前回、生成AIの限界についてお伝えしました。(参照:No.6156 ちょっと一休み その971 『生成AIの限界』)
そこで今回は、気になる中国の生成AIの脅威についてお伝えします。
今、世界的に生成AI関連で話題になっているのはチャットGPTですが、これに対抗するかたちで中国発の生成AIにはDeepSeek以外にもいくつかの生成AIが実用化されています。(添付1参照)
また、中国の生成AIモデルは以下のように世界市場に与える影響があります。(添付2参照)
1. AI競争の加速と技術革新
2. 価格破壊と市場の変化
3. データと規制の問題
• データの取り扱いとプライバシー
o 中国政府の影響を受けるAI企業が多く、データの安全性やプライバシー保護が懸念される。
• 情報検閲とAIの利用制限
o 中国のAIモデルは政府の検閲を受けるため、自由な情報提供が難しい。
4. 地政学的影響(米中対立とAI覇権)
• AI覇権争いの激化
• 米国の制裁と技術封鎖の影響
5. 世界のAI市場の多極化
• 欧米・中国・その他の勢力のバランス変化
• 発展途上国への影響
o 低コストの中国製AIがアフリカ・中東・アジアの発展途上国で普及しやすくなる。
なお、DeepSeekには、開発過程でのデータ不正入手の疑惑や中国政府による検閲の可能性が指摘されており、情報流出のリスクも懸念されています。(添付3参照)
また、中国発の生成AI、DeepSeekの利用について、各国ごとに規制がなされています。(添付4参照)
なお、主要国の中で、DeepSeekの利用について、注意喚起に止めているのは日本だけのようで、他の国々では、より厳格な措置が講じられています。
こうした状況から、日本政府のDeepSeekの利用における相対的な危機感の無さが伺えます。
なお、中国の法令(添付5参照)では、DeepSeekなど中国製の生成AIを通じて、他国の情報を必要に応じて参照出来るようにする一方で、自国にとって不都合な情報については、他国から参照されないように、しっかり管理しているのです。(添付6参照)
こうして見てくると、やはり業務上であれ、個人としてであれ、DeepSeekなど中国発の生成AI、およびSNSなどは使用すべきではないと思います。
なぜならば、こうしたツールを使用していると、いざという時にはいつでも中国政府にツール上の自分の業務上の情報は勿論、個人レベルの情報まで全て筒抜けになってしまうからです。
そして、特に中国政府から見て、私たち日本人の不都合な情報が含まれているようなことがあれば、データセキュリティ法により、何らかの理由で中国国内に入った場合、いつでも逮捕される可能性があるからです。(添付7参照)
この一点からだけでも、やはり、共産党一党独裁国家、中国は、民主主義国家の国民からすると恐ろしい国と言えます。
添付1)
チャットGPTに対抗する中国発の生成AIとは、そしてその特徴は?
ChatGPT:
中国では、ChatGPTに対抗する生成AIモデルが次々と開発されています。以下に主要なモデルとその特徴を紹介します。
- DeepSeek
中国のベンチャー企業「DeepSeek」が開発した生成AIモデルで、約8億7000万円という低コストでChatGPT並みの性能を実現しています。 しかし、開発過程でのデータ不正入手の疑惑(添付2参照)、中国政府による検閲の可能性が指摘されており、情報流出のリスクも懸念されています。 businessinsider.com+2news.tv-asahi.co.jp+2reuters.com+2
- 文心一言(アーニー・ボット)
百度(バイドゥ)が開発したチャットボットで、2023年3月に公開されました。独自のAIコンピューティング・チップ「クンルン」を使用し、数兆のWebページや数百億の検索データなどで訓練されています。 2024年9月にはバージョン4.0がリリースされ、アプリ名が「文小言」に改名されました。 technologyreview.jpzh.wikipedia.org
- Manus
中国のスタートアップ企業Monicaが開発したAIエージェントで、個人アシスタントとしてのタスクを既存のAIモデルよりも効率的に実行するよう設計されています。しかし、その実際の有効性はまだ不明であり、アクセスが制限されているため、多くのユーザーがデータ提供に慎重な姿勢を示しています。 vox.com
- その他のモデル
Alibabaの「QwQ-32B」は、少ないデータでDeepSeekを上回る性能を持つオープンソースのモデルで、Alibabaの市場価値を大幅に押し上げました。Tencentの「Yuanbao」は、さまざまな製品に統合され、アプリストアでトップに立つなど、中国の技術分野におけるAIの成長と統合を示しています。 businessinsider.com
これらの中国発の生成AIモデルは、低コストで高性能を実現し、世界のAI市場における中国の存在感を高めています。しかし、データの取り扱いや情報検閲などの課題も指摘されており、今後の動向が注目されます。
添付2)
中国の生成AIモデルが世界市場に与える影響とは?
ChatGPT:
中国の生成AIモデルが世界市場に与える影響は、多方面に及びます。以下に主な影響を整理します。
- AI競争の加速と技術革新
- 競争の激化
- OpenAIのChatGPTやGoogle Geminiなどの西側AIモデルに対抗し、中国のAI企業が急成長。
- Baidu(百度)、Alibaba(アリババ)、Tencent(テンセント)などの大手企業が独自の生成AIを開発し、競争が加速。
- 技術革新の促進
- 中国のAI企業は、高性能ながら低コストのモデル(例:DeepSeek)を開発し、AIの効率化を推進。
- AIチップやハードウェアの開発も進み、AI技術全体の発展を加速させる可能性がある。
- 価格破壊と市場の変化
- 低コストモデルの普及
- 中国のAIはコストが安く、開発費も抑えられているため、より多くの企業がAIを導入しやすくなる。
- 価格競争が激化し、AIサービスのコストダウンが進む。
- オープンソース化の影響
- Alibabaの「QwQ-32B」など、一部の中国製AIはオープンソース化されており、世界中の開発者が利用可能。
- これにより、より多くの企業が独自のカスタマイズAIを開発しやすくなる。
- データと規制の問題
- データの取り扱いとプライバシー
- 中国政府の影響を受けるAI企業が多く、データの安全性やプライバシー保護が懸念される。
- 一部の国や企業は、中国製AIの使用を制限する可能性がある(例:欧米の厳格なデータ規制)。
- 情報検閲とAIの利用制限
- 中国のAIモデルは政府の検閲を受けるため、自由な情報提供が難しい。
- 国際市場では、政治的要素が絡むサービスに適用しづらいケースも。
- 地政学的影響(米中対立とAI覇権)
- AI覇権争いの激化
- AIは軍事・経済・政治において戦略的な要素となり、中国と米国の技術競争がさらに激化。
- 各国が「中国製AIを導入するかどうか」で分かれ、世界のデジタル分断が進む可能性。
- 米国の制裁と技術封鎖の影響
- 米国はAIチップなどの輸出規制を強化しており、中国のAI開発に影響を与える可能性。
- それに対抗して、中国は独自の半導体開発を加速し、AIの自給自足を進める動きもある。
- 世界のAI市場の多極化
- 欧米・中国・その他の勢力のバランス変化
- 現在のAI市場は、主に米国(OpenAI、Google、Metaなど)がリードしているが、中国が追随。
- さらに、EU(Mistral AIなど)や中東の国々(UAEのFalcon AIなど)も台頭し、AI市場が多極化する可能性。
- 発展途上国への影響
- 低コストの中国製AIがアフリカ・中東・アジアの発展途上国で普及しやすくなる。
- 米国・欧州が支配してきたAI市場に対するカウンターとして機能する可能性がある。
結論:世界市場に与える影響
- AI技術の進化と競争が加速(低コスト&高性能の中国製AIが市場を変革)
- 価格破壊により、AIの普及が加速(多くの企業・国がAIを導入しやすくなる)
- データの取り扱いや情報検閲の問題が国際市場で議論される
- 米中対立を背景に、AI市場が「アメリカ vs. 中国 vs. その他」に分かれる可能性
- 発展途上国への普及により、中国の影響力が増す可能性
中国の生成AIは、技術的な競争を激化させると同時に、データ規制や地政学的な問題も引き起こすため、今後の展開が重要視されています。
添付3)
DeepSeekの開発過程でのデータ不正入手の疑惑とは?
ChatGPT:
中国のAIスタートアップであるDeepSeekは、そのAIモデル開発過程において、OpenAIの技術を不正に利用した疑惑が持ち上がっています。具体的には、DeepSeekがOpenAIのAPIを通じて大量のデータを取得し、自社モデルの開発に活用した可能性が指摘されています。 thetimes.co.uk
この疑惑は、Microsoftのセキュリティチームが2024年秋に、DeepSeekと関連する人物がOpenAIのAPIを使用して大量のデータを抽出していることを確認したことから浮上しました。この行為は、OpenAIの利用規約に違反する可能性があり、現在、MicrosoftとOpenAIが共同で調査を進めています。 bloomberg.co.jpreuters.com
さらに、DeepSeekはAIモデルの開発手法として「蒸留」という技術を使用し、大規模なモデルから学習を行ったとされています。しかし、この手法がOpenAIの技術を不正に利用したものかどうかについても議論がなされています。 nypost.com
これらの疑惑により、AI技術の知的財産権やデータ利用の適正性に関する議論が再燃しています。今後の調査結果によっては、AI業界全体の開発手法や倫理指針に影響を及ぼす可能性があります。
DeepSeekのデータ不正入手疑惑に関する最新ニュース
thetimes.co.uk
OpenAI investigates possible data theft after DeepSeek debut
45 日前
reuters.com
Microsoft probes if DeepSeek-linked group improperly obtained OpenAI data, Bloomberg News reports
45 日前
nypost.com
OpenAI says it has proof DeepSeek used its technology to develop its AI model
45 日前
添付4)
中国発の生成AI、DeepSeekの利用について、各国の規制は、またその理由は?
ChatGPT:
中国発の生成AI「DeepSeek」に関して、各国は以下のような規制を導入しています。
- アメリカ合衆国
- 政府機関での使用禁止: 米国商務省は、職員に対し、政府支給の機器でのDeepSeekの使用を禁止しました。これは、データプライバシーや中国共産党への情報共有の可能性に関する懸念からです。
- オーストラリア
- 政府システムでの使用禁止: オーストラリア政府は、国家安全保障上のリスクを理由に、政府機関のシステムや端末でDeepSeekの使用を禁止しました。 大紀元
- 韓国
- 政府機関での使用禁止: 韓国産業通商資源部は、職員にDeepSeekの使用を禁じる暫定措置を発表し、他の省庁や機関にも慎重な使用を呼びかけています。 大紀元
- インド
- 政府職員への使用禁止勧告: インド財務省は、職員に対し、業務でDeepSeekを含むAIツールを使用しないよう求めています。 大紀元
- イタリア
- アプリストアでのブロック: イタリアでは、AppleやGoogleのアプリストアでDeepSeekがブロックされ、アクセスできなくなっています。 大紀元
- 台湾
- 政府機関および重要インフラ事業者での使用制限: 台湾政府は、データの越境移転や情報漏洩のリスクが懸念されるため、DeepSeekの使用を制限しています。 大紀元
- 日本
- 注意喚起: 日本政府は、個人情報保護の観点から、DeepSeekの利用に関して注意を促しています。 大紀元
規制の主な理由
これらの規制の背景には、以下の懸念があります。
- データプライバシーとセキュリティ: DeepSeekの利用により、ユーザーのデータが中国のサーバーに保存され、中国の法令(添付5参照)が適用される可能性が指摘されています。 大紀元
- 国家安全保障: 各国は、DeepSeekが国家安全保障上のリスクをもたらす可能性があると懸念しています。 大紀元
- 情報漏洩のリスク: DeepSeekの利用が、機密情報の漏洩や不正アクセスのリスクを高める可能性があります。
これらの懸念から、各国はDeepSeekの利用に対して慎重な姿勢を取っています。
各国によるDeepSeekの規制とその背景
Reuters
US Commerce department bureaus ban China's DeepSeek on government devices, sources say
昨日
The Australian
China envoy issues AI warning as warships circle
16 日前
news
Shock truth about banned platform
33 日前
添付5)
中国政府による他国の情報へのアクセスに関する法律は?
ChatGPT:
中国政府は、国家安全保障や情報活動に関して、以下の主要な法律を制定しています。
- 国家情報法(2017年施行)
この法律は、中国の情報機関が国内外で情報活動を行う際、必要に応じて関係機関、組織、個人に対し支持、援助、協力を求める権限を付与しています。具体的には、第14条で「国家情報機関は、関係機関、組織、国民に必要な支持、援助、協力を提供するよう求めることができる」と規定されています。 维基百科,自由的百科全书
- サイバーセキュリティ法(2017年施行)
この法律では、ネットワーク運営者に対し、公安機関や国家安全機関による国家安全の維持や犯罪捜査において、技術的支援や協力を提供する義務を課しています。具体的な手続きや制限に関する詳細な規定は設けられていません。 PPC
- データセキュリティ法(2021年施行)
この法律は、データの安全管理を強化するために制定され、関係する組織や個人に対し、公安機関や国家安全機関が国家安全の維持や犯罪捜査のために行うデータの取り調べに協力する義務を定めています。しかし、具体的な手続きや制限に関する詳細な規定は設けられていません。 PPC
これらの法律により、中国政府は必要に応じて、企業や個人に対し情報提供や協力を求める権限を有しています。ただし、これらの法律には情報収集活動に関する具体的な手続きや制限、透明性の確保に関する規定が明確に定められていないとの指摘があります。 PPC
添付6)
中国の国内向けの法令とは?
ChatGPT:
中国では、データの収集、保存、使用、加工、移転、提供、開示などのデータ処理活動に関して、以下の主要な法令が制定されています。Deloitte United States+1Home+1
- サイバーセキュリティ法(2017年施行)
2017年に施行されたこの法律は、ネットワークの安全性とデータ保護を目的としています。企業には、ネットワークセキュリティの確保や個人情報の保護、重要データの中国国内での保存などが求められています。
- データセキュリティ法(2021年施行)
2021年9月1日に施行されたこの法律は、データの安全管理体制の構築や、データの分類・等級保護管理制度(MLPS)の実行を求めています。また、重要データの越境移転に関しては、政府の承認が必要とされています。 Home+1Deloitte United States+1
- 個人情報保護法(2021年施行)
2021年に施行されたこの法律は、個人情報の収集、使用、保存、提供などの処理活動に関する規制を定めています。個人情報の処理には、明確な同意の取得や、データ主体の権利保護が求められています。
これらの法令により、中国国内でのデータ処理活動は厳格に規制されており、違反した場合には厳しい罰則が科される可能性があります。
添付7)
データセキュリティ法により、中国人以外でも、また中国国内にいなくても逮捕される可能性があるのか?
ChatGPT:
中国のデータセキュリティ法(データ安全法)は、2021年9月1日に施行され、中国国内での全てのデータ処理活動に適用されます。この法律は、データの収集、保存、使用、加工、移転、提供、公開などの行為が「国家安全、公共の利益、個人や組織の合法的利益に危害を及ぼしてはならない」と規定しています。 朝日新聞
特に注目すべきは、国外での行為に対しても法的責任を追及する可能性がある点です。具体的には、データの収集や加工などの行為が「中国の国家安全を損ねる」と判断された場合、国外の個人や企業に対しても法的責任が追及される可能性があります。 朝日新聞
ただし、どのような行為が「国家安全を損ねる」と見なされるかについては、具体的な定義や基準が明示されていないため、解釈の余地が残されています。そのため、中国国外に居住する非中国人であっても、中国の国家安全に影響を与えると判断される行為を行った場合、法的責任を追及される可能性が否定できません。朝日新聞
しかし、実際に中国国外にいる非中国人が逮捕されるかどうかは、各国の法的手続きや外交関係など、さまざまな要因が関与するため、一概には言えません。この法律の適用範囲や具体的な運用については、今後の動向を注視する必要があります。