今や、チャットGPTを始め、いろいろなAIチャットが登場してきています。
そこで、今回は、あらためて、以下の4つの内容についてお伝えします。
(1) チャットGPT前史
(2) チャットGPTは、いつから開発が始まり、いつ公開されたか
(3) 現在、チャットGPT以外に、どんなAIチャットが公開されているか
(4) ディープシークは、いつから開発が始まり、いつ公開されたか
(1)チャットGPT前史(添付1参照)
AIチャットの歴史:ChatGPT以前の主なマイルストーンとして、最初は1950年にチャットボットの思想的原点と言われるチューリングテストが開発されました。
そして、紆余曲折を経て、2015年にオープンAIが設立され、2020年6月にChatGPTへの前段階であるGPT-3が開発されたのです。
(2)チャットGPTは、いつから開発が始まり、いつ公開されたか(添付2参照)
2018年6月にGPT(初代)が公開され、その後、毎年、2020年まで新モデルが発表されました。
そして、2022年3月にGPT-3.5の開発が開始され、2022年11月30日にChatGPTリサーチプレビュー版、ChatGPT(GPT-3.5ベース)が公開されました。
一般ユーザーが無料で利用可能となり、5日間で100万人のユーザーを獲得し、AIチャットブームを巻き起こしました。
その後、短期間の間に目まぐるしいスピードでモデルチェンジがなされ、今日の最新版、2024年5月のGPT-4o(Omni)登場に至っています。
GPT-4o(Omni)はマルチモーダル(テキスト・画像・音声)処理がリアルタイムで可能となっています。
なお、無料ユーザーも利用出来ます。
さて、オープンAIは、「AGI(汎用人工知能)を安全かつ全人類に利益をもたらす形で開発・普及させる」ことを目指しており、チャットGPTはその道筋の一つとされています。
ちなみに、オープンAIの次世代モデル「ChatGPT-5」は当初は2024年夏のリリースが予定されていましたが、現在は2025年後半の公開が見込まれています。(添付2-1参照)
(3)現在、チャットGPT以外に、どんなAIチャットが公開されているか(添付3参照)
現在、チャットGPT以外にも多くの高性能なAIチャットが世界中で公開されており、用途・性能・価格・言語対応などに応じて選ばれています。
チャットGPTは依然トップクラスですが、チャットGPTの「一強」から「多極化」への様相を呈しています。
(4)ディープシークは、いつから開発が始まり、いつ公開されたか(添付4参照)
ディープシークの開発元は中国・上海を拠点とするスタートアップ、深度求索科技(DeepSeek)で、2023年7月17日に創業されました。
開発方針は、高性能なLLMをオープンソースで提供し、開発者・研究者・企業が自由に活用出来るようにすることです。
また、創業チームには、かつてGoogle、Microsoft、ByteDanceなどの研究者が多く関わっており、開始時点から高度なAI技術を持っていたと推定されます。
このようなディープシークの開発開始時期は2023年中頃(推定)で、最初のモデル、DeepSeek-Base(67B)の公開は2023年12月で、現在の最新モデル、DeepSeek-MoE(236B)は2025年4月に公開されています。
ですから、ディープシークは開発開始から半年ほどと、短期間で最初のモデルを公開し、更に1年4ヵ月ほど後と、驚異的な速さでオープンAIの開発したGPT-4の強力な競合とみなされる現在の最新モデル、DeepSeek-MoE(236B)を公開しているのです。
なお、ディープシークは、オープンかつ高性能なモデルの中では世界トップレベルのひとつとして注目されています。
そして、ディープシークは「中国発のチャットGPT対抗馬」どころか、「グローバルな開発者に支持されるAI基盤」として急成長しています。
こうして見てくると、AIチャットの歴史は1950年に始まり、2018年6月にGPT(初代)が公開されたのです。
ですから、AIチャットの歴史が始まって、69年目でオープンAIの開発したGPT(初代)が公開されたことになります。
そして、GPT(初代)が公開されてから6年でマルチモーダルの最新版、GPT-4o(Omni)が登場したのです。
更に、ディープシークは、最初のモデル、DeepSeek-Base(67B)の公開が2023年12月で、それから1年半足らずの2025年4月に現在の最新モデル、DeepSeek-MoE(236B)が公開されているのです。
このように、生成AIの開発競争はすさまじいスピード感で行われているのです。
明日は、チャットGPTとディープシークとの比較について、お伝えします。
添付1)
チャットGPT以前のAIチャットの歴史は?
ChatGPT:
ChatGPT以前にも、AIチャットボットの開発は長い歴史があります。以下に、1950年代から2020年頃までのAIチャットの進化の流れを、代表的な技術やチャットボットとともに紹介します。
🕰️ AIチャットの歴史:ChatGPT以前の主なマイルストーン
年代
|
チャットボット/技術
|
特徴と意義
|
1950年
|
チューリングテスト(アラン・チューリング)
|
「機械が知的かどうか」を判定する概念的な基準を提唱。チャットボットの思想的原点。
|
1966年
|
ELIZA(MIT)
|
最初期のチャットボット。精神分析医のように質問を返すだけだが、当時としては画期的。
|
1972年
|
PARRY(スタンフォード大学)
|
精神障害のある患者を模した応答モデル。ELIZAよりも人間らしい対話が可能に。
|
1988年
|
Jabberwacky(イギリス)
|
ユーザーとの会話データを蓄積し学習する。初の「学習型」チャットボットの一例。
|
1995年
|
ALICE(人工無脳)
|
ルールベース(AIML)で自然言語に反応。ルールが膨大で限界もあったが、3度のLoebner賞受賞。
|
2001年
|
SmarterChild(AOL, MSN)
|
インスタントメッセンジャー上で動作するボット。天気やニュースなどを返す実用型。
|
2010年代初頭
|
Siri / Google Now / Alexa
|
スマートアシスタント登場。音声認識+対話型インターフェースとして一般化。
|
2015年
|
Facebook Messenger Bot API
|
Facebookがチャットボットのプラットフォーム化を進め、企業導入が進展。
|
2018年
|
GPT(OpenAI)
|
文脈を理解しながら自然な文章生成を行う「生成型AI」の基礎を築く。
|
2019年
|
Meena(Google)
|
文脈理解と応答の一貫性を重視した高度な会話AI。精度は高いが公開されず。
|
2020年
|
GPT-3(OpenAI)
|
1750億パラメータで大規模化。API提供で一般開発者も利用可能に。ChatGPTへの前段階。
|
🔍 補足:旧来型チャットボットと生成型AIの違い
項目
|
従来型ボット
|
ChatGPT型(生成型AI)
|
技術
|
ルールベース / シナリオベース
|
ディープラーニング / Transformer
|
応答方式
|
定型文を選択・返答
|
状況に応じた自然な文を生成
|
柔軟性
|
限定的、想定外には弱い
|
未知の質問にも柔軟に対応
|
学習
|
手作業で更新
|
事前学習+フィードバック可能
|
🎯 まとめ
ChatGPTは、ELIZAのような対話システムの「会話らしさ」を追求した出発点から始まり、生成AI+深層学習+大規模事前学習という最新技術を統合した進化系です。
この分野は、AIの進化とともに「対話=人間だけの特権」ではなくなる未来を示してきた、とも言えるでしょう。
添付2)
チャットGPTは、いつから開発が始まり、いつ公開されたか?
ChatGPT:
以下に、ChatGPTの開発と公開の経緯を時系列で詳しくご説明します:
🏗 開発の背景と前段階:GPTシリーズの進化
年
|
出来事
|
2015年
|
OpenAI設立(イーロン・マスク、サム・アルトマンらが創設)。非営利のAI研究組織としてスタート。
|
2018年6月
|
GPT(初代) 公開。117Mパラメータ。自然言語処理タスクにTransformerを用いた画期的なモデル。
|
2019年2月
|
GPT-2 発表。15億パラメータ。コンテンツ生成の強力さが話題になるが、悪用懸念から当初は完全公開されず。
|
2020年6月
|
GPT-3 発表。1750億パラメータ。自然な文章生成能力で注目される。APIとして一部ユーザーに提供開始。
|
2022年3月
|
GPT-3.5の開発開始(非公式だが、ChatGPTに搭載されたバージョン)。
|
2022年11月30日
|
ChatGPTリサーチプレビュー版公開(米国時間)。一般ユーザーが無料で利用可能となる。ここが正式な公開日。
|
💬 ChatGPTそのものの開発と公開
年月
|
内容
|
2022年11月30日
|
ChatGPT(GPT-3.5ベース)公開。5日間で100万人のユーザーを獲得し、AIチャットブームを巻き起こす。
|
2023年2月
|
有料プラン「ChatGPT Plus(月額$20)」提供開始。
|
2023年3月
|
GPT-4 搭載モデルがChatGPT Plusユーザーに提供開始。画像や長文処理が大幅に進化。
|
2023年11月
|
GPTs(カスタムGPT)機能が追加。ユーザーが独自のAIアシスタントを作成可能に。
|
2024年5月
|
GPT-4o(Omni) 登場。マルチモーダル(テキスト・画像・音声)処理がリアルタイムで可能となる。無料ユーザーも利用可。
|
🎯 補足:ChatGPTの特徴
- 開発モデル:GPT-3.5(初期)→ GPT-4 → GPT-4o
- 基盤技術:Transformer + Reinforcement Learning from Human Feedback(RLHF)
- 応用:教育支援、プログラミング補助、企画・執筆、カスタマーサポート、研究など多岐にわたる
🧠 開発の意図(OpenAIの目的)
OpenAIは、「AGI(汎用人工知能)を安全かつ全人類に利益をもたらす形で開発・普及させる」ことを目指しており、ChatGPTはその道筋の一つとされています。
添付2-1)
ChatGPT5はまだ公開されていないのか?
ChatGPT:
2025年5月時点で、OpenAIの次世代モデル「ChatGPT-5(GPT-5)」はまだ一般公開されていません。当初は2024年夏のリリースが予定されていましたが、現在は2025年後半の公開が見込まれています。
🕒 GPT-5のリリース遅延の背景
OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏は、GPT-5のリリース延期について以下の理由を挙げています:
- 統合の複雑さ:新しいoシリーズ(例:o3、o4-mini)との統合が想定以上に困難であるため。
- 性能向上のための時間確保:GPT-5を従来以上に高性能なモデルにするための追加開発時間が必要。
- 需要への対応:最近の機能追加(例:画像生成機能)により、ChatGPTへの需要が急増し、サービスの安定運用を優先する必要があるため。 TechRadar+1Tom's Guide+1Tom's Guide
🔍 現在の最新モデル:GPT-4o
現時点でChatGPTにおける最新かつ最先端のモデルは**GPT-4o(オムニ)**です。このモデルは2024年5月に公開され、テキスト、音声、画像を統合的に処理する能力を持ち、リアルタイムの音声対話や画像解析などの高度な機能を提供しています。
🔮 GPT-5の展望
GPT-5は、OpenAIのさまざまな技術(例:o3モデル)を統合した「統一モデル」として開発が進められており、ユーザーがモデルを選択する必要がないシームレスな体験を提供することが期待されています。また、より高度な推論能力や自然な対話能力の向上が目指されています。
📝 まとめ
- GPT-5は未公開:2025年5月現在、一般公開されていません。
- リリース時期:2025年後半が見込まれています。
- 現行モデル:GPT-4oが最新であり、マルチモーダルな高度機能を提供しています。
- 開発の焦点:統一モデルとしての統合性と高性能化が進められています。
添付3)
現在、チャットGPT以外に、どんなAIチャットが公開されているか?
ChatGPT:
2025年現在、ChatGPT以外にも多くの高性能なAIチャットが世界中で公開されており、用途・性能・価格・言語対応などに応じて選ばれています。以下に、主なAIチャット(生成AI)を開発元・特徴ごとに一覧形式でまとめます。
🌍 世界で公開されている主要なAIチャット(2025年版)
名称
|
開発元
|
特徴・位置づけ
|
Claude 3(Opus・Sonnet等)
|
Anthropic(米国)
|
倫理・安全性に特化。文書読解や長文処理に強く、教育・研究用途で人気。
|
Gemini 1.5
|
Google DeepMind
|
Google検索・Gmail・Docsと統合。最大100万トークン記憶など長文対応が特徴。旧Bard。
|
Meta AI(LLaMA 3搭載)
|
Meta(米国)
|
Facebook・Instagram・WhatsAppで無料提供。LLaMA 3ベースで高性能。
|
Grok 2(X AI)
|
xAI(イーロン・マスク)
|
SNS「X」と統合。ジョーク交じりの個性的な回答+リアルタイム検索能力。
|
DeepSeek Chat / DeepSeek Coder
|
DeepSeek(中国)
|
高性能オープンモデル(MoEやコード特化型)で注目。開発者や技術者向けに人気。
|
Ernie Bot 4.0
|
Baidu(中国)
|
中国の国家主導AI。中国語処理に強く、Baidu検索と連動。
|
Qwen(通義千問)2.5
|
Alibaba(中国)
|
Alibaba Cloud搭載。商用API向け。多言語対応。
|
Mistral Chat
|
Mistral AI(フランス)
|
オープンモデルを公開。小型・高速で欧州中心に普及。
|
Command R+
|
Cohere(カナダ)
|
Retrieval Augmented Generation(RAG)特化。知識検索に強い。
|
Perplexity AI
|
Perplexity(米国)
|
回答に必ず情報ソース付き。検索+チャットのハイブリッド型。
|
🧠 特化型AIチャット・アシスタント(代表例)
名称
|
用途
|
備考
|
Notion AI
|
文書作成・整理
|
タスク管理・会議記録などに統合。
|
Khanmigo
|
教育支援
|
Khan Academy+GPTの学習支援AI。
|
Jasper AI
|
マーケティング
|
広告・コピー生成などに強い。
|
You.com AI
|
検索エンジン型
|
プラグイン連携+RAG対応。
|
Copilot (GitHub)
|
プログラミング支援
|
コード補完・バグ修正など。OpenAI Codex由来。
|
🤖 オープンソース系モデル(開発者向け)
モデル名
|
公開元
|
特徴
|
LLaMA 3
|
Meta
|
高精度LLM。商用利用条件付きで開放。
|
Mistral 7B / Mixtral 8x22B
|
Mistral AI
|
軽量・高速モデル。商用利用可。
|
DeepSeek MoE
|
DeepSeek
|
MoE方式で高性能・低計算コスト。
|
Gemma
|
Google
|
軽量な研究用モデル。
|
OpenChat, Nous Hermes
|
コミュニティ
|
Hugging Face中心に開発された改良モデル群。
|
📌 まとめ:ChatGPTの「一強」から「多極化」へ
現在のAIチャット市場は以下のような状況にあります:
- ✅ ChatGPT(GPT-4.5) は依然トップクラスだが…
- ✅ Claude(安全性と長文処理)
- ✅ Gemini(Google連携とマルチモーダル)
- ✅ DeepSeek(中国発・高性能オープン)
- ✅ Meta(LLaMAベース)
…などが用途や国・言語に応じて多極化しています。
添付4)
ディープシークは、いつから開発が始まり、いつ公開されたか?
ChatGPT:
以下に、**中国・上海発のスタートアップ「DeepSeek(深度求索科技)」**について、開発開始から現在に至るまでの詳細な時系列をご紹介します。
🧠 DeepSeek(ディープシーク)の開発と公開の歴史【最新版】
✅ 創業と開発開始
- 創業日:2023年7月17日
- 開発開始時期:2023年中頃(推定)
- 正確な開始日は公表されていませんが、創業直後から大規模言語モデル(LLM)の開発が進められていたと考えられます。
- 創業チームには、Google、Microsoft、ByteDance など出身の研究者が多数参加しており、初期から高い開発力を持っていました。
✅ 主なモデルの公開と進化
日付
|
モデル名
|
内容・特徴
|
2023年12月
|
DeepSeek-Base(67B)
|
初の汎用LLM。GPT系アーキテクチャに近く、Apache 2.0 ライセンスでオープンソース公開。
|
2024年1月
|
DeepSeek-Coder(V1)
|
コード生成に特化。Python、Java、C++など対応。HumanEvalスコアでGPT-4並みと評価。
|
2025年1月20日
|
DeepSeek-R1
|
数学・論理推論に強いモデル。OpenAIの「o1-1217」と同等性能と評価。強化学習を活用。
|
2025年4月
|
DeepSeek-MoE(236B)
|
最新フラグシップモデル。Mixture of Experts(MoE)アーキテクチャにより高性能・省リソースを両立。GPT-4やClaude 3の競合。
|
2024年6月(参考)
|
DeepSeek-Coder V2
|
338言語対応・128Kトークン入力可。MoE採用。Claude 3 Opus以上の性能という評価も。(まだ正式リリースではないため「参考」扱いにしている。)
|
🔍 DeepSeek の特徴
- 開発拠点:中国・上海
- 設立企業:深度求索科技(DeepSeek)
- 基本方針:高性能なLLMをオープンソースで提供し、開発者・企業・研究者に広く使われるAI基盤を目指す。
- 得意分野:
- プログラミング支援(DeepSeek-Coder)
- 数学・論理推論(DeepSeek-R1)
- 多言語(特に中国語・英語)
- 高効率な計算資源活用(MoEアーキテクチャ)
📌 結論(まとめ)
項目
|
内容
|
開発開始
|
2023年中頃(創業は2023年7月)
|
最初のモデル公開
|
2023年12月(DeepSeek-Base 67B)
|
代表的モデル
|
DeepSeek-Coder、DeepSeek-R1、DeepSeek-MoE
|
最新モデル(2025年5月現在)
|
DeepSeek-MoE(236Bパラメータ)
|
DeepSeekは「中国版ChatGPT」ではなく、世界に向けて最先端LLMをオープンに展開する新世代AI企業として国際的な注目を集めています。今後も、コード生成、推論、会話など多様な分野でOpenAI・Anthropicと肩を並べる存在になる可能性が高いと言えます。