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2025年03月14日

アイデアよもやま話 No.6155 トヨタが“空飛ぶクルマ”の開発に力を入れる背景とは！

昨年１１月４日（月）放送の「ワールドビジネスサテライト」（テレビ東京）でトヨタが“空飛ぶクルマ”の開発に力を入れる背景について取り上げていたのでご紹介します。　
なお、日付は全て番組放送時のものです。

こちらの映像はアメリカのスタートアップが開発中の“空飛ぶクルマ”です。
このほど日本で初のデモフライトを実施しました。
富士山をバックに飛んでいますね。
注目していただきたいのは、機体には「ＴＯＹＯＴＡ」の文字があります。
このスタートアップには、トヨタ自動車が累計で９億ドル、約１３００億円を出資しています。
トヨタが今、“空飛ぶクルマ”への出資を強化する狙いはどこにあるのでしょうか。
昨年１１月２日、トヨタの研究所（静岡県裾野市）で開かれた式典。
“空飛ぶクルマ”を開発したジョビー・アビエイション（参照：アイデアよもやま話 No.5435 空飛ぶクルマの最前線！）のジョーベン・ビバートＣＥＯの他、トヨタ自動車の豊田章夫会長、そして中嶋裕樹副社長も。
中嶋副社長は次のようにおっしゃっています。
「本日、ジョビーのｅＶＴＯＬがアメリカ以外で初めて飛行します。」
「それでは、いよいよテイクオフです。」

しかし、悪天候で飛べず、代わりに公開されたのは、この日までに行われたデモフライトの映像。
富士山をバックに日本の空を初めて飛びました。
ジョビーの機体は５人乗り。
時速は３２０ｋｍです。
この映像を見た豊田会長は次のようにおっしゃっています。
「この２５分、ここに飛んで来れるというのは、今までの東京と東富士の距離じゃなくなるんですよね。」
「世の中の生活が変わると思います。」

トヨタは、１０月にジョビーに対し、追加出資をしたばかり。
累計の投資額は約９億ドル（約１３００億円）です。
ジョビーの機体は、電動でプロペラを低速回転させることで、騒音を抑えられるのが特徴です。
プロペラを動かすモーターの構成部品などはトヨタが提供しています。
ここまでトヨタが“空飛ぶクルマ”に力を入れる背景について、中嶋副社長は次のようにおっしゃっています。
「１９２５年、トヨタグループの創始者、豊田佐吉翁は太平洋をひとっ飛び出来る蓄電池の発明に１００万円の懸賞金を寄付しています。」

トヨタグループ“創業家の思い”を象徴。
グループ創始者の佐吉だけでなく、トヨタ自動車を創った喜一郎も小型飛行機の開発を目指しました。
今、クルマに止まらず、移動手段として「モビリティ」を軸に事業の拡大に力を入れています。
その一環で“空飛ぶクルマ”に期待を寄せているのです。
ジョビーは来年（２０２５年）、ドバイで初の商業飛行を始める予定です。
更に、日本市場について、ジョビー・アビエイションのビバードＣＥＯは次のようにおっしゃっています。
「日本はヘリの離発着所が世界と比べてとても多い。」
「日常的に人が空飛ぶモビリティで移動出来るように、（緊急時以外にも）ヘリポートが使えるように出きればと思う。」

トヨタがアメリカのスタートアップと、ｅＶＴＯＬと言うんですけど、垂直に離着陸する電動の機体、いわゆる“空飛ぶクルマ”の機体を初公開しました。
解説キャスターの原田亮介さんは次のようにおっしゃっています。
「（“空飛ぶクルマ”の実用化に向けて前進したと言えるのかという問いに対して、）２０５０年に１８４兆円超、こちらの市場予測があるぐらいなので、将来の期待はすごく大きいですね。」
「ただ、今後の大阪関西万博で商用飛行をしようと計画を立てたんですけど、全て見送られてデモ飛行だけやるということにどうもなりそうなんですね。」
「どうも、いくつかハードルがあるんですよ。」
「（具体的に、どういったハードルがあるのかという問いに対して、）今までにない乗り物なので、アメリカやヨーロッパでも安全基準、ルールづくりが遅れてて、型式証明もまだ認められてない。」
「で、実用化は２０２８年のロスアンゼルス五輪あたりからじゃないかという見方が多いですね。」
「もう一つ、技術的な問題としては、電池の性能。」
「電気自動車が飛ぶということと同じですので、長距離飛べるというだけの電池を作るのは中々大変だと。」
「（では電池を大きくしたらいいんじゃないか問いに対して、）大きくすると、自重が大きくなって、増々飛べないということになりますね。」
「なので、クルマと同じでハイブリッドを使うと、もう少しエネルギーの効率が良くなるんじゃないかという声もあるし、実際にハイブリッドを使ってクラウドファンディングで、浮上試験に成功した日本企業（添付２参照）もあるんです。」
「で、もうちょっと時間軸を伸ばすと、水素電池というのも将来、活用出来るんですね。」
「（また、更に都市部だと衝突を避ける交換関係（トレードオフ）の問題（添付参照）もあるが、）アメリカだと小型セスナが割とよく使われていますし、飛行場、空港やヘリポートもすごく多いんですけど、日本の場合は住宅やマンションが非常に密集しているので、航空管制も中々難しいと思うんですね。」
「そういう意味でも商業飛行っていうところには少し時間がかかりそうだということですね。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組の内容を以下にまとめてみました。

（トヨタが“空飛ぶクルマ”への出資を強化する狙い）
・トヨタは、アメリカのスタートアップ、ジョビー・アビエイションに累計で約９億ドル（約１３００億円）を投資してきた
・ジョビーの機体は、電動でプロペラを低速回転させることで、騒音を抑えられるのが特徴である
　-プロペラを動かすモーターの構成部品などはトヨタが提供している
・ここまでトヨタが“空飛ぶクルマ”に力を入れる背景は以下の通りである
　-１９２５年、トヨタグループの創始者、豊田佐吉は太平洋をひとっ飛び出来る蓄電池の発明に１００万円の懸賞金を寄付していた
　-トヨタ自動車を創った喜一郎も小型飛行機の開発を目指していた
・今、トヨタはクルマに止まらず、移動手段として「モビリティ」を軸に事業の拡大に力を入れている
　-その一環で“空飛ぶクルマ”に期待を寄せている

（今後の“空飛ぶクルマ”の商業飛行プラン）
・ジョビーは２０２５年、ドバイで初の商業飛行を始める予定である
・更に、日本市場について、緊急時以外にも“空飛ぶクルマ”用にヘリポートが使えるようになればと期待している
　-日本はヘリの離発着所が世界と比べてとても多い

（解説キャスター、原田さんの見解）
・“空飛ぶクルマ”には、２０５０年に１８４兆円超という市場予測もある
・ただ、“空飛ぶクルマ”には、以下のようなハードルがある
　① 今までにない乗り物なので、アメリカやヨーロッパでも安全基準、ルールづくりが遅れてて、型式証明もまだ認められていないこと
　　・実用化は２０２８年のロスアンゼルス五輪あたりからという見方が多い
　② 電池の性能
　　・長距離飛べる電池を作るのはとても困難である
　　　-電池を大きくすると容量は増えるが、自重が大きくなり、増々飛べなくなる
　③ 水素電池も将来、活用出来る
　④ 日本の場合、都市部では住宅やマンションが非常に密集しているので、航空管制も中々難しい

トヨタは、クルマに関しては、全方位戦略でガソリン車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、ＥＶ、更には燃料電池車と万遍なく取り組んできました。
しかし、今、トヨタはクルマに止まらず、移動手段として「モビリティ」を軸に事業の拡大に力を入れているのです。
こうした背景には、１９２５年、トヨタグループの創始者、豊田佐吉が太平洋をひとっ飛び出来る蓄電池の発明に１００万円の懸賞金を寄付していたり、トヨタ自動車を創った喜一郎も小型飛行機の開発を目指していたことがあるといいます。
こうしたお二人には“先見の明”があったわけですが、ちょうど１００年の月日を経て、今、まさに“空飛ぶクルマ”によって、その夢が実現しつつあるのです。
こうしたことから、創業者に限らず、経営者の描く“壮大な夢”は、その企業の“ＤＮＡ”となり継承されていくことの事例の一つがトヨタだと思います。

一方、今、全個体電池を巡って、世界的に激しい開発競争が繰り広げられています。（添付３参照）
まさに“全個体電池”を制する企業が自動運転車、および“空飛ぶクルマ”を制すると言われるくらいなのです。
ですから、全個体電池の実用化により、一気にＥＶ、あるいは自動運転車、および“空飛ぶクルマ”の普及に火が付くと大いに期待出来ます。

それにしても、“空飛ぶクルマ”での富士山近辺の飛行は、国内外を問わず、多くの人たちにとっての“夢”だと思います。
それこそ、“日本観光の最大級の大きな目玉”になります。
ですから、国はこうした観点からも、是非、“空飛ぶクルマ”の開発、のみならず“空飛ぶクルマ”での首都圏から富士山近辺までの飛行を実現するためのルールづくりにもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

添付１）

空飛ぶクルマで、ハイブリッドを使ってクラウドファンディングで、浮上試験に成功した日本企業とは？

ChatGPT:

日本でハイブリッド方式の空飛ぶクルマ（eVTOL）の開発を進め、クラウドファンディングを通じて資金調達を行い、浮上試験に成功した企業として、HIEN Aero Technologies株式会社が挙げられます。同社は2024年6月28日に、イークラウド株式会社を通じて資金調達を開始し、ハイブリッドeVTOLの開発を推進しています。

prtimes.jp

また、株式会社SkyDriveも空飛ぶクルマの開発を行い、2020年8月25日に有人試験機「SD-03」の公開飛行試験を成功させています。ただし、SkyDriveの機体は電動モーターを採用しており、ハイブリッド方式ではありません。

skydrive2020.com

添付２）

空飛ぶクルマの普及に伴い、都市部だと衝突を避ける交換関係の問題とは？

ChatGPT:

空飛ぶクルマ（eVTOL）の普及に伴う都市部での衝突回避の課題には、いくつかの**交換関係（トレードオフ）**が存在します。これらは、安全性、効率性、コスト、環境への影響など、複数の要素の間でバランスを取る必要がある問題です。