昨年10月24日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でテスラのイーロン・マスクCEOが大統領選挙でトランプ氏を強力に支援した狙いについて取り上げていたのでご紹介します。
テスラの昨年7〜9月期の決算が発表されまして、純利益は3四半期ぶりの増益で株価も上昇しているようですが、注目ポイントについて早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄さんは次のようにおっしゃっています。
「売上全体、回復基調なんですけど、決算書をよく読むと、事業の中でも主力である自動車の利益率の伸びは昨年対比で2%しか伸びてないんですね。」(こちらを参照)
「注目すべきは、まだ事業としては大きくないんですが、エネルギー関連事業、これ蓄電池ですとかそういったところが52%伸びているというのがポイントの1つです。」
「それから、もう1つは営業利益率が10%まで上がってきてまして、いわゆる粗利と言われる売上高総利益率もかなりたかまってきているんです。」
「ですから、会社全体が安売り競争の中にいたわけですけど、その後、脱却して利益が出せる体制になってきてまして、その中で自動車は安定してるんだけど、それ以上にエネルギー事業という新しい事業が伸びてきていると。」
「そこを市場が好感したということだと思いますね。」
「テスラはもともと自動車ビジネスをやりたいというよりもクリーンエネルギーの会社になりたいというのがビジョンですから、そっちの布石が打たれ出しているということですよね。」
「(イーロン・マスクCEOは大統領選ではトランプ氏の支援活動にかなり力を入れているが、その狙いについて、)私は、ズバリ、イーロン・マスクさんの狙いは規制改革だと思います。」
「EVのところで、(トランプ氏と)意見が若干違うところはあるかもしれないんですけれども、それ以上にポイントになるのはイーロン・マスクさんがもう1個やってるスペースXなんですよ。」
「スペースXって、実はかなり規制を受けていて、宇宙事業ですね。」
「ここをどうにか乗り越えたい時に、トランプさんは規制改革論者ですから。」
「彼が大統領になれば、かなり規制改革は進むだろうということもあるだろうと思いますね、」
「(トランプ氏は当選したら、マスク氏を閣僚などの要職につかせるんだという発言も報じられているが、)これ、実際にやったら、いわゆる利益相反に近いですよね。」
「だって、自分で規制改革をやって、それでスペシフィック(特定)な事業をやるんだったら。」
「ですので、現実的にはあり得ないとは思うんですが、ただ、この二人ですからね。」
「もしかしたら、そういうこともあるかもしれないですね。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
番組を通して、テスラのイーロン・マスクCEOが大統領選挙でトランプ氏を強力に支援した狙いについて以下にまとめてみました。
(テスラの昨年7〜9月期の決算内容)
・純利益は3四半期ぶりの増益で株価も上昇している
・売上全体、回復基調だが、事業の中でも主力である自動車の利益率の伸びは昨年対比で2%しか伸びてない
・注目すべきは、まだ事業としては大きくないが、エネルギー関連事業が52%伸びている
・もう一つは、営業利益率が10%まで上がってきて、粗利と言われる売上高総利益率もかなりたかまってきている
・会社全体が安売り競争の中にいたが、その後、脱却して利益が出せる体制になってきており、その中で自動車は安定してるが、それ以上にエネルギー事業という新しい事業が伸びてきている
・そこを市場が好感した
・テスラはもともと自動車ビジネスよりもクリーンエネルギーの会社になることがビジョンなので、そっちの布石が打たれ出している
(マスクCEOが大統領選挙でトランプ氏を強力に支援した狙い)
・マスクCEOの狙いは規制改革である
・EVについてトランプ氏と意見が若干違うところはあるが、それ以上にポイントになるのはマスクCEOが取り組んでいるスペースXである
-スペースXは宇宙事業で、かなり政府の規制を受けているが、トランプ氏は規制改革論者である
-そこで、トランプ氏が大統領になれば、かなり規制改革は進むと期待出来る
・トランプ氏は当選してマスクCEOを閣僚などの要職につかせたら、利益相反に近い
要するに、マスクCEOが本来進めたいビジネス、すなわち、エネルギー事業が伸びてきているが、その一環であるスペースXによる宇宙事業は政府の規制を受けている。
そこで、規制改革論者であるトランプ氏が大統領になれば、宇宙事業を進め易くなることから大統領選挙でトランプ氏を強力に支援したということなのです。
そして、実際にトランプ氏が大統領になって、今やマスクCEOはトランプ大統領の右腕と言われるほど、親密な関係になっています。
ですから、トランプ大統領にテスラやスペースXに有利な規制改革が露骨に進められれば、トランプ大統領もマスクCEOも利益相反で大なり小なり国民から責められることになるのです。
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