昨年10月9日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で理系女性の人材育成および活用の必要性について取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。
ノーベル化学賞は惜しくも、日本人が受賞をのがしましたけれども、実は東大工学部卒、女性初の元日銀理事で、人材育成スタートアップ、株式会社EmEcoの社長である清水季子さんはご自身も理系でいらっしゃって、日本に、とりわけ女性の研修者が少ないことに課題を感じていらっしゃるということで、次のようにおっしゃっています。
「そうですね、日本では理工系の女性の研究者やエンジニアが非常に少ないので、この育成をもっともっと強化していく必要があると思います。」
「この表(こちらを参照)はOECD各国と日本の高校1年生時点の学習到達度を比較したものです。」
「ご覧いただいて分かるように、日本は男性も女性も世界トップということになっています。」
「(理系離れというふうに言われていますけども、高校生の時点ではかなり学力があって、それを活かしきれていないということなのかという問いに対して、)そうだと思います。」
「せっかく、これだけ高いリテラシーを持っていても、最終的に社会の経済活動にあまり、それが発揮されていないということで、その背景には恐らく高校から大学にかけて受験であったり就職という時に中々、理工系の仕事をイメージしにくいということがあるんじゃないかなと思います。」
「(こちら、大学進学者のうち、女性の割合ですけども、かなりOECDの中でも日本は低いですが、)そうですね。」
「諸外国でも、まだ50%行っていないということではあるんですけど、その中でも日本は更に一段と低いというのが現状ですね。」
「(この理系の人材を増やしていくために、これから変えていかないといけないことについて、)まずは、先ほど申し上げたように、理工系で働くエンジニアや研究職についての前向きなイメージをもっと社会に広げていく必要があると思います。」
「例えば、STEM(添付参照)分野から抜けてしまう女性のアンケート結果をみると、自己評価が非常に低いという結果もありますので、自分に対して自信を持つとともに、社会でもこういうエンジニアたちを評価していくということが必要だと思います。」
「(そういったバイアスがあるということなのかという問いに対して、)そういう、ある意味、思い込みをどう解消していくかってことが大事だと思いますね。」
「((理系人材というと、どうしても医学部に結構行くって、皆さんイメージがあるが、そういったところも広げていく必要があるのではという指摘に対して、)はい、そうだと思います。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
番組を通して、理系女性の人材活用における課題について、EmEcoの社長、清水季子さんの見解を以下にまとめてみました。
(課題)
・日本では理工系の女性の研究者やエンジニアが非常に少ないので、この育成をもっともっと強化していく必要がある
・OECD各国と日本の高校1年生時点の学習到達度の比較では、日本は男性も女性も世界トップである
・これだけ高いリテラシーを持っていても、最終的に社会の経済活動にあまり、それが発揮されていない
・その背景には恐らく高校から大学にかけて、理工系の仕事をイメージしにくいということがあるのではないか
・大学進学者のうち、女性の割合は、OECDの中でも日本は一段と低い
(課題対応策)
・理工系で働くエンジニアや研究職についての前向きなイメージをもっと社会に広げていく
-例えば、STEM分野から抜けてしまう女性のアンケート結果をみると、自己評価が非常に低いという結果もあるので、自分に対して自信を持つとともに、社会でもこういうエンジニアたちを評価していく必要がある
なお、昨年10月10日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でも同じようなテーマについて取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。
転職サイトのビズリーチが今日、女性の理系人材の獲得につなげるため、あるイベントを開きました。
主な対象は、中高生の子どもを持つ保護者です。
先ほどまで開かれていた女性の理系人材のキャリアをテーマにしたイベント。
理系分野に興味を持つ女子中高生と保護者80人以上が会場やオンラインで参加しました。
ビズリーチの宮本千聡さんは次のようにおっしゃっています。
「(なぜ保護者が対象なのかについて、)親が理系に進みたいと言うお子さんに対して、進学先がないのではという懸念を示されることもあるらしくて。」
子どもの進路に大きな影響を持つのが親の意見。
女の子は理系に向かないのでは、理系に進んでも仕事がないなどという認識から理系への進学に反対する親も多いといいます。
実際、日本の理系大学の女性の進学率は19%とOECD加盟38ヵ国中、最低水準です。(令和5年度文科省 資料より)
宮本さんは次のようにおっしゃっています。
「理工系女性の採用を拡大したい企業は約64%を占めております。」
女性の理系人材のニーズが高まっている現状や好待遇の求人が増加していることなどを照会。
親の世代認識を変えることが狙います。
宮本さんは次のようにおっしゃっています。
「理系女性を育成していく前に正しくキャリアを知ってもらうことが大切かなと考えております。」
理系の女性の中高生を持つ保護者向けのキャリアイベントが開催されたということですが、こちらをご覧下さい。
日本のジェンダー・ギャップ指数ですね。
1に近づくほど男女の格差がないということなんですけども、日本は146ヵ国中の118位と、まだまだ男女の格差は大きい状況ですが、エール株式会社の篠田真貴子取締役は次のようにおっしゃっています。
「そうなんです。」
「ジェンダー:ギャップをこの4つの要素に分けてみると、日本は教育、それから健康、こちらの2つはトップクラスである一方で、経済力、それから政治参画の男女のギャップが非常が大きいんですよね。」
「で、これが課題なんですが、その課題の一つの具体例が報酬水準が高い理系のキャリアに進む女性が少ない。」
「その世界で中々キャリアを築けないということなんです。」
「(やっぱり中高生の頃から理系のキャリアを考える必要があるということなのかという問いに対して、)はい。」
「今のお話にもありましたように、将来の進路を考える時に、親御さん、それから学校の先生の影響が大きいからなんですよね。」
「これは例えば男性の仕事、これは女性の仕事といった、性別の役割分担の意識がまだまだ学校の先生や親御さんの方で、世代的にまだちょっと強くて、それが中々変わってないので、ここはちょっと変えていただく必要があります。」
「極端に言うと、理系に進学すると結婚出来ないんじゃないかとか、あるいは家庭の中で女性、妻の方がお給料が高いと良くないんじゃないか、こんなことを周りの大人がちょっと言ってしまうと、お子さんは躊躇しますよね。」
「(理系ってひとくくりに言っても、職業選択は多様ですし、そういうステレオタイプから脱しないといけないのではという指摘に対して、)はい、そうですね。」
「例えば、今、女性エンジニアは引っ張りだこで報酬水準も高いですし、将来性もある職業です。」
「これが良かれと思って周りの先生や親御さんのするアドバイスが現実とずれている。」
「これはアップデートしないといけないんですよね。」
「中高生のお子さんたちって、お医者さんとか薬剤師のようなロールモデルしか見えずらいという中で、エンジニアのような理系の仕事って、もっと高く評価されてるんだよっていうことを、まず大人から知る必要があるかなと思います。」
「(理系の専門においては女性も男性も理系の成績がいいと、すぐに医学部だ、薬学部だみたいな、これが日本のテック企業を中々育ちにくくさせているような遠因であるのかという問いに対して、)はい、それは一つあると思います。」
「男女限らず、中高生の進路を選択する時に、成績が良いと自動的に豊島さん(番組キャスター)がおっしゃったような進路を進めてしまうというところから脱却していきたいですね。」
「(親や先生から変えていかなきゃいけないということについて、)はい。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
番組の内容を以下にまとめてみました。
(理系女性を巡る課題)
・日本の理系大学の女性の進学率は19%とOECD加盟38ヵ国中、最低水準である
・一方、理工系女性の採用を拡大したい企業は約64%を占めている
・ジェンダー・ギャップ指数では、日本は146ヵ国中の118位と、まだまだ男女の格差は大きい状況である
-ジェンダー:ギャップを4つの要素に分けてみると、日本は教育、健康の2つはトップクラスである一方で、経済力、政治参画の男女のギャップが非常が大きい
・これが課題であり、その一つの具体例が報酬水準が高い理系のキャリアに進む女性が少ないことである
-例えば、今、女性エンジニアは引っ張りだこで報酬水準も高いですし、将来性もある職業である
・しかし、その世界で中々キャリアを築けない
・将来の進路を考える時に、親御さん、学校の先生の影響が大きい
-性別の役割分担の意識がまだまだ学校の先生や親御さんの間でちょっと強く、中々変わってない
-従って、これが良かれと思って周りの先生や親御さんのするアドバイスが現実とずれている
(課題対応策)
・親御さん、学校の先生の意識を変えること
-中高生のお子さんたちは、医者とか薬剤師のようなロールモデルしか見えずらいという中で、エンジニアのような理系の仕事は高く評価されていることを、まず大人から知る必要がある
以上、2つの番組を通して、理系女性の人材育成および活用に取り組んで行くにあたり、以下のことが言えます。
・両親、および学校の先生は理系女子を巡る現実を把握し、意識を変えること
・国、企業、および両親、教師は、それぞれの立場から、理系女子も理工系で働くエンジニアとして求められていることを折に触れて伝えること
添付)
STEMとは?
ChatGPT:
STEMとは、**Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)**の頭文字をとった言葉で、これら4分野の教育や研究を重視する概念を指します。
特に現代の技術革新や経済成長を支える重要な分野とされ、各国でSTEM教育の推進が進められています。
STEMの重要性
- 技術革新の基盤
- AI、ロボット、バイオテクノロジー、宇宙開発などの分野を支える。
- 経済成長と雇用創出
- STEM関連の職業は今後も成長が期待され、IT・エンジニアリング分野の人材需要が高い。
- 課題解決能力の育成
- データ分析、プログラミング、設計などを通じて、論理的思考力や問題解決力を養う。
関連概念
📌 STEMから発展した言葉
- STEAM(STEM + Arts(芸術))
→ 創造力やデザイン思考を組み合わせた教育モデル。
- STEMM(STEM + Medicine(医学))
→ 医療・生命科学を含めた分野。
STEM分野の代表的な職業
- データサイエンティスト
- ソフトウェアエンジニア
- ロボット工学者
- バイオテクノロジー研究者
- 宇宙工学者 など
日本でも、小中学校でのプログラミング教育必修化など、STEM分野の育成が進められています。