2025年01月19日
No.6108 ちょっと一休み その963 『アマゾン・ドット・コムが今年から週5日勤務の真意』
昨年9月17日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でアマゾン・ドット・コムが今年(2025年)から週5日勤務に変更することについて取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

アメリカのIT大手、アマゾン・ドット・コム(以下、アマゾン)は昨年9月16日、従業員に原則として週5日、職場に出勤するよう要請したことを明らかにしました。
対面で働くことで、創造性や効率性が高まるとの判断で、来年1月(2025年)から開始します。

アマゾンは新型コロナの影響を受け、在宅勤務を活用していましたが、収束後は、少なくとも週3日の出社としていました。
こうしたアマゾンの勤務制度の変更について、テレビ東京 解説委員の山川龍雄さんは次のようにおっしゃっています。
「やっぱり会社に対する忠誠心を試すリトマス試験みたいな意味合いがあると思うんですね。」
「やっぱり、リモートワークが広がると、どうしても忠誠心が低下して、熱心に働かない人も増えてきますから、ここは一回出社を義務付けることによって、会社の一体感を強めたいと。」
「それと、あまり表向きは言いませんけれども、従業員の削減ていうのも一つの目的じゃないかなと思います。」
「(アマゾンは今、会社をスリム化したいということなのかという問いに対して、)そうですね。」
「この棒グラフ(こちらを参照)は、アマゾンの従業員数を示してるんですけども、ご覧のようにコロナ禍でかなり従業員数が膨らんできていて、その時に在宅勤務が定着したわけなんですが、ここに危機感を感じて、週3回の出社を義務化することとする。」
「レイオフも実施してるんですね。」
「で、今回は週5日の出社を義務付ける。」
「これも社員によっては退社を考えるきっかけにつながると思います。」
「(ただ、今回はレイオフの方針は現時点では打ち出していないという指摘に対して、)何度もレイオフをやると評判が悪いですし、出来れば穏便なかたちでリストラを進めたいのが本音。」
「アメリカの会社、よくやるんですよ。」
「従業員の生活が変わるような政策を打つ。」
「典型的なのが本社を移転させること。」
「これもちょっと、それに近いところがあると思います。」
「(遠回しのレイオフみたいな側面があるということだが、ただ、辞めて欲しい社員だけが辞めるとは限らないことについて、)ここは発表をよく見て下さい。」
「原則と言ってますから、当然、残ってもらいたい社員は、上司がちゃんと例外を認めて、これからもリモートワークがあると、そういうことになると私は想像してます。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組の内容を以下にまとめてみました。

(アマゾンは原則として週5日、職場出勤を要請)
・アメリカのIT大手、アマゾンは昨年9月16日、従業員に原則として週5日、職場に出勤するよう要請した
 -対面で働くことで、創造性や効率性が高まるとの判断で、今年1月から開始する
 -アマゾンは新型コロナの影響を受け、在宅勤務を活用していたが、収束後は、少なくとも週3日の出社としていた

(テレビ東京 解説委員の山川さんの見解)
・会社に対する忠誠心を試すリトマス試験の意味合いがある
・リモートワークが広がると忠誠心が低下して、熱心に働かない人も増えてくるので、出社を義務付けることによって、会社の一体感を強めたいという会社の狙いがある
・表向きは言わないが、従業員の削減も一つの目的だと思われる
 -コロナ禍でかなり従業員数が急増し、その時に在宅勤務が定着したが、危機感を感じて、週3回の出社を義務化することとする
・レイオフも既に実施している
・今回は週5日の出社を義務付ける
 -これも社員によっては退社を考えるきっかけにつながる
・アメリカの会社は、こうした従業員の生活が変わるような政策を打つ
 -典型的なのが本社を移転させることである
・ただし、「原則として」とあることから、残って欲しい社員は、上司が例外を認めて、これからもリモートワークがあると想像出来る

なお、アマゾンの従業員数がコロナ禍で急増した理由については添付1を参照下さい。
また、アマゾンによる現在の従業員の削減政策の主な理由については添付2を参照下さい。
要するに、コロナ禍でのネット通販の急増に伴い、急増した従業員数をコロナ禍が収束したことで既にレイオフを実施しているが、更に削減したい、そして同時に会社の一体感を強めたいというアマゾンの狙いが今回の週5日勤務制への変更にはあるのです。
それにしても、従業員削減のために本社を移転させるというのは、いかにもアメリカの企業らしいドラスチックさを感じます。
日本の企業ではまず考えられません。

なお、アマゾンが2025年に再開を予定していた「週5日」のオフィス出社が、スペースの確保が出来ないため、最大4カ月延期される見通しです。(こちらを参照)
ということは、従業員の削減が目論見通りに進んでいないことが伺われます。
また、他の企業の動きについては添付3を参照下さい。
グーグルやマイクロソフト、メタ(旧フェイスブック)はコロナ禍の収束後もハイブリッドワークモデル(添付4参照)を実施しているということは、オフィスワークと在宅勤務をバランスよく活用しています。
しかし、実はこれらの企業もコロナ禍の収束後に大規模なレイオフをしていたのです。(添付5参照)

こうして見てくると、大きな流れとして、いずれの企業もAIやロボットなどによる技術革新と自動化により従業員の削減が図られていくと見込まれます。
ただし、コロナ禍など、一時的な状況の変化により、従業員の急増や削減が図られるのです。
今回ご紹介したアマゾンの事例は、まさにこうした事例の一つなのです。


添付1)

なぜアマゾンの従業員数はコロナ禍で急増したのか?
ChatGPT
アマゾンの従業員数がコロナ禍で急増した主な理由は、パンデミックによる消費者行動の大きな変化です。
1. オンラインショッピングの需要増加: コロナ禍で多くの国々がロックダウンや外出制限を実施したため、消費者は店舗での買い物を避け、オンラインショッピングにシフトしました。アマゾンはこの需要を満たすために、迅速にサービスを拡大する必要がありました。
2. 物流および配送能力の強化: オンライン注文の急増に伴い、商品を迅速に届けるための物流および配送インフラを強化する必要がありました。その結果、アマゾンは倉庫や配送センターでの従業員数を増やしました。
3. 新たな事業の拡大: アマゾンは、食品や生活必需品の配達サービスを強化し、Amazon FreshやWhole Foods Marketのようなサービスを通じて、より多くの消費者に食料品を届けるようになりました。これも従業員数の増加につながりました。
4. 短期間の雇用の増加: コロナ禍の間、アマゾンは一時的な需要増加に対応するため、多くの短期間の従業員を雇用しました。
これらの要因が重なり、アマゾンの従業員数が急速に増加しました。

添付2)

では、アマゾンによる現在の従業員の削減政策の主な理由は?
ChatGPT

アマゾンの現在の従業員削減政策の主な理由は、複数の要因が絡み合っていますが、その中でもネット通販事業の成長鈍化とコスト管理が大きな要因とされています。以下が主な理由です:
1. ネット通販事業の成長鈍化: パンデミック中に急増した需要が収束し、2022年にはアマゾンの自前倉庫からのネット通販事業の売上が前年比でマイナス成長を記録しました。この成長鈍化が、従業員削減の一因となっています。
2. 過剰な設備投資と人員: パンデミック中に急増した需要に対応するために、アマゾンは大規模な設備投資と人員増加を行いました。しかし、その後の需要の減少により、これらの設備と人員が過剰となり、調整が必要になりました。
3. 効率化とコスト削減: アマゾンは、競争が激化する市場環境の中で効率化を図り、コストを削減する必要があります。これは、利益率を維持し、株主価値を高めるための戦略的決定です。
4. 技術革新と自動化: アマゾンは、倉庫や配送センターでの自動化技術を進めており、一部の業務が機械によって代替されることで、人員削減が進んでいます。
これらの理由が組み合わさって、アマゾンは現在の従業員削減政策を実施していると考えられます。

添付3)

アマゾンが週5日勤務制への変更をしたが、他の企業の動きは?
ChatGPT

アマゾンが週5日のオフィス出社義務化を決定した中、AT&Tも同様の動きを見せています。以下に、AT&Tの事例を含めた他企業の動きをまとめます。
AT&Tの事例
• AT&Tは、2025年1月から段階的にオフィス出社を再開し、3月までに完全なオフィス勤務へ移行する計画を発表しました。パンデミック中に採用したハイブリッド勤務を大幅に縮小する方針で、アマゾンに「追随」する形で出社頻度を増やしています。
他の企業の動き
• グーグル: 全社的にリモートワークの方針を維持し、柔軟な働き方を継続。
• マイクロソフト: ハイブリッドワークモデルを採用し、柔軟な働き方を提供。
• メタ(旧フェイスブック): 引き続きハイブリッドワークモデルを実施。
これらの事例から、アマゾンやAT&Tのようにオフィス勤務の復帰を推奨する企業がある一方で、グーグルやマイクロソフト、メタなどはハイブリッドやリモートワークを維持する方針を示しています。企業ごとに異なる戦略が採られ、働き方の多様化が見られます。

添付4)

ハイブリッドワークモデルとは?
ChatGPT

ハイブリッドワークモデルとは、従業員がオフィス勤務とリモート勤務を組み合わせて働く形態を指します。このモデルは、パンデミックをきっかけに多くの企業で採用されるようになりました。
特徴
1. 柔軟な勤務場所: 従業員は一部の時間をオフィスで、一部の時間を自宅や他のリモート環境で働くことができます。
2. スケジュールの調整: チームや個人ごとに、出社日やリモート勤務日を調整し、効率的な働き方を模索します。
3. 技術の活用: オンライン会議ツールやクラウドサービスなどを活用し、リモート勤務者とオフィス勤務者の間で円滑なコミュニケーションと業務の進行を支援します。
メリット
• 柔軟性が向上し、従業員のワークライフバランスが改善される。
• 通勤時間の削減により、時間の有効活用が可能。
• 採用の幅が広がる: 地理的な制約が減るため、遠隔地の優秀な人材を採用しやすくなる。
デメリット
• コミュニケーションの難しさ: オフィス勤務者とリモート勤務者の間で情報共有が難しくなることがある。
• 勤務時間の管理: リモート勤務中の生産性や労働時間の管理が課題になることがある。
• オフィス文化の維持: チームの一体感や企業文化の維持が難しくなる可能性がある。
ハイブリッドワークモデルは、従業員のニーズと企業の業務効率を両立させるための柔軟な働き方として注目されています。

添付5)

グーグルやマイクロソフト、メタ(旧フェイスブック)はコロナ禍の収束後にレイオフをしていないか?
ChatGPT

はい、グーグル、マイクロソフト、メタ(旧フェイスブック)は、コロナ禍の収束後に大規模なレイオフ(人員削減)を実施しています。
グーグル(アルファベット):
• 2023年1月、アルファベットは約1万2000人の従業員を削減すると発表しました。
Gephyro Consulting (ジェフィロ・コンサルティング)
マイクロソフト:
• 2023年1月、マイクロソフトは約1万人の従業員を削減する計画を明らかにしました。
Gephyro Consulting (ジェフィロ・コンサルティング)
メタ(旧フェイスブック):
• 2023年に約2万1000人の従業員を削減し、これは2022年11月以降、全従業員の約4分の1に相当します。
Employee Benefit News
これらのレイオフは、パンデミック期間中の急速な事業拡大に伴う人員増加の反動や、経済環境の変化、AIなど新たな技術分野への投資強化に伴う組織再編成が背景にあります。

 
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