2025年01月15日
アイデアよもやま話 No.6105 三菱UFJによるAIを活用したビジネスモデルの抜本的改革!
政府は生成AIの国産開発力を強化するため、基盤モデルを開発するサカナAI(参照:アイデアよもやま話 No.5895 Sakana AIに世界中が熱視線!)など5つの企業と大学などに対し、アメリカのグーグルと共同で支援する方針を固めたとお伝えしました。(参照:アイデアよもやま話 No.5906 政府主導で国産の生成AI開発プロジェクトが始動!
そうした中、昨年9月18日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で、サカナAIがらみでAIによる金融の抜本改革について取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

アメリカのエヌビディアに続き、日本企業10社からも巨額の資金を調達したことが明らかになったスタートアップ企業、サカナAIですが、なぜ、ここまで注目を集めているのでしょうか。
出資に踏み切った大手金融グループを取材しました。

今日、三菱UFJフィナンシャル・グループ本社(東京・千代田区)。
姿を現したのはサカナAIの創業者、デイビッド・ハCEOや伊藤錬COOです。
三菱UFJフィナンシャルはサカナAIへの出資金額を昨日、締結したと発表。
出資した10社の中で最大の出資額となり、今後サカナAIとの協業を進めていきます。
サカナAIを巡っては、今月、アメリカの半導体大手、エヌビディアを始め、総額200億円を調達し、創業からわずか約10ヵ月でユニコーン企業となりました。
今、出資に踏み切った三菱UFJにその理由に訊くと、三菱UFJフィナンシャル・グループの山本忠司常務は次のようにおっしゃっています。
「AIを利用して金融機関のビジネスを抜本的に変えていきたいと思っています。」

強調したのはビジネスモデルの抜本改革です。
三菱UFJでは、これまでマーケティングのための膨大な顧客データの分析に多くの人手を割いてきました。
ただ、顧客に対するサービスに対して、より付加価値をつけるためにはAIサービスの導入で分析業務の一部を完全自動化する必要があると考えたといいます。
山本常務は次のようにおっしゃっています。
「データを使って分析して、新たな価値をお客様に提供するという流れにはAIは親和性が高いと思っています。」
「あらゆる業務にAIが入って、(付加価値のある)より高い良いサービスをお客様に提供出来る・・・」

実際、4月には社内のAI化などに対応する部署を新設。
今後もAI開発企業への出資、協業を進め、幅広い業務にAIサービスを活用したい考えです。
「最先端を走っていらっしゃる企業と一緒に並走させていただくことで、新しい技術をどんどん金融業の中に取り込んでいきたいと思っています。」

アメリカのエヌビディアを始め、日本発のスタートアップ、サカナAIに大手企業が続々と出資をしている状況について、元ソニーCEOのコメンテーター、平井一夫さんは次のようにおっしゃっています。
「(創業からわずか)10ヵ月でユニコーン企業ということで、かなり資金調達が出来ていると思うんですけど、その結果、日本の企業にアドバンテージになる、いろんなAIの技術が提供されることが期待されるわけですけども、実は全く別な視点なんですけども、グーグルのエンジニア、2人と日本人の方が日本で設立した会社ですから、是非、日本人のAIのエンジニアに世界水準の給与、報酬を提供して、日本で活躍して、日本のAIの周回遅れを解消するというような是非やっていただきたいと思うんですよね。」
「(現状、IT人材への報酬はまだまだ低いということなのかという問いに対して、)そうですね、ここにもあるんですけど、(世界のITエンジニアの年収は)スイス、アメリカが高いんですけど、日本はかなり低くて、実はこれ、他の国は入ってないんですけど26位なんです。」
「で、かつ、アメリカはストックオプションも入っていますから、もっと報酬という意味では差がついているというのが現状なんですよね。」
「で、やはりITの世界もそうなんですけども、エンタテインメントの世界、スポーツの世界もそうなんですけども、やはりトップクラスの方は残念ながら海外に行ってしまうという傾向が強くて、日本の空洞化が進んでしまうという懸念がありますので、なるべく有能な人材を日本に留めて、国際水準の報酬を得て、日本の国内でいろんなことを貢献出来るようなエコシステムを作るということが、サカナAIさんもそうですけども企業全般に求められると私は思いますね。」
「(今回のニュース、メガバンクも含めて大企業が一斉にある種、横並びで、みんなでやろうというのが、いかにも日本的だなと感じるが、今回のお金もそういった人材にちゃんといくというような流れがこれから必要ではという指摘に対して、)人材に投資するっていうのは全ての源になりますから、そこを押さえて本当にモチベーションも上がって、より有能な人材を日本にステイしてもらって、そして成果を出してもらうというのが本当にある意味では投資を回収する一つの大きなポイントじゃないかなと私は思いますね。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組の内容を以下にまとめてみました。

(三菱UFJによるAIを活用したビジネスモデルの抜本改革)
・スタートアップ企業、サカナAIは、アメリカのエヌビディアに続き、日本企業10社からも巨額の資金を調達したが明らかになった
 -三菱UFJフィナンシャルはサカナAIへの出資金額を昨日、締結したと発表した
 -出資した10社の中で最大の出資額となり、今後サカナAIとの協業を進めていく
・サカナAIを巡っては、今月、アメリカの半導体大手、エヌビディアを始め、総額200億円を調達し、創業からわずか約10ヵ月でユニコーン企業となった
・今、出資に踏み切った三菱UFJはその理由について、AIを利用して金融機関のビジネスを抜本的に変えていきたいという
 -三菱UFJでは、これまでマーケティングのための膨大な顧客データの分析に多くの人手を割いてきた
 -顧客に対するサービスに対して、より付加価値をつけるためにはAIサービスの導入で分析業務の一部を完全自動化する必要があると考えた
・データを使って分析して、新たな価値をお客様に提供するという流れにはAIは親和性が高いと思っている
 -あらゆる業務にAIが入って、付加価値のある、より高い良いサービスをお客様に提供出来る
・昨年4月には社内のAI化などに対応する部署を新設した
・今後もAI開発企業への出資、協業を進め、幅広い業務にAIサービスを活用したい考えである

(元ソニーCEOのコメンテーター、平井さんのサカナAIに対する見解)
・創業からわずか10ヵ月でユニコン企業ということで、かなり資金調達が出来ている
・その結果、日本の企業にアドバンテージになる、いろんなAIの技術が提供されることが期待される
・サカナAIはグーグルのエンジニア、2人と日本人の方が日本で設立した会社である
・是非、日本人のAIのエンジニアに世界水準の給与、報酬を提供して、日本で活躍して、日本のAIの周回遅れを解消して欲しい
 -世界のITエンジニアの年収はスイス、アメリカが高いが、日本は26位とかなり低い
 -従って、ITの世界もトップクラスの方は残念ながら海外に行ってしまうという傾向が強く、日本の空洞化が進んでしまうという懸念がある
 -なるべく有能な人材を日本に留めて、国際水準の報酬を得て、日本の国内でいろんなことを貢献出来るようなエコシステムを作ることが企業全般に求められる
・人材への投資は全ての源になるので、そこを押さえてモチベーションも上がって、より有能な人材を日本にステイしてもらい、成果を出してもらうというのが投資を回収する一つの大きなポイントだと思う

これまでAIの活用によるDX化(添付1参照)の重要性について繰り返し、お伝えしてきました。
しかし、残念ながら、これまで日本は他の先進国と比べて、DX化に積極的に取り組む企業は少ない状態が続いていました。(添付2参照)
こうした状態も“失われた30年”と呼ばれる要因の一つだったのです。(添付3参照)

今回ご紹介したように、ようやく金融業界でも三菱UFJが重い腰を上げてAIを活用したビジネスモデルの抜本的改革に取り組み始めたのです。
日本の企業が“失われた30年”を乗り越えて、他の先進国の企業に追いつき、追い越すためにはDX化が必須なのです。
なお、DX化には生成AIの活用が必須です。
そして、生成AIの活用にはサカナAIのようなIT企業が必須です。
ですから、サカナAIのようなIT企業が今後とも続々登場していただきたいのです。

一方、元ソニーCEOの平井さんも指摘されているように、他の先進国に負けないIT企業の活躍には優秀な人材が必須です。
ですから、少しでも多くのIT企業に国内外の優秀な人材が集結して、最先端の技術の開発に挑んで欲しいと思います。
そのためには、国際水準の報酬など、海外の優秀な人材に日本で働きたいと思わせるだけの待遇が必須です。
こうした日本企業の広がりが自ずと、日本経済をけん引し、一人当たりのGDPの向上、および需要の喚起につながり、結果として日本経済の発展サイクルを招くのです。


添付1)

DXとは?
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**DX(デジタルトランスフォーメーション)**とは、企業や組織がデジタル技術を活用してビジネスモデルやプロセスを根本的に変革し、競争力を強化する取り組みのことです。具体的には、以下のような変化を指します:
1. 業務の効率化:クラウドコンピューティング、AI、IoTなどの技術を導入して、業務プロセスを自動化・効率化します。
2. 新しいビジネスモデルの構築:デジタル技術を活用して新しいサービスや製品を開発し、顧客に新しい価値を提供します。
3. 顧客体験の向上:データ分析を駆使して顧客のニーズを深く理解し、パーソナライズされたサービスや製品を提供することで、顧客体験を向上させます。
4. 組織文化の変革:デジタル技術の活用を推進するために、組織文化や働き方を変革し、より迅速で柔軟なビジネス環境を構築します。
DXは、競争力の維持・向上のために不可欠な戦略として、多くの企業が取り組んでいます。

添付2)

DX化の取り組みにおける、日本と他の先進国との比較は?
ChatGPT

日本と他の先進国のDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みにはいくつかの違いがあります。以下に主な比較点を挙げます:
1. DXの進行度
• 日本:日本のDXは一部の大企業で進んでいますが、全体的には遅れを取っているとされています。特に中小企業では、デジタル技術の導入が進んでいないケースが多いです。日本は伝統的な業務慣行や紙ベースの業務が根強く残っており、これがDX推進の障害となっています。
• 他の先進国:アメリカや欧州の一部では、DXが進んでおり、クラウドコンピューティング、AI、ビッグデータなどの技術を積極的に活用しています。特にアメリカでは、シリコンバレーを中心に新しいテクノロジーが企業に迅速に取り入れられています。
2. 文化と働き方の違い
• 日本:日本の企業文化は慎重で、変革に対して保守的な傾向があります。また、長時間労働や年功序列といった伝統的な働き方がDXの推進を妨げていることもあります。
• 他の先進国:アメリカや欧州では、変革に対して柔軟で、イノベーションを奨励する企業文化が一般的です。これにより、DXの導入が比較的スムーズに行われています。
3. 政府の支援
• 日本:日本政府は近年、DX推進を国策として強化しており、補助金や税制優遇などの政策を打ち出しています。しかし、これらの支援策が現場レベルで十分に機能しているかについては課題も指摘されています。
• 他の先進国:アメリカや欧州の多くの国では、政府が早い段階からDXの重要性を認識し、インフラ整備や企業支援に注力しています。欧州連合(EU)は、デジタルヨーロッパプログラムなどを通じて、DXを広範囲に推進しています。
4. 技術活用の差
• 日本:日本は製造業が強い国であり、製造プロセスの自動化やロボティクス分野では一定の進展を見せています。しかし、サービス業や小売業でのデジタル化は他国に比べて遅れがちです。
• 他の先進国:アメリカや欧州では、幅広い業種でのデジタル技術の活用が進んでいます。特に、フィンテックやヘルステックなど、新しい産業分野でのDXが活発です。
結論
日本は他の先進国と比べて、DXの進行度に遅れが見られるものの、近年の政策支援や企業の意識改革により、徐々に追いつこうとしています。一方で、文化的要因や経営スタイルの違いが、DXの導入速度に影響を与えています。

添付3)

日本経済が“失われた30年”と呼ばれる要因は?
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日本経済が「失われた30年」と呼ばれる要因は、1990年代初頭からの長期的な経済停滞を指し、いくつかの主要な要因が挙げられます。
1. バブル経済の崩壊
• 背景:1980年代末、日本は株式市場と不動産市場の急激な価格上昇を経験しました。このバブルは過剰な投資と借り入れによって膨らみました。
• 崩壊:1990年代初頭にバブルが崩壊し、株価と不動産価格が急落しました。これにより、企業や金融機関が多額の不良債権を抱え、経済全体に深刻なダメージを与えました。
2. 不良債権問題
• 影響:バブル崩壊後、多くの企業が過剰な借入金と不良債権に苦しみました。銀行はこれらの不良債権の処理に追われ、新たな貸出を控えました。この「貸し渋り」は企業の投資活動を抑制し、経済成長を阻害しました。
3. デフレーション
• 現象:日本は長期にわたり物価の下落、すなわちデフレーションに苦しみました。デフレは企業の収益を圧迫し、賃金の引き下げや消費の低迷を招きました。
• 影響:デフレは企業の投資意欲を減退させ、経済の停滞をさらに長引かせました。
4. 政策対応の遅れ
• 金融政策:日本銀行はバブル崩壊後、適切なタイミングでの金融緩和を行わず、デフレを招く結果となりました。
• 財政政策:政府の財政政策も効果的ではなく、景気刺激策が十分に機能しませんでした。
5. 人口動態の変化
• 少子高齢化:日本は少子高齢化が進行し、労働力人口の減少が経済成長の足かせとなりました。高齢化に伴う社会保障費の増加が、政府の財政負担を重くしました。
6. 構造的問題
• 産業構造:日本は製造業を中心とする輸出依存型の経済構造を維持していましたが、世界経済の変化に迅速に対応できず、競争力を失いました。
• イノベーションの停滞:新しい技術やビジネスモデルの開発が遅れ、IT革命などの世界的なイノベーションの波に乗り遅れました。
結論
これらの要因が複合的に影響し合い、日本経済は「失われた30年」と呼ばれる長期的な低成長期を経験しました。これにより、日本は経済再生に向けた多くの課題に直面してきました。

 
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