2025年05月26日
アイデアよもやま話 No.6217 エコに優れた微生物工場!
1月22日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で微生物工場について取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

人類は、いにしえより微生物の力を活用して醤油や味噌、チーズなど、様々な食品を作り出してきました。
そうした微生物を、工場と見立てて、有益な物質を作り出すのが微生物工場です。
この微生物工場で石油に頼らない素材の開発が進んでいます。

茨城県つくば市にある産業技術総合研究所(産総研)。
ここで開発した画期的なものがこちら。
なにやら、間違って洗濯してしまったティッシュペーパーのようにも見えますが、産業技術総合研究所の芝上基成博士は次のようにおっしゃっています。
「微生物が作り出したものを主原料にして作った接着剤です。」
「我々も有機合成化学者の端くれなんですけど、(人工的に)合成しろと言われても到底無理ですね。」

人の力では作り出せないものを微生物が工場となって作り出した接着剤です。
圧力をかけながら加熱すると、透明なフィルム状になります。
これを小さく切って、アルミニウムの板と板の間にはさみ、220℃で加熱します。
すると、大人が二人で引っ張り合っても、離すことが出来ないほどの強力な接着力を発揮するのです。
再び過熱すると、簡単に剥がすことが出来ます。
この特徴が、自動車などのリサイクルで活用出来るといいます。
どういうことなのか、自動車の解体工場で見てみます。
ビッグエイトの小宮山敬仁社長は次のようにおっしゃっています。
「プラスチックをリサイクルする時に、こういった(金属製の)ビスを全て外していかないと、リサイクルの商品として扱ってくれなくなってしまいますので、中には(金属製のビスが)錆びついていて、外せないようなケースも出てきてしまいますので、より簡単に脱着出来るものがあれば、現場としては助かるようになると思います。」

自動車メーカーもリサイクルを推進するために、解体し易い設計を行っています。
その自動車のリサイクルに有効だという接着剤を作り出す微生物工場とはどんなメカニズムなのでしょうか。

強力な接着力がありながら、簡単に剥がせるという特徴がある接着剤を作り出しているはメカニズムについて、芝上さんは次のようにおっしゃっています。
「これは、ミドリムシを培養しているところです。」
「(その様子を顕微鏡で見ると、)ミドリムシの体の中に大量にため込む「パラミロン」という、接着剤の主原料なんです。」

接着剤を作り出していたのは、ミドリムシだったのです。
ミドリムシは、体の中に「パラミロン」を蓄えます。
この6リットルの培養槽から400グラム以上の接着剤の原料「パラミロン」が採取出来るといいます。
3年後の実用化を目指しています。
ミドリムシは、食料や石油に代わるバイオ燃料としても注目されていますが、芝上さんは次のようにおっしゃっています。
「“食べるだけ”、“燃やすだけ”」ではもったいない。」
「ごく一部でも環境に優しい材料に置き換えていくことは日本発の産業になり得るかなと、」

人の力では作れないものを作る微生物工場は、これまで醸造などで微生物を活用してきた、日本の技術力が発揮出来る分野だといいます。

化学大手のカネカでも微生物工場を活用した取り組みを進めています。
ホテルで使われている歯ブラシに、日本航空が機内で使っている食器、そしてスターバックスが1月23日、沖縄県で先行導入し、全国でも使われるストロー。
このプラスチックの共通点について、カネカ グリーンプラネット事業部の橘拓真さんは次のようにおっしゃっています。
「100%バイオマス由来、かつ生分解性、自然に返る性質を持った樹脂でできた製品ですね。」

土壌や海水の中で自然に返る性質を持つ、グリーンプラネットと名付けたプラスチックです。
その原料を製造しているのがカネカ高砂工業所(兵庫県高砂市)。
巨大な培養タンクが微生物工場です。
この中で微生物(水素酸化細菌)が原料を作り出しているのです。
現在、量産しているものは微生物に植物油を与えて製造していますが、課題も。
世界では年間4億トンのプラスチックが生産されていて、その需要を満たすために植物の油を使うと食料不足を招く恐れがあるのです。
カネカ CO2イノベーション ラボラトリーの佐藤俊輔所長は次のようにおっしゃっています。
「植物油は、生産量に限りがある物質ですので、植物油からCO2に原料を切り替えようと。」

CO2を原料にするとは、どういうことなのでしょうか。
佐藤さんは次のようにおっしゃっています。
「これは、初めてお見せする、最先端の微生物工場です。」

細菌が入った培養槽の上にアルミ製の風船。
中には、CO2と水素を混ぜた気体が入っています。
微生物がCO2をエサにして、自然に返るプラスチックを生産すると同時に、温暖化を防ぐCO2も削減出来る、まさに一石二鳥の取り組みなのです。
佐藤さんは次のようにおっしゃっています。
「将来的なカーボンニュートラルな社会を実現させるためには、原料をCO2にすることは必要不可欠な技術だろうと。」
「まずは、2030年までにしっかり実証を終わらせて、後の工業化をしっかり組み立てていけば、2030年代には実用化出来ると思っています。」

この微生物を使って、CO2から直接プラスチック作り出すカネカの技術は、大阪関西万博の日本政府館にも、世界に誇る日本の技術として出展されるということです。
元ソニーCEOの平井一夫さんは次のようにおっしゃっています。
「こういった素材技術は、まさしく日本の強みで、これから世界に輸出出来るものじゃないかなと思っているので、大変期待が大きいんじゃないかなと思うんですね。」
「実は、こういった素材はソニーの85インチの、かなり重量がありますブラディアのテレビの梱包の中の緩衝材にも使われていまして、これをまさしく選んだ理由が環境に対する負荷が低いのと、非常に強度があるということで、選ばしてもらったんですけども、欧州なんかは環境問題に対して、非常に意識が高いですから、ある程度コストが高くなったとしても、環境に対して良い取り組みをしているということが、ユーザーとか社員、もしくは株主といった、いろんなステークホルダーに対してポジティブなメッセージになるんじゃないかなと思いますので、これから、いろんな企業が採用することによってコストもだんだん下がってくると思いますし、環境負荷を考えると期待される技術じゃないかなと思いますね。」
「(ただ、こうした環境問題への企業の取り組みですけども、アメリカのトランプ大統領は、早速、大統領令でパリ協定からの離脱を発表しましたし、世界的に、こうしたESG(参照:アイデアよもやま話 No.6081 ダチョウで肉不足解消も必要だが、・・・)的な流れは、今後後退していくことにならないかという問いに対して、)こういった環境への取り組みですとか、ダイバーシティ、エコダイバーシティとかバイオダイバーシティとかいろいろありますけども、こういった大きな流れは、ここまできたわけですから、中々止めることは出来ないと思ってるんですね。」
「やっぱり、ここで大事なキーワードは一貫性だと思うんですね。」
「例えば、4年後に、また民主党政権が誕生した時に、また、止めたイニシアティブをもう1回スタートすることになると、本当に一貫性がないですし、それこそステークホルダーに対して混乱するようなメッセージになってしまいますから、ここは同じ路線というか、コンスタントな路線を進んで行くというのが大事なんじゃないかなと思いますね。」
「(ある意味、今、トランプ政権で止めた企業は。いやいやながらやっていたんだと批判されるリスクも出てくるという指摘に対して、)そこら辺は経営者の倫理観とか、一貫性を持ったリーダーシップが問われるんじゃないかなと思いますね。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組の内容を以下にまとめてみました。
・人類は、いにしえより微生物の力を活用して醤油や味噌、チーズなど、様々な食品を作り出してきた
・そうした微生物を、工場と見立てて、有益な物質を作り出すのが微生物工場である

(産総研で取り組んでいる微生物工場の事例)
・茨城県つくば市にある産総研では、微生物工場での接着剤の生産に向けた開発に取り組んでいる
 -圧力をかけながら加熱すると、透明なフィルム状になり、これを小さく切って、アルミニウムの板と板の間にはさみ、220℃で加熱する
 -すると、大人が二人で引っ張り合っても、離すことが出来ないほどの強力な接着力を発揮する
 -再び過熱すると、簡単に剥がすことが出来る
 -この特徴が、自動車などのリサイクルで活用出来る

(強力な接着力がある一方で、簡単に剥がせる接着剤を作り出すメカニズム)
 -ミドリムシの体の中に大量にため込む「パラミロン」が接着剤の主原料になる
 -6リットルの培養槽から400グラム以上の接着剤の原料「パラミロン」が採取出来る
 -3年後の実用化を目指している

(化学大手のカネカで取り組んでいる微生物工場の事例)
・ホテルで使われている歯ブラシに、日本航空が機内で使っている食器、そしてスターバックスが1月23日、沖縄県で先行導入し、全国でも使われるストロー、カネカの微生物工場で生産している、これらの原料のプラスチックの共通点は、100%バイオマス由来、かつ生分解性、自然に返る性質を持った樹脂でできている
・カネカ高砂工業所(兵庫県高砂市)の微生物工場の巨大な培養タンクの中で微生物(水素酸化細菌)を原料にしてプラスチックを作り出している
・現在、微生物に植物油を与えて量産しているが、課題もある
 -世界では年間4億トンのプラスチックが生産されていて、その需要を満たすために植物油を使うと、生産量に限りがあるので、不足を招く恐れがある
・植物油からCO2にプラスチックの原料を切り替える
 -細菌が入った培養槽の上にアルミ製の風船の中には、CO2と水素を混ぜた気体が入っている
 -微生物がCO2をエサにして、自然に返るプラスチックを生産すると同時に、温暖化を防ぐCO2も削減出来る、まさに一石二鳥の取り組みである
 -2030年までに実証を終わらせて、後の工業化に組み立てていけば、2030年代には実用化出来るという
 -この微生物を使って、CO2から直接プラスチック作り出すカネカの技術は、大阪関西万博の日本政府館にも出展されるという

(元ソニーCEO、平井さんに見解)
・こういった素材技術は日本の強みで、これから世界に輸出出来るものと、大変期待が大きい
・こういった素材はソニーの85インチのブラディアのテレビの梱包の中の緩衝材にも使われている
 -これを選んだ理由は、環境に対する負荷が低く、非常に強度があることである
・トランプ大統領は、大統領令でパリ協定からの離脱を発表したが、ESG的な流れについて止めることは出来ない
・ESG的な流れについて、大事なキーワードは一貫性である

なお、産総研(茨城県つくば市)では、微生物工場でミドリムシ(学名:ユーグレナ)を原料に接着剤の生産の研究開発に取り組んでいますが、大量のミドリムシの供給源については添付1を参照下さい。

また、カネカ高砂工業所(兵庫県高砂市)の微生物工場の巨大な培養タンクの中で微生物(水素酸化細菌)を原料にプラスチックを作り出していますが、大量の水素酸化細菌の供給源については添付2を参照下さい。

そもそも、番組の冒頭でも伝えていたように、人類は、いにしえより微生物の力を活用して様々な食品を作り出してきたのです。
ですから、人類による微生物の活用については、とても長い歴史があるのです。
そして、現在は、そうした微生物を工場と見立てて、積極的なテクノロジーの活用により様々な有益物質を作り出すことにチャレンジしているわけです。
そうした中、番組では以下の事例を伝えています。
・ミドリムシの体の中に大量にため込む「パラミロン」 ⇒接着剤
・水素酸化細菌+植物油⇒プラスチック *植物油の生産量には限りがあるので、植物油からCO2に切り替える

なお、ミドリムシからは食料や石油に代わるバイオ燃料も作り出すことが出来ます。
そのメカニズムは添付3を参照下さい。
また、ミドリムシ研究のリーダー企業、株式会社ユーグレナによるミドリムシ燃料の最新技術・特許・事業展開については添付4を参照下さい。
ちなみに、ユーグレナについては、アイデアよもやま話 No.4250 ユーグレナ バイオ燃料プラントを完成!でも取り上げたことがあります。

こうした状況について、元ソニーCEO、平井さんは、こういった素材技術は日本の強みで、これから世界に輸出出来るものと、大変期待が大きいと指摘されています。
また、パリ協定からの離脱といった、トランプ大統領の時代に逆行する政策には、やんわりと批判していますが、ESG的な流れについて止めることは出来ないのです。

なお、海外でも微生物工場に対する取り組みは近年急速に加速しており、バイオエコノミーの柱として各国が注力しています。(添付5参照)
更に、各国の最新プロジェクト情報や、分野別(例:食品、宇宙応用、建材など)での微生物工場事例については添付6を参照下さい。
いろいろな分野で多岐に渡っています。

ということで、微生物工場は、まさにエコに優れた、自然を活用する、最も理に適った工場と言えます。
そして、今後とも、どんどん微生物工場の対象は増えて続けていくと見込まれます。


添付1)

 

産総研(茨城県つくば市)では、微生物工場でミドリムシを原料に接着剤の生産の研究開発に取り組んでいるというが、大量のミドリムシはどのように供給しているのか?

ChatGPT:

 

はい、ご質問の「産業技術総合研究所(産総研)によるミドリムシを原料にした接着剤の研究開発」と、それに伴う大量のミドリムシ(ユーグレナ)の供給方法について、以下のように詳しく解説します。

🧬 背景:ミドリムシを使ったバイオ接着剤の研究とは?

  • 産総研(茨城県つくば市)は、ミドリムシ(Euglena gracilis)を原料として、環境負荷の低いバイオ接着剤の製造に取り組んでいます。
  • 特に注目されているのは、ミドリムシが生産する「多糖類」や「タンパク質・アミノ酸」、および「脂質由来の構造分子」を利用した天然系バイオマス接着剤の可能性です。

🧪 ミドリムシの大量供給はどうやっている?

✅ 1. フォトバイオリアクター(光合成型の培養装置)による屋内大量培養

  • 産総研および協力企業では、屋内の透明チューブや平面リアクターで、ミドリムシを光合成により培養しています。
  • 条件制御項目:
    • 光源(太陽光 or LED
    • CO₂ガス供給(炭素源)
    • 温度(2530℃前後で最適生育)
    • 攪拌・空気供給(浮遊性維持と酸素供給)

💡 一般的には、1リットルあたり数億〜10億個体以上のミドリムシを数日〜1週間で培養可能です。

✅ 2. 培養液からの濃縮・回収・乾燥

  • 培養されたミドリムシは、次のような工程で「原料」として使える状態に加工されます:
    1. 遠心分離機による濃縮
    2. フィルター処理または沈殿法
    3. 低温乾燥(凍結乾燥・スプレードライなど)で粉末化

→ この粉末から、糖やタンパク、脂質など目的成分を抽出して接着剤開発に使用します。

✅ 3. 民間企業との連携による原料供給

  • 産総研が研究開発段階で用いるミドリムシの多くは、民間のミドリムシ生産企業(例:ユーグレナ社、筑波大学発ベンチャーなど)との連携供給が行われているとみられます。
  • 特に**ユーグレナ社(東京都港区)**は、石垣島に大型屋外培養施設を持ち、数十トン規模のミドリムシバイオマスを供給可能。

🧭 なぜミドリムシが接着剤に使えるのか?

  • ミドリムシは植物と動物の中間的性質を持ち、多種多様な成分を持つ:
    • 多糖類(パラミロン):構造安定性があり、水溶性で樹脂化可能
    • 脂質・ワックス:疎水性・耐水性のあるバイオ接着材料のベースに
    • アミノ酸類:タンパク質架橋による粘着性や接合力に寄与

🧪 産総研の研究内容(例)

  • 「バイオマス由来接着剤の機能性評価」「パラミロンを基材にした生分解性接着剤」などの技術報告あり
  • 接着性能の最適化だけでなく、木材・紙・プラスチック基材との親和性評価も実施

🔚 まとめ

項目

内容

培養方法

屋内型フォトバイオリアクターで光合成培養

供給体制

濃縮・粉末化処理後に利用/一部は民間から供給

主成分

多糖・脂質・タンパク質(例:パラミロン)

応用対象

木工用接着剤、包装材料用接着剤、生分解性樹脂など

 

添付2)

 

カネカ高砂工業所(兵庫県高砂市)の微生物工場の巨大な培養タンクの中で微生物(水素酸化細菌)を原料にプラスチックを作り出しているというが、大量の水素酸化細菌はどのよう供給しているのか?

ChatGPT:

はい、ご質問の「カネカ高砂工業所(兵庫県高砂市)における水素酸化細菌を使ったプラスチック生産」について、以下のように詳しくご説明いたします。

🏭 カネカの微生物プラスチック生産とは?

カネカは、水素酸化細菌を利用してバイオプラスチック(PHB:ポリヒドロキシ酪酸)を製造しています。
この技術は石油を使わないで、二酸化炭素(CO₂)と水素(H₂)と酸素(O₂)だけでプラスチックをつくるというもので、極めて革新的です。

🔬 使用している微生物の種類

  • Cupriavidus necator(クプリアビダス・ネカター)
    別名 Ralstonia eutropha
    これは水素酸化細菌の一種で、CO₂を炭素源、水素をエネルギー源にしてPHBを生合成する能力を持ちます。

🧪 微生物の供給方法・大量培養の仕組み

✅ 1. スターター培養(シード培養)から始める

  • 初期段階では、小型の培養タンクで少数の菌株を増殖させます。
  • それを段階的にスケールアップして、大型タンクに接種。

✅ 2. バイオリアクター(大型発酵槽)での連続培養

  • 高砂工業所では、数十〜数百キロリットル級の発酵槽が使われているとみられます。
  • ここで、以下の条件を精密に制御:
    • **水素ガス(H₂**供給エネルギー源
    • **二酸化炭素(CO₂**供給炭素源(プラスチックの原料)
    • **酸素(O₂**供給好気性条件の維持
    • pH・温度・圧力の制御微生物の最適成長環境

※水素は可燃性が高いため、タンクは耐圧構造で安全装置が徹底されていると考えられます。

✅ 3. セルバンク(菌株の保存庫)からの継続供給

  • 工場には、選抜・改良された**特定の優良菌株(マスターセル)**が長期保存されています。
  • これを随時使って、安定した品質の菌を供給。

⚙️ なぜ大量供給が可能か?

仕組み

内容

高性能な発酵技術

長年のバイオ技術により、微生物の増殖・PHB生成効率を最適化

ガス供給管理

水素・CO₂O₂を高効率で安定供給できる独自ガス制御システム

自動化制御

センサーとAIによるリアルタイム制御で、菌の状態を最適に保つ

自社培養インフラ

シードタンク〜生産タンクまでフルラインを保有し、外部依存が少ない

🌍 環境負荷の低さも魅力

  • PHBは土壌や海水中で自然分解されるため、マイクロプラスチック問題の解決にも貢献。
  • カネカはこの「CO₂からつくる生分解性プラスチック」をSDGs推進技術として世界に輸出中。

🔚 まとめ

カネカ高砂工業所では、水素酸化細菌(Cupriavidus necator)を自社で段階的に培養・増殖し、ガス制御とバイオリアクター技術によって安定的に大量供給しています。水素やCO₂を利用することで、化石資源に依存しないサステナブルなプラスチック生産を実現しています。

 

添付3)

 

ミドリムシから食料や石油に代わるバイオ燃料を出来るメカニズムは?

ChatGPT:

 

ミドリムシ(学名:ユーグレナ)から食料や石油代替のバイオ燃料を生み出すメカニズムは、その独自の生物学的特性と代謝機構に基づいています。以下、具体的な仕組みとステップをわかりやすく説明します。

🌱 ミドリムシとは?

  • 単細胞の藻類(藍藻と緑藻の中間)
  • 光合成を行う植物的性質と、栄養分を吸収する動物的性質の両方を持つ
  • 栄養豊富で、59種類以上の栄養素を含む(アミノ酸、ビタミン、ミネラルなど)

🥗 食料としての利用

✅ メカニズム:

  1. 培養:ミドリムシは光と二酸化炭素、水、栄養塩類を使って増殖(光合成)。
  2. 細胞内に栄養を蓄積:たとえばパラミロン(β-1,3-グルカン)という独自の多糖体を持ち、免疫や整腸に効果があるとされる。
  3. 粉末化・加工:乾燥・粉砕してサプリや食品に加工(例:ユーグレナクッキー、飲料など)。

⛽ バイオ燃料(ユーグレナバイオジェット燃料など)としての利用

✅ メカニズム:

  1. 脂質の蓄積:
    • ミドリムシは光合成により細胞内に「ワックスエステル」という脂質を合成。
    • この脂質は石油のような炭化水素を含み、燃料に転換可能。
  2. 抽出:
    • 培養されたミドリムシから脂質(ワックスエステル)を取り出す。
  3. 燃料への変換(主に「水素化処理」などの技術):
    • 抽出した脂質を「水素化分解」して、ジェット燃料やディーゼル相当の炭化水素に変える。
    • これにより「ユーグレナバイオ燃料」が完成。
  4. 利用:
    • 実際にANA(全日空)やいすゞのバス・トラックで実証運用済み。

🧪 研究と商用化の現状

  • 株式会社ユーグレナ(東京大学発ベンチャー)がリーダー企業。
  • 2021年、世界で初めて「バイオジェット燃料の国産化」に成功。
  • 東京都内では、ミドリムシ由来の「サステナブル航空燃料(SAF)」の供給実験も進行中。

🌏 環境面でのメリット

  • CO₂削減:光合成で二酸化炭素を吸収カーボンニュートラル。
  • 再生可能:再利用可能な資源サイクルが可能。
  • 陸地競合が少ない:藻類は食用農地を奪わず、水資源も少なくて済む。

🧩 まとめ:なぜミドリムシが注目されるのか?

項目

理由

栄養価

栄養豊富でサプリ・健康食品に有望

エネルギー

石油代替燃料に使える脂質を生産

環境性

カーボンニュートラルで持続可能

技術進展

商用化・インフラ整備が進行中(例:バイオジェット燃料)

 

添付4)

 

ミドリムシ研究のリーダー企業、株式会社ユーグレナによるミドリムシ燃料の最新技術・特許・事業展開は?

ChatGPT:

 

ミドリムシ(ユーグレナ)由来のバイオ燃料に関する最新の技術、特許戦略、事業展開について、以下の通りご紹介します。

🔬 技術開発の最新動向

  1. 次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」の開発

ユーグレナ社は、HVO(水素化植物油)を51%混合した次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を開発しました。この燃料は軽油規格に適合しており、ディーゼルエンジン車の公道走行が可能です。同社は、陸・海・空すべての領域において、バイオ燃料の供給を進めています。 euglena.commmune.com+3ユーグレナ+3レスポンス(Response.jp)+3

  1. CRISPR-Cas3によるユーグレナの品種改良

ユーグレナ社は、ゲノム編集技術CRISPR-Cas3を用いて、ユーグレナの品種改良を進めています。これにより、バイオ燃料の原料となるワックスエステルの生産性向上が期待されています。 ユーグレナFUNDINNO

  1. 有機従属培養による生産効率の向上

従来の光合成による培養に加え、光を必要としない有機従属培養技術が注目されています。この方法では、糖を与えてミドリムシを培養し、ワックスエステルの生産効率を高めることが可能です。 FUNDINNO

🧠 特許戦略と知的財産の活用

ユーグレナ社は、培養技術に関してはノウハウとして秘匿し、特許出願を控えています。一方で、ユーグレナを利用した製品や用途に関する技術については、積極的に特許出願を行っています。これにより、知的財産の保護と競争力の強化を図っています。 特許庁+1特許庁+1特許庁

🌍 事業展開と国際連携

  1. マレーシアでの大規模生産プラント建設

ユーグレナ社は、マレーシアのペトロナスリサーチ社と共同で、微細藻類の大規模生産技術を確立し、バイオ燃料の原料として活用することを目指しています。このプロジェクトでは、バイオ燃料製造プラントの建設・運営が計画されています。 ユーグレナ+3レスポンス(Response.jp)+3ユーグレナ+3

  1. 国内でのバイオ燃料供給

ユーグレナ社は、日本国内でバイオジェット燃料の供給を進めており、航空会社や運輸業界と連携して、実用化を目指しています。

✈️ 今後の展望

ユーグレナ社は、ミドリムシ由来のバイオ燃料の商業化に向けて、技術開発、特許戦略、国際連携を強化しています。これにより、持続可能なエネルギー供給と環境負荷の低減を実現し、バイオ燃料の普及を目指しています。

 

添付5)

 

微生物工場への取り組みについて、海外での動きは?

ChatGPT:

 

はい、海外でも「微生物工場(Microbial Cell Factories)」に対する取り組みは近年急速に加速しており、バイオエコノミーの柱として各国が注力しています。以下、分野別・国別に代表的な動きをご紹介します。

🌍【1】欧米諸国の取り組み

🇺🇸 アメリカ:合成生物学とスタートアップの先進国

  • **合成生物学(Synthetic Biology**を基盤に、微生物を遺伝子編集して化学品・食品・医薬品を製造。
  • 代表企業:
    • Ginkgo Bioworks:多種の微生物を「プラットフォーム化」して顧客の要求に応じた物質生産。
    • Zymergen(※Ginkgoに吸収):自動化とAIで微生物設計を高速化。
    • Amyris:酵母で香料・化粧品原料(スクアレンなど)を生産。
  • 政策面:
    • 2022年、バイデン政権が「National Biotechnology and Biomanufacturing Initiative」を発表し、バイオ製造に数十億ドル規模で投資。

🇪🇺 欧州:バイオエコノミー政策の中核として推進

  • EUは「欧州バイオエコノミー戦略」を掲げ、微生物工場による再生可能資源からのモノづくりを支援。
  • 代表プロジェクト:
    • SynBio4Flav(フランス主導):大腸菌を改変して天然フラボノイドを製造。
    • Allmicroalgae(ポルトガル):藻類(微細藻)から食品・飼料・医薬成分の製造。
  • ノルウェーやオランダでは、水素酸化細菌やメタン酸化細菌を使ったタンパク質代替生産にも力。

🧬【2】アジアの取り組み

🇨🇳 中国:国家戦略として微生物発酵産業を育成中

  • **「合成生物学とバイオ製造2035戦略」**に基づき、遺伝子編集×AI×自動化の組合せを強化。
  • 代表企業:
    • Bluepha:水素酸化細菌を利用したバイオプラスチック(PHB)製造。
    • Tide Microbiology:バクテリアを用いた産業酵素・飼料添加剤生産。
  • 微細藻類(スピルリナ、ユーグレナ)を使った宇宙食・機能性食品研究も進行中。

🇸🇬 シンガポール:都市国家型の先端微生物工場モデル

  • Bio-based Economy Transformation(BET)計画を推進。
  • 食品や医薬品原料を微生物で生産する都市型プラント(例:Precision Fermentation Hub)を建設中。
  • TurtleTreeなど、ミルク成分を微生物で製造する企業も育成。

🧪【3】主要な応用分野と微生物の例

応用分野

微生物の例

製品例

バイオ燃料

酵母、大腸菌、藻類

エタノール、ジェット燃料(合成)

食品・香料

酵母、乳酸菌

バニリン、ヘム鉄(培養肉)、ミルクタンパク

医薬品・化学品

大腸菌、放線菌

抗生物質、アミノ酸、酵素

プラスチック代替

水素酸化細菌、青藻類

PHB、PHA、海洋分解性樹脂

宇宙用資源循環

放射線耐性菌、微細藻類

酸素・食料・水の循環製造

🚀【4】今後のトレンド

  1. AI × 微生物設計(バイオファウンドリー)
    • 微生物のゲノム設計から発酵条件最適化までをAIが支援。
    • 例:英国の Deep Science Ventures、米国の Arzeda
  2. 地球外(宇宙・月)での微生物工場構想
    • 酸素・食料・バイオマテリアルを微生物で現地生産(ISRU)。
    • NASAやESAが藻類・バクテリア利用を研究中。

✅まとめ

地域

特徴

代表企業/プロジェクト

アメリカ

スタートアップ・AI活用

Ginkgo Bioworks、Amyris

EU

政策主導型

SynBio4Flav、Allmicroalgae

中国

国家主導で急成長

Bluepha、Tide Microbiology

シンガポール

都市型バイオ製造

TurtleTree、Precision Fermentation Hub

 

添付6)

 

各国の最新プロジェクト情報や、分野別(例:食品、宇宙応用、建材など)での微生物工場事例は?

ChatGPT:

 

各国における微生物工場(Microbial Cell Factories, MCFs)の最新プロジェクトは、食品生産、宇宙開発、建材製造など多岐にわたります。以下に分野別の代表的な取り組みをご紹介します。

🍽 食品・栄養分野

  1. 韓国 KAIST:合成生物学による食品・化粧品素材の生産

韓国のKAIST(韓国科学技術院)では、合成生物学とシステム代謝工学を活用し、微生物を用いて以下のような高付加価値化合物を生産しています:

  • ヘム鉄や亜鉛プロトポルフィリンIX:培養肉の風味や色調を向上。
  • リコピンやβ-カロテン:食品や化粧品の天然色素として利用。
  • メチルアントラニレート:ブドウ風味の食品・飲料に使用される香料。SynBioBeta

これらの研究は、石油依存から脱却し、持続可能なバイオ製造への転換を目指しています。

  1. 米国 Calysta:メタン酸化細菌によるタンパク質生産

米国のバイオテクノロジー企業Calystaは、メタン酸化細菌を用いてメタンガスから単細胞タンパク質を生産し、魚や家畜の飼料として利用しています。この技術は、廃棄物ガスを有用なタンパク源に変換する持続可能な方法として注目されています。 ウィキペディア

🚀 宇宙応用分野

  1. NASA:BioNutrientsプロジェクト

NASAは、長期宇宙ミッションにおける栄養補給のため、微生物を利用して人間の栄養素を宇宙空間で生産する「BioNutrients」プラットフォームを開発しています。このシステムは、食料や医薬品の宇宙内製造を可能にし、補給の必要性を減少させることを目指しています。 NASA

  1. 中国:Tiangong宇宙ステーションでの新種細菌の発見

中国のTiangong宇宙ステーションでは、20235月に新種の細菌「Niallia tiangongensis」が発見されました。この細菌は、微小重力や宇宙放射線などの過酷な環境下でも生存できる特性を持ち、将来的には宇宙での廃棄物リサイクルや生命維持システムへの応用が期待されています。 The Times of India+2WIRED+2New York Post+2

🧱 建材・環境分野

  1. 米国:シアノバクテリアを用いた生きた建材の開発

米国の研究者たちは、光合成を行うシアノバクテリアを利用して、自己増殖可能な「生きたレンガ」を開発しました。この技術は、CO₂を吸収しながら建材を生成するため、従来のセメント製造に比べて環境負荷が低く、持続可能な建築材料として注目されています。 PBS

🔬 その他の注目プロジェクト

  • ワシントン大学(米国):藻類と大腸菌の共培養システムを開発し、宇宙空間での高機能タンパク質材料の生産を目指しています。 engineering.washu.edu
  • スタンフォード大学(米国):微生物を利用して、化石燃料に依存しない持続可能なプラスチック代替品の開発に取り組んでいます。

 
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