2025年03月04日
アイデアよもやま話 No.6146 身近なノーベル経済学理論!
昨年10月14日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で身近なノーベル経済学理論について取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

今夜、今年のノーベル経済学賞が発表され、アメリカのダロン・アセモグル教授ら3人が受賞しました。
これに合わせて、番組では過去の受賞者の研究が実生活に役立てられている現場を取材しました。

スウェーデン王立科学アカデミーのヤコブ・スベンソンさんは次のようにおっしゃっています。
「彼らは「どのように“制度”が形成され、“繁栄”に影響を与えるかに関する研究」を進めた。」

今年、ノーベル経済学賞を受賞したのがマサチューセッツ工科大学のダロン・アセモグル教授ら3人で、植民地化された国の社会制度が国家の繁栄に果たす役割に関する研究が評価されました。
国家間の経済格差縮小を達成することが現代の課題となる中、これを達成するための社会制度の重要性を実証したということです。

過去の受賞者の理論を活かしているのが八王子市役所(東京・八王子市)です。
健康を守る「検診」の呼びかけでノーベル賞理論を使っています。
八王子市役所 成人健診課の田島啓昭課長は次のようにおっしゃっています。
「大腸がんの検査キットを自宅に送った後に、今回、健診を受けていただかないと、来年度はこの(検査)キットを送ることが出来ませんというはがき送らせていただいたら、市民のみなさんの受診率がグッと上がりました。」

これまで使っていた「今年度、大腸がん検診を受診された方には、来年度「大腸がん検査キット」をご自宅にお送りします。」という文言を「今年度、大腸がん検診を受診されないと、来年度、ご自宅へ「大腸がん検査キット」をお送りすることができません。」に変更。

この裏にあったのが、2017年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のリチャード・セイラー教授らが研究する行動経済学の「ナッジ理論」(添付1参照)です。
人は必ずしも合理的ではないという前提で「そっと後押しする」意味の“ナッジ”により人々の行動を促すというものです。
八王子市役所 成人健診課の田島課長は次のようにおっしゃっています。
「ポイントは、損失を回避したいという思いがどうしても働きますので、・・・」

文言を変えただけのため、予算をかけずに受診率が7.2%アップ。
病期の早期発見や治療につながり、一人当たりの医療費で614万円の削減効果が出ています。
田島課長は次のようにおっしゃっています。
「より身近なところにこういうもの(理論の応用)が眠っているんだということに我々も気付きまして、このようなかたちのものを取りれております。」

こちらは渋谷区の喫煙所にある投票箱の形式のすりガラスです。
「不動産を同価格で買うならどっち?」などの質問が書いてあります。
捨てることの動機が生まれたことで、地面へポイ捨てが9割減りました。

ノーベル賞の理論が日本企業の長年の課題を克服したケースも。
企業のデジタル化の支援を手掛けるスタートアップ、スパイスファクトリーのチーフ・サステナビリティ・オフィサー、流郷綾乃さんは次のようにおっしゃっています。
「2023年度の男女賃金格差が103%てことなので、男性を100とした時、女性の方が3%上回っているって状態。」

スパイスファクトリーの平均年収は、女性社員が530万円、男性社員は513万円で、女性社員は男性社員を3%ほど上回っているのです。
日本全体の男女賃金格差は、男性の年収が女性より21.3%多い状況ですが、この格差が逆転しているかたちです。

こうした賃金格差の理由を解き明かし、2023年にノーベル経済学賞を受賞したのがハーバード大学のクラウディア・ゴールディン教授です。(添付2参照)
長時間や深夜の労働が必要な業種では、家事など負担の多くなりがちな女性より男性の賃金が増えることを解明。
「男女間の公平性」をもたらすには「柔軟な労働」が重要だとしています。
スパイスファクトリーでは、ゴールディン教授も提案している「柔軟な労働」を実際に採用。
まず、オフィスを見渡すと、人はまばらです。
週4日のリモートワークを推奨しているのです。
スパイスファクトリー デザイン部門の女性社員、佐藤千秋さんは次のようにおっしゃっています。
「勿論やりたい仕事をやりたいんですけども、(子育てと)両立が出来ないと早期退職になってしまうリスクで困っていたので、なるべくリモートワークも出社も両方出来るところで探させていただきました。」
「まさにこの後も(子供の)保護者会に行って、打ち合わせを繰り返します。」

休憩時間も自由で、コアタイムを午前11時〜午後3時としていて、この間、1時間休憩が取れます。
そして、それ以外の時間は無制限に休憩が取れるのです。
実際に現在、役員も育休を取っていて、誰もが使い易い制度を実現しています。
流郷さんは次のようにおっしゃっています。
「マイナーチェンジでもすぐアップデートさせていって、使ってもらえる制度を作らなければいけない。」
「ゴールディン教授は100年振り返って、ずっと(男女格差の)研究や分析を重ねてこられたので、それによって学ぶべきことは沢山あります。」

今年のノーベル経済学賞ですけれども、MIT(マサチューセッツ工科大学)のアセモグル教授ら3人が受賞しました。
VTRでは経済学の理論の身近な例が紹介されていましたけれども、今回の論文は、社会制度や政治体制の違いによって経済の発展が左右されることを分析した論文だということですが、解説キャスターの原田亮介さんは次のようにおっしゃっています。
「(アセモグル教授は)下馬評の非常に高い人で、だいたい本命だと言われていたようですね。」
「富が集中している一部の途上国だとか、あるいは独裁国家だと、経済の発展が阻害されて、そうでなくて、民主主義で政治社会制度が解放的な国ほど繁栄するっていうことをいろんな国の歴史を紐解いて、実証したっていう分析なんですね。」
「(この理論の今日的な意味は何かという問いに対して、)最新の著作が「技術革新と不平等の1000年史」っていう本(添付3参照)なんですけど、これは技術革新によって、必ずしもそれだけで繁栄するわけじゃなくて、これもやっぱり、政治社会制度というものが富を共有する仕組みになってないとうまく繁栄するってことにならない。」
「逆に富が一部に偏っちゃうってことです。」
「(具体的な例について、)今、デジタル化で情報データがGAFAMと言われるようなプラットフォーム企業に集中する。」
「その力が非常に強くなっていると。」
「そういう時代ですよね。」
「で、例えば生成AIでトップランナーだったオープンAIも非営利企業っていう特色を非常に無くしてしまうっていうことですから(添付4参照)、アセモグル教授の分析は、そういった属性に対してチェックをする社会、政治制度が必要だって言ってる意味で非常に示唆深いと思うんですね。」
「(テクノロジー企業の力が強くなり過ぎて、個人のデータという富を独占してしまうとむしろ経済成長が阻害されてしまうということなのかという問いに対して、)企業だけじゃなくて、中国のような国家だと、個人を監視したり、あるいは批判する人をチェックしたりするってことで、データを独占してるわけですよね。」
「そうしたところで、イノベーションっていうものが単純に進歩につながるっていうわけではなくて、そういうものが上手く使われるには富を共有するような包摂的な仕組みが必要だということだと思います。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組の内容を以下にまとめてみました。

(過去のノーベル経済学賞受賞者の理論の活用)
八王子市役所の事例:
・健康を守る「検診」の呼びかけでノーベル賞理論を使っている
 -これまで使っていた「今年度、大腸がん検診を受診した方には、来年度「大腸がん検査キット」をご自宅に送る。」といった文言を「今年度、大腸がん検診を受診されないと、来年度、ご自宅へ「大腸がん検査キット」を送らない。」に変更したら受診率がグッと上がった
・この裏にあったのが、2017年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のリチャード・セイラー教授らが研究する行動経済学の「ナッジ理論」である
 -人は必ずしも合理的ではないという前提で「そっと後押しする」意味の“ナッジ”により人々の行動を促すというものである
 -ポイントは、損失を回避したいという思いが働くからだという
 -文言を変えただけのため、予算をかけずに受診率が7.2%アップした
 -病期の早期発見や治療につながり、一人当たりの医療費で614万円の削減効果が出ている

渋谷区の事例:
・喫煙所にある投票箱の形式のすりガラスには「不動産を同価格で買うならどっち?」などの質問が書いてあり、いずれかの箱に捨てるようにしてある
 -捨てることの動機が生まれたことで、地面へポイ捨てが9割減った

スタートアップ、スパイスファクトリーの事例:
・企業のデジタル化の支援を手掛けるスパイスファクトリーの平均年収は、女性社員は男性社員を3%ほど上回っている
 -日本全体の男女賃金格差は、男性の年収が女性より21.3%多い状況だが、この格差が逆転しているかたちである
・2023年にノーベル経済学賞を受賞したハーバード大学のクラウディア・ゴールディン教授は、長時間や深夜の労働が必要な業種では、家事など負担の多くなりがちな女性より男性の賃金が増えることを解明し、男女間の公平性」をもたらすには「柔軟な労働」が重要だとしている
・スパイスファクトリーでは、ゴールディン教授も提案している「柔軟な労働」を実際に採用した
 -週4日のリモートワークを推奨している
 -休憩時間も自由で、コアタイムを午前11時〜午後3時としていて、この間、1時間休憩が取れる
 -それ以外の時間は無制限に休憩が取れる
 -実際に現在、役員も育休を取っていて、誰もが使い易い制度を実現している

(解説キャスター、原田さんの見解)
・富が集中している一部の途上国や独裁国家では経済の発展が阻害されており、一方、民主主義で政治社会制度が解放的な国ほど繁栄するとアセモグル教授らは実証している
 -最新の著作「技術革新と不平等の1000年史」では、技術革新だけで繁栄するわけではなく、政治社会制度も富を共有する仕組みでないと、うまく繁栄せず、富が一部に偏ってしまう
 -今、デジタル化で情報データがGAFAMといったプラットフォーム企業に集中しており、その力が非常に強くなっている
 -例えば生成AIでトップランナーだったオープンAIも非営利企業という特色を非常に無くしてしまうことから、アセモグル教授の分析は、そういった属性に対してチェックをする社会、政治制度が必要だと指摘している
・企業だけでなく、中国のような国家では個人を監視したり、あるいは批判する人をチェックしたりすることでデータを独占しており、イノベーションが単純に進歩につながるわけではなく、そういうものが上手く使われるには富を共有するような包摂的な仕組みが必要である

まず、2017年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のリチャード・セイラー教授らが研究する行動経済学の「ナッジ理論」の狙いは、人間の心理を考慮し、ちょっとした工夫で行動を望ましい方向に変えることですが、八王子市役所、および渋谷区役所の事例はどちらも市民、あるいは区民に伝えたい情報をより的確な表現に変えることよって効果を上げた成功事例と言えます。

ここで、私が以前勤務していたIT企業で、私も参考にさせていただいた、ある先輩社員が出した社内メールの表現を以下にご紹介します。
前提:宛先部門に対して、こちらで提案する内容について、期限内に内容の確認依頼をすること
文面:コメントがある場合にはxx月xx日までにご連絡下さい。
   期限内にご連絡が無ければ、了解されたものとし、こちらの提案通りに進めさせていただきます。

いかがでしょうか。
この場合、一般的な文面では「こちらで提案する内容について、コメントがある場合にはxx月xx日までにご連絡下さい。」というようになりますが、ポイントは「期日内に連絡がなければ、(期限後に連絡があっても、その内容は反映せず、)この内容のまま進める」という箇所です。
特に、短期間内に確認事項について、了解を求める場合には有効ですので、私も何度か、こうした文面を使った覚えがあります。

さて、スタートアップ、スパイスファクトリーは、2023年にノーベル経済学賞を受賞したハーバード大学のクラウディア・ゴールディン教授が提案した、「男女間の公平性」をもたらす手段、すなわち「柔軟な労働」を取り入れているのです。
その結果、スパイスファクトリーの平均年収は、女性社員が男性社員を3%ほど上回っているといいます。
日本全体の男女賃金格差は、男性の年収が女性より21.3%多い状況なので、この格差が逆転しているのです。
こうした結果は、同じ条件での労働環境において男女間の格差はないことを証明しています。

なお、解説キャスター、原田さんは、アセモグル教授らは、富が集中している一部の途上国や独裁国家では経済の発展が阻害されており、一方、民主主義で政治社会制度が解放的な国ほど繁栄するとアセモグル教授らは実証している、と解説キャスターの原田さんは指摘されております。
また、今、デジタル化で情報データがGAFAMといったプラットフォーム企業に集中して、その力が非常に強くなっており、こうした状況においてチェックをする社会、政治制度が必要だと指摘しています。
同様に、中国のような独裁政権国家では個人を監視したり、あるいは批判する人をチェックしたりといったようにデータを独占しており、イノベーションが単純に進歩につながるわけではなく、そういうものが上手く使われるには富を共有するような包摂的な仕組みが必要だと指摘しています。

こうして見てくると、国家、あるいは企業など、ある目的の達成に向けて取り組んでいる組織が最大限にパワーを発揮するための要件は以下の通りだと思うに至ったのです。
・誰もが目的の達成に向けて、意識が非常に高いこと
・お互いに信頼関係にあること
・誰もが自由に自分の意見を言えること
・お互いに他のメンバーの人権を尊重し合えること
・お互いが情報の共有をすること
・男女に関係なく、あるいは身体障害者であっても、従業員の能力を最大限に発揮出来る労働環境を整備すること
・技術が富裕層に偏らないように、技術を「労働を補助する方向」に活用するように政府の政策・規制が必要であること


添付1)

 

ナッジ理論とは?

ChatGPT:

**ナッジ理論(Nudge Theory**とは、人々の行動を強制せずに、**ちょっとした工夫(ナッジ=肘で軽く押すような後押し)**によって望ましい選択を促す行動経済学の考え方です。

  1. ナッジ理論の概要
  • 提唱者: リチャード・セイラー(Richard Thaler)& キャス・サンスティーン(Cass Sunstein
  • 主な考え方: 「人は必ずしも合理的に判断しないため、選択肢の提示方法を工夫することで、より良い行動を促せる」
  • 特徴:
    • 強制せず、自由な選択を残す
    • 気づかないうちに行動を変える
    • わずかな工夫で大きな影響を与える
  1. ナッジ理論の具体例

✅ 健康分野

  • 食品の陳列を変える野菜やヘルシーな食品を目立つ場所に置くと、健康的な選択をしやすくなる。
  • 小さめの皿を使う食べ過ぎを防ぎ、ダイエットを促進。

✅ 環境分野

  • 電気料金の請求書に「近所の平均消費量」を記載節電意識が高まり、省エネ行動をとる人が増える。

✅ ビジネス・行政分野

  • 年金の自動加入制度「加入しない場合は手続きが必要」にすると、多くの人が年金に加入する。
  • 税金未納者に「90%の人が期限内に納税しています」と通知支払い率が上がる。
  1. ナッジと従来の政策との違い

ナッジ(Nudge

従来の政策(罰則・規制)

アプローチ

行動を自然に誘導

罰則・義務化で強制

自由度

高い(選択の自由あり)

低い(義務や禁止)

コスト

低コストで効果的

高コスト(監視・罰則が必要)

  1. ナッジ理論の応用範囲

📌 ビジネス: 顧客の購買行動を変える(例: Amazonの「よく一緒に購入される商品」)
📌 医療・健康: 健康診断の受診率を高める(例: 「今すぐ予約すれば簡単に受診できます」)
📌 社会政策: 行政サービスの利用促進(例: ゴミ分別のわかりやすいデザイン)

  1. まとめ

ナッジ理論は、**「人間の心理を考慮し、ちょっとした工夫で行動を変える」**という考え方。
強制ではなく、自然な流れで「より良い選択」を促すため、政策やビジネスに広く活用されています。

 

添付2)

 

2023年にノーベル経済学賞を受賞したハーバード大学のクラウディア・ゴールディン教授の受賞内容は?

ChatGPT:

2023年のノーベル経済学賞は、アメリカのハーバード大学教授、クラウディア・ゴールディン氏に授与されました。

bbc.com

ゴールディン教授は、200年以上にわたるアメリカの労働市場データを詳細に分析し、男女間の賃金格差や労働市場における女性の役割変化を明らかにしました。

www3.nhk.or.jp

彼女の研究は、男女格差の根本的な要因を解明し、政策立案や企業の柔軟な働き方の推進に貢献しています。

www3.nhk.or.jp

なお、ノーベル経済学賞において、女性が単独で受賞するのはゴールディン教授が初めてです。

bbc.com

 

 添付3)

 

「技術革新と不平等の1000年史」の要旨は?

ChatGPT:

 

『技術革新と不平等の1000年史』(原題: Power and Progress: Our Thousand-Year Struggle Over Technology and Prosperity)は、ダロン・アセモグルとサイモン・ジョンソンによる書籍で、技術革新が社会の不平等に与える影響を歴史的視点から分析したものです。

🔹要旨(概要)

本書では、過去1000年間の技術革新の歴史を振り返りながら、技術が**「誰の利益になるのか」**という視点から、技術と社会の関係を探ります。

📌 主な主張:

  1. 技術革新は必ずしも社会全体の利益にならない
    • 産業革命以降、多くの技術革新が生まれたが、それが必ずしも全員に恩恵をもたらしたわけではない。
    • 技術の恩恵を享受できるのは特定の階層(支配層・資本家)であり、多くの労働者は逆に搾取されたケースも多い。
  2. 支配層(エリート)が技術の恩恵を独占すると不平等が拡大する
    • 例えば、産業革命期のイギリスでは、工場の機械化が進んだものの、労働者の賃金は低く抑えられた。
    • 現代でも、AIや自動化技術が一部の企業や富裕層に利益を集中させ、格差を拡大している。
  3. 技術の「方向性」が重要
    • 技術革新は必ずしも「労働者にとって良い方向」に進むわけではない。
    • 「労働補完型技術」(人間の能力を高める技術)と、「労働代替型技術」(人間を不要にする技術)に分けられる。
    • 社会が「労働者を補助する技術」を優先する方向に向かわなければ、格差が広がる。
  4. 政府と社会の介入が必要
    • 技術の進歩が社会全体に利益をもたらすためには、政府の政策や社会の介入が不可欠。
    • 例えば、労働者保護政策や再分配政策がなければ、AIや自動化の発展はさらなる不平等を招く可能性が高い。

🔹歴史的事例

📌 中世の農業技術革新

  • 12世紀の農業技術革新(鉄製の犂、三圃制)は、農民の生産性を向上させ、社会全体の生活水準を向上させた。
  • しかし、大地主が技術を独占した地域では、農民の状況は改善されず、貧困が続いた。

📌 産業革命(1819世紀)

  • 工場の機械化が進んだが、労働環境は劣悪で、低賃金労働が蔓延した。
  • 一方で、19世紀後半に労働組合運動や政府の介入が進み、賃金の向上や労働条件の改善が実現した。

📌 現代のAI・自動化

  • AIやロボット技術は企業の生産性を向上させるが、一方で労働者の仕事を奪う危険性がある。
  • 例えば、Amazonの倉庫自動化により、多くの低技能労働者が職を失う一方、企業の利益は急増。

🔹本書の結論

✅ 技術革新の方向性は社会が決めるべき
技術そのものが良いか悪いかではなく、どのように使うかが重要。
政府、企業、市民が協力して、技術を「社会全体の利益」に向かわせる仕組みを作るべき。

✅ AI・自動化の時代こそ「包摂的な成長」が必要
テクノロジーの進歩による経済成長を、一部のエリート層だけでなく、すべての人が享受できるような社会システムを構築することが求められる。

🔹まとめ

  • 技術革新は社会にとってプラスにもマイナスにもなる。
  • 産業革命やAI技術の発展を歴史的に分析し、「技術が富裕層に偏ると不平等が拡大する」と警告。
  • 技術を「労働を補助する方向」に活用するためには、政府の政策・規制が必要。

本書は、単なる技術史ではなく、**「技術と社会の関係」**を深く掘り下げた一冊です。

 

添付4)

 

オープンAIは非営利企業か?

ChatGPT:

 

OpenAIは現在、完全な非営利企業ではありません。

  1. 設立当初(2015年)
  • OpenAIは、もともと「人工知能を人類全体の利益のために開発する」ことを目的とした**非営利企業(OpenAI Inc.**として設立されました。
  • イーロン・マスクやサム・アルトマンらが出資し、「研究成果を公開し、AIのリスクを抑えながら発展させる」ことを理念としていました。
  1. 事業モデルの変更(2019年)
  • AI研究に莫大な資金が必要になったため、OpenAI**「営利法人(OpenAI LP)」**を設立しました。
  • ただし、無制限に利益を追求するのではなく、「キャップド・プロフィット(利益上限付きの営利モデル)」を採用しました。
    • 投資家は一定の利益(例えば100倍など)を得られるが、それ以上は制限される仕組み。
  • その後、Microsoft100億ドル(約1.5兆円)以上を投資し、クラウド基盤を提供することで、OpenAIの商業化が進みました。
  1. 現在のOpenAIの構造
  • **OpenAI Inc.(非営利法人)**が、OpenAI LP(営利部門)を管理する形になっています。
  • ただし、実際の事業運営や資金調達は営利部門のOpenAI LPが担っています。
  • そのため、OpenAIは完全な非営利組織とは言えず、**「利益制限付きの営利企業」**という位置づけになっています。
  1. 今後の展望
  • OpenAIは商業化を進める一方で、「AIの安全性」や「公共の利益のための技術開発」を掲げています。
  • ただし、Microsoftの影響力が強まり、非営利理念がどこまで維持されるかは議論されています。

結論

➡ OpenAIは、設立当初は非営利だったが、現在は「利益上限付きの営利企業」に変わっている。


 
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