昨日、チャットGPT前史、そして今についてお伝えしました。(参照:No.6222 ちょっと一休み その983 『チャットGPT前史、そして今は』)
そこで、今回は、現在のAIチャットの代表格であるチャットGPTとディープシークの比較についてお伝えします。
1月28日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でチャットGPTとディープシークの比較について取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。
日米のマーケットが大きく動きました。(1月28日)
引き金になったのが中国製の生成AIモデルの存在です。
日本の株式市場でも、半導体関連の銘柄に売り注文が相次ぎ、一時600円以上、値を下げる場面も。
終値は39、016円と、3日連続の下落となりました。
この流れを作ったのが27日のニューヨーク株式市場です。
ハイテク株が多いナスダック、3%を超える大幅安に。
中でも、AI向けの半導体を提供するエヌビディアの株価が前日に比べて17%も下落し、時価総額が約92兆円分、減少しました。
アメリカの企業としては過去最大の減少幅です。
トヨタ自動車の時価総額、46兆円の2倍もの額がたった1日で吹き飛んだことになります。
日米の株式市場の起きた“異変”。
背景にあるのが、中国の新興企業、ディープシーク(deepseek)が開発した生成AIモデル「R1」の登場(1月20日)です。
最大の特徴が開発コストの安さ、
1つのモデルにかかった費用は600万ドル、日本円で約9億円に抑えられ、
アメリカ競合企業の10分の1以下になるとしています。
このため、アメリカ勢の優位性が揺らぐと警戒され、株価に影響を与えたのです。
では、その性能は、
日本のAI研究の第一人者、東京大学大学院の松尾豊教授を訪ねました。
松尾さんは次のようにおっしゃっています。
「数学のタスクやいろいろな言語タスクでは、(ディープシークは)オープンAIの「o1」(最新モデル)とほぼ同じぐらい。」
「あるいはタスクによっては(オープンAIを)超えるようなものもあるというぐらいの精度で、これも、かなり驚くべきことだと思いますね。」
ディープシークとアメリカのオープンAIが開発したチャットGPTに、東京大学の入試問題を解かせると、それぞれのAIがすらすらと数式を書いていきます。
先に解き終えたのはチャットGPT。
ディープシークは約5秒後に回答しました。
低コストと性能の高さを謳ったディープシーク。
アメリカではアップルのアップストアで無料ダウンロード数が一時首位となりました。
AI開発を推進するトランプ大統領は次のようにおっしゃっています。
「多額のお金を費やす必要がないため、資産としてポジティブに捉えている。」
「中国企業のAIであるディープシークの発表は、我々の業界にとって、勝つためには競争に全力集中する必要があるという警鐘となるべきだ。」
一方、中国は、このディープシークをどう位置付けているのでしょうか。
今月20日、ナンバー2の李強首相は、企業経営者らを招いた座談会。
ディープシークの創業者、梁文鋒(リャン・ウェンフォン)さんは、AIについて中国メディアの取材に対し、次のようにおっしゃっています。
「包括的で、かつ手頃な価格であるべきだ。」
中国政府との近さが際立つディープシークには、ある制限も。
中国側が神経をとがらせている天安門事件について尋ねると、中国語で「この問題には答えられません。話題を変えましょう。」などと表示されました。
一方で、ディープシークの特徴として挙げられるのが、オープンAIのチャットGPTと異なり、“オープンソース”であることです。
“オープンソース”の場合、企業などがディープシークのAIモデルに新たなデータを学ばせた場合、独自のアプリやプログラムの開発に活用出来ます。
このディープシークをビジネスに活用しようとする動きも。
サイバーエージェントが公開したのが、ディープシークに日本語のデータを追加学習させたモデルです。
サイバーエージェントの石上亮介さんは次のようにおっしゃっています。
「日本語で質問しても、中国語や英語で回答してしまうことが多々あったんですけども、日本語で追加学習を行うことによって、日本語で訊いたら日本語で答えるようにしている。」
サイバーエージェントでは、商品が自らアピールするロボットなどの販売促進ツールの開発や企業の広告制作などで生成AIを活用。
今後、独自で開発した生成AIに加えて、ディープシークを使ったサービスの提供も視野に入れています。
石上さんは次のようにおっしゃっています。
「(ディープシークは)料金がチャットGPTなどの主要なモデルと比べて安くなっている。」
「つまり、利用者側からすると、安くLLM(生成AI)を使うことが出来るという状況になっているので、それを活用するサービスも安く動かせるようになると思いますね。」
この中国企業が開発したディープシーク、セキュリティ上のリスクはないのでしょうか。
松尾教授は次のようにおっしゃっています。
「ディープシークのパソコン版やアプリ版を使うと、情報は向こう(中国)に行きますけども、オープンソースになっているモデルを使う分には、自分たちの手元で動作させることが出来ますから、情報のセキュリティという意味では、それほど心配ないと思います。」
「(その上で)、中国における安全性の基準を考えて作られているんですね。」
「それは、少なからず中国の国家的な価値観などが反映されたものになっていて、そこら辺に対して、このまま使っていいのかどうかという面はあると思いますね。」
こちらにチャットGPTとディープシークの違いをまとめました。
中国発の生成AIモデルですが、ディープシークショックと言われるまで市場に動揺が走ったことについて、日本経済新聞 論説フェローで解説キャスターの原田亮介さんは次のようにおっしゃっています。
「これ、ゲームのルールを変えるゲームチェンジャーになる可能性があるわけですよね。」
「これまでAIの開発はアメリカのハイテク大手が競っていて、いかにサーバーの性能を上げるか、そのためには最先端のGPUという半導体をどうやって確保するか。」
「で、このGPUを作っているエヌビディアを中心とする生態系が出来てたたわけです。」
「どころが、このディープシークは(型落ちの半導体、エヌビディア製H800(添付1参照)を使うことで、)アメリカの最新のAIの大体10分の1のコストで開発されると。」
「そうなると、高いGPUはいらないかもしれないし、サーバーのコストもとても安くなる。」
「で、エヌビディアの収益構造が変わるかもしれないから株価が暴落したということですね。」
「(ただ、こんなに短期間で、突然エヌビディアの地位が脅かされることになったのは正直驚いたが、)AIはテンポが速いですよね。」
「チャットGPTが発表されたのは2022年の11月。」
「2年あまりで世界を変えたわけです。」
「今回のAIというのも創業して1年あまりで発表されて、1週間でダウンロード数が世界一になったと。」
「で、(ソフトバンクグループの会長兼社長の)孫正義さんがトランプさんに70兆円のAI投資を提案したわけですけど、ディープシークが浸透すれば、そんなにお金がかかんないかもしれないし、サーバー向けの戦力投資もあまりいらないかもしれない。」
「だから、パラダイムを変えるわけですね。」
「(そうなると高性能GPUの価格が下落していく可能性もあるかもしれないので、今後エヌビディアを巡る生成AIの勢力図は今後、変っていくのかという問いに対して、)もう少し、詳細な情報が必要だと思うんです。」
「個人向けでは、かなり性能が高いかもしれないけれど、大量の情報を処理をする企業向けのサービスで同じようなのかどうか。」
「まあ、今回も一両日、サーバーがダウンしたと言われていますから、やっぱり、正確な評価のための情報がもう少し必要だと思います。」
「(今日、お伝えしました、中国発のAI、ディープシークですが、TikTokですら、アメリカの最高裁で利用禁止の判断が出たが、そのままではアメリカで使えないのでは、という問いに対して、)今は広く使いたがる。」
「そうだとすると、「天安門事件」で検索しても、答えは出てこないし、日本の企業が使うことも勧められないでしょうね。」
「ただ、オープンソースなので、カスタマイズして、サーバーを中国外に置けば、リスクはある程度無くなるということですね。」
「(アメリカは先端半導体などを中国に輸出出来ないようにしてイノベーションをストップさせてきたにも係らず、今回の新しい生成Aモデルが中国から誕生したということだが、)ディープシークAIが使って活用したのは、エヌビディアの一世代前のGPUを使ったと言われているわけです。」
「つまり、資源が限られていることで、それがイノベーションを促したということも言えるわけなので、限られている資源がアメリカに先駆けて人工衛星を飛ばしてスプートニクショックというのがありました。」
「それに匹敵するという声もあるわけですね。」
「今、一番喜んでいるのは中国の指導部だと思うんですけども。ただし、米中のAIを巡る競争は、まだ始まったばかりですよね。」
「(エヌビディアの株価、今日は17%下落したけども、時間外の取引で5%反発しているようだが。)まだ12ポイントギャップがあるので、このブームが果たしてどういうかたちで進むのかは今後の注目です。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
番組の内容を以下にまとめてみました。
・中国の新興企業、ディープシークが開発した生成AIモデル「R1」の登場で、日米のマーケットが大きく動いた
-1月27日にエヌビディアの株価が前日に比べて17%も下落し、時価総額が約92兆円分、減少した
-その影響で、1月28日の日本の株式市場でも、半導体関連の銘柄に売り注文が相次ぎ、一時600円以上、値を下げる場面もあった
(ディープシークの特徴)
・最大の特徴は開発コストの安さである
-1つのモデルにかかった費用は600万ドル、日本円で約9億円に抑えられ、アメリカ競合企業の10分の1以下になるとしている
-このため、アメリカ勢の優位性が揺らぐと警戒され、株価に影響を与えた
・性能は、数学のタスクやいろいろな言語タスクでは、オープンAIの「o1」(最新モデル)とほぼ同じぐらいである
・タスクによってはオープンAIを超えるようなものもあるというぐらいの精度である
・ディープシークとアメリカのオープンAIが開発したチャットGPTに、東京大学の入試問題を解かせると、それぞれのAIがすらすらと数式を書いていく
-先に解き終えたのはチャットGPTで、ディープシークは約5秒後に回答した
・アメリカではアップルのアップストアで無料ダウンロード数が一時首位となった
・中国政府との近さが際立つディープシークには、中国側が神経をとがらせている天安門事件について尋ねると、中国語で「この問題には答えられません。話題を変えましょう。」などと表示されるといった制限がある
・オープンAIのチャットGPTと異なり、“オープンソース”である
-“オープンソース”の場合、企業などがディープシークのAIモデルに新たなデータを学ばせた場合、独自のアプリやプログラムの開発に活用出来る
(ディープシークをビジネスに活用しようとする動き)
・サイバーエージェントはディープシークに日本語のデータを追加学習させたモデルを公開した
-商品が自らアピールするロボットなどの販売促進ツールの開発や企業の広告制作などで生成AIを活用した
-今後、独自で開発した生成AIに加えて、ディープシークを使ったサービスの提供も視野に入れている
-ディープシークは、料金がチャットGPTなどの主要なモデルと比べて安くなっているので、それを活用するサービスも安く動かせるようになる
(ディープシークのセキュリティ上のリスク)
・ディープシークのパソコン版やアプリ版を使うと、情報は中国に行くが、オープンソースになっているモデルを使う分には、自分たちの手元で動作させることが出来るので、情報のセキュリティは、それほど心配ない
・中国における安全性の基準を考えて作られているので、少なからず中国の国家的な価値観などが反映されたものになっている
(チャットGPTとディープシークの違い)
ディープシークは中国発の生成AIモデルですが、ディープシークショックと言われるまで市場に動揺が走ったが、ゲームチェンジャーになる可能性がある
・「これまでAIの開発はアメリカのハイテク大手が競っていて、いかにサーバーの性能を上げるか、そのためには最先端のGPUという半導体をどうやって確保するかだった
・このGPUを作っているエヌビディアを中心とする生態系が出来ていた
・しかし、ディープシークは、型落ちの半導体、エヌビディア製H800を使うことで最先端の半導体の大体10分の1のコストで開発される
・そうなると、高いGPUは不要になるかもしれないし、サーバーのコストもとても安くなる
・エヌビディアの収益構造が変わるかもしれないから株価が暴落したということである
・AI開発のテンポは非常に速い
-チャットGPTが発表されたのは2022年の11月で、2年あまりで世界を変えた
-今回のAIというのも創業して1年あまりで発表されて、1週間でダウンロード数が世界一になった
・ソフトバンクグループの会長兼社長、孫正義さんがトランプさんに70兆円のAI投資を提案したが、ディープシークが浸透すれば、そんなに資金がかからないかもしれないし、サーバー向けの戦力投資もあまりいらないかもしれないので、パラダイムを変えるわけである
・しかし、個人向けでは、かなり性能が高いが、大量の情報を処理をする企業向けのサービスでも同じかは分からないので正確な評価のための情報がもう少し必要である
・ディープシークAIが使って活用したのは、エヌビディアの一世代前のGPUを使ったと言われているが、資源が限られていることで、それがイノベーションを促した
・今、一番喜んでいるのは中国の指導部だと思うが、米中のAIを巡る競争は、まだ始まったばかりである
なお、1月29日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でもディープシークについて触れており、国際社会経済研究所の理事長、藤沢久美さんは次のようにおっしゃっています。
「不正の問題もありますけど、私は、今回の件で3つぐらい気づきがあったなと思っていて、1つは、中国を無視しちゃいけない、しっかり観察しなきゃいけない。」
「昨年、国際ロボット学会に行って、ロボットってAIを使いますけど、中国が一番優れてたんですね。」
「で、2番目は、やっぱり相手に制裁を与えて、制約を与えて、苦しめると、イノベーションが起きちゃうよと。」
「なので、そういうリスクがあるっていうことを考えなきゃいけないということ。」
「で、3番目は、やっぱり、これ見て、AIの進化のスピードが上がるなと。」
「オープンソースですから、みんな使い始めます。」
「そうすると、どんどんAIの活用が増えるので企業も、どれくらいAIを使うか。」
「これで格差は広がっていく。」
「我々、覚悟しなきゃ、いけないなと。」
「(アメリカは中国を止めようとしているが止められないということなのかという問いに対して、)知恵の競争になると止められないと思いますね。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
番組を通して、藤沢さんによる3つの指摘を以下にまとめてみました。
1.中国を無視してはいけない、そして、しっかり観察しなくてはいけない
・昨年、国際ロボット学会に行って、AIロボットは中国が一番優れていた
-アメリカは中国を止めようとしているが、知恵の競争は止められない
2.相手に制裁を与えて、苦しめると、相手側にノベーションが起きるリスクがある
3.オープンソースによりAIの進化のスピードが上がる
・オープンソースなので、みんな使い始めると、格差は広がっていく
さて、チャットGPTとディープシークの比較について、先ほどこちらでお見せしたように、ディープシークはソースコードがオープンソースなのでユーザーが広がり易く、型落ちの半導体、エヌビディア製H800を使うことで最先端の半導体の大体10分の1のコストで開発されるといいます。
なお、添付2による両者の性能比較、および選択のポイントは以下の通りです。
• 高度な推論やマルチモーダル処理が必要な場合:ChatGPT(特にGPT-4oやGPT-4.1)が適しています。
• 数学的処理やコスト重視の用途:DeepSeek R1やV3.1が有力な選択肢です。
• 多言語対応や中国語圏での利用:DeepSeekが特に優れています。
• インフラやリソースに制約がある場合:DeepSeekの軽量な運用が有利です。
最終的な選択は、利用目的や求める性能、コスト、インフラ要件などに応じて判断することが重要です。
更に、特に考慮すべきディープシークのセキュリティ上の問題、あるいは制約については添付2-1を参照下さい。
DeepSeekは、高性能なAIモデルを低コストで提供する一方で、セキュリティやプライバシーに関する重大なリスクが存在します。
特に、機密情報を扱う業務や政府機関での使用には慎重な判断が求められます。
代替として、セキュリティ対策が強化された他のAIモデルの利用を検討することを推奨します。
では、チャットGPTとディープシークの総合的な評価からすると、一般的な企業がAIチャットを購入する場合、ディープシークを選択するのが良いのではないか、また、その際の考慮点については添付3を参照下さい。
また、チャットGPTとディープシークの総合的な評価からすると、AIチャットを購入する場合、チャットGPTを選択するのが良いのではないか、また、その際の考慮点については添付4を参照下さい。
ということで、チャットGPTとディープシークとでは、同じAIチャットでも、それぞれの良さ、そして考慮点があるので、企業などが購入する際には、こうした観点からどちらを選択するか、十分な検討が必要です。
なお、今回は、ディープシークはチャットGPTに比べて、同程度の性能で、ざっと10分の1ほどの開発コストだとお伝えしました。
そこで、次回は、その理由について探ってみます。
添付1)
エヌビディア製「H800」モデルとは?
ChatGPT:
エヌビディア(NVIDIA)製「H800」は、中国市場向けに特別に設計された**ハイエンドAIアクセラレータ(GPU)**です。これは、米国政府による対中輸出規制を遵守するため、A100やH100の代替品として開発されました。
✅ H800の概要
項目
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内容
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製品名
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NVIDIA H800 Tensor Core GPU
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発表時期
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2023年初頭(H100の中国向け代替として)
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対象市場
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中国のみ(米国の輸出規制に対応)
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主な顧客
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Alibaba(阿里巴巴)、Baidu(百度)、Tencent(騰訊)、ByteDance(字節跳動)など中国の大手テック企業
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🔧 H800の技術的特徴(H100との比較)
項目
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H800
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H100(フルモデル)
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GPUアーキテクチャ
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Hopper
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Hopper
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帯域幅
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制限あり(下記参照)
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最大3.35TB/s
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NVLink接続
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制限あり(帯域幅減)
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最大900GB/s(NVLink)
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AI性能(推定)
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H100よりも30〜50%性能低下
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フル性能
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対応用途
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中国国内の生成AI、LLM、推論用
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国際市場全般、高度AI演算
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米国の輸出規制(特に、2022年の「CHIPS法」およびEAR規制)により、特定性能を超えるAI半導体は中国に輸出できないため、NVIDIAはH100の性能を下げたモデルとして「H800」を開発したとされています。
📉 性能制限の主な点
- 帯域幅制限:H800では、H100と比較してGPU間の通信帯域が抑えられている。
- 演算能力制限:H100のTensor Coreなどの強力な演算機能をフルには発揮できない。
- FP64、FP32、Tensor Coreなどの処理性能が一部抑制されている。
💡 なぜH800が重要か?
- 中国の大手企業(アリババ、テンセントなど)は、自国内でChatGPTのような生成AI開発を進める上で、高性能GPUが不可欠。
- しかしH100などの高性能品は輸出制限の対象。
- H800はその「政治的・規制的な妥協解」として設計されたモデルであり、米中ハイテク摩擦の象徴的存在。
🔄 最新動向(2024〜2025)
- 米国は2023年後半から、H800ですら禁止対象に含める新たな規制強化を進めており、NVIDIAは中国向けにさらに制限した「L20」「L2」など新型の設計に移行。
- 中国側は**自国製GPU開発(例:Biren、Moore Threadsなど)**を急ぐものの、性能面ではNVIDIAに大きく劣る状況が続いている。
🔚 結論
NVIDIA H800は、「米中テクノロジー摩擦の間隙を縫って開発された、中国専用のAI向けGPU」です。表向きはH100ベースのハイエンド製品でありながら、性能は意図的に制限されており、政治とテクノロジーの複雑な力学の中で生まれた製品です。
添付2)
チャットGPTとディープシークの最新情報での性能の比較は?
ChatGPT:
2025年5月現在、OpenAIのChatGPT(最新モデル:GPT-4oおよびGPT-4.1)と、中国のDeepSeek(最新モデル:DeepSeek R1およびV3.1)は、性能・コスト・用途の面でそれぞれ異なる強みを持ち、グローバルなAI競争の最前線に立っています。以下に、最新情報に基づく比較をまとめます。
🔍 ChatGPT(GPT-4o / GPT-4.1)の特徴
🌐 DeepSeek(R1 / V3.1)の特徴
📊 性能比較表(2025年5月時点)
項目
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ChatGPT(GPT-4o / 4.1)
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DeepSeek(R1 / V3.1)
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MMLUスコア
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0.803
|
0.752
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MATHベンチマーク
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83%
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90.2%
|
出力速度(トークン/秒)
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約179
|
約50
|
価格(1Mトークン)
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$7.50(入力$5.00、出力$15.00)
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$0.48(入力$0.27、出力$1.10)
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マルチモーダル対応
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あり
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限定的
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多言語対応
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高い
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非常に高い
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開発コスト
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約$3B
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約$5.6M
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エネルギー効率
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標準
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高効率
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UI/UXの洗練度
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高い
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中程度
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利用可能性
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高い
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一部制限あり
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🏁 総評と選択のポイント
最終的な選択は、利用目的や求める性能、コスト、インフラ要件などに応じて判断することが重要です。
添付2-1)
ディープシークのセキュリティ上の問題、あるいは制約は?
ChatGPT:
DeepSeek(特にその主要モデルであるDeepSeek-R1およびV3.1)は、セキュリティとプライバシーの観点から複数の懸念が指摘されています。以下に、主な問題点と制約をまとめます。
🔐 主なセキュリティ上の問題
- プロンプトインジェクションと「脱獄」への脆弱性
DeepSeek-R1は、悪意のあるプロンプトに対して防御が不十分であり、セキュリティ研究者によるテストでは、50件の有害なプロンプトすべてに対して適切なブロックが行われず、100%の攻撃成功率を記録しました。 WIRED+1Cisco Blogs+1
- 「推論中断攻撃」への脆弱性
最近の研究では、DeepSeek-R1が「推論中断攻撃」に対して脆弱であることが明らかになりました。この攻撃では、特定のプロンプトによりモデルの推論プロセスが停止し、無効な応答を返す可能性があります。 arXiv
- 有害なコンテンツの生成リスク
DeepSeek-R1は、マルウェアやトロイの木馬などの有害なコードを生成するリスクが高く、セキュリティテストでは78%の確率で不正なコードを生成しました。 GlobeNewswire
🛡️ プライバシーとデータ保護の懸念
- データの中国への送信
DeepSeekの利用規約では、ユーザーデータが中国のサーバーに保存され、中国の法律に基づいて管理されることが明記されています。 サイバーセキュリティダイブ+1ウィキペディア+1
- データ漏洩の事例
2025年1月、DeepSeekのクラウドストレージ設定ミスにより、100万件以上のチャット履歴やAPIキーなどの機密情報が漏洩しました。 ウィキペディア
- アプリのセキュリティ設定の問題
DeepSeekのiOSアプリは、App Transport Security(ATS)を無効化しており、データが暗号化されずに送信される可能性があります。 Krebs on Security
🌍 各国・企業による制限措置
- 政府機関での使用禁止:米国、イタリア、韓国、オーストラリアなどの政府機関では、DeepSeekの使用が禁止されています。 ウィキペディア
- 企業による使用制限:日本のトヨタ自動車、三菱重工業、ソフトバンクなどの企業では、社内でのDeepSeekの使用を禁止しています。 ウィキペディア
⚠️ まとめと推奨事項
DeepSeekは、高性能なAIモデルを低コストで提供する一方で、セキュリティやプライバシーに関する重大なリスクが存在します。特に、機密情報を扱う業務や政府機関での使用には慎重な判断が求められます。代替として、セキュリティ対策が強化された他のAIモデルの利用を検討することを推奨します。
添付3)
チャットGPTとディープシークの総合的な評価からすると、一般的な企業がAIチャットを購入する場合、ディープシークを選択するのは良いのでは? また、その際の考慮点は?
ChatGPT:
ご指摘のとおり、一般的な企業がAIチャットを導入する際にDeepSeekを選択するのは、一定の合理性がある選択肢です。特にコストや導入自由度を重視する企業には魅力的です。
✅ 総合評価:ChatGPT vs DeepSeek(2025年時点)
観点
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ChatGPT(OpenAI)
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DeepSeek(深度求索科技)
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精度・安定性
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非常に高い(特にGPT-4)
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GPT-4に近いが、やや不安定な場面も
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多言語対応(日本語など)
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非常に優秀
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中国語・英語は強いが、日本語はやや弱い傾向あり
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導入コスト
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高い(API利用料、SaaS契約など)
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非常に安価(多くが無料で利用可能)
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商用ライセンスの自由度
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OpenAIの制約下で利用
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Apache 2.0等で非常に自由度が高い
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拡張性・運用自由度
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クローズド(ブラックボックス)
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オープンソースで自己ホスト可能
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セキュリティ・コンプライアンス
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OpenAIによる高レベルな設計
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自社管理前提。責任も自社負担
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サポート体制
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OpenAI公式 or Azure経由
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開発者・研究者向けで公式サポートは限定的
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✅ DeepSeekを選択するのが「良い」と言える企業の条件
◎ 特に向いている企業:
- 自社でインフラやセキュリティを管理できる企業
- 中国語・英語圏を対象にしたサービスを展開している企業
- AIの研究開発・実装ノウハウがある or 積極的に蓄積したい企業
- コスト重視で多人数にAIを展開したい企業(例:BPO、教育、地域行政など)
🧠 導入する際に考慮すべき点(チェックリスト)
項目
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説明
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✅ 日本語性能
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DeepSeekはまだ日本語での自然さ・精度でChatGPTに劣る面がある。特に法律、医療、行政など高精度を要する分野は要検証。
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✅ インフラ管理の余力
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オープンモデルを自社運用するには、GPUリソースやMLOpsの知見が必要。
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✅ セキュリティ要件
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センシティブな業務では、自社運用といえどモデルの挙動に対する信頼性が課題となることも。
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✅ 更新と保守
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DeepSeekは頻繁にアップデートされるが、自己運用の場合は追従が必要。
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✅ サポートの有無
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サポート体制はOpenAIやMicrosoftに比べ限定的。コミュニティや社内技術者が重要。
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✅ 知的財産の考慮
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中国発モデルのため、製品を欧米に展開する場合にIPリスクを懸念する投資家・取引先もあり得る。
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📌 結論
- DeepSeekは、コスト効率・運用自由度において極めて優秀で、特に技術力のある中堅・大企業やスタートアップにとって「非常に魅力的な選択肢」。
- 一方で、日本語性能や信頼性、法的・国際的なリスクを考慮し、導入分野を慎重に選ぶ必要があります。
- 導入検討にあたっては、PoC(試験導入)を実施し、性能・運用・セキュリティの適合性を確認することが強く推奨されます。
添付4)
では、チャットGPTとディープシークの総合的な評価からすると、AIチャットを購入する場合、チャットGPTを選択する思われる企業は? また、その際の考慮点は?
ChatGPT:
以下に、ChatGPTを選択することが適している企業の特徴と、導入時の考慮点を、DeepSeekとの比較を踏まえて整理します。
✅ ChatGPTを選択すべき企業の特徴
適している企業
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理由
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高度な日本語処理を必要とする企業
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ChatGPT(特にGPT-4 Turbo)は、自然で正確な日本語の理解・生成能力においてDeepSeekより安定。公文書、法務、医療、行政、教育などでの信頼性が高い。
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セキュリティ・コンプライアンスが重視される業界
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OpenAIはMicrosoft Azureとも連携しており、ISO/IEC 27001、SOC 2、GDPR準拠など国際基準を満たすクラウドサービスで利用可能。
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サポートや長期の運用体制を重視する企業
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Microsoft、OpenAI、Salesforceなどとの提携により、法人向けのサポート体制やSLA(サービスレベル契約)が整備されている。
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製品やサービスに直接AIを統合する企業
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ChatGPT APIやAzure OpenAI経由で、安定的かつスケーラブルに製品組み込み可能。商用利用にも安心感がある。
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海外展開(特に米国・欧州)を想定する企業
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欧米諸国では、OpenAIやMicrosoft製のAI利用に対する信頼性が高く、顧客や規制当局との関係でも有利になる。
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💡 ChatGPT導入時の主な考慮点
項目
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内容
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✅ コスト
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ChatGPT(特にGPT-4 Turbo)はAPI利用料や法人契約費用が比較的高額。大量利用する場合には月額数十万円以上になる可能性も。コスト対効果の試算が重要。
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✅ データ保管と学習
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OpenAIは「API経由での利用ではデータを学習に使用しない」方針を明示しているが、企業データ保護ポリシーとの整合を確認すべき。
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✅ カスタマイズ性の限界
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OpenAIはクローズドモデルのため、モデル本体の変更は不可。細かなカスタマイズには制約あり(ただし「カスタムGPTs」や「Function calling」などの柔軟性はある)。
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✅ 利用国・地域による制約
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特定の国・地域では使用が制限される場合がある(例:一部の中東・アフリカ諸国など)。
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✅ 利用規約とライセンス
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OpenAIのAPIには利用制限や禁止事項(違法行為、偽情報、選挙介入等)も明記されており、業種によっては事前確認が必要。
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📌 結論
ChatGPTは以下のような企業にとって最も合理的な選択肢となります:
- 品質・信頼性を最優先する業種(医療、行政、金融、法律)
- エンタープライズ向けAIインフラを安定運用したい企業
- 多言語対応(特に英語、日本語)を高精度に求めるグローバル企業
- 社外サービスにAIを搭載して顧客対応を強化したい企業(例:カスタマーサポート、FAQ)
DeepSeekは依然として優秀ですが、「実験・研究・技術志向の企業」や「コスト優先・中国語圏重視の企業」向けであり、ChatGPTは本格運用・国際基準・日本語対応を求める企業向けです。