昨年9月18日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で製造業に“数十年に一度の大変革”をもたらすワイヤレス給電について取り上げていたので内容の一部をご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。
テレビ東京が4年前に取材したワイヤレス給電の技術の映像ではケーブルが無くても電気を送ることが出来、にライトが点灯しています。
今日(昨年9月18日)、このワイヤレス技術を更に進化させた世界初の製品が発表されました。
東京ビッグサイトで開かれた工場用の設備などを手掛ける企業が集結した国際見本市、「IFPEX2024」(第27回1油圧・空気圧・水圧国際見本市)。
そこで今日、初めて披露された無線オートスイッチです。
ワイヤレスで送受信出来るだけでなく、電波を電気に変えることが出来ます。
開発したのは空気圧大手のSMC株式会社。
従来のケーブルによる送電ではなく、空間に電波を放つことで電気が供給出来るのが最大の特徴です。
SMCの高田芳樹社長は次のようにおっしゃっています。
「ケーブルが無くなることで省エネルギーにもなるし、CO2の削減にもなりますし、人件費が高いところ、レイバー(労働者)が足りないところが非常に使い勝手がいいかと思います。」
ブースでは熱心に説明に耳を傾ける来場者も。
三菱自動車で設備などの研究開発を手掛ける担当者も驚きを隠せません。
三菱自動車 溶接組立生産技術部の曲田吉史さんは次のようにおっしゃっています。
「断線=設備停止、ライン停止になりますので損失がでかい。」
「だからケーブルを一切なくしたい。」
自動車業界ではケーブルが断線して30分から1時間生産が停止すると、その損失は数億円規模になるケースも。
三菱自動車でも対策が急務となっていました。
曲田さんは次のようにおっしゃっています。
「これが本当に設備として使えるとなると、どんどん導入して設備停止を減らしていく。」
「そういう動きをしていきたいと思います。」
ワイヤレス給電の市場規模は7500億円との試算も出ています。
SMCは来年(今年)3月、この新製品を世界で同時発売する計画です。
データの送受信に強みを持つSMCにとって、この製品の開発には、あるパートナーの存在が欠かせませんでした。
創業2020年のエイターリンク株式会社、ワイヤレス給電システムを開発する企業です。
これまでオフィスや医療現場でもワイヤレス給電を生かした製品の開発を進めてきました。
SMCの工場を訪れたエイターリンクCEOの岩佐さん、向かった先はワイヤレス給電機が搭載された試作機、現在はワイヤレス化は部分的ですが、将来は完全なワイヤレス化を目指します。
これまでにない新製品で今後の市場開拓に期待が高まります。
SMCとエイターリンクとの会議の場では以下のようなやりとりが行われました。
SMC マーケッティング課長の有本裕一さん:
「特に(製品に対する)反応が良いのは車・食品・梱包機械というようなところですね。」
エイターリンクの岩佐CEO:
「グローバルも(連携して)取り組んで行けるようなものなんでしょうか?」
SMC 開発第5部の阿木智彦次長:
「日本のみならず、欧州、北米、アジア各国に需要がございますので、これから販売していって業界トップを担っていきたいと思っていますんで、ご協力をお願いします。」
大企業と一緒に進める技術開発で岩佐さんは手応えを感じていました。
岩佐さんは次のようにおっしゃっています。
「「スタートアップだから」って言い訳は絶対に駄目で、SMCさんみたいな一流のメーカーと同じ水準で話せるというか、そういう技術を自分たちもつくらないといけない。」
「そうでないと世界で戦えないと思っているので、そこはもう「なめるなよ」というかグローバルで勝つというところは意識して今後もやっていきたいと思います。」
世界の工場では何十年にもわたって有線、つまりケーブルで電気が送られ、断線するたびに工場の設備は稼働停止に追い込まれてきました。
しかし、ワイヤレス給電が普及しますと、断線のリスクは大幅に減り、工場の生産性の飛躍的な増大につながると見られています。
製造業では“数十年に一度の大変革”が起こるとの期待すら高まっています。
また、SMCの高田社長によりますと、工場で、ワイヤレス給電によって不要になるケーブルの長さは12万5000km、なんと地球3周分ほどの長さに当たります。
つまり、このシステムが普及すれば、膨大な長さのケーブルが不要になる可能性があるんです。
ただ、世界初の画期的な製品ではありますが、まだワイヤレスで贈れる距離が約50cmと短いので、これをいかに長く出来るかが今後の課題です。
以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。
なお、エイターリンクについては、アイデアよもやま話 No.6010 進化するワイヤレス給電 その1 オフィスなどでのワイヤレス給電!でもお伝えしたように、単独でワイヤレス給電関連商品を市販化していたのです。
ちなみに、ワイヤレス給電はEVの充電においても取り組みが進んでいます。(参照:アイデアよもやま話 No.6011 進化するワイヤレス給電 その2 EVにおけるワイヤレス給電!)
では、エイターリンクはこれまで単独でワイヤレス給電関連商品を市販化していたのに、なぜSMCと協業することになったのかについては添付1を参照下さい。
また、SMSは今年、具体的にどんなワイヤレス給電関連商品をいつ市販化するのかについては添付2を参照下さい。
また、ワイヤレス給電で電気火災は防げるかについては添付3を参照下さい。
要するに、エイターリンクのワイヤレス給電技術とSMCの無線通信技術を組み合わせてエアシリンダ用センサーを開発し、この技術により、配線が不要となり、センサーの設置やメンテナンスが容易になり、生産ラインの効率向上が見込まれるのです。
なお、エアシリンダ用センサーのワイヤレス給電化によるメリットは添付4を参照下さい。
なお、自動車業界ではケーブルが断線して30分から1時間生産が停止すると、その損失は数億円規模になるケースもあるといいます。
ですから、ケーブルをワイヤレス給電装置に置き換えれば、かなりのコストダウンが見込まれます。
国際見本市、「IFPEX2024」でSMCのブースを訪れていた、三菱自動車で設備などの研究開発を手掛ける担当者が驚きを隠せなかったのもうなづけます。
ということで、SMSとエイターリンク、両社の技術の組み合わせにより、第一弾として今年(2025年)3月にエアシリンダー用の無線オートスイッチを発売予定なのです。
そして、今後ともワイヤレスで送れる電気の距離を約50cmより更に伸ばすという課題をクリアして、新製品を共同開発し、製品ラインナップを拡充することで、新たな市場機会を創出していくといいます。
まさに、ワイヤレス給電は製造業に“数十年に一度の大変革”をもたらすのです。
従って、将来的には、世界中の製造業を中心に多くの企業から引き合いがあるのは確実です。
ですから、長期的に見て、両社の業績向上が見込まれます。
更に、より親密な関係での開発が図られることを期待して、両社の合併もあり得るのではないかと思われます。
添付1)
エイターリンクはこれまで単独でワイヤレス給電関連商品を市販化していたのに、なぜSMCと協業することになったのか?
ChatGPT
エイターリンクは、これまで独自にワイヤレス給電関連製品を市場投入してきましたが、今回、SMCと協業することになりました。この背景には、両社の技術を組み合わせることで、より革新的で市場ニーズに合致した製品を開発・提供する狙いがあります。
協業の主な理由:
1. 技術の融合による製品力強化:
o エイターリンクの空間伝送型ワイヤレス給電技術「AirPlug™」と、SMCの無線通信技術を組み合わせることで、完全なワイヤレスエアシリンダ用センサの開発が可能となりました。
PR TIMES
2. 市場シェアと販売網の活用:
o SMCは空圧制御機器の世界最大手であり、広範な販売ネットワークと顧客基盤を持っています。この協業により、エイターリンクの技術をより多くの顧客に届けることができます。
3. 新市場への参入と製品ラインナップの拡充:
o 協業を通じて、ファクトリーオートメーション(FA)市場向けの新製品を共同開発し、製品ラインナップを拡充することで、新たな市場機会を創出しています。
3rdイン株式会社ニュース
このように、エイターリンクとSMCの協業は、両社の強みを活かし、より高度な技術と製品を市場に提供するための戦略的な選択と言えます。
添付2)
SMSは今年、具体的にどんなワイヤレス給電関連商品をいつ市販化するのか?
ChatGPT
SMC株式会社は、2025年3月にエアシリンダー用の無線オートスイッチを発売予定です。この製品は、次の特徴を持っています。
• 無線給電:電池や有線電源が不要で、エネルギーを無線で供給します。
• 無線通信:配線を必要とせず、無線で信号を送受信します。
• 配線削減:複雑な配線が不要になり、設置やメンテナンスが簡便化されます。
• 断線リスク低減:配線がないため、断線によるトラブルが減少します。
この無線オートスイッチは、製造現場での生産性向上やメンテナンスコスト削減に貢献することが期待されています。特に、配線が難しい場所や、頻繁に動く機械部品に対するソリューションとして注目されています。
SMCのこの新製品は、無線給電技術を活用することで、産業機器の効率化と省力化を目指していると考えられます。
添付3)
ワイヤレス給電で電気火災は防げるか?
ChatGPT
ワイヤレス給電技術は、物理的な接続を使用せずに電力を伝送する方法ですが、その特性により電気火災を防げる可能性がありますが、完全に防止できるわけではありません。ワイヤレス給電の利点と懸念点について詳しく説明します。
ワイヤレス給電の利点
1. 物理的接続がない:
o ワイヤレス給電はケーブルを使わないため、過熱やショートなどによる物理的な接続不良を防ぐことができます。ケーブルの劣化や断線が原因で火災が発生するリスクを低減できる可能性があります。
2. 自動的な電力供給制御:
o 多くのワイヤレス給電システムには、過負荷や過電流を感知して自動的に電力供給を停止する安全機能が組み込まれています。これにより、電力の供給過剰が防止され、火災のリスクが減少します。
3. 熱管理技術:
o 最新のワイヤレス給電技術は、効率的にエネルギーを伝送することを目指しており、過剰な熱が発生することなく電力を供給できる設計が進んでいます。これにより、熱による火災リスクが抑えられます。
ワイヤレス給電におけるリスク
1. 過熱の可能性:
o ただし、ワイヤレス給電も完全にリスクを排除するわけではありません。例えば、受信機と送信機の位置が適切でない場合、エネルギーの伝送効率が低下し、過熱する可能性があります。この過熱が引き金となって火災が発生することがあります。
2. 不適切な設計や故障:
o ワイヤレス給電システムの設計や製造に不備がある場合、過電流や過熱が発生する可能性があります。また、システムが故障した場合、短絡や過熱が原因で火災のリスクが高まることがあります。
3. 電磁波の影響:
o ワイヤレス給電では、エネルギーを伝送するために電磁波を使用します。これが極端に高い出力で運用されると、周囲の電子機器に影響を与えることがあるかもしれませんが、これは火災とは関係ない問題です。
結論
ワイヤレス給電技術は、従来の有線接続と比較して、ケーブルによる火災リスクを低減する可能性が高いですが、過熱や設計ミスなどの問題があると火災を引き起こす可能性もゼロではありません。したがって、ワイヤレス給電技術が火災を完全に防ぐわけではなく、技術の進化とともに安全機能が強化されることが重要です。
添付4)
エアシリンダ用センサーのワイヤレス給電化によるメリットは?
ChatGPT
エアシリンダ用センサーのワイヤレス給電化には、いくつかの重要なメリットがあります。これらは、特に産業オートメーションの現場での効率性や安全性を向上させる可能性があります。
主なメリット
1. 配線の削減:
o メリット: ワイヤレス給電により電力供給のための配線が不要になります。
o 効果: 設置の手間が減り、配線の複雑さが解消され、設置コストの削減につながります。
2. 断線リスクの低減:
o メリット: 配線がないため、物理的な損傷による断線のリスクが大幅に低減されます。
o 効果: システムの信頼性が向上し、ダウンタイムが短縮されます。
3. メンテナンスの容易化:
o メリット: ワイヤレス化により、配線の修理や交換が不要になります。
o 効果: メンテナンスの頻度とコストが削減され、全体の運用効率が向上します。
4. 柔軟な設置:
o メリット: 配線に制約されないため、センサーの設置場所が自由になります。
o 効果: 設備レイアウトの自由度が高まり、スペースの有効活用が可能になります。
5. 耐環境性の向上:
o メリット: ケーブルがないため、過酷な環境条件(高温、多湿、振動など)でも使用が容易です。
o 効果: 過酷な環境でも安定した運用が可能になり、長期間の使用が期待できます。
まとめ
ワイヤレス給電化されたエアシリンダ用センサーは、工場や生産ラインでの効率性を大幅に向上させ、コスト削減と安全性の向上に寄与します。特に、自動化が進む現代の産業環境において、これらのメリットは非常に重要です。
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