昨年、１１月１７日（日）放送の「明日をまもるナビ」（ＮＨＫ総合テレビ）で「”海の温暖化” 暮らしへの影響は？」をテーマに取り上げていたので４回にわたってご紹介します。
４回目は、「温暖化から食を守れ」についてです。
なお、日付けは全て番組放送時のものです。
今回のテーマは海の温暖化に伴い、私たちの食卓を守る取り組みについてです。
水産物、農産物の取り組みが始まっています。
都内にある食品スーパーです。
並んでいる生サーモン。
実は海ではなく、陸上にある施設で養殖されたものです。
千葉県木更津市にある施設、ここで先ほどのサーモンが年間１万匹以上、養殖されています。
塩分濃度を調節した水を使い、水温は約１５℃に保たれています。
天然のサーモンが減少する中、安定して生産出来る陸上養殖が注目されています。
株式会社ＦＲＤジャパン（添付１参照）の宮川千裕さんは次のようにおっしゃっています。
「需要も上がっていくところを見ると、サーモンをどこかでつくる必要があるので、ビジネスチャンスがある。」
更に、海水と同じく、温度上昇の影響を受けている農作物でも対策が進んでいます。
新潟県産「コシヒカリ」１等米は、これまで８割ほどありましたが、暑さなどの影響で２０２２年、２０２３年は、わずか４．７％と、過去最低の水準になりました。
新潟県は高温に強い品種の開発を始めています。
高温に強い「新之助」です。
米農家の青木拓也さんは「コシヒカリ」を育てながら、一部で「新之助」の栽培を進めています。
青木さんは次のようにおっしゃっています。
「「コシヒカリ」だけだと、全部やられちゃうと経営的にはすごくダメージがでかいので。いろんな品種を作付けするのは、大きく経営していく面では非常に重要なことです。」
青森の名産、りんごも温暖化への対応を迫られています。
青森県藤崎市にある弘前大学 藤崎農場では、温暖化が進行するとりんごの味や歯応えにどう影響するか、４年間にわたり調べました。
弘前大学 農学生命科学部の伊藤大雄教授は次のようにおっしゃっています。
「同一の場所で、同一の土で、同一の降水量、同一の日射量で、気温だけ高くしたら、どうなるのか。」
今の気温より３℃上昇させると、糖度には変化がなかったものの、味のさわやかさを示す酸度や歯ごたえの良さを示す硬度が下がる傾向にありました。
また、色づきが悪くなった例も。
伊藤大雄教授は次のようにおっしゃっています。
「硬度は下がる、酸素は下がる、収穫量は上がらない。」
「色づきも悪いですからね。」
「もう、（温暖化が進むと、）いいことないですよね。」
温暖化に適用し、食をどう安定して供給するか、取り組みが続いています。
水産資源の確保を目指す取り組みはいろいろあるので見ていきましょうか。
こちらです。
まずは陸上養殖。
国内では様々な水産物が生産されているんです。
主なもの、並べてみました。（こちらを参照）
ナビゲーターで中村尚東京大学 先端科学技術センター教授は次のようにおっしゃっています。
「これ、我々の食料の自給ですよね。」
「それにつながる話で、非常に重要な取り組みだと思っています。」
「先ほどＶＴＲで見たような変化が海や大気にも起きてますので、それにきちんと対応して、我々の食の安全を守るという取り組みは非常に重要だと思います。」
稚魚のトレーニングはどういうことかというと、名産のサケが激減している岩手県の取り組みなんですけども、エサになるプランクトンがある北の海まで泳ぐことが出来るように、体力をつけるために、この稚魚、泳ぎを強化して、更に大きくしてから放流するといった取り組みなんですよね。
で、もう一つ、高温に強い種を選んでいるという。
例えば、愛媛県の取り組みなんですけども、大手味噌メーカーが、あおさ、この陸上養殖を行っているんです。
年間を通して養殖をする際に、大きな壁だったのが、やっぱり水温だったんですね。
あおさは水温２０℃以上になると生育が難しいそうなんです。
そこで、数年かけて全国各地を回りました。
で、高い水温でも育つあおさを探しまして、現在、大量生産を目指しているということなんですね。
ここまで海の温暖化に関して、いろいろ見てきましたけれども、私たちに出来ること、どんなことがあるんでしょうか。
中村さんは次のようにおっしゃっています。
「はい、日本周辺の海でも、やはり、これまで観測されなかったような異常な高温が２年続けて起きているということを踏まえても、そういう気候、それから異常気象、それから生態系、それに対する我々きちんとした対策、適応策を取っていって、温暖化のペースを少しでもゆるやかにしていくと。」
「そういう取り組みをみんなで進めていくということが大事なのかなと思いますね。」
温暖化が進めば、その影響を受けるのは私たち、でも食い止めることが出来る何か、一助になるのも私たち。
何かしないといけないですね。
ちっちゃなアクション、みんなですれば大きくなるという・・・、なのかなって感じますね。
以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。
番組の内容を以下にまとめてみました。
（水産物を巡る取り組み）
・水産資源の確保を目指す取り組みはいろいろある
陸上養殖：
・千葉県木更津市にあるＦＲＤジャパンの施設でサーモンが年間１万匹以上、陸上養殖されている
-塩分濃度を調節した水を使い、水温は約１５℃に保たれている
稚魚のトレーニング：
：名産のサケが激減している岩手県では、エサになるプランクトンがある北の海まで泳ぐことが出来るように、体力をつけるために稚魚の泳ぎを強化して、更に大きくしてから放流する取り組みをしている
（農産物を巡る取り組み）
米：
・新潟県産「コシヒカリ」１等米は、これまで８割ほどあったが、暑さなどの影響で２０２２年、２０２３年は、わずか４．７％と、過去最低の水準になった
・新潟県は高温に強い品種「新之助」の開発を始めている
-米農家の青木さんは「コシヒカリ」を育てながら、一部で「新之助」の栽培を進めている
りんご：
・青森県藤崎市にある弘前大学 藤崎農場では、温暖化が進行するとりんごの味や歯応えにどう影響するか、４年間にわたり調べた
-今の気温より３℃上昇させると、糖度には変化がなかったものの、味のさわやかさを示す酸度や歯ごたえの良さを示す硬度が下がる傾向にあり、色づきが悪くなった例もある
・温暖化に適用し、食をどう安定して供給するか、取り組みが続いている
あおさ：
・愛媛県の大手味噌メーカーがあおさの陸上養殖を行っている
-あおさは水温２０℃以上になると生育が難しい
-そこで、数年かけて全国各地を回り、高い水温でも育つあおさを探して、現在、大量生産を目指している
（私たちに出来ること）
・日本周辺の海でも、これまで観測されなかったような異常な高温が２年続けて起きている
・こうした気候、異常気象、生態系に対するきちんとした対策、適応策を取ることによって、温暖化のペースを少しでもゆるやかにしていく
・こうした取り組みをみんなで進めていくということが大事である
さて、これまで「”海の温暖化”の暮らしへの影響」をメインテーマに、今回も含め、以下の４つのテーマについてお伝えしてきました。
�� 魚に異変
�� 猛暑と関係！？ ”海洋熱波
�� 台風 雨 雪が“極端”に
�� 温暖化から食を守れ
参照：
No.6120 ちょっと一休み その９６５ 『 ”海の温暖化” 暮らしへの影響 その１ 魚に異変！』
No.6126 ちょっと一休み その９６６ 『 ”海の温暖化”の暮らしへの影響 その２ 猛暑と関係！？ ”海洋熱波”』
No.6132 ちょっと一休み その９６７ 『 ”海の温暖化”の暮らしへの影響 その３ 台風 雨 雪が“極端”に』
なお、現実に、今や、地球温暖化の進行とともに毎年のように国内外で“異常気象”、“集中豪雨”、“ドカ雪”といった言葉が報じられ、被害の大きさも年々増加傾向にあるようです。（添付２参照）
こうした海の温暖化に伴う、私たちの暮らしを巡る取り組みについて見てくると、以下のことが言えます。
・地球の温暖化の一環として、海の温暖化の進行も短期的には止められないこと
・こうしたな中において、気候、異常気象、生態系といった変化、そのスピード、範囲を把握すること
・こうした状況を的確に把握したうえで、地球の温暖化、海の温暖化の進行を阻止する取り組みと並行して、地球の温暖化、および海の温暖化の進行を前提とした取り組みが必要であること
ですから、今回ご紹介した、海の温暖化に伴い、私たちの食卓を守るための水産物、農産物への取り組みは地球の温暖化、および海の温暖化の進行を前提とした取り組みという位置付けになります。
なお、今後とも、地球の温暖化、そして海の温暖化の進行とともに獲れる水産物や農産物の産地は北上していきます。
ですから、やはり、こうした取り組みの本丸ともいえる、地球の温暖化、そして海の温暖化の進行を少しでも食い止めるための取り組みがとても重要なのです。
添付１）
ＦＲＤジャパンとは？
ChatGPT:
FRDジャパン - 陸上養殖生サーモン『おかそだち』の生産企業
frd-j.com
FRDジャパン株式会社の公式ウェブサイトは https://frd-j.com です。同社は、閉鎖循環式陸上養殖システムを開発し、サーモントラウトの生産・販売を行っています。2017年から千葉県木更津市の実証実験プラントで生産を開始し、現在は千葉県富津市に大規模商業プラントを建設中で、2026年の操業開始を予定しています。また、2024年には「日本スタートアップ大賞2024」にて農林水産大臣賞を受賞しています。
frd-j.com
添付２）
今や、地球温暖化の進行とともに毎年のように国内外で“異常気象”、“集中豪雨”、“ドカ雪”といった言葉が報じられ、被害の大きさも年々増えていないか？
ChatGPT:
その通りです。近年、地球温暖化の影響で異常気象の頻度や被害の規模が拡大していると指摘されています。
近年の異常気象の特徴
- 猛暑・熱波の増加
- 世界各地で記録的な高温が観測され、熱中症や農作物の被害が深刻化。
- 日本でも、毎年のように観測史上最高気温を更新する地域が出ている。
- 集中豪雨の頻発
- 温暖化により大気中の水蒸気量が増え、**「線状降水帯」**による局地的な豪雨が多発。
- 日本では毎年のように河川の氾濫や土砂災害が発生している。
- 台風の大型化・勢力増強
- 海水温の上昇で台風が大型化・長寿命化し、被害が拡大。
- 風速の強い「スーパー台風」の発生も増えている。
- ドカ雪・大寒波
- 地球温暖化の影響で寒気の流れが不安定化し、大雪や寒波が発生。
- 日本やアメリカ、ヨーロッパで、都市機能が麻痺するほどの大雪が発生。
- 干ばつ・森林火災の増加
- ヨーロッパ、北米、オーストラリアなどで記録的な干ばつや森林火災が発生。
- 水不足による農業被害や、都市部への影響も深刻化。
被害の拡大
- 経済損失の増大：農業・インフラ・保険業界などに深刻な影響。
- 人的被害の増加：災害による死者・行方不明者、避難者の増加。
- 環境への影響：生態系の変化や食料供給の不安定化。
対策の必要性
- 再生可能エネルギーの推進（CO2排出削減）
- 防災インフラの強化（堤防・排水設備の整備）
- 都市の適応策（ヒートアイランド対策、緑地拡大）
地球温暖化が進む限り、今後も異常気象の発生は増え続ける可能性が高く、早急な対策が求められています。
