昨年、11月17日(日)放送の「明日をまもるナビ」(NHK総合テレビ)で「”海の温暖化” 暮らしへの影響は?」をテーマに取り上げていたので4回にわたってご紹介します。
3回目は、「台風 雨 雪が“極端”に」についてです。
なお、日付けは全て、番組放送時のものです。
続いては、日本近海の海水温の高まりが常態化することで懸念されているのが極端な気象現象の発生です。
その一つが強い勢力を保ったまま上陸する台風です。
台風は、海面水温が低い場所を通ると水蒸気の供給が減り、勢力が弱まっていきます。
ところが、今年8月に発生した台風10号は非常に強い勢力のまま鹿児島県に上陸。
各地に大きな被害をもたらしました。
死者8人、負傷者128人(内閣府資料9月4日時点)。
当時の日本近海の海面水温は30℃。
亜熱帯並みの高さでした。
海面水温が高かったことで、台風が非常に強い勢力のまま上陸したと見られています。
更に、これからの冬に懸念されているのが、同じ場所に短時間で集中的に降るドカ雪。
大陸から運ばれた冷たい空気が海から沢山の水を蒸発させて雪雲を作り、雪を降らせます。
この時、海水温が高いと蒸発する水蒸気の量が増えるため、ドカ雪になる傾向があると言われています。
海面水温が平年より2℃ほど高かった2022年12月にはドカ雪が発生。
日本海側は大荒れの天気。
新潟県柏崎市などでは交通網がマヒし、約1800台のクルマが立ち往生しました。
そして、今年10月中旬時点で、海面水温は平年より2℃から3℃も高い状態。
ドカ雪が懸念されています。
実は、東京大学 先端科学技術県有センターの中村尚教授は、最近発生した気象現象の関係を研究されているんですが、その結果、今年の気象現象のうち、海水温の上昇が原因の一つだと考えられてるものを挙げていただきました。
それがこちらです。
・記録的猛暑
・台風10号(8月)
・東北 能登 記録的大雨(7月〜9月)
中村教授は次のようにおっしゃっています。
「(これも海水温と関係があるのかという問いに対して、)はい。」
「やっぱり海面水温が高いということですと、蒸発が増えるということで、その分だけ雨の量も増えてしまうと。」
「ですから、この能登ですね。」
「これ、9月の20日過ぎなんですけども、石川県沖から西南西の温かくて湿った空気が流れ込んできてました。」
「で、その風上側ですね。」
「石川県側沖、海面水温が平年より4℃も高い状況だったんですね。」
「温度が28℃ですから、もう、これは亜熱帯並みの高い水温。」
「そこを吹き渡ってくる気流に、その温かい海からどんどん水蒸気が供給されて、能登半島のところで過去に例のないような猛烈な雨が降ったということになります。」
そして、VTRにもありましたけど、今年の冬です。
要注意なんです。
それが一部の地域で短時間に降るドカ雪に要注意ということなんですよね。
中村教授は次のようにおっしゃっています。
「(温暖化と雪は、今一リンクしないという指摘に対して、)はい。」
「確かに、ちょっとつながりがないように、一見思えてしまうんですけども、実は、そうではないんですね。」
「2022年12月、ドカ雪が降りました。」
「その時の海面水温、12月の中旬ですけども、日本海辺りを見ますと、平年より2℃〜3℃も高いという状況であったわけですね。」
「しかも、この2022年はラニーニャという現象が、日本から遥か離れた太平洋の赤道域で起きていました。」
「どういう現象かというと、元々赤道太平洋の真ん中から東側というのは熱帯にしては水温が低いところなんですけども、その水温が更に低くなった。」
「そういう現象をラニーニャ現象といいます。」
「で、その年には、大陸からの寒気が吹き出し易い気圧配置になり易いうという、そういう傾向がありました。」
「まさにこれ、そのラニーニャの冬に温かい日本海の上を吹き出した寒気が渡ってくるとということで、ドカ雪が起きたということになりますね。」
なんで、この2022年の状況を丁寧に説明したかというと、これに似た状況が今年やってくる可能性があるそうなんですよね。
中村教授は次のようにおっしゃっています。
「まずは、この海面水温ですよね。」
「更に水温が高い状態ですし、それに加えてラニーニャなんですね。」
「今、ラニーニャが発生しつつあります。」
「ですので、2022年、23年の冬と同様に、大陸からの寒気が吹き出し易い気圧配置が増えるのではないかという予測が立たれています。」
「それから、寒気がまだ本当に強くなる前ですね。」
「冬の始めとか。」
「実は、雪ではなくて雨で降る、そういうリスクもあります。」
「ですから冬の始め能登地方も含めて、冬の季節風が吹きつける地域ですね。」
「そこでは、冬の始めは特に大雨になるリスクもありますので、ドカ雪だけではなくて両方に備えることが必要になってくると思います。」
「(大雨、夏は結構警戒していたけども、この時期もまた警戒が必要であるという指摘に対して、)はい。」
更に、冬は大雪、ドカ雪というように、暮らしや命に直結するような事態ですよね。
ここまでは、海の温暖化がもたらす生態系や異常気象への影響を見てきました。
以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。
番組の内容を以下にまとめてみました。
(極端な気象現象の発生)
・日本近海の海水温の高まりが常態化することで懸念されているのが極端な気象現象の発生である
・その一つが強い勢力を保ったまま上陸する台風である
-台風は、海面水温が低い場所を通ると水蒸気の供給が減り、勢力が弱まっていく
・ところが、今年8月に発生した台風10号は非常に強い勢力のまま鹿児島県に上陸し、各地に大きな被害をもたらした
-海面水温が高かったことで、台風が非常に強い勢力のまま上陸したと見られている
・更に、これからの冬に懸念されているのが、同じ場所に短時間で集中的に降るドカ雪である
-大陸から運ばれた冷たい空気が海から沢山の水を蒸発させて雪雲を作り、雪を降らせる
-この時、海水温が高いと蒸発する水蒸気の量が増えるため、ドカ雪になる傾向がある
・海面水温が平年より2℃ほど高かった2022年12月にはドカ雪が発生した
-日本海側は大荒れの天気で、新潟県柏崎市などでは交通網がマヒし、約1800台のクルマが立ち往生した
(2022年のケース)
・2022年12月、ドカ雪が降り、その時の海面水温、日本海辺りでは、平年より2℃〜3℃も高いという状況であった
・しかも、この2022年はラニーニャという現象が、日本から遥か離れた太平洋の赤道域で起きていた
-元々赤道太平洋の真ん中から東側は熱帯にしては水温が低いところだが、その水温が更に低くなった
・その年には、大陸からの寒気が吹き出し易い気圧配置になり易い傾向があった
・ラニーニャの冬に温かい日本海の上を吹き出した寒気が渡ってくることで、ドカ雪が起きた
(今年のケース)
・この2022年の状況に似た状況が今年やってくる可能性がある
-海面水温が更に水温が高い状態で、それに加えて、今、ラニーニャが発生しつつある
・なので、2022年、23年の冬と同様に、大陸からの寒気が吹き出し易い気圧配置が増えるのではないかという予測が立たれている
・雪ではなくて雨で降るというリスクもあるので、ドカ雪だけではなくて両方に備えることが必要になってくる
要するに、地球温暖化による日本近海の海水温の高まりが常態化することで、水蒸気の供給量が増え、夏、秋の台風や集中豪雨、そして冬のドカ雪といった極端な気象現象の発生が懸念されているのです。
今冬のドカ雪については添付1を参照下さい。
なお、地球温暖化による日本の季節ごとにもたらされる異常気象は添付2を参照下さい。
今後、さらに気温が上昇すると、これらの異常気象が一層顕著になる可能性があるのです。
添付1)
今冬のドカ雪の被害は?
ChatGPT:
今冬、特に2月上旬には日本各地で大雪が観測され、住民生活や交通に大きな影響が出ています。富山県内では、連日の大雪により住民が除雪作業に追われ、「災害のようだ」との声も上がっています。
webun.jp
また、北海道でも11月中旬から大雪が観測され、局地的なドカ雪や暴風雪が発生しやすいとの予報が出されています。
news.ntv.co.jp
地球温暖化の影響で、全国的には降雪量が減少する一方、豪雪地帯では「ドカ雪」のリスクが約5倍に増加しているとの研究結果もあります。
asahi.com
これにより、雪崩や山沿いの交通網への影響が懸念されています。
このような状況下、各地で除雪作業や交通の確保が急務となっており、住民や自治体は対応に追われています。また、地震被災地では大雪が復興作業にさらなる困難をもたらしているとの報道もあります。
webun.jp
今後も気象情報に注意し、適切な備えと安全確保が求められます。
情報源
添付2)
地球温暖化による日本の季節ごとにもたらされる異常気象は?
ChatGPT:
地球温暖化による日本の異常気象は、季節ごとに異なる形で現れています。以下に、春・夏・秋・冬ごとに主な影響をまとめます。
春(3〜5月)
🌸 影響
- 桜の開花時期の早まり:温暖化による気温上昇で、桜の開花が年々早まっている。
- 黄砂や花粉の増加:気温上昇により、スギ・ヒノキの花粉飛散量が増加し、花粉症が悪化。
- 春の異常高温:4月〜5月に真夏並みの暑さ(30℃超)が発生しやすくなっている。
夏(6〜9月)
☀️ 影響
- 猛暑・酷暑の増加:35℃を超える猛暑日が増え、熱中症リスクが高まる。
- ゲリラ豪雨・線状降水帯:水蒸気量の増加により、局地的な豪雨や長時間の大雨が頻発。
- 台風の強大化:海水温の上昇により、台風が大型化・長寿命化し、日本への影響が拡大。
- 夜間の熱帯夜増加:最低気温が25℃を超える熱帯夜が増え、睡眠環境が悪化。
秋(9〜11月)
🍁 影響
- 秋の訪れの遅れ:9月になっても夏のような気温が続き、10月でも真夏日になることがある。
- 台風の秋シフト:秋になっても海水温が高いため、9月〜10月でも強い台風が発生しやすい。
- 紅葉の遅れ:気温が高いため、紅葉のピークが遅くなり、色づきが悪くなる傾向。
- 秋の長雨・豪雨:温暖化により秋雨前線の活動が活発化し、大雨をもたらすことが増加。
冬(12〜2月)
❄️ 影響
- 寒暖差の激化:温暖化の影響で冬の気温が高くなる一方で、寒波が突発的に襲うことも。
- 記録的な大雪(ドカ雪):気温上昇により日本海の水蒸気量が増え、局地的に大雪をもたらす。
- 雪不足による影響:スキー場の雪不足や、雪解け水の減少による農業・水資源への影響が懸念される。
総括
地球温暖化により、日本では**「極端な気象現象」**が増加しており、猛暑や豪雨、大雪などが頻発しています。今後、さらに気温が上昇すると、これらの異常気象が一層顕著になる可能性があります。