前回、アマゾンの「ふるさと納税」参入について、納税者が恩恵を受けるメリットを中心にお伝えしました。(参照:アイデアよもやま話 No.6182 アマゾンが「ふるさと納税」に参入!)
そこで、今回は、「ふるさと納税」の仕組み、および評価について、自治体側の観点を中心にお伝えします。
そもそも「ふるさと納税」は住民税の枠内での納税として扱われます。(添付1参照)
なお、ふるさと納税制度は2008年に開始されて以来、寄附額・件数ともに年々増加傾向を示しています。
しかし、2023年以降は、多少頭打ちの傾向にあります。(添付3参照)
では、実際に都道府県別に「ふるさと納税」がどのくらい影響を及ぼしているのでしょうか。
ふるさと納税で税収が増えた、あるいはその逆で減った都道府県、それぞれのランキング(10位)は添付4を参照下さい。
また、ふるさと納税で税収の増加分、あるいはその逆で減少分の税収トータルに占める割合、それぞれのランキング(10位)については添付5を参照下さい。
こうしてみると、税収が増加した都道府県(2023年度)では、ベスト10に北海道が4割も占めているのが目立ちます。
一方、税収が減少した都道府県(2023年度)では、神奈川県が断トツの1位で、首都圏、および大阪府が5割を占めています。
こうしてみると、ざっくりした傾向として、「ふるさと納税」を利用することにより、相対的に購買力のある首都圏在住の住民は、普段、購入出来ない地方の名産品を実質、定価よりも格安で購入出来るかたちになるので、結果として、地方の都道府県の税収が増加していると思われます。
勿論、魅力的な返礼品のみならず、自治体によるプロモーション活動の積極性も税収の増減に影響を及ぼすと考えられます。
ですから、地方自治体にとっても、“町おこし”をするうえで、「ふるさと納税」はとてもやる気を起こさせる仕組みだと思います。
なお、添付5にあるように、ふるさと納税で税収の増加分、あるいはその逆で減少分の税収トータルに占める割合、それぞれのランキング(10位)については、現時点で公的な統計資料として公表されていません。
国は、こうした統計データをきちんと把握して、公表すべきです。
そうすれば、各自治体は、この統計データを参考に役所と名産品業者が一体となって、より効率的、かつ効果的なプロモーション活動を検討:実施することで、名産品を軸とした自治体間の競争原理が働き、「ふるさと納税」制度により、地方創生にもつながります。
そこで、「ふるさと納税」制度の総合的なメリット、ディメリットについては添付6を参照下さい。
総合評価として、地方活性化、納税者の満足といったメリットがある一方で、財政公平性、制度の健全性の面では改善の余地があります。
では、総合的に見て、「ふるさと納税」は続けるべきかどうかですが、添付7を参照下さい。
結論としては、ふるさと納税は現行のままで続けるよりも、問題点を改善しながら続けるべきであるとする見方は妥当だと思います。
添付1)
「ふるさと納税」は税収の中で住民税の枠内の納税になるのか?
ChatGPT:
「ふるさと納税」は、住民税の枠内での納税として扱われます。具体的には、寄付した金額に応じて、住民税と所得税から控除が受けられる仕組みとなっています。ただし、控除を受けるためには、一定の条件を満たす必要があります。
ふるさと納税の税額控除の仕組み
- 寄付額の控除:
- ふるさと納税で寄付した金額(※2,000円を除く)が住民税と所得税から控除されます。
- 住民税には、「所得割」と「均等割」の2つの部分がありますが、主に所得割から控除されます。
- 税控除の内訳:
- 所得税控除:寄付額の一定割合(所得税率に応じて)を控除
- 住民税控除:住民税の「基本分」と「特例分」に分かれて控除される
- 基本分:住民税の所得割に対して控除される部分
- 特例分:住民税の控除に加えて、寄付額の一部(最大で住民税の20%相当)を控除
- ワンストップ特例制度:
- 確定申告をしない場合、ワンストップ特例制度を利用することで、寄付した自治体に申請書を提出するだけで税控除を受けることができます。
住民税の枠内か?
- 住民税の控除枠内であるため、住民税の控除限度額に応じた金額までが控除対象となります。これにより、ふるさと納税で寄付できる額には上限があります。
- 上限額は、納税者の所得や家族構成によって異なります。具体的な上限額は、収入や課税所得に基づいて計算されますが、控除を最大限に活用したい場合、シミュレーターを使って寄付できる金額を確認することができます。(添付2参照)
まとめ
- ふるさと納税の寄付は、住民税の枠内で控除される形で運用されます。
- 控除は住民税と所得税にまたがって行われますが、最終的には住民税の範囲内で調整されることになります。
添付2)
「ふるさと納税」による控除を最大限に活用したい場合のシミュレーターは?
ChatGPT:
「ふるさと納税」による控除を最大限に活用するためには、各種シミュレーターを利用して、寄付可能な金額を計算することが重要です。以下の方法でシミュレーションを行うことができます。
- 総務省 ふるさと納税シミュレーター
総務省が提供している公式シミュレーターを使うと、年収や家族構成に基づいて、ふるさと納税の寄付可能額を簡単に計算できます。
- 各ふるさと納税サイトのシミュレーター
主要なふるさと納税のポータルサイトでは、独自にシミュレーターを提供している場合が多いです。代表的なサイトとしては以下のものがあります。
- 楽天ふるさと納税: 寄付できる上限額を試算できます。
- ふるさとチョイス: 同様に寄付上限額を算出できるツールが用意されています。
- さとふる: こちらも収入に基づいて、寄付額上限をシミュレートできます。
- 寄付可能額計算アプリ
スマートフォン用のアプリでも、ふるさと納税の控除額や寄付額を計算できるものがあります。これらのアプリを使用すると、手軽にシミュレーションが可能です。
- 税理士に相談
特に複雑な収入状況や控除の計算が必要な場合には、税理士に相談することで、最大限の控除額を活用する方法をアドバイスしてもらえます。
シミュレーションを行う際のポイント
- 収入や家族構成により、ふるさと納税で寄付できる額は異なります。
- 所得税の控除だけでなく、住民税の特例分や基本分も考慮する必要があります。
- ワンストップ特例制度を利用する場合、確定申告の手間が省けますが、必要書類を正確に提出することが重要です。
これらのシミュレーターを使って、ふるさと納税の寄付金額の上限を計算し、最大限に控除を受けるために最適な寄付額を選ぶことができます。
添付3)
これまでの「ふるさと納税」による総納税額のトレンドは?
ChatGPT:
ふるさと納税制度は2008年に開始されて以来、寄附額・件数ともに年々増加傾向を示しています。以下に主要な年のデータをまとめます。
- 2008年:
- 寄附額: 約82億円
- 件数: 約5万4,000件
- 2017年:
- 寄附額: 約3,653億円東京税務署
- 件数: 約564万件
- 2022年:
- 2023年:
- 寄附額: 約1兆1,175億円
- 件数: 約5,895万件
これらのデータから、ふるさと納税制度は開始以来、寄附額・件数ともに大幅な増加を続けており、特に近年では1兆円を超える規模に達しています。
添付4)
ふるさと納税で税収が増えた、あるいはその逆で減った都道府県、それぞれのランキング(10位)は?
ChatGPT:
ふるさと納税制度により、都道府県の税収には増減が生じています。以下に、2023年度のデータを基に、税収が増加した都道府県と減少した都道府県の上位10位をそれぞれご紹介します。
📈 税収が増加した都道府県(2023年度)
順位
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都道府県名
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寄付額(約)
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1位
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宮崎県
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193.8億円
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2位
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北海道
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192.1億円
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3位
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大阪府
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175.1億円
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4位
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北海道
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167.8億円
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5位
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北海道
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139.0億円
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6位
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北海道
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125.5億円
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7位
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愛知県
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117.1億円
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8位
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静岡県
|
106.9億円
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9位
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福岡県
|
105.1億円
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10位
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京都府
|
100.0億円
|
これらの都道府県は、魅力的な返礼品や積極的なプロモーション活動により、多くの寄附を集め、税収を増加させています。
📉 税収が減少した都道府県(2023年度)
順位
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都道府県名
|
減収額(約)
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1位
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神奈川県
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304.7億円
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2位
|
愛知県
|
176.5億円
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3位
|
大阪府
|
166.6億円
|
4位
|
神奈川県
|
135.8億円
|
5位
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東京都
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110.3億円
|
6位
|
埼玉県
|
100.7億円
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7位
|
福岡県
|
96.5億円
|
8位
|
兵庫県
|
92.6億円
|
9位
|
北海道
|
89.7億円
|
10位
|
京都府
|
82.4億円
|
これらの都道府県では、住民が他の自治体にふるさと納税を行うことで、住民税の控除が発生し、結果として税収が減少しています。
ふるさと納税制度は、地域間の税収格差を拡大する一因ともなっており、特に都市部の都道府県では税収減少が深刻な問題となっています。一方で、返礼品やプロモーションを工夫することで、税収を増加させている都道府県も存在します。
添付5)
では、ふるさと納税で税収の増加分、あるいはその逆で減少分の税収トータルに占める割合、それぞれのランキング(10位)は?
ChatGPT:
ふるさと納税による税収の増減が、各都道府県の総税収に占める割合を示すランキングは、現時点で公的な統計資料としては公表されていません。しかし、個別の自治体におけるふるさと納税の影響については、いくつかの報道や調査から知ることができます。
🏙️ ふるさと納税による税収減少の影響が大きい都市部の例
都市部の自治体では、住民が他の自治体にふるさと納税を行うことで、住民税の控除が発生し、結果として税収が減少しています。例えば、神奈川県横浜市では、令和5年度の住民税控除額が約272億円となっており、これは市の税収に大きな影響を与えています。 zeikei.net
🏞️ ふるさと納税による税収増加の影響が大きい地方自治体の例
一方で、地方の自治体では、ふるさと納税による寄附金が財政の大きな支えとなっている例もあります。例えば、宮崎県都城市では、ふるさと納税による寄附額が約195億円に達しており、これは市の歳入において重要な割合を占めています。 zeikei.net
これらの情報から、ふるさと納税が各自治体の財政に与える影響は、自治体の規模や地域性によって大きく異なることがわかります。詳細な割合やランキングについては、今後の公的な統計資料の公表を待つ必要があります。
添付6)
「ふるさと納税」制度は総合的に見て、メリット、ディメリットはどうか?
ChatGPT:
「ふるさと納税」制度には、多くのメリットがある一方で、いくつかの深刻なデメリットも存在しています。以下に総合的に整理します。
✅ メリット
- 地方自治体の財源確保・活性化
- 自治体が魅力的な返礼品や使途を提示することで寄附を集め、地域振興や課題解決に活用できる。
- 過疎化・少子高齢化が進む地域にとって、貴重な財源確保手段になっている。
- 納税者にとっての節税・特典
- 税控除を受けつつ、返礼品(特産品など)も受け取れるため、実質2,000円で価値ある商品が手に入る。
- 「ワンストップ特例制度」の活用で確定申告不要となる簡便さも人気。
- 寄附先を自分で選べる民主的な仕組み
- 自分の考えに合った自治体を支援でき、「税金の使い道を選ぶ」という市民参加型の性格を持つ。
❌ デメリット
- 都市部の税収減少(逆所得再分配)
- 東京、大阪、神奈川など都市圏では、住民税収が大きく流出(例:東京都は年1,000億円超の減収)。
- 地方への再分配が目的だが、結果的に都市部の財政基盤を脆弱にしているという批判も。
- 返礼品競争による“過剰サービス”
- 寄附額の3割以内とルールはあるものの、商品競争が激化し、本来の「寄附」の精神が損なわれがち。
- 実質的には「返礼品ビジネス」になっているケースも。
- 公平性や倫理の問題
- 高所得者ほど控除を多く受けられ、節税メリットが大きいため、格差を助長しているという指摘。
- 住民税の本来の趣旨(居住自治体への貢献)との矛盾も。
🔄 総合評価
項目
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評価
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地方活性化
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◎ 地域の独自性発信・産業支援に有効
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財政公平性
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△ 都市部の税収流出で不均衡を助長
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納税者の満足
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◎ 手軽でお得、地域支援もできる
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制度の健全性
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△ 寄附の本来の意味が薄れやすい
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✳ 改善の余地
- 税収の偏在に対応する「再調整メカニズム」の導入
- 高額返礼品・過剰競争への厳格な制限
- 返礼品の地場産品縛りの強化と透明な運用
- 高所得者偏重を防ぐ所得控除の見直し
必要があれば、具体的な自治体別の影響データや制度設計の変更案もまとめられます。興味ありますか?
添付7)
総合的に見て、「ふるさと納税」は続けるべきか?
ChatGPT:
「ふるさと納税」は、総合的に見て賛否が分かれる制度ですが、続けるべきかどうかは様々な視点から評価されるべきです。以下、メリットとデメリットを踏まえて考えてみましょう。
メリット
- 地方自治体への支援:
- 「ふるさと納税」は、税金の一部を自分が支援したい自治体に寄付できるため、地方自治体の財政に直接的な支援を行うことができます。特に、財政的に厳しい地域や過疎化が進む地域には大きな助けとなります。
- 寄付者への返礼品:
- 寄付者は返礼品として、地域特産物などを受け取ることができるため、納税の意義を感じやすく、地域経済の活性化にも繋がります。
- 税制面でのメリット:
- ふるさと納税は、税制上の控除を受けられるため、実質的に自己負担が少ない状態で寄付を行うことができます。これにより、寄付金額の多さや返礼品に対する魅力が高まり、個々の寄付額が増加しています。
- 地域間格差の是正:
- 一部の都市部が寄付先として人気を集め、税収が集中する傾向にありますが、反対に財政的に厳しい地域に対して支援が分散することで、地域間格差の是正にも寄与しています。
デメリット
- 都市部への税収流出:
- 大都市や有名な観光地に寄付が集中し、税収が減少する自治体があるため、特に人口が多く税収が安定している地域では、その影響が大きいです。これにより、地方自治体の格差が拡大する恐れがあります。
- 不平等な返礼品競争:
- 寄付先自治体によっては、高額な返礼品を提供するため、実質的な寄付額が少ないのに対して過剰な返礼が行われる場合もあり、返礼品競争がエスカレートしています。これが本来の目的から外れた税金の使われ方を促進する可能性があります。
- 税制の複雑さ:
- 「ふるさと納税」に関する税制が複雑で、納税者が控除の対象となる寄付額を把握しきれないケースが多いため、適切な手続きや計算をしなければならず、特に一般の納税者には負担となります。
- 寄付先自治体の管理の問題:
- 寄付金が適切に使われない場合もあります。例えば、返礼品の充実を優先し、地域の発展に必要な基盤整備に使われない可能性があるため、寄付金の使途について透明性が求められます。
まとめ
「ふるさと納税」は、地方自治体の支援や税制面でのメリットがある一方で、返礼品競争や地域間格差の拡大、不平等な税収流出といった問題も抱えています。しかし、これらのデメリットに対する対策や制度改正を行うことで、より良い仕組みとして継続することは可能です。
- 続けるべき理由:地方創生の一助として、地方自治体への支援や、納税者に対する税制面でのメリットがある。地域活性化を目的としており、教育や公共事業への資金が助けられる側面もある。
- 改善すべき点:返礼品の過剰競争を抑制し、自治体の税収の公平性を保つための改革、寄付金が実際に地域発展に使われるよう透明性を高める施策が必要です。
結論としては、ふるさと納税は現行のままで続けるよりも、問題点を改善しながら続けるべきであり、全体的に見て地方創生のために有益な仕組みであると言えます。