2025年05月29日
アイデアよもやま話 No.6220 宇宙での畜産業は可能か?
これまで、以下のように宇宙での暮らしにおいて必要な水や燃料、および植物や魚、昆虫食、細胞を培養して肉を作り出す「培養肉」といった食料の確保の方法について、お伝えしてきました。

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そこで、今回は、宇宙での畜産業の可能性についてお伝えします。
添付1を参照下さい。
宇宙での畜産業は、理論上は可能ですが、現実的には「細胞培養肉」や「昆虫タンパク」などの代替技術の方が圧倒的に実現性が高いです。

宇宙機関やスタートアップが取り組んでいる畜産業の実例については添付2を参照下さい。
以下の表は、宇宙機関やスタートアップが取り組んでいるアプローチの事例です。

アプローチ

実例

備考

培養肉

Aleph Farms, NASA

ISSで実験済み

昆虫タンパク

Ynsect, ESA

小型・省資源

閉鎖生態系

MELiSSA, NASA CELSS

循環型モデル

小動物実験

NASA, JAXA

マウスなど



また、月・火星拠点での畜産を想定した技術的シナリオについては添付3を参照下さい。
月や火星拠点での「畜産(または代替畜産)」を実現するには、重力・資源・倫理などの課題を克服する必要があります。
以下の表は、それらを踏まえた、技術的達成順(段階的)の技術的シナリオです。

ステージ

技術例

実現可能性(現時点)

備考

昆虫・微生物

密閉飼育、発酵

◎ 高

小型・効率良し

細胞培養肉

バイオリアクター

◯ 中

地球外で実験済

魚・鳥類

アクアポニックス

△ 低

水管理がカギ

哺乳類

人工子宮・重力環境

× 極低

遠未来技術



宇宙での畜産業は、このように技術的シナリオには実現可能性が高いものから低いものまであります。
宇宙での継続的な暮らしには、こうした中から、少なくとも、最も実現可能性の低いと思われる哺乳類のステージ以外については実現出来ていることが求められます。


添付1)

 

宇宙での畜産業は可能か?

ChatGPT:

 

宇宙での畜産業は「理論上は可能」ですが、現時点では非常に難しく、実現には多くの技術的・倫理的課題があります。以下に、可能性と課題を整理します。

✅ 宇宙畜産の可能性

  1. 閉鎖生態系(CELSS)との統合
     宇宙ステーションや月・火星基地では、植物と動物を組み合わせた循環型生態系が構想されています。例えば、
    • 動物の呼吸で出たCO₂ → 植物が吸収
    • 植物動物の餌
    • 動物の排泄物肥料に変換
  2. 小型動物の飼育
    • コオロギなどの昆虫タンパクは低重力環境でも育てやすく、すでに地上で注目されています。
    • マウスなどの実験動物はISSで飼育実績あり。
  3. ゲノム編集・バイオテクノロジーの活用
     重力ストレスに強い品種の開発や、人工子宮などの先端技術を活用すれば、宇宙でも哺乳類の繁殖が将来的に可能かもしれません。

🚫 宇宙畜産の主な課題

  1. 無重力の影響
    • 骨粗しょう症や筋萎縮が動物にも発生しやすい。
    • 繁殖・出産・授乳における重力の重要性が高い。
  2. 飼料・水・酸素のコスト
    • 地球からの輸送は非現実的。
    • 飼料を現地(宇宙農業)で生産する必要あり。
  3. スペースと衛生管理
    • 動物を飼うには広い空間と優れた換気・排泄物処理システムが必要。
    • 病気や感染のリスク管理も不可欠。
  4. 倫理問題
    • 宇宙という極限環境で動物を飼うことの倫理的妥当性。
    • 苦痛軽減の観点から、代替肉や培養肉に注目が集まっている。

🧪 代替アプローチ:培養肉

宇宙畜産の「現実的選択肢」として、細胞培養肉(ラボで作る肉)が有望視されています。

  • NASAやESAでは実験が進行中。
  • 肉だけでなく、ミルクや卵の細胞培養技術も開発中。

🔭 結論

宇宙での畜産業は、理論上は可能だが、現実的には「細胞培養肉」や「昆虫タンパク」などの代替技術の方が圧倒的に実現性が高いです。

 

添付2)

 

宇宙機関やスタートアップが取り組んでいる畜産業の実例は?

ChatGPT:

 

宇宙空間における「畜産業(Animal Farming)」そのものに直接取り組んでいる宇宙機関やスタートアップはまだ非常に限られていますが、「代替手段(細胞培養肉・昆虫タンパク・閉鎖生態系)」という文脈では、複数の実例があります。以下に宇宙機関・企業の取り組みを紹介します。

🌌 宇宙機関の取り組み

  1. NASA(アメリカ航空宇宙局)
  • 細胞培養肉の研究支援
    • 2019年にイスラエルのAleph Farmsと協力し、国際宇宙ステーション(ISS)での細胞培養肉の実験を支援。
    • 肉を地球から運ぶのではなく「現地生産」する方が合理的という判断。
  • 動物実験による無重力影響研究
    • マウスや昆虫の無重力環境での生理学実験多数。将来的な宇宙畜産の基礎研究となる可能性。
  1. ESA(欧州宇宙機関)
  • MELiSSA計画
    • Micro-Ecological Life Support System AlternativeMELiSSA)」という閉鎖循環型生命維持システムを研究中。
    • 魚や藻類、植物などを使った生態系モデルが検討されており、将来的には小型動物の飼育も視野に。

🚀 スタートアップの取り組み(畜産代替技術)

  1. Aleph Farms(イスラエル)
  • 世界で初めて宇宙で細胞から牛肉を培養する実験に成功(2019年・ISS)。
  • 宇宙で「ステーキ」を生産できる未来を目指している。
  1. Upside Foods(旧:Memphis Meats, アメリカ)
  • NASAとの共同研究に参加経験あり。
  • 細胞培養肉の先駆者で、宇宙での応用可能性にも注目している。
  1. Finless Foods, Wildtype(アメリカ)
  • 魚肉の細胞培養に特化。海産物が輸送困難な宇宙環境に適している可能性がある。
  1. 虫系タンパク質企業(例:YnsectProtixなど)
  • 昆虫飼育は宇宙畜産の最有力候補の一つ。
  • 小スペース・低コストで飼育可能なため、将来の月面・火星拠点での実装が想定されている。

🔄 閉鎖循環型システムとの接点

  • 2021年、NASAは民間から「持続可能な宇宙食システム」の公募を実施。
  • その中には、昆虫・微生物・藻類・培養肉など多様な提案が含まれていた。

🧭 まとめ:将来の宇宙畜産に向けて

アプローチ

実例

備考

培養肉

Aleph Farms, NASA

ISSで実験済み

昆虫タンパク

Ynsect, ESA

小型・省資源

閉鎖生態系

MELiSSA, NASA CELSS

循環型モデル

小動物実験

NASA, JAXA

マウスなど

 

添付3)

 

月・火星拠点での畜産を想定した技術的シナリオは?

ChatGPT:

 

月や火星拠点での「畜産(または代替畜産)」を実現するには、重力・資源・倫理などの課題を克服する必要があります。以下は、それらを踏まえた技術的シナリオの現実的な構想例です。

🏗 月・火星拠点での畜産:ステージ別技術シナリオ

■ ステージ1:小型生物の飼育(昆虫・微生物)

🌱 目的:

  • 栄養源(タンパク質、脂質)
  • バイオ廃棄物の分解・再利用

✅ 技術構成:

  • 密閉型昆虫飼育モジュール
    • 自動温湿度制御、廃棄物再利用
  • 昆虫粉末処理食品加工
    • 高タンパクバーやペーストとして食用化

💡 想定種:

  • コオロギ、ミールワーム、ハエの幼虫

🔄 これは閉鎖型生態系(CELSS)の初期構成として最も現実的です。

■ ステージ2:細胞培養肉(培養畜産)

🌱 目的:

  • 本物の肉に近い食感と栄養を提供

✅ 技術構成:

  • バイオリアクター(培養槽):地元生産できるよう小型設計
  • 細胞増殖用培地の自給:植物から抽出 or 微生物で生成
  • 電力供給:太陽光または小型原子炉
  • 代謝副産物の再利用:培養廃液肥料 or バイオガス

💡 注目技術:

  • 低重力でも細胞を三次元培養する技術(磁気浮上・3Dバイオプリンタ)

🥩 Aleph Farms や NASAISSで実験済。将来は「宇宙ステーキ工場」もあり得る。

■ ステージ3:小型動物(魚・鳥)の飼育

🌱 目的:

  • 高タンパク源+骨格・内臓食材の多様性

✅ 技術構成:

  • アクアポニックス(魚+水耕栽培)
  • 再循環水システム
  • 鳥類飼育モジュール(無重力対応)
  • 有人環境での音・羽毛などの汚染対策も必要

🐟 魚は比較的ストレスに強く、循環型水耕システムと連動しやすい。

■ ステージ4(遠未来):哺乳類の繁殖と飼育

🌱 目的:

  • 完全な動物性食品(乳、チーズ、肉)、子供への情操教育など

🚧 課題:

  • 重力の欠如による発育・妊娠リスク
  • スペースと資源の大量消費
  • 衛生・福祉・倫理面の複雑化

✅ 技術的必要条件:

  • 部分重力環境(遠心力式モジュール)
  • 人工子宮+自動搾乳ロボット
  • 糞尿の自動処理+メタン発電の連携

🐄 これは月・火星基地が「完全な持続型コロニー」になってからでないと難しいです。

🧠 未来図:火星コロニーにおける食料循環システム(統合構想)

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┌─────────────┐

│  太陽光/核電力  ─┐

└────┬────────┘

       ↓

  水耕栽培肥料動物・昆虫の排泄物

     ↓                    ↑

   飼料作物昆虫飼育粉末タンパク食品加工

       ↓                        ↑

     培養肉細胞・培地微生物発酵

       ↓

     居住者の食事バイオ廃棄物コンポスト

🔭 まとめ:技術的達成順(段階的)

ステージ

技術例

実現可能性(現時点)

備考

昆虫・微生物

密閉飼育、発酵

◎ 高

小型・効率良し

細胞培養肉

バイオリアクター

◯ 中

地球外で実験済

魚・鳥類

アクアポニックス

△ 低

水管理がカギ

哺乳類

人工子宮・重力環境

× 極低

遠未来技術


 
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