの法則」とともに作用しているのが、見た目のインパクトの判断に影響を与える適応的無意識といいます。

ですから、科学的見地からもファッションやメイクアップ、髪形といったような見た目も良い印象をもってもらうためには必要なのです。

ですから、こうした観点で話し方のトレーニングやスタイリストなどの支援を得られれば、多少なりとも菅総理の好感度アップ、そして菅政権の支持率アップにつながると思います。 

 

しかし、それよりもか細い声での話し方であっても、日本の進むべき道を明らかにし、それを実行に移して一定以上の成果をあげることの方が国民にとってはメリットあるのです。

また、国民からみて、期待以上の成果が次々に上げられれば、見た目との落差がかえって好印象につながるのではないかと思われます。

 

ということで、菅総理には国民の受ける印象、あるいは菅政権の支持率の低さを気にせずに、まず国民に日本の進むべき道、そして目標、および目標達成に至るプロセスを明らかにし、しっかりと成果を上げることにまい進していただきたいと思います。


 
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2021年04月17日
プロジェクト管理と日常生活 No.689 『GAFAへの規制における3つの課題』

プロジェクト管理と日常生活 No.614 『巨大IT企業「GAFA」を巡る問題とその対応策!』でGAFAと呼ばれる巨大IT企業への規制が検討され始めており、そこには電気通信事業法の域外適用と競争原理を働かせることの2つの課題があるとお伝えしました。

そうした中、昨年12月10日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でGAFAへの規制の現状について取り上げていました。

そこでプロジェクト管理の観点からその対応策についてご紹介します。

 

アメリカの連邦取引委員会がフェイスブックを独占禁止法違反の疑いで提訴しましたが、解説キャスターで日経ビジネスの編集委員、山川龍雄さんは次のようにおっしゃっています。

「今、世界中でGAFAと言われるものに代表されるプラットフォーマーに対する圧力をかけようとする動きが顕著になっていて、主に3本柱なんですね。」

「1つが個人情報保護、データの不正利用を摘発しようとする動き、それから競争政策、これは独禁法などで(市場独占や価格支配を)規制しようとする動き、それからデジタル課税、これまで物理的な拠点のなかったところで課税しにくかったんですが、ここでも課税しようとする動き、こういうものが出てきている中で、今回のフェイスブックのニュースは競争政策に係わるところですね。」

「(今後GAFAに対する締め付けは強まっていくかという問いに対して、)民主党は元々GAFAの分割、解体論まで言っているところですから、アメリカが民主党政権になって厳しくなると思いますね。」

「基本的に儲け過ぎに対するやっかみ、それから国がコントロール出来なくなるんじゃないかという危機感、こういうものがないまぜになってきているので、これから強まってくると思いますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今や、GAFAを始めとして、巨大プラットフォーマーはSNSなどでのコミュニケーションやネット通販など、私たちの暮らし全般に欠かせない存在となっています。

これまで巨大プラットフォーマーは短期間のうちに急速に成長を遂げ、便利さが先行して、このスピードに政府機関の対応が追い付かない中で、各国政府はいくつかの大きな課題の解決に迫られているのです。

 

こうした中、山川さんは、インターネットの巨大プラットフォーマーに対する規制政策として、以下の3つを挙げています。

個人情報の保護

データの不正利用の摘発

・競争政策

市場独占や価格支配の規制

  デジタル課税

 

なお、GAFAなどは今や国をまたがってグルーバルにサービスを展開していますから、こうした課題解決に向けては、国連の関連機関などによる国際的に共通な対応が必要だと思います。

 

またこれまでの巨大プラットフォーマーに対する規制政策の遅れを見てくると、こうしたサービス開始の初期の段階で課題やリスクを洗い出し、早期の対応が必要なのです。


 
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2021年04月16日
アイデアよもやま話 No.4931 天安門事件当時、日本政府の判断が異なれば、中国は民主化に向けて動き出していた!?

昨年12月23日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で天安門事件への日本政府の対応について取り上げていたのでご紹介します。

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

外務省は今日、作成から30年が経過した外交文書を一般公開しました。

その中で、特に注目されるのが1989年に中国で起きた天安門事件に関連した記述です。

当時、西側諸国が中国を厳しく批判する中、日本は中国に配慮する対応を決めていたことが文書から明らかになりました。

 

1989年6月4日、民主化を求めて集まっていた学生や市民に対し、中国当局が軍を導入して鎮圧した天安門事件、当時西側諸国は厳しく中国を非難し、共同制裁も辞さない姿勢でした。

これに対し、日本政府の対応は明確に異なりました。

今日、外務省が公開した外交文書では、天安門事件を人道的に容認出来ないとしつつも、中国に配慮する方針だったことが事件直後に以下のように記されています。

 

一致して中国を弾劾するような印象を与えることは、中国を孤立化へ追いやり、長期的、大局的観点から得策でない。

まして、中国に対し、制裁措置等を共同して採ることには日本は反対。

 

東西冷戦が続いていた当時、中国が改革・解放政策を維持するためにも孤立を防ぐべきだとの日本の立場が読み取れます。

中国の政治・外交に詳しい専門家、東京大学の川島真教授は次のようにおっしゃっています。

「せっかく資本主義の世界、あるいは市場経済の世界に寄ってきた中国がこれでもっともっとソ連の方に寄っていってしまうんじゃないか、「つなぎ留めるべきである」とそういうような発想なんですね。」

 

当時の日本は中国に多額のODA、政府開発援助を行っていました。

川島教授は次のようにおっしゃっています。

「(日本は)中国に最も手厚く支援をする国なんですよね。」

「そういう中で、自信を持って「日本がやる」とう責任感ですね。」

「「経済協力をやっていけば、中国は民主化していくんじゃないか」、そういう期待(があった)。」

 

事件の翌月、1989年7月に開かれたG7、主要7ヵ国首脳会議、アルシュ・サミット、議長国のフランスが各国に提示した共同宣言の原案では、中国に対する共同制裁の実施にも言及していましたが、日本はより穏やかな表現に留めるよう働きかけていました。

サミット政治声明について、対フランスの申し入れには、以下の記述があります。

 

特定国の人権、及び民主化などへの言及、更には具体的な行動の要求に関しては、慎重に検討することが必要である。

我が国としては、あえて個別、具体的に言及する必要はなく、抽象的な表現に止める

べきてあると考えている。

 

結果、G7の宣言には、「中国の孤立化を避ける」との文言が盛り込まれました。

 

30年前と今とでは国際情勢が大きく変わっていますが、当時の情勢について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「まさに当時は冷戦の最終局面でしたから、中国をソ連寄りに追い込みたくなかったというのは分かるんですけど、もう一つ重要なのは「中国が豊かになれば、やがては民主化する」という判断が外務省にあったわけですよね。」

「見事に外れた見通しだったということになります。」

「(この時の中国に対する欧米の見方が変わってきたということになるのかという問いに対して、)1990年代、冷戦が終わってから、アメリカやヨーロッパの見方は明らかに変わりましたね。」

「典型的なのは2001年の中国のWTO(世界貿易機関)への加盟なんですけど、アメリカは後押ししました。」

「ドーハというところで開かれた閣僚会議で加盟を決めたわけですけども、民主化の見通しが外れたという意味では、まさに“ドーハの悲劇”と言っていい状況だと思います。」

「現状、これでバイデン政権が出てきて、グリップを緩める方向に向かうと、また30年前の出来事がもう一度繰り返されているような、フラッシュバックの感じもあるんじゃないでしょうか。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきましたが、以下にまとめてみました。

・1989年6月4日、民主化を求めて集まっていた学生や市民に対し、中国当局が軍を導入して鎮圧した天安門事件、当時西側諸国は厳しく中国を非難し、共同制裁も辞さない姿勢でした。

・しかし、一致して中国を弾劾するような印象を与えることは、中国を孤立化へ追いやり、長期的、大局的観点から得策でないとし、中国に対し、制裁措置等を共同して採ることに日本は反対した。

・その理由として、資本主義の世界、あるいは市場経済の世界に寄ってきた中国が共同制裁によりソ連の方に寄っていってしまうと考え、「つなぎ留めるべきである」というような発想だったとの見方がある。

・当時の日本は中国に多額の政府開発援助を行っており、経済協力により中国は豊かになり、やがて民主化していくという期待を持っていたという見方がある。

・その結果、G7の宣言には、日本の意思が反映され、「中国の孤立化を避ける」との文言が盛り込まれた。

・また、2001年の中国のWTO(世界貿易機関)への加盟をアメリカは天安門事件当時の日本と同じく後押し、中国は加盟出来た。

・このように中国の民主化に対し、天安門事件当時の日本も冷戦後の欧米諸国も見事に見通しが外れてしまった。

・現在、バイデン政権が誕生し、中国に対してグリップを緩める方向に向かうと、また30年前の出来事がもう一度繰り返されるリスクを秘めている。

 

ここまで書いてきて、これまでアップしてきた香港、台湾、あるいは新疆ウイグル地区を巡る中国の人権問題、および一国二制度、そして中国による覇権主義の世界的展開関連の以下のブログを洗い出し、その主なものをまとめてみました。

 

プロジェクト管理と日常生活 No.659 『新型コロナウイルス封じ込めで強気に転じる中国の脅威!』

アイデアよもやま話 No.4874 やはり中国は人権無視の国!

アイデアよもやま話 No.4772 香港国家安全維持法の実態、および中国政府の詭弁!

プロジェクト管理と日常生活 No.666 『国連の専門機関の支配権を強める中国!』

プロジェクト管理と日常生活 No.669 『香港の民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)さんの逮捕から見えてくること!』

プロジェクト管理と日常生活 No.670 『香港の国家安全維持法のカラクリ!』

プロジェクト管理と日常生活 No.671 『国家安全維持法を巡る憂慮すべき事実!』

No.4842 ちょっと一休み その755 『香港は三権分立ではない!?』

 

こうしてみると、私も個人的にいかに中国の覇権主義、あるいは人権無視に対する恐れの気持ちがあるかを再認識出来ました。

 

さて、中国は豊かになれば、いずれ自由主義陣営の仲間入りを果たすだろうというもくろみのもと、日本も含めて、世界の主要国は中国の人権無視、あるいは覇権主義の暴走に対して、曖昧な態度を取ってきました。

ところが、このもくろみは見事に外れ、習近平国家主席率いる中国は今や“覇権主義の権化”と化し、経済的にも軍事的にも世界制覇にまい進しているのです。

ですから、中国の念願が果たされた後の世界は、人権は無視され、自由も奪われ、全ては中国共産党の手のひらの中で、全人類は現在の中国国民と同様の生活を強いられるようになるのです。

しかも、一方では、『中国共産党の幹部の親族が保有する香港の不動産!』でもご紹介したように、中国共産党の幹部の親族は莫大な保有資産を抱えているといいます。

ですから、こうしたことだけ見ても、中国の共産主義は、“まず共産党政権ありき”、次にその幹部、および親族という具合に階層社会が形成されており、見方によっては今自由主義国で問題になっている格差化が常態化しているとも言えそうです。

 

なお、ここでとても残念に思うのは、もし天安門事件当時、日本政府が他の欧米諸国と足並みを揃えて共同制裁をするという判断を下していれば、当時の中国であれば制裁がこたえて、その後の中国の歩みも共産主義が軌道修正されて現在とはかなり変わっていたと見込まれることです。

 

更に源流をたどれば、学生たちの抗議活動は1989年4月に始まったといいます。

民主化に理解を示した胡耀邦・元総書記の死を追悼する学生が集まったのです。

そしてこうした動きが天安門事件につながったのです。

ですから、胡元総書記が亡くならずに中国共産党の主導権を握ることが出来ていれば、その後の展開は民主化に向けて大きく変わっていたかもしれないのです。(こちらを参照)

このように中国共産党の中でかつては民主化、および反民主化を巡って権力争いがあったのです。

 

さて、天安門事件以降、中国による反民主主義、および覇権主義の阻止を旗印にこれまで民主主義陣営の国々は中国に対峙してきたわけですが、繰り返しになりますが、今の中国は経済、および軍事面でアメリカに迫るほどの勢いで強大化しつつあります。

そればかりでなく、覇権主義で突き進み、国連の私物化まで図ろうとしているのです。

 

こうした状況において、自由主義陣営の国々は欧米諸国、および日本を中心に結束して過去の過ちを繰り返すことなく、中国に軌道修正を促すべく、場合によっては経済制裁や軍事的な圧力を駆使して中国に対峙することがとても重要なのです。

当然、このような動きに中国も個別に日本も含めて経済制裁をしかけてくると思われますが、こうした制裁に対しては先進国を中心に被害状況に応じて被制裁国の救済が出来るような仕組みづくりも必要になります。


 
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2021年04月15日
アイデアよもやま話 No.4930 今年度の予算の歳入の4割が国債頼み!

昨年12月21日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で今年度の予算の歳入の約4割が国債頼みという状況について取り上げていたのでご紹介します。 

 

解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「(日銀以外の国債の買い手について、)この頃買い手になっているのは民間の銀行なんですよね。」

「政府は国債発行でお金を得て、民間の家計や企業に配っているんですが(給付金や補助金など)、民間はあまりお金を使わないので、そのお金が銀行に預金で行っているわけです。」

「そのお金で銀行は国債を買っている、“金は天下の回りもの”みないな感じですね。」

「蛇が尻尾を飲み込むような感じで、本当は消費や投資に回らなきゃいけないんで、その努力をいろいろと考える必要がありますね。」

 

本当は将来不安の払しょくが消費や投資拡大のためには一番なのですが、まだまだコロナ禍で不安が強いので、こうした状況は仕方がないということになるのでしょうか。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

本来、個人の消費やそれを促す魅力的な商品やサービスが“研究開発⇒生産⇒消費”というサイクルでうまく回り続ければ、お金は有効にその機能を果たすわけです。

ところが、将来不安による消費の大幅な減少や魅力的な商品やサービスが誕生しない状態が続くと、個人のお金は預金に回り、経済は停滞し、カネ余り状態に陥り、お金は株式、不動産、あるいは貴金属などの投資に回ります。

こうした状態が続くとどんどん格差化が進んでしまいます。

そして、経済は増々停滞してしまいます。

一方で、今回ご紹介したように、国債が発行されても、銀行の資金は貸出先が十分ではなく、国債を購入するということで単に多くのお金が有効に使われることなく、政府と銀行の間をぐるぐると回っているという状態に陥ってしまうのです。

 

ということで、経済がうまく回るためには、以下のような要件を満たす必要があるのです。

(政府の役割)

・どんな状況においても将来の不安を払しょくするような対策を打ち出す

・大幅な消費の落ち込み状態に陥った場合には財政出動により将来に向けた大幅な需要を創造する

・将来性のあるベンチャー企業が活動し易い環境を整備する

(金融機関)

・将来性のあるベンチャー企業を見出し、常に積極的に資金面のみならず本業においても可能な限り支援出来る体制を整備する(参照:アイデアよもやま話 No.4923 SBI、地銀連合がコロナ禍における地方を救う!?

・特にコロナ禍のような大幅に売り上げが減少する状況が1年単位で続くような事態になった場合、長期的な観点からリスクをうまくコントロールし、特に将来性のある企業には企業規模に係らず最大限の支援をする


 
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2021年04月14日
アイデアよもやま話 No.4929 SDGs IPOによる日本初の株式上場!

昨年12月21日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でSDGs IPOによる日本初の株式上場について取り上げていたのでご紹介します。

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

12月21日、株式会社ポピンズホールディングスが東京証券取引所の第1部に新規上場しました。

保育所の運営やベビーシッターサービスを提供するポピンズは、今回SDGs IPO(Inicial public Offering 新規上場株式)という日本で初めてとなる手法で上場しました。

SDGsとは国連が定めた持続可能な開発目標で、ジェンダー(性別)の平等などを掲げています。

SDGs IPOは、上場によって調達した資金の使い道をSDGsに沿った社会課題の解決に限定する上場手法で、シンクタンクなどの第三者の評価機関が審査を行います。

中村紀子社長は次のようにおっしゃっています。

「私たちが今まで33年間やってきた「働く女性を支援していく」という社会課題の解決、これが脚光を浴びてきた、その時代になったと感じています。」

 

ポピンズは今回の上場で得た資金を保育所の増設やベビーシッターサービスのデジタル化などに使うとしています。

上場初日の終値は2773円と公開価格の2850円を下回る厳しい結果となりましたが、IPOの引受幹事を務めた大和証券 公開引受第一部の池川忍部長は、今回の上場の意義について、次のようにおっしゃっています。

「欧州の投資家からの高い関心を呼び込むことが出来ましたし、これまであまりIPOに参加してこなかったような投資家も呼び込むことが出来たと・・・」

 

また、これまで債権が中心だったSDGsに関連する資金調達が株式市場に広がることで、SDGsが企業の成長とより結びついていくきっかけになると話していました。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

これまでもSDGsがらみの投資についてはこのブログで以下のように取り上げてきました。

プロジェクト管理と日常生活 No.531 『世界のビジネス界で影響を増す地球温暖化対策 その2 国際的な取り組み!』

プロジェクト管理と日常生活 No.629 『地球温暖化対策に消極的な日本!』

 

残念ながら、日本はこれまで地球温暖化対策について相対的に消極的に見られてきましたが、地球温暖化の危機から、今や世界的にSDGsやESG(Environment Social Governannce 企業・社会・企業統治)投資、あるいは持続可能な社会といったようなキーワードを拠りどころに、経済、および社会における大変革を加速化させようとする動きが高まっております。

そして、ようやく日本の政府も環境投資に向けて動き出したようです。(参照:アイデアよもやま話 No.4924 政府が率先して取り組む環境投資への呼び込み!

 

なお、今回ご紹介したポピンズの株式上場は、SDGs IPOという日本で初めてとなる手法によるものといいますが、SDGsに沿った社会課題の解決を目指す企業にとって、その活動の幅を広げるうえで日本の株式市場がとても有益になったことを示しています。

また、これまで株式投資に消極的だった人たちにとっても、SDGsに沿った企業への株式投資は、投資というかたちで社会貢献に参加出来るのですから株式市場の活性化にもつながると期待出来ます。


 
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2021年04月13日
アイデアよもやま話 No.4928 視覚障害者を支えるカメラ!

昨年12月21日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で視覚障害者を支えるカメラについて取り上げていたのでご紹介します。 

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

初めてクッキリと見えた、その感動を企業の技術が支えていました。

カメラを手にする男性、視覚障害を持つ秋葉茂さんは子どもの頃から目が不自由です。

近い距離で番組記者を見てもらうと、メガネをかけているか分からない、シルエットは分かるぐらいといいます。

秋葉さんが持っていたカメラは、市販のカメラのファインダーに特殊な部品を装着したものです。

そこに表示されている小さな白い点を覗きこんでみると、映像が浮かび上がってきます。

これは網膜にレーザー光で直接映像を当てる技術です。

目の一部に障害があっても、クッキリと見えるといいます。

秋葉さんは次のようにおっしゃっています。

「本当に感動なんです。」

「見えていることの素晴らしさ、(他の人は)こういう見えている景色を日常的に見ているんだなという、僕も同じ体験が出来てうれしいなという反面、うらやましいなって思いました。」

 

12月6日、このカメラを持って神奈川県の逗子海岸に出かけた秋葉さん、通りかかった男性に声をかけてカメラで撮らせてもらい、次のようにおっしゃっています。

「いい笑顔だと思います。」

「僕が声をかけて、こういう表情をしてくれているんだって分かるからすごく安心感があります。」

 

「雲のかたちっていうのが、僕は見たことがなかったので、季節によって雲のかたちって変わるという話は聞いていたので、そういうのを撮ってみたかった。」

「(このカメラを持って次に行きたい場所について、)僕、星を見たいんですね。」

「生まれてから星って見たことがなくて、「星に願いを」って言われても、多分願いを伝えられなかったと思うんですけど、そういう自然のものを見たいです。」

 

このカメラを開発したのが、ベンチャー企業、株式会社QDレーザ(神奈川県川崎市)の菅原充社長です。

試作段階ですが、2年以内の商品化を目指します。

菅原さんは次のようにおっしゃっています。

「日常的に使ってもらえるような素晴らしい製品にして、使っていただきたいと思います。」

「星を見ていただいて、海を見ていただいて、雲を見ていいただいて、やってきたことが間違いでなかったんだとすごく思いました。」

 

視力がメガネなどで矯正しても0.05以上0.3未満という方が日本に145万人、世界では2億5000万人いると言われているそうです。

多くの方に役立つ技術だということです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

目の不自由を感じない人たちは目が見えて当然ということで、当たり前に周りの人や景色を見ることが出来ます。

私などはコロナ禍でほとんどの人がマスク着用になり、コロナ禍前は顔全体が見えていたので、顔の表情がはっきりと見えましたが、マスクの着用により、顔の表情が見えなくなっただけでもフラストぎみになっております。

一方、視覚障害の方々は健常者にとっては当たり前に見えるものが見えないというのは何とか出来ないものかという思いになります。

 

そもそも世界中の視覚障害者の割合が3%程度という現実に驚きです。

こうした方々が秋葉さんと同様の思いで暮らしているのです。

そうした中、今回ご紹介したカメラをQDレーザは2年以内の商品化を目指すといいますが、世界中の多くの視覚障害の方々は待ち望んでいると思います。

 

さて、ここまで書いてきて、視覚障害者にとってはこうしたカメラよりもメガネの方を望んでいるのではと思ったところで、思い出しました。

実は、QDレーザについては、過去に2回、このブログで取り上げていたのです。(参照:アイデアよもやま話 No.4150 視力に関係なく見えるメガネ!アイデアよもやま話 No.4341 網膜投影による画期的なメガネ!

そして、メガネについては商品名「RETISSA Display」で価格が59万8000円(税抜き)で既に2018年10月18日から発売中なのです。

ただ、このメガネは高価格ということで、より低価格でのカメラでの実用化を目指していると思われます。

 

しかし、やはり視覚障害者にとっては、カメラよりメガネです。

メガネがあれば、わざわざ視覚障害者用のカメラを作らなくてもいいのですから。

ということで、視覚障害者は世界中に2億5000万人ほどいらっしゃるというのですから、世界各国からクラウドファンディングなどで開発資金を集めて、せめて10万円程度の価格で視覚障害者用のメガネを市販化出来ないものかと思います。

日本にも145万人程度の視覚障害者がいらっしゃるというのですから、もしこれらの方々が日常生活に問題のない程度まで視力が矯正されれば、人手不足と言われる中で、新たな解決策の一つとなり得ます。

ですから、国としてもこうした観点からこのメガネの開発補助金を提供することを検討する価値は大いにあると思います。

 

いつかこうした5万円程度の低価格のメガネが市販化されれば、世界中の2億人程度の視覚障害者が普通の暮らしが出来るようになり、世界の視野がグンと広がるのです。

更に、こうした成果はこれまで視覚障害者だった方々が健常者と同様に働けるようになるのですから、人手不足の解消にもつながると期待出来るのです。

同時に、こうしたメガネの研究・開発に係わる皆さんのモチベーションはとても高く、とてもやりがいを感じているのではないかと思われます。


 
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2021年04月12日
アイデアよもやま話 No.4927 水やり不要のプランター!

昨年12月18日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で水やり不要のプランターについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

1ヵ月程度であれば水やり不要のプランターが株式会社インヴィゴより販売されています。

CEOの鎌田貴俊さんは次のようにおっしゃっています。

「上のコンテナを外すと、水が入るタンクになっています。」

 

専用プランターの下の部分のタンクに水1リットルと液体の栄誉剤を入れます。

そして、上のコンテナには特殊な土を入れます。

鎌田さんは次のようにおっしゃっています。

「人工の土の中に空洞が沢山入っていまして、この空洞の中に水と栄養素がしっかり保持されることになります。」

 

電源とつなぐと約3時間に1回水が流れます。

余分な水は再び下のタンクに溜まり、それを繰り返す循環システムになっています。

通常、長期間水を入れておく水耕栽培は水が汚れて植物の根を腐らせますが、このプランターでは循環の過程で水に空気を含ませるため、根が腐ることにはならないといいます。

今、新型コロナウイルスの影響でお家時間が増える中、ガーデニングを始める人も多く、ニーズはあると見ています。

商品名は「ボタニウム」で価格は1万6500円(税別)とかなり高めですが、年間1万台の販売を目指します。

 

なお、鎌田さんは次のようにおっしゃっています。

「このプランター、コードレスにするというアイデアもあったんですけども、環境に非常に配慮しまして、脱電池、省エネ設計になっていますので、1ヵ月差していただいても電気代は0.1円程度しかかかりませんので。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

水やり不要のプランター、確かにオフィスやイベント会場などで、あちこちにプランターを置くような施設においては、水やりの手間がはぶけて、便利だと思います。

また、「ボタニウム」の電気代が1ヵ月に0.1円程度しかかからないというのはとても優れた省エネ設計だと思います。

ですから、この程度の消費電力量であれば、小型のバッテリー搭載にしてコードレスにしても良いのではないかと思います。

また、コードが必要となると、コードを足でひっかけたりすることもあり、また美観を損なうことにもなります。

更に、脱電池であれば、コードの長さを気にすることなく、自由に配置することも出来ます。

ということで、「ボタニウム」の電源については、コードと電池との2電源を選べる方式にしたら良いのではないかと思います。

 

一方、私の経験からすると、自宅のリビングルームにゴムの木のプランターが1つということもありますが、定期的に自分で水やりをすることで、言葉でのコミュニケーションは勿論ありませんが、水やりにより何となくゴムの木との間で心が通い合っているような気持になることがあります。

また水やりをするのはささやかな気分転換になり、葉の一部が枯れてきたり、成長の過程を実感出来ます。

ですから、私は自宅のプランターにおいては原則として自らの水やりをお勧めします。

そして、何よりも1万数千円の出費が不要です。

 

いずれにしても、たった1つのプランターがあるだけでも、場の雰囲気が変わるということから、植物はヒトの気持ちを癒す優れたパワーがあると思うので、お勧めです。

勿論、犬などペットのこうしたパワーは植物以上だと思います。


 
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2021年04月11日
No.4926 ちょっと一休み その769 『菅総理の温室効果ガスゼロ宣言の背景と菅総理に求められる強力なリーダーシップ』

2月1日(月)放送の「グッド!モーニング」(テレビ朝日)の「池上彰のニュース検定」コーナーで菅総理の温室効果ガスゼロ宣言の背景について取り上げていたのでご紹介します。

 

バイデン大統領は就任してから早速地球温暖化防止の国際枠組み、「パリ協定」の復帰に動き出しました。

トランプ前大統領が「パリ協定」からの脱退を表明していたからです。

アメリカは大統領の交代によって180度方向転換したのです。

国際的な流れが大きく変化している中、菅総理も動きました。

昨年10月の所信表明演説で2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする方針を打ち出したのです。

 

この表明は産業界に衝撃を与えました。

安倍前総理は産業界に配慮して明確な方針を示していなかったからです。

経済産業省の官僚が政策づくりでリードしていた安倍政権では、数値目標を掲げると企業活動にマイナスになるという見方もあったのです。

しかし菅総理はこれまでのやり方を一変しました。

そのきっかけの一つとなったのは小泉環境大臣です。

小泉環境大臣は2019年12月、地球温暖化問題を話し合う国連の会議「COP25」に出席した際、“日本は無策だ”と集中砲火を浴びました。

帰国後、当時の菅官房長官に「世界では約120ヵ国と地域が2050年までに“温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする”目標を掲げている」と報告しました。

すると菅官房長官(当時)は「表明している国はそんなに多いのか」と驚いたといいます。

そして菅総理は2050年までに“温室効果ガスの排出量を実質ゼロ”という数値目標を掲げたのです。

環境は日本の技術力を生かせる有望な分野だと考えているのです。

更に研究開発を支援するため、2兆円の基金を創設し、雇用と成長を促す考えも明らかにしました。(参照:アイデアよもやま話 No.4924 政府が率先して取り組む環境投資への呼び込み!

アメリカだけでなく日本も温暖化対策では大きく舵を切ったのです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組の内容のポイントを以下にまとめてみました。

・安倍政権時代は、温室効果ガスの削減について産業界に配慮して明確な方針を示していなかった

・小泉環境大臣が「COP25」に出席した際、“日本は無策だ”と集中砲火を浴びたことを当時の菅官房長官に報告したことがきっかけで、菅総理は多くの国と同様に2050年までに“温室効果ガスの排出量を実質ゼロ”という数値目標を掲げた

 

要するに、安倍前総理も菅総理も、自ら率先して官僚の反対を押し切って強力なリーダーシップで地球温暖化対策に取り組むだけの強い意志は持ち合わせていなかったのです。

それだけ地球温暖化問題に危機感を持っていなかったということなのです。

その結果、他の積極的に取り組んでいる国々に比べて再生可能エネルギー発電や電気自動車(EV)の普及に後れを取って来たのですが、こうした状況に真剣に向き合い、世界各国の動きに合わせてようやく他国で設置した目標と同じ目標を設置し、取り組み始めたのです。

こうした後追いの政策では、今のような大変革期にはいずれ取り残されてしまいます。

 

これまで何度となく、“持続可能な社会”、あるいは“SDGs”、“DX(デジタルトランスフォーメーション)”をキーワードとした内容のブログを発信してきました。

世界各国は国と企業が連携して、今、こうしたキーワードを拠りどころに、いかにビジネスと結びつけていくか、真剣に取り組んでいます。

再生可能エネルギー発電の大量導入やガソリン車からEVへのシフト、あるいはデジタル化はその一例です。

 

今、世界各国はコロナ禍でその収束に向けた対応に躍起になっていますが、その一方でアメリカを始め、一部の国々は人類共通の目指すべき目標を掲げて社会の大変革を巻き起こそうとしています。

そうした中、日本国のリーダー、すなわち総理大臣には自ら日本の進むべき道を明らかにし、国民、そして官僚や企業にその想いを熱く語り、ワンチームとなって日本のあるべき姿の実現を目指し、一方で国際的にも注目されるようなリーダーシップを発揮していただきたいと思います。(参照:No.4056 ちょっと一休み その653 『時代のリーダーに最も必要な要件とは!』


 
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2021年04月10日
プロジェクト管理と日常生活 No.688 『オーストラリアへの経済制裁に見る中国の脅威とその対応策!』

No.4908 ちょっと一休み その766 『中国経済の光と影!』で中国の強大なパワーに対してアメリカ以外の国は個別で対抗することは出来ず、中国に従わざるを得なくなってしまうと伝えしました。

そうした中、オーストラリアがまさにそうした状況に追い込まれていることについて「ワールドビジネスサテライト(テレビ東京)の4番組で取り上げていたのでご紹介します。

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

(昨年11月17日(火)放送分より)

 

オーストラリアのモリソン首相は帰国後に2週間の隔離生活になるにも係らず、菅総理との会談のためにあえて来日しました。(昨年11月17日、18日の両日)

こうした状況について、解説キャスターで日経ビジネスの編集委員、山川龍雄さんは次のようにおっしゃっています。

「それだけ中国から受けている圧力が強いということの裏返しでもあるんですね。」

「まずこのグラフ(添付参照)を見ていただきたいんですけど、これは「中国を好意的に感じない」人の割合なんですけども、一番右の紫色がオーストラリアなんですけど、年々高まってきています。」

「一番左のオレンジ色が日本なんですけども、ほぼ同じところまで来ているんですね。」

「なぜこれほど好意的に感じない人が増えたか、その背景にあるのが今年春なんですけど、モリソン首相がコロナに関してその発生源を解明する独立調査が必要だとかなり強調したんです。」

「で、それを受けて、中国側は様々なオーストラリアの商品(食肉、大麦、石炭など)を買わないぞと言って圧力を続けている最中なんです。」(参照:アイデアよもやま話 No.4780 中国・武漢で今起きていること!

「(その分、オーストラリアは日本との関係を強化したいということなのかという問いに対して、)アメリカと日本ですね。」

「安全保障でも経済でも関係を強化したい。」

「ただ、アメリカは現在大統領選が確定していませんから、まずは日本に駆けつけたということです。」

 

(昨年11月27日(金)放送分より)

 

中国は関係が悪化しているオーストラリアの農産物などを対象に事実上の輸入制限を次々と打ち出しています。

新たに標的としたのはオーストラリア産のワインです。

中国政府は今日、オーストラリアから輸入しているワインが不当に安く販売されているとして、制裁措置を発表しました。

明日から輸入業者に一定の補償金を納めさせるとしています。

オーストラリアにとって、中国は最大の貿易相手国ですが、オーストラリアが香港問題や中国の海洋進出を巡る問題でアメリカと足並みをそろえて批判的な態度を取っていることに中国は反発していて、今回の措置で圧力を強めたかたちです。

 

発表を受けてオーストラリア政府は、「中国の主張には根拠や証拠がない 深刻な懸念をもたらす動きで、精力的に戦っていく」との声明を発表しました。

こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「経済を使った圧力を加えることで、“エコノミック・ステイトクラフト”というわけですよね。」

「まさにパンダの国からのオーストラリアへの圧迫ですから、“パンダミックス”そのものですね。」

 

「日本にとってもう一つの要素があるんですね。」

「12月1日に施行される法律、輸出管理法なんですけども、例えば中国から部品を輸入して日本で製品を作って輸出する場合に、この法律によると中国の許可が必要になってくるんじゃないかと、そういう法律なんですね。」

「(中国製の部品を使っている製品はかなり多岐にわたっているが、)電気(家電)、自動車といった主力製品は相当影響を被ると思いますよ。」

「(こうした中国の動きに対して、日本政府は何か中国に対して訴えかけをしているのかという問いに対して、)この法律の草案は2017年なんですけども、経済団体を中心に「善処してくれ」とかなり言っていたのですが、中国はまさに馬耳東風の感じなんですよね。」

「で、冗談ではなく、日本政府も企業と一緒になって二人三脚で言うべきことは言ってもらいたいと思います。」

 

(昨年12月11日(金)放送分より)

 

中国商務省はオーストラリア産の輸入ワインに対し、臨時の相殺関税を課すと発表しました。

中国は先月にもオーストラリア産ワインへの反ダンピング(不当廉売)措置を打ち出していて、通商面で更に圧力を強めたかたちです。

相次ぐ制裁関税には新型コロナウイルスの発生源調査を巡り、対立を深めるオーストラリア政府をけん制する狙いがあると見られています。

 

(昨年12月16日(水)放送分より) 

 

オーストラリアは中国がオーストラリアの大麦に80%の高い関税を課し、輸入を制限したのは不当だとWTO(世界貿易機関)に提訴しました。

中国は、オーストラリアが新型コロナウィルスの発生源を巡って独立捜査を要求したことに反発し、大麦の他にもワインや牛肉などの輸入を制限していて、オーストラリアは追加の提訴も示唆しています。

 

以上、4つの番組の内容をご紹介してきました。

 

まず以下にこれらの番組の内容をまとめて整理してみました。

・昨年の春にオーストラリアのモリソン首相はコロナに関してその発生源を解明する独立調査が必要だとかなり強調したが、それを受けて、中国側は様々なオーストラリアの商品を買わないと圧力を続けてきた。

・昨年11月27日、中国政府はオーストラリアから輸入しているワインが不当に安く販売されているとして、制裁措置を発表したが、その具体的な内容は昨年11月28日から輸入業者に一定の補償金を納めさせることだという。

・オーストラリアにとって、中国は最大の貿易相手国だが、オーストラリアが香港問題や中国の海洋進出を巡る問題でアメリカと足並みをそろえて批判的な態度を取っていることに中国は反発していて、今回の措置で圧力を強めたかたちである。

・発表を受けてオーストラリア政府は、「中国の主張には根拠や証拠がない 深刻な懸念をもたらす動きで、精力的に戦っていく」との声明を発表した。

・オーストラリアは中国がオーストラリアの大麦に80%の高い関税を課し、輸入を制限したのは不当だとWTOに提訴した。

・中国は、オーストラリアが新型コロナウィルスの発生源を巡って独立捜査を要求したことに反発し、大麦の他にもワインや牛肉などの輸入を制限していて、オーストラリアは追加の提訴も示唆している。

・昨年12月1日に施行された輸出管理法は、中国から(特定の)部品を輸入して日本で製品を作って輸出する場合に、この法律によると中国の許可が必要になるという法律である。

 

なお、中国の輸出管理法による日本企業への影響について、昨年12月3日(木)付けネット記事(こちらを参照)ではより詳細に取り上げていました。

ここでは、その狙いについてのみご紹介します。

 

その狙いは、アメリカによるファーウェイへの制裁に対する反撃であるといいます。

なお、半導体などの戦略物資の輸入について、各国が規制の強化を急ぐ背景にはAI(人工知能)などの高度な技術が軍事転用されるなど安全保障上の懸念があるためだとしています。

 

また、2月26日付けネットニュース(こちらを参照)では中国による台湾産パイナップル輸入停止について取り上げていたので、その内容の一部を以下にまとめてみました。

・中国税関総署は2月26日、台湾産パイナップルの輸入を3月1日から停止すると発表した。2020年以降、何度か有害生物が見つかったためと説明している。

・中国は台湾産パイナップルの主要な輸出先(全輸出の約9割)で、禁輸措置は台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)政権への揺さぶりとの見方もある。

 

また、2月18日付けネットニュース(こちらを参照)では「クワッド」会議について取り上げていますので、その内容の一部を以下にまとめてみました。

・会議はクアッド(QUAD)と呼ばれる4カ国(アメリカ、日本、オーストラリア、インド)の協力体制の一環として開かれる。

・クアッドは、中国の軍事・経済的影響力拡大に対抗する非公式な枠組みである。

・クアッドは昨年10月、日本で対面方式による外相会議を開催。その翌月にインド東方のベンガル湾で合同の海上訓練を行った。

・アメリカは2月18日、フランス、ドイツ、英国の外相とも国際的な共通課題について電話会談を行うという。

 

さて、中国の覇権主義の世界的な展開、および人権侵害とそれへの対抗措置を講じるアメリカを軸とした自由主義陣営国との覇権争いという枠組みであらためて以下にまとめてみました。

・中国の覇権主義の世界的な展開

  南シナ海や東シナ海における海洋進出

一帯一路政策の推進

中国に批判的な態度を取る国に対する制裁措置

 オーストラリアの商品の輸入制限や高関税

台湾産パイナップルの輸入停止

アメリカの輸出管理規制への対抗措置

・中国による人権侵害

  香港の民主化運動や台湾の独立志向に対する強力な締め付け

  ウイグル族の弾圧

・自由主義陣営国による対抗措置

  アメリカによるファーウェイなどへの制裁

  アメリカによる輸出管理規制

  日米豪印のクワッドによる協力体制

  アメリアによる他の自由主義陣営国への協力の呼びかけ

 

なお、中国は経済的、軍事的にアメリカに追いつきつつある中で、覇権主義を振りかざし、その勢いが衰える様子は見えません。

そして、自国に不利な動きを見せた国に対してはピンポイントで制裁をしかけてきます。

ですから、日本においても今や中国は最大の貿易相手国ですから、中国により経済制裁を受けるようなことがあれば、その影響は無視出来ません。

また、以前にもお伝えしたように、いずれ香港や台湾との決着がつけば、その次は尖閣列島、更に沖縄まで中国は自国の領土にしようとするとも言われています。

 

ですから、日本は日米安保条約があるからといって、いざとなればアメリカが日本を守ってくれると安心してしまうのではなく、日本独自に自国の経済、および軍事安全保障について真剣に取り組むことがとても重要なのです。

そこで、専門家ではありませんが、私の考えるこうした経済的、および国家安全保障上のリスク対応策について、断片的にはこれまでプロジェクト管理と日常生活 No.680 『激しさを増す米中の経済覇権争いと軍事衝突リスクの回避策!』プロジェクト管理と日常生活 No.664 『覇権国家の横暴を許さない仕組み作りの必要性!』などで既にお伝えしてきました。

しかし、あらためて以下にまとめてみました。

・世界人権宣言やSDGsなど国連(国際連合)の取り決めを拠りどころに、様々な外交問題の是非を判断し、その結果を世界各国に訴えること

・日米安保条約やクワッドといった仕組みをベースに、単に自由主義陣営国という枠組みではなく、国連の取り決めを順守する国に協力を仰ぎ、中国のように国連の取り決めを無視して覇権主義にまい進する国に対してその非をあらためさせること

・オーストラリアや台湾のようにピンポイントで中国による制裁を受けた国に対しては、これらの国々が協力してその被害を最小限にするようにし、中国の制裁を無効にすること

・こうした仕組みを平和憲法を有する日本が世界各国に積極的に働きかけること

 

なお、日本だけが中国の覇権主義の非を訴えれば、経済的な制裁を受けてしまいますが、このようにより多くの国々が協力して国際的な取り組みの順守を訴え続けて中国に対抗すれば、さすがの中国も軌道修正せざるを得ないと思うのです。

ですから、是非菅総理はこうした考え方で日本独自の外交政策を展開していただきたいと思います。


添付)


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2021年04月09日
アイデアよもやま話 No.4925 宇宙作戦隊の訓練がスタート!

昨年12月16日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で宇宙作戦隊による訓練のスタートについて取り上げていたのでご紹介します。 

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

航空自衛隊は宇宙監視の任務を担う宇宙作戦隊の訓練の様子を初めて公開しました。

宇宙作戦隊は日本の人工衛星を他国からの攻撃や妨害から守るために今年5月に設立されました。

訓練では今月7日にアメリカと中国の衛星が接近した事例についてシミュレーターで再現し、解析を行いました。

アメリカと中国の衛星が約6kmの距離まで接近したということです。

 

宇宙空間では民間企業の活動が広がる一方で、衛星の数が増えたことで衝突事故が発生したり、衛星の残骸など、いわゆる宇宙ゴミが増加したりするなど、安定した宇宙の利用を妨げる問題も生まれています。

防衛省は今後山口県にレーダーを設置するほか、JAXA(宇宙航空研究機構)やアメリカ軍と連携した宇宙監視システムの構築を予定していて、2023年度からの本格運用を目指して訓練を進めます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

なお、宇宙作戦隊のより詳細な任務は以下の通りです。(ウィキペディアより)

JAXAやアメリカ宇宙軍と協力し、宇宙空間の常時監視体制を構築する。

・これにより、スペースデブリや他国の人工衛星等が日本の人工衛星に影響を及ぼさないかの監視や日本の人工衛星を他国からの攻撃や妨害、それに宇宙ごみから守るための「宇宙状況監視」を行う。

・電波妨害や不審な人工衛星や高度約3万6千キロの静止軌道の監視、隕石監視も行なう予定である。

 

さて、今や多くのクルマに搭載されているカーナビにアメリカ合衆国によって運用される衛星測位システム(地球上の現在位置を測定するためのシステム)、すなわちGPS(全地球測位システム)は不可欠です。

また、GPSを利用したグーグルマップなどのナビゲーションシステムも私たちの暮らしに完全に根付いています。

ですから、私たちは見知らぬ土地など、クルマや歩行によりどこに行くにもカーナビやナビゲーションシステムがあれば安心して目的地にたどり着くことが出来ます。

そして、GPSは具体的には人工衛星によって運用されています。

また、近い将来実用化される自動運転車にとってもGPSは不可欠な機能です。

更にGPSは軍事目的にも使用されており、今やGPS無しには機動的、かつ迅速な軍隊や兵器の運用は不可能とさえ言われています。

ですから、万一、GPS関連の人工衛星がどんな理由であれ、機能不全に陥ればその影響は甚大です。

 

このように今後ともGPSの継続的な機能の維持は様々な場面で必要不可欠な存在となっています。

こうした状況を考えると、宇宙作戦隊の創設はもっと早いタイミングでも良かったと思われます。

 

なお、先ほども触れたように、GPSは軍事面でも必要不可欠です。

ですから、いざ戦争が起きた場合、双方の軍隊はまず敵方のGPSを攻撃し、破壊しようとするのは当然です。

ですから、平常時から以下のようなGPS関連の対策が国に求められるのです。

・自国のGPS搭載の人工衛星を2重、3重に運用しておく

・平常時から宇宙ゴミや他の人工衛星と衝突しないような監視体制を整備しておく

・同時に仮想敵国のGPS搭載の人工衛星の運用状況を全て把握しておく

・いざ仮想敵国と戦闘状態になった場合を想定し、最大限に自国のGPS搭載の人工衛星が破壊されないような防御態勢を準備しておく

・同時に仮想敵国のGPS搭載の人工衛星を瞬時に破壊出来るような攻撃態勢を準備しておく

 

こうして見てくると、昨年創設された宇宙作戦隊の活動はようやくスタート地点に立ったばかりで、GPSに係わる私たちの生活全般、および国家安全保障の観点からすれば、沢山の任務が待ち構えているのです。


 
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2021年04月08日
アイデアよもやま話 No.4924 政府が率先して取り組む環境投資への呼び込み!

昨年12月16日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で政府が率先して取り組む環境投資への呼び込みについて取り上げていたのでご紹介します。

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

昨年12月16日、菅総理大臣はテレビ東京ホールディングスと日本経済新聞社などが主催する「2020特別講演会」にビデオメッセージを載せ、政府が率先して環境分野に投資することで、世界全体で3000兆円とも言われる環境関連への投資資金を日本に呼び込みたいと訴えました。

政府として脱炭素の技術革新を支援する2兆円の基金を創設することや、野心的なイノベーションに挑戦する企業を10年にわたって支援することなどを挙げ、雇用と成長を促すとアピールしました。

 

こうした状況について、番組コメンテーターでニッセイ基礎研究所の主任研究員、久我 尚子さんは次のようにおっしゃっています。

「(菅総理は雇用と成長を促していきたいとアピールしていたが、今、一番心配な雇用の減少についてどう分析しているかという問いに対して、)今後、雇用の更なる悪化を懸念しているんですけど、あらためてこれまでの雇用の状況を見ていきますと(添付のグラフを参照)、今年3月頃からピンク色と水色が非正規雇用者の数を表しているんですけども、昨年と比べて減少し始めていまして、7月、8月、9月で合わせて100万人以上減少しているんですね。」

「元々非正規雇用者というのは女性が約7割を占めますので、特に女性の非正規雇用者の減少が目立つんですけども、こちらの減少した非正規雇用者の内訳を見てみますと、やはり業種としては飲食とか小売とか観光関連ですね。」

「で、そのあたりのパートアルバイトで減少しているという状況です。」

「そして、グラフをよく見ていただきますと、濃い青色の下の部分ですね。」

「3ヵ所、正規雇用者の減少が見られるようになってきました。」

「今後、この正規雇用者の減少が大きくなる可能性があると思うんですけども、先週経団連が来春の賃金引上げが難しいという方針を出しましたし、今、早期退職を促す企業、希望を募る企業も出てきました。」

「そして、新卒の内定率は下がっています。」

「ですので、今はあまり大きな変化ではないんですけど、正規雇用者の減少という可能性が出てきています。」

 

「で、コロナ禍における労働政策として、これまで雇用調整助成金など、いかに雇用を守って失業者を出さないかというところに力点が置かれてきました。」

「で、今後は第三次補正予算案にも盛り込まれましたけれども、デジタルなど成長領域への労働移動を促すような、例えば教育ですとか、職業訓練などですね。」

「で、そのあたりを充実させて、より幅広いかたちでも労働政策をしっかりと進めていく必要があると思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

久我さんの指摘されている内容を以下にまとめてみました。

今後、雇用の更なる悪化を懸念している

・非正規雇用者の数は昨年と比べて7月、8月、9月で合わせて100万人以上減少している

・その内訳は、業種としては飲食とか小売とか観光関連である

・新卒の内定率は下がっている

・今後、この正規雇用者の減少が大きくなる可能性がある

・今後はデジタルなど成長領域への労働移動を促すような、教育や職業訓練などを充実させて、より幅広いかたちでも労働政策を進めていく必要がある

 

こうした中、政府が率先して環境分野に投資することで、世界中から環境関連への投資資金を日本に呼び込みたいとしています。

同時に、政府は脱炭素の技術革新を支援する2兆円の基金の創設や野心的なイノベーションに挑戦する企業を10年にわたって支援することなどを挙げ、雇用と成長を促すとしています。

 

こうした政府の政策の方向性は正しいと思いますが、その実施はすぐには成果に結びつきません。

一方、新型コロナウイルス感染拡大の収束はまだいつ頃になるか分からない状態が続いています。

ですから、当分の間は非正規雇用者、および正規雇用者の中で失業された方々に対する国による生活支援が求められます。

同時に、経済活動の主体はあくまでも個々の企業ですので、政府の支援を最大限に活用して、コロナ禍においても新たな需要、および雇用を生み出すことの出来るような、より多くのバイタリティ溢れるベンチャー企業の登場が待たれます。


添付)

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2021年04月07日
アイデアよもやま話 No.4923 SBI、地銀連合がコロナ禍における地方を救う!?

昨年12月16日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でコロナ禍における銀行の果たすべき役割について取り上げていたのでご紹介します。

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

新型コロナウイルスの感染拡大で世界的な行動規制が再び始まっていますが、日本でも第3波と呼ばれる状況が長引いて来て、中小企業の経営がより一層厳しさを増しています。

こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「こういう時だからこそ、資金繰りの命綱を握っている銀行の役割は大変重要になってくるわけですよね。」

「そこで、群馬県に本店を置いている東和銀行に注目してみたいと思うんです。」

「実は、融資先、2000社あまりを絞り込みまして、3月までに集中的に支援するという、今そういう活動に出ているわけです。」

「(融資条件の緩和、資金ぐりの支援、そして本業の支援という、)融資と本業、そういうかっこうで支援していくわけですけども、重要なのはやっぱり資本が足りなくなっている融資先が多いんです。」

「そこでSBIグループとジョイントで会社を作りまして、劣後ローンなどの資本性の資金を注入する仕組みを整えたわけです。」

「こういったやり方については、金融庁も相当注目していると聞いています。」

「まさに“雨が降っている時に傘を差しだす”、それが銀行の一番重要な役割だと僕は強調したいですね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

また3月26日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でSBIホールディングス(SBI)による地方銀行(地銀)の経営強化について取り上げていたのでご紹介します。

 

北尾義孝社長率いるSBIはこれまで7つの地銀と資本提携を結び、地銀の経営強化に乗り出しています。

地域の経済を支える地銀は今後どうなっていくのでしょうか。

 

3月上旬、群馬県太田市、群馬県の第二地銀、東和銀行の太田支店、営業担当の片倉知洋課長は外回りで、やって来たのは東和銀行が融資する飲食店、おもひで横丁 なつかし屋です。

5年前にオープンしたこのお店は昭和の古き良き時代をイメージして作られています。

オーナーの須永和昭さんは商店街の活性化のため、このお店を開きました。

須永さんは次のようにおっしゃっています。

「昔ながらのにぎわいを取り戻せればと思っています。」

 

駅前の商店街で6店舗の飲食店を経営していますが、コロナの影響で3店は休業中、売り上げがないまま半年以上家賃だけを払い続けています。

須永さんは次のようにおっしゃっています。

「我慢といってもいつまで我慢していいかっていうのは一番、資金繰りの部分が大変になってくるので・・・」

 

コロナの影響は深刻さを増しています。

そこで東和銀行が力を入れているのが資金ぐりの支援です。

通常、銀行が融資先の年間の資金繰り表を作ることはありませんが、昨年10月からコロナ禍で苦しむ融資先のために始めたといいます。

片倉さんは須永さんに次のように説明しています。

「8月に資金ショートを起こしてしまう。」

 

須永さんの会社はコロナ対策で借りた1000万円の返済が6月から始まるため、8月には運転資金が足りなくなってしまいます。

そこで片倉さんは須永さんに次のようにおっしゃっています。

「当行としては、須永社長を応援したいという気持ちがありますので、500万円のご融資をご提案させていただきます。」

 

これに対して、須永さんは次のようにおっしゃっています。

「ありがとうございます。」

「本当に心強いです。」

 

コロナに苦しむ地元企業を融資で支えるのが地銀の重要な役割です。

しかし、地銀の経営は年々厳しさを増しています。

低金利政策の長期化もあって、東和銀行の純利益は約33億円(2020年度)と、2期連続で減少、更に公的資金、150億円の返済も残っています。

東和銀行の吉永圀光会長は融資をするだけでは今後生き残れないといい、次のようにおっしゃっています。

「預金を集めて貸し付けるだけではダメだと思います。」

「お客様が何を望み、どういうことをしたいかということを十分ヒアリングして、私どもの力では出来ないところを特にSBIさんの力を借りてやると。」

 

東和銀行は昨年10月にSBIと資本提携を結び、これまでの銀行業務を抜本的に見直すことにしたのです。

2月24日、東和銀行の本店にSBIグループの担当者がやって来ました。

そして、東和銀行の担当者は次のようにおっしゃっています。

「我々とSBIさんで力を合わせて、お客さんの支援をやっていきたい・・・」

 

SBIと東和銀行は昨年12月、5億円の共同ファンドを設立、地元、群馬の企業に出資して資金面で支えようというのです。

更にSBIインベストメントの吉村純一さんは次のようにおっしゃっています。

「コロナ後を勝ち抜いていけるような、私たちの技術を是非御行のお客様に対して導入して、私たちが微力ながらサポートさせていただきたいと考えていますので・・・」

 

共同ファンドは、SBIが出資しているスタートアップ企業のデジタル技術を東和銀行の融資先に導入、資金と技術で地元企業の体質強化を図ります。

東和銀行は融資先との関係が深まり、SBIはグループのサービスを売り込める、双方にメリットのある取り組みなのです。

共同ファンドの出資先は3月中にも決まるはずです。

 

地銀の経営が更に厳しさを増す中、東和銀行は生き残れるのでしょうか。

吉永会長は次のようにおっしゃっています。

「今年はですね、やはり自らを変えて自分の経営基盤を強化出来る銀行と、そうでない銀行に分かれると思うんですね。」

「私どもはSBIさんとの新しい関係が出来ましたので、頑張っていけると思います。」

 

SBIの川島克哉副社長は次のようにおっしゃっています。

「(SBI地銀連合の目指すところについて、)我々が出資の関係を持たせていただいた地方銀行さん同士の横の連携が出来ることで、新しい商品の共有だとか、ノウハウの共有だとか、もっと進めばシステムの共有だとか、こういうことが出来るようになりますと、結果として個別の地方銀行さんのノウハウや価値も高まるだろうと。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

いまだ、新型コロナウイルスの感染の再拡大は第4波の渦中にあるような状況で、一部の企業の売り上げが伸びている一方で、多くの企業は売り上げが激減し、資金繰りに苦慮しているといいます。

同様に、特に非正規雇用者の中には労働時間の短縮や失業を強いられたりなどで収入が激減し、大変な状況に置かれています。

中でも、女性の非正規雇用者の自殺者が増えているといいます。

 

そうした中、銀行業界も特に地銀では資金繰りに苦慮されているところが増えているようです。

コロナ禍において、大幅な売り上げ減少が長期間にわたって続けば、特に事業資金の少ない中小企業は経営危機に直面してしまいます。

そうした時に、命綱、あるいは最後の砦となるのが融資元である銀行からの融資支援です。

ですから、その銀行が融資資金不足に陥れば、融資先の企業も融資元の銀行も共倒れになり、ひいては日本経済全体に大きな影響が出てきます。

 

そうした中、今回ご紹介したようにSBIは多くの地銀と資本提携を結び、地銀の経営強化に乗り出しているのです。

SBI、地銀連合による地元企業への融資と本業における具体的な支援内容を以下にまとめてみました。

(融資)

・融資枠の拡大

・融資条件の緩和

 

(本業)

・資金繰り表の作成などによる事業資金管理支援

・SBIが出資しているスタートアップ企業のデジタル技術の地銀、および地銀の融資先への導入による、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

 

こうしたSBI、地銀連合の新たな取り組みにより、東和銀行は融資先との関係が深まり、SBIはグループのサービスを売り込める、というように双方にメリットがあると期待されています。

 

更に、SBIの川島副社長がおっしゃっているように、SBI、地銀連合に参加した地方銀行同士の横の連携について、新しい商品、ノウハウ、そしてシステムの共有を通じて、個別の地銀のノウハウや価値を向上させるというゴールを掲げています。

 

ですから、SBI、地銀連合は単に融資先の地方企業を融資と本業における支援のみならず、地方企業、および地銀をDX(デジタルトランスフォーメーション)で革新しようとしているのです。

当然、SBIが出資しているスタートアップ企業も新たな需要を得られるわけですから、まさに“四方良し”(近江商人の言葉、“三方良し”のもじり 参照:アイデアよもやま話 No.843 近江商人の教え!)で、地方企業、地銀、SBI、およびスタートアップ企業にとってそれぞれメリットがあるのです。

なお、ここには含めていませんが、当然、地銀の個人顧客、地方企業の取引先、あるいは最終消費者にいたるまで地方企業による事業の継続は恩恵が及ぶのです。

 

ここまで書いてきて、以前、ソフトバンクグループ(SBG)が投資会社としてだけでなく、各投資先企業の持つ技術力の相乗効果をより一層高めるプロデューサー的な存在を目指しているとお伝えしたことを思い出しました。(参照:アイデアよもやま話 No.4348 ソフトバンクグループに見る今後の日本企業のあり方!)。

まさにSBIの北尾社長は、より多くの地銀、および投資先のスタートアップ企業を対象にSBGと同様にプロデューサー的な役割を目指そうとしているのではないかと思います。

 

また、以前、以下のようにお伝えしました。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.679 『経済復活のカギは地方銀行再編!?』

・菅総理は地方銀行の再編を進めようとしている

・運用資産3兆円の巨大ファンドを率いるキャブラ・インベストメント・マネジメントの共同経営者で、ロンドンの金融界の大物とされる浅井将雄さんは、日本経済には成長の余地があり、その起爆剤が地銀の再編と外資にあると指摘している

 

ということで、今回ご紹介したSBIの取り組みは、国策である地方銀行の再編、および浅井さんの率いる巨大投資ファンドの取り組みとも符合する、まさに的を射たものと言えます。


 
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