昨年9月25日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で漁業のスマート化について取り上げていたのでご紹介します。
八代亜紀の「舟歌」が発売された頃、手頃なつまみだったはずのイカが足元で値上がりしています。
気候変動の影響などで漁獲量が急減したためです。
漁獲量を安定させようと、スマート化による新たな漁業に挑む動きが始まっています。
東京イカセンター(東京・八重洲)、店の生けすにはイカが生きたまま泳いでいます。
注文が入ると、ここから取り出して厨房で刺身に。
丸々一匹分で、「するめイカ刺し」(4200円)が提供されます。
全国の港で、朝、獲れたイカを直送しているのですが、ある異変が。
東京イカセンターの坂井夏稀さんは次のようにおっしゃっています。
「前よりは全然少なかったりとか、価格がすごく上がっちゃってるのは・・・」
深刻なイカの不漁です。
例えば、イカの中で代表的なスルメイカの漁獲量は9年間で6分の1ほどになっています。
温暖化で水温が変わり、生息場所が変わったことが要因の一つとされています。
これに合わせ、平均価格は年々上昇し、同じ時期に3倍にまで跳ね上がっています。
石川県金沢港、イカの不漁という問題を解決しようと、新たな漁業に挑む人たちがいます。
小型イカ釣り漁船、濱出丸です。
取材班は、そのイカ漁に密着しました。
船頭の本間正志さんは、イカの不漁について次のようにおっしゃっています。
「(イカの漁獲量は)5分の1、下手すれば10分の1くらいの量じゃないかな。」
この状況を打破する新たな漁業のカギを握るのが、乗船している国立研究開発法人 水産研究・教育機構 開発センターの鈴木大智調査員です。
「(温暖化などで)スルメイカの漁場が大きく変わっていく中で漁場発見が非常に難しくなっています。」
鈴木さんは大学でイカの遺伝などを研究し、その後、機構に就職。
今は猟師に密着し、漁場データを漁に活かすサービスを開発しています。
出港から5時間、鈴木さんが取り出したのは水温や塩分濃度の観測器です。
イカ釣り器のワイヤに付け、海底に降ろすと、わずか数秒で水温と塩分濃度の観測が完了。
観測したデータはまず、タブレットに転送され、自動的に東京で解析されます。
このサービスの裏には業界をまたいだ連携があります。
担当者が船で観測し、KDDIの通信機器で海の上から、そのデータを送信。
データを受け取った株式会社オーシャンアイズが分析し、すぐにリアルタイムの海洋モデル予測を提供しているのです。
実際に作られる海洋モデル予測では、水温が高い方から赤、緑、青で示されます。
海上での高速データ通信を実現したのがKDDIのスターリンク・マリタイム。
イーロン・マスク氏率いるスターリンクの技術です。
本間さんは次のようにおっしゃっています。
「前はファックスでもらったりだったが、前の日のデータを見ながら参考にしたりとかって。」
漁師の“勘”頼みだったイカ漁が一変。
最新情報を反映した海洋モデル予測で、漁場を決めるようになりました。
それをもとに、この日もイカに適しているという水温14度の海の中から漁場を決定。
日が落ちた頃、イカが光に集まる習性を利用するため、ライトを点けて漁を開始。
テクノロジーを駆使して作られた、リアルタイムの海洋モデル予測。
これをもとに実施されたイカ漁の成果は、イカが次々に釣れていきます。
その後も更新される海洋モデル予測を確認し、漁場を決定。
確実に漁獲を増やしました。
この仕組み、猟師にとって、他にもメリットが。
本間さんは次のようにおっしゃっています。
「燃料の削減ですね。」
「最短でピンポイントで来られるから、これが一番いいですね。」
この事業に参加する3社は定期的に会合「漁業スマート化推進会議」を開催。
それぞれが漁業のスマート化ビジネスを拡大しています。
データを解析するオーシャンアイズは、インドネシアのキハダマグロ漁でも漁場の予測システムを100隻以上の船に提供。
観測データを漁場の潮の流れの速さなどを色分けして漁に活かしています。
オーシャンアイズの田中裕介社長は次のようにおっしゃっています。
「物理法則に基づいて天気予報と同じように計算をしていく。」
「将来の予測をする。」
また、通信を手掛けるKDDIは、京都のトリガイの養殖でIoTの活用を進めています。
KDDI 事業創造本部の今村元紀さんは次のようにおっしゃっています。
「漁業に関しては、IoTとかDXが遅れていると言われているところですので、こういったものを是非広げていければなと。」
現場で漁師と向き合う鈴木さんはテクノロジーの活用が漁業の未来につながると期待しています。
「やっぱり、漁業を取り巻く問題は非常に多くて、不漁問題もそうですし、若手不足もそうですし、漁師さんの勘に頼っているところがあるので、そういうのを補助出来るものとしては必要なんじゃないかなと思います。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
番組の内容を以下にまとめてみました。
(深刻なイカの不漁で価格が上昇)
・スルメイカの漁獲量は9年間で6分の1ほどになっている
-温暖化で水温が変わり、生息場所が変わったことが要因の一つとされている
・これに合わせ、平均価格は年々上昇し、同じ時期に3倍にまで跳ね上がっている
(漁業のスマート化による解決策)
・石川県金沢港、イカの不漁問題を解決しようと、新たな漁業に挑む人たちがいる
・小型イカ釣り漁船、濱出丸の船頭、本間さんは、イカの漁獲量は5分の1、下手すれば10分の1くらいの量と言う
-温暖化などでスルメイカの漁場が大きく変わっていく中で漁場発見が非常に難しくなっていると言う
・この状況を打破する新たな漁業のカギを握るのが、濱出丸に乗船している水産研究・教育機構 開発センターの鈴木調査員である
・鈴木さんは、漁場データを漁に活かすサービスを開発している
-水温や塩分濃度の観測器で観測したデータはタブレットに転送され、自動的に東京で解析される
・このサービスの裏には業界をまたいだ連携がある
-担当者が船で観測し、KDDIの通信機器で海の上から、そのデータを送信し、データを受け取ったオーシャンアイズが分析し、すぐにリアルタイムの海洋モデル予測を提供している
・以前は、ファックスでもらった前の日のデータを見ながら参考にして、漁師の“勘”頼みだったイカ漁が最新情報を反映した海洋モデル予測で、漁場を決めることが出来るようになった
-海上での高速データ通信を実現したのはKDDIのスターリンク・マリタイムである
・その後も更新される海洋モデル予測を確認し、漁場を決定している
・こうしたリアルタイムの海洋モデル予測サービスには以下のメリットがある
-確実にイカ漁の漁獲が増えること
-最短でピンポイントで漁場に来られるので、燃料の削減が出来ること
(この事業に参加する3社のスマート化ビジネスの拡大)
データを解析するオーシャンアイズ:
・インドネシアのキハダマグロ漁でも漁場の予測システムを100隻以上の船に提供している
-観測データを漁場の潮の流れの速さなどを色分けして漁に活かしている
通信を手掛けるKDDI:
・京都のトリガイの養殖でIoTの活用を進めている
水産研究・教育機構 開発センター:
・現場で漁師と向き合う鈴木さんは、テクノロジーの活用が漁業の未来につながると期待しており、漁師の勘に頼っているところを補助出来るものとして必要だと言う
番組では、イカに焦点を当てて、温暖化で水温が変わり、生息場所が変わったことが要因の一つとされて、深刻なイカの不漁が問題になっているということですが、これはイカだけではなく、他の魚類についても大なり小なり影響があると思われます。
ちなみに、私が実家(千葉県の外房)の近くで漁師を営んでいる友人から昨年末にサザエを購入しようとしたら、全く獲れないと言われて驚きました。
今まで、こんなことは無かったからです。
一方、温暖化で水温が変わり、生息場所が変わったことが要因で、今まで獲れなかった魚類が獲れるようになった地域もあります。(添付参照)
そうした中、石川県金沢港でイカの不漁問題を解決しようと、最新情報を反映した海洋モデル予測で、漁場を決めることが出来るようになり、確実にイカ漁の漁獲が増えたり、燃料の削減が出来るようになったのです。
そこで、地球温暖化の進行は止められませんが、海洋モデル予測装置、あるいはIoTの活用を全国展開することによって、更には世界展開することによって、地球レベルで漁業への影響は少なくすることが出来るのです。
添付)
温暖化で水温が変わり、生息場所が変わったことが要因で、どのあたりで今まで獲れなかった魚類が獲れるようになった国内の地域は?
ChatGPT
地球温暖化による水温の上昇や海洋環境の変化に伴い、日本国内でも今までその地域で獲れなかった魚類が漁獲される例が増えています。以下は具体的な例です。
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1. 北海道で南方系魚種の増加
• 北海道では近年、水温上昇の影響で ブリ や サバ などの南方系の魚が増加しています。
特に太平洋側や日本海側での漁獲量が増え、これまで主力だったサケやスケトウダラなどの漁獲量が減少している一方で、ブリが北海道の新たな主要漁獲物になりつつあります。
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2. 北陸地方(富山県や新潟県など)でアオリイカやハタ類の増加
• 北陸地方では水温の上昇により、アオリイカ や ハタ など、これまで温暖な海域で見られていた魚種が増えています。これに伴い、新たな漁業対象種として注目されています。
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3. 東北地方(三陸沖)で南方魚種が増加
• 宮城県や岩手県沿岸では、カツオ や カンパチ などの漁獲が増加しており、これらは水温が上昇した海域で見られることが多い魚種です。
• また、これまでには見られなかった マンボウ などが増えているという報告もあります。
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4. 関東地方でサンゴ礁魚類の観察
• 東京湾などの沿岸部で、熱帯性サンゴ礁に生息する魚類(例: アイゴやクマノミ)の目撃が増加しています。これまで東京湾で見られることは稀でしたが、温暖化の影響で生息範囲が北上していると考えられます。
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5. 沖縄周辺での魚種の南下
• 沖縄周辺では、逆に水温が高くなりすぎることで、一部の魚類が南下し、より深い海域に移動していることも報告されています。これにより、漁獲量の減少が懸念されています。
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このように、日本のさまざまな地域で魚類の分布が変化しており、漁業や生態系に大きな影響を与えています。特定の地域での変化についてさらに詳しく知りたい場合は、追加情報を提供できます!
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