これまで真空パックによるフードロスの削減への取り組みについては、アイデアよもやま話 No.4047 何でも真空パックが可能に!やアイデアよもやま話 No.5126 賞味期限を延長出来る新容器!でお伝えしてきました。
また、No.4914 ちょっと一休み その767 『やはり無視出来ない食品ロス!』では、いくつかの食品ロスの対応策についてお伝えしました。
そうした中、昨年9月19日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でも食品の長期保存を可能にする超高真空パックについて取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。
今、日本のフ−ドロス、つまり食べることが出来るのに捨てられてしまう食料の量は年間約472万トンにも及びますが、これは飢餓に苦しむ人々に向けたは世界の食料支援量、年間480万トンと同じ量です。
このフードロスを大幅に減らすことが出来るかも知れないSDGsなトレたま(トレンドたまご)を取材しました。
千葉県御宿町にある、創業300年、江戸時代から続くという酒倉、岩瀬酒造を番組キャスターが訪ねました。
全国的にも珍しい硬水で仕込まれ、辛口が特徴の日本酒を作っています。
岩瀬酒造の庄野智紀会長は、長年、抱えている悩みがあるといいます。
庄野会長は次のようにおっしゃっています。
「やはり、お酒は開栓したてが一番美味しい。」
「皆さんが飲まれている、特に一升瓶にお酒が残っているものについては酸化が進でしまっておりますので、すぐに私どもは飲んでいただきたい。」
「飲んで欲しい味とは変わってきてしまいます。」
瓶詰めされた日本酒は栓を抜くことで空気が入り、酸化が進みます。
いつでもフレッシュな状態の日本酒を楽しんで欲しい。
庄野会長は次のようにおっしゃっています。
「(そう思い、今、試しに使っているのが、)こちらのパックが真空率が99.5%。」
「こちらでお酒を飲んでいただければ、空気に触れることなく、常においしい状態のお酒が飲めます。」
宇宙空間とほぼ同じ“超高真空”の状態に出来るというこちらのパックが今日の「トレたま」です。
庄野会長は次のようにおっしゃっています。
「(特別な作業が必要なのかと思いきや、)こちらの特殊なキャップで栓をします。」
「まだ入っている空気をちょっと抜きますと、特殊な弁で完全に空気が抜けます。」
簡単な作業で真空状態に。
これで容器の中にある酒は何度注いでも空気に触れることがなく、酸化を防ぐことが出来るといいます。
この「トレたま」を作っているのは株式会社インターホールディングス(東京・渋谷区)というスタートアップ。
社長の成井五久実さんに訊きました。
「これ、(キャップの)中が強力な逆止弁と言われる空気を逆流させない構造になっているんですけども、ドーム型のシリコン弁が入っています。」
キャップの中にあったのはシリコン製の弁。
ドーム状にしていることで、シリコンの性質で自然と閉まります。
更に外気圧も加わり、空気が入らないようになっているといい、ミリ単位で計算された構造で特許を取っています。
液体だけでなく、コメなどの穀物やコーヒー豆などの保存にも適しているといいます。
この真空パックで保存したオリーブオイルは10ヵ月後もほぼ酸化が進まず、またコメは6ヵ月後も水分量が維持され、新米に近い状態というデータも。
成井社長に訊きました。
「個体差はありますが、平均的に4倍、賞味期限が延びます。」
「この技術を導入することで最大30%のフードロスの削減に挑みたいと思っています。」
実際に私(取材した番組キャスター)もバナナを真空パックに入れて実験してみました。
個体の場合はポンプで10回ほど引けば、真空状態になります。
三日後、再び、あのバナナを見せてもらうと、結構、違います。
成井社長は次のようにおっしゃっています。
「酸素に触れていない分、酸化が進んでいないことが分かります。」
簡単に真空状態に出来るこの技術、実は人類初の月面探査でアポロ計画にも携わっていた、ある人物が生みの親だといいます。
食品の長期保存を可能にする超高真空パック。
その生みの親がいるという、千葉県茂原市にやって来ました。
92歳、現役の発明家で実業家でもあるハジー技研株式会社の萩原忠社長です。
実は、この真空技術、あるビッグプロジェクトと深い係わりがありました。
萩原社長は次のようにおっしゃっています。
「アメリカのNASAから呼ばれて、手伝って欲しいと。」
「手をかけないで、(ロケットの)油圧が止められるように、出せるように。」
1961年からNASA,アメリカ航空宇宙局による月面探査「アポロ計画」で、萩原さんはロケットの油圧機器のバルブを手掛けた経歴の持ち主です。
実は11年前(2013年5月)の「トレたま」で初期段階の真空パックを紹介していました。
30年以上かけて開発してきた特許権利を成井社長に譲ったといいます。
なぜなのでしょうか。
萩原社長は次のようにおっしゃっています。
「どうやって世の中に広げるのか全く分からないんだよね。」
「世界中に、この真空技術を広げてもらいたいね。」
成井社長は次のようにおっしゃっています。
「フードロスという社会課題を救える技術かもしれない。」
「技術って、ただあるだけではダメで、いかに社会で実装されるかがポイントなので、この技術を継承して、社会課題を救えたら。」
権利が譲渡されて、更に技術が進化しているということで、現在では酸化し易いビタミンCが配合された美容液とかにも使えるということで、どんどん保存の方法が様々なところに今後、活用が広がっていきそうだなと感じました。
日本酒だけでなくワインなどにも使えるということでした。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
番組の内容を以下にまとめてみました。
(膨大な日本のフードロス)
・今、日本のフ−ドロス、つまり食べることが出来るのに捨てられてしまう食料の量は年間約472万トンにも及ぶ
・これは飢餓に苦しむ人々に向けたは世界の食料支援量、年間480万トンと同じ量である
(岩瀬酒造の悩み)
・千葉県御宿町にある、創業300年の岩瀬酒造の庄野会長は、長年、抱えている悩みがあるという
-お酒は開栓したてが一番美味しい
-しかし、特に一升瓶に残っているお酒は酸化が進んでしまい、時間が経つと飲んで欲しい味とは変わってしまう
-従って、いつでもフレッシュな状態の日本酒を楽しんで欲しい
(岩瀬酒造の悩みの解決策)
・スタートアップ、インターホールディングスは、宇宙空間とほぼ同じ“超高真空”の状態に出来るという真空率が99.5%の特殊なキャップを開発した
-このキャップをした瓶に入れたお酒は空気にふれることなく、酸化せず、常においしい状態になる
(適用分野が広がる新開発のキャップ)
・液体だけでなく、コメなどの穀物やコーヒー豆などの保存にも適しているという
-この真空パックで保存したオリーブオイルは10ヵ月後もほぼ酸化が進まず、またコメは6ヵ月後も水分量が維持され、新米に近い状態というデータもある
・個体差はあるが、平均的に4倍、賞味期限が延びる
・インターホールディングスの成井社長は、この技術を導入することで最大30%のフードロスの削減に挑みたいと言う
(新開発のキャップの生みの親)
・簡単に真空状態に出来るこの技術の生みの親は千葉県茂原市に在住の92歳、現役の発明家で、ハジー技研の萩原忠社長である
・1961年からNASAによる月面探査「アポロ計画」で、萩原さんはロケットの油圧機器のバルブを手掛けた
・実は2013年5月の「トレたま」で初期段階の真空パックを紹介しており、30年以上かけて開発してきた
・その特許権利をインターホールディングスの成井社長に譲ったという
-その理由は、世界中に、この真空技術をどうやって広めるか全く分からなかったからだという
(フードロスを救えるかもしれない超真空技術)
・インターホールディングスの成井社長は、この超真空技術がフードロスという社会課題を救えるかもしれないと期待している
・権利が譲渡されて、更に技術が進化しており、現在では酸化し易いビタミンCが配合された美容液やワインなど、保存の方法が様々なところに活用されることが広がっていく可能性を秘めている
なお、今回ご紹介した新開発のキャップと似たような商品があります。
それは、ZWILLING(ツヴィリング)の提供している真空保存商品です。(こちらを参照)
こちらは大きく、真空容器と真空バッグの2種類あり、どちらも真空ポンプで真空状態にします。
ただ、お酒やワインなどでの利用については、今回ご紹介した新開発のキャップの方が適していると思います。
ちなみに、私はこのZWILLINGを以前から使っており、鮮度が長持ちするので、いろいろなものを入れてとても重宝しております。
ということで、フードロス対策としては、食品を真空にしたり、冷凍保存にしたり、缶詰にしたりといったように様々な技術があったり、あるいはスーパーなどで、賞味期限の近づいてきた食品の値引きといったようにいろいろあります。
なお、フードロス対策にはさまざまな取り組みがあり、それぞれの段階で異なるアプローチが取られています。(添付参照)
添付)
フードロス対策にはどんなものがあるか?
ChatGPT
フードロス対策にはさまざまな取り組みがあり、それぞれの段階で異なるアプローチが取られています。以下に主要な対策をまとめます:
1. 生産段階での対策
• 精密農業: センサーやドローンを使って作物の成長や土壌の状態をリアルタイムでモニタリングし、過剰生産を防ぎます。
• 収穫技術の改善: 最新の収穫機器を導入し、収穫時の損失を最小限に抑えます。
2. 加工・流通段階での対策
• 冷凍保存技術: 急速冷凍技術により、食品の品質を保ちながら長期保存を可能にします。
• 真空パック: 食品を真空状態にすることで酸化を防ぎ、保存期間を延ばします。
• ブロックチェーン: サプライチェーンの透明性を高め、食品がどの段階でロスになるかを追跡・管理します。
3. 販売段階での対策
• AIによる需要予測: 小売店やレストランでの需要を予測し、仕入れや在庫を最適化して余剰を防ぎます。
• 賞味期限の管理: 賞味期限の近い商品を特定し、早期に割引販売することで廃棄を減らします。
4. 消費段階での対策
• スマート冷蔵庫: 内部の食品の賞味期限を通知し、早期に消費を促します。
• フードシェアリングプラットフォーム: 家庭で余った食品を他の人と共有できるアプリやサービスを活用します。
5. 廃棄段階での対策
• コンポスト化: 生ごみを堆肥として再利用し、農業などに活用します。
• バイオエネルギー: 食品廃棄物をバイオガスやバイオ燃料としてエネルギーに変換します。
これらの対策は、フードロスを削減するための多様な手段を提供しています。