2025年06月10日
アイデアよもやま話 No.6230 車いすの介助者をアシストする「押シスト!」!?

1月30日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で車いすの介助者をアシストする「押シスト!」について取り上げていたのでご紹介します。 

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

庄内緑地(名古屋市西区)で、番組キャスターが待ち合わせたスタートアップ企業、合同会社 道設計The Way Design LLC)の梅津優代表は、一見すると一般的な車いすとともに現れました。

そして、梅津さんは次のようにおっしゃっています。

「これ自体は一般的な車いすです。」

「(「押シスト!」は、)これに第3の足となるモーター(付き)タイヤを付けています。」(こちらを参照)

 

手動の車いすにモーター付きのタイヤを取り付けることで、押すことを電動アシストしてくれます。

操作は、車いすのグリップ部分に取り付けたレバーを下げるだけ。

タイヤが動きます。

早速、試してみました。

これだと、長時間押していても、疲れなさそうです。

ギアは2段階あり、最高時速は3キロです。

バッテリーをフル充電で約10kmのアシスト走行が可能だといいます。

ただ、ここで疑問が。

そもそも、電動の車いすとの違いですが、梅津さんは次のようにおっしゃっています。

「電動の車いすは、座っている方が操作するので、座っている方が操作するのが大体の電動車いすですね。」

「で、「押シスト!」は、押す人、介助者がここ(グリップ部分に取り付けたレバー)で操作する。」

「対象者が異なってきます。」

 

最も力を発揮するのが坂道。

アシストがある場合とない場合を比べてみました。

約5度の傾斜の坂道ですが、アシストがない場合は、腰、足にかなりの負担がかかりました。

続いて、アシストがある場合は、全然、力が必要ありませんでした。

梅津さんは次のようにおっしゃっています。

「こういう坂道だと、よりモーターの効果が分かり易くて、介助者の負担が劇的に減ると思います。」

 

レバーを押す、ちょっとした力だけで上り切ることが出来ました。

登っている映像を比較してみても姿勢が全く違うのが分かります。

 

また、こんなオプションも。

ボード(こちらを参照)を取り付けることで、なんと押す人が乗ることが可能に。(こちらを参照)

梅津さんは次のようにおっしゃっています。

「車いすに乗っている方は、押す方が大変なのを知っているので、お出かけをためらうんですね。」

「だから「押シスト!」があると、お出かけがまず楽になりますし、場合によって、こういうボードを付けて、一緒に乗っていただくと双方が楽しくなるので。」

 

最高時速が3キロと低速なため、公道でも走行が可能だといいます。

 

3年をかけ、この「押シスト!」を開発した梅津さん。

そのきっかけは母親の介護でした。

介助者の負担を軽減し、更に楽しませることは出来ないかと、自宅のリビングで試行錯誤を重ね、たどり着いたのが様々な車に対応出来る、このアーム(こちらを参照)です。

このアームにより、それぞれ幅の違う車いすにタイヤをつけることが可能になります。

 

今年中の発売を予定している「押シスト!」ですが、更なる機能も。

梅津さんは次のようにおっしゃっています。

「先ほど、試していただいた「押シスト!」をより安全に使っていただくアプリケーションになります。」

 

一般的な手動車いすに取り付ける「押シスト!」。

開発者の梅津さんが更に介助者の負担軽減に作っているのがスマホアプリです。

アプリを立ち上げ、下り坂に向かうと、「危ない、坂が急ですよ」というアラートの音がします。

スマホに搭載されているセンサーが傾斜の角度を計測。

ある一定の角度や距離によって、危険を知らせてくれます。

 

今後は、坂道だけでなく、様々な危険に対応していくとしています。

梅津さんは次のようにおっしゃっています。

「車いすにとって、危険な路面の凹凸の情報を集めてフィードバックしてあげる。」

「将来的には「押シスト!」にセンサーを入れて、「押シスト!」が動けば情報が入ってきて、クラウドに情報が集まって、他の「押シスト!」も同じ情報を持つので、良くない情報を持てば、ちゃんとシェア出来るようにしたいと思っています。」

 

この「押シスト!」ですが、将来的には車いす以外にもベビーカーであったり、買い物カートといったものにも応用出来るということです。

年内に発売予定なんですけど、今のところ、価格は20万円以内に抑えた価格で販売を考えているということです。

なお、より頑丈にして、耐久性を上げることを今後の課題にしているということです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して、合同会社道設計の開発した車いす用電動アシスト装置「押シスト!」について、以下にまとめてみました。

✅ 開発の背景と目的
・開発者: 梅津優代表(道設計)
・開発の動機: 母親の介護経験をきっかけに「介助者の負担軽減と外出の楽しさの両立」を目指した。
・開発期間: 約3年、自宅のリビングで試行錯誤を重ね、たどり着いたのが様々な車に対応出来る、幅の違う車いすにタイヤをつけることが可能になるアームです。

✅ 「押シスト!」の特徴
機構:
・一般的な手動車いすに取り付け可能。
・モーター付きの“第3のタイヤ”を装着。
・グリップ部分に取り付けたレバー操作でモーターが作動(押す人が操作)。
性能:
・2段階ギア、最高時速3km。
・フル充電で約10kmのアシスト走行が可能。
・坂道で特に有効で、介助者の姿勢や身体への負担を大幅に軽減。

✅ 操作と応用
・レバーを「軽く押すだけ」で登坂でき、押す人の疲労が激減。
・オプションで、介助者が立ち乗り出来るボードも装着可能。
 ⇒ 双方にとって「移動の楽しみ」が生まれる。

✅ 電動車いすとの違い
・電動車いす: 搭乗者が操作。
・押シスト!: 介助者が操作するアシスト機器。

✅ デジタル連携と今後の展望
スマホ連携機能(開発中):
・スマホアプリが坂道などの傾斜検知し、アラートを発信。
・スマホのセンサーで危険地形を検知。
将来構想:
・「押シスト!」本体にセンサーを搭載し、路面状況(凹凸など)を検知。
・クラウド共有により、他の「押シスト!」にも危険情報をフィードバック。
・応用可能性: ベビーカー・ショッピングカートなど他の用途にも展開を検討。

✅ 製品化と課題
・発売予定: 2025年内
・価格想定: 20万円以内
・課題: より頑丈に、そして耐久性の強化

✅ 社会的意義
・外出の心理的ハードルを下げる:
 ⇒ 介助者の負担軽減は、結果的に要介助者の外出機会増加につながる。
・共に楽しめる移動体験:
 ⇒「誰かのために押す」から「一緒に楽しむ」へ。 


既に自転車の電動アシストや車いすに乗っている本人が操作する電動車いすはかなり普及していますが、自動車のEVシフトや少し遅れてのオートバイなどの二輪車の電動化も徐々に普及しつつあります。

そうした中、「押シスト!」のように、介助者を要する車いすの外付けの電動化も動き出したわけです。
そして、「押シスト!」は更にベビーカーやショッピングカートなど他の用途にも展開を検討中といいます。

今後とも高齢者や障害で手が不自由な方と介助者が車いすで一緒にスーパーなどに出掛ける際、特に自宅から目的地までの間に急こう配の坂道があったりすると、「押シスト!」のように電動での移動手段があると、介助者にとって、負担が軽くなり、とても便利です。
しかも、「押シスト!」は後付けが出来るといいますから、一定の需要が見込まれると思います。


 
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